大塚角満の ゲームを“読む!”
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【MH3】第2回!? 泣きたくなるほど、すばらしい作品があった
俺は今日、何度会場で鳥肌を立てたであろうか。そして何度、心が奮えたのか……。心臓を鷲づかみにされて、ブンブンと揺すられたような衝撃。その衝撃の向こうにあった、とてつもない感動。『モンスターハンター3(トライ)』完成披露会で観た数々の映像とプレイ体験、そしてこのソフトの開発に力を尽くした関係者の言葉を聞き、俺は心から「このシリーズを追いかけ続けてきて本当によかった!」と思った。完成披露会の詳細はリポート記事に譲り、ここでは俺の主観で大作『モンスターハンター3(トライ)』を綴りたい。
……しかしそのまえに告白するが、じつは俺と江野本ぎずもはこの間、『3(トライ)』の登場が楽しみなあまり、「できるだけ何も知らない赤ん坊のような状態で発売日を迎えよう!!」と言い合い、「どっちが『3(トライ)』の情報を仕入れないでいられるか、競争しよう!!」という、ゲーム雑誌の編集者にはあるまじき競い合いを展開していたのである。これにより完成披露会直前までの最新情報は、俺が“ウラガンキンは四天王”、江野本に至っては“ボルボロス”止まりであった。この事実を完成披露会の会場で“ミスターモンハン”こと『3(トライ)』の藤岡要ディレクターに話したら、「その健気な情報規制のダムは、本日あえなく決壊します(笑)」と爆笑されてしまった。そして藤岡さんの言葉どおり、俺と江野本は完成披露会が終わるとすぐに、「いままで無駄な努力をしていたアホな記者はトリになって飛んでいきました!!」と叫び、「へへへ、編集部に帰ったらバックナンバー読み漁るぞっっっ!!!!」と恥も外聞もなくわめき散らしたのでありました……。
さて。
この日、まず最初に衝撃を受けたのは、初公開された『3(トライ)』のオープニングムービーだ。映像の詳細はネタバレになってしまうので書かないが、これを観て俺は瞬時に「ああ……。藤岡さんたちはずっと、こういう世界を描きたかったんだな……」と得心したのである。『3(トライ)』のオープニングムービーに描かれているものは、胸が締め付けられるほど圧倒的な“命の力”だ。力溢れる生物が跋扈する荒野の中で紡がれる命と、“生きるために”奪おうとする荒ぶる生命力。それが、このオープニングムービーの中に息づいているのである。俺はこのムービーを観て、改めてモンスターたちを「怖い」と思った。そしてそれ以上に「綺麗だ」と思った。生きるために行われるフィールド上のフェアなやりとりが鮮烈な映像と相俟って、ハンターたるプレイヤーを感動させるのである。抽象的な表現の連続ではなはだ恐縮だが、この文章の意味は8月1日になれば必ずわかると思う。なのでぜひ、ソフトを手に入れてオープニングムービーをご覧になったら、もう一度この文章を読み返してみてください(笑)。
オープニングムービーの上映が終わったあと、ステージ上では辻本良三プロデューサーと藤岡ディレクターによる『3(トライ)』のデモプレイが行われた。なんと今回は“オンラインデモ”ということで、ステージ上のWiiをネットに接続し、東京の会場と大阪の『モンハン3(トライ)』開発部をつないで待望のネットワークモードの一端が紹介されたのである。
藤岡さんの操るキャラは、“街門”(がいもん)と呼ばれる街の玄関口に佇んでいた。プレイするサーバーを選択したあとは、まずこの街門にハンターはやってくるのだ。この街門でハンターが集う“街”を選択。このへんの流れは、プレイステーション2の『モンハン2(ドス)』とほぼいっしょである。藤岡さんは良三さんと大阪の開発スタッフが待つ街を選び、その中へ飛び込んでいった。
街の施設で真っ先に紹介されたのが、『3(トライ)』で新たに導入された“アイテム交換所”だ。読んで字の如く、手持ちのアイテムを別のアイテムと物々交換することができるという新機軸の施設である。このアイテム交換所、おもしろいことに1日ごとにリストに現れるアイテムが変化するとのこと。こういった“ゆらぎ”の要素は前作『2(ドス)』でもいくつか導入されていたが、懐が寂しいときでも余り気味のアイテムを放出することで、欲しかった素材が手に入るかもしれない……というアプローチは、非常にわかりやすくておもしろい。「もしかしたら、何か掘り出し物が手に入るかも!?」と、近所のリサイクルショップを覗くときのようなワクワク感を感じられそうだと思った。
アイテム交換所のつぎは“ゲストハウス”が紹介された。いわゆる宿屋で、システム的には『G』や『2(ドス)』と大きな差はなさそうに見えたが、なんと『3(トライ)』では部屋に好みのインテリアを飾れるようになっていた。インテリアを作ってもらえる“インテリア工房”もあるとかで、キャラクターだけでなく部屋も自分好みにカスタマイズすることが可能になったようだ。
そして、ほかのプレイヤーとの“コミュニケーション”の部分でクローズアップしたいのが、クエストに行っているハンターにチャットを送ることができるようになったこと!! じつは5年まえに初代『モンハン』を遊んでいたとき、クエストに行っているハンターともチャットができると思い込んでいて、しきりに「おーい。街に戻ってこいよー!」なんていう発言を恥ずかしげもなくしていたことがあったのだが、そのときの夢(?)がついに『3(トライ)』で実現されたわけである。実際にステージでは、ひとりでクエストに行っていた開発スタッフに向かって「もどってこいよー」っとチャットでメッセージを送り、受け取った側が「オッケー」と応えて街に戻ってくる……というデモが披露された。これ、何気にものすごく便利な機能追加である。
街の解説がひととおり行われたあと、4人のハンターは新フィールド“砂原”を舞台にしたボルボロス(もちろん新モンスター!)討伐のクエストに出発した。注目は『3(トライ)』で新たに導入された武器“スラッシュアックス”。藤岡ディレクターが操るハンターが、これを装備しているようだ。“斧と剣の要素を併せ持った変形する武器”という触れ込みだが、さて、実際に振り回すとどうなるんだ……?
さてここからは、『3(トライ)』の体験リポートとなる。じつは完成披露会終了後に会場に設置された試遊台がオープンになって、我々報道陣も自由に遊ぶことができたのだ。情報規制のダムが決壊した俺と江野本ぎずももこれに取り付き、会場が閉まる直前にプレイさせてもらった。
クエストは、ラギアクルス討伐、ボルボロス討伐、クルペッコ討伐の3つから選ぶことができたのだが、ラギアクルスは昨年の東京ゲームショウなどで顔を合わせているし、クルペッコは『3(トライ)』の体験版でさんざん遊んでいるので、ここはやはり初顔合わせとなるボルボロスを選択するしかない。武器はすべてのカテゴリーから選ぶことができたので、俺は迷わず、新武器のスラッシュアックスを選択。ちなみに堅実派(?)の江野本は、片手剣を手にしたようだ。さあさあ、ついに夢にまで見たスラッシュアックスを持っての“初トライ”(シャレじゃないヨ)である!!
我が分身がキャンプに降り立ったのを確認し、とりあえずWiiリモコンとヌンチャクをガチャガチャと振り回して操作方法を確かめる。すると俺の後ろに開発スタッフの若い男性がやってきて「Wiiリモコンでの操作、大丈夫ですか?」と親切に声をかけてくれた。最近、『G』でばかり遊んでいてしばらく『3(トライ)』の体験版をWiiリモコンで遊んでいなかったので「いやぁ……ちょっと危ういかも……」と言って助けてもらおうと思ったら、俺の真横に現れた開発スタッフのTさん(顔見知り)が「おいおい! この人は世界一のガンランサー(笑)と言われた、あの大塚角満さんだぞ! 平気に決まっているでしょう!ww」と笑いながら突然の断言。俺はぶったまげて、「ちょっとTさん!! 変なプレッシャーかけないでよ!!」と言ったが時すでに遅く、若き男性スタッフは「失礼しました! あの大塚さんでしたか! いつも読んでますよ!(ニヤニヤ)」と言ってニヤリと笑う。それでもスラッシュアックスを選んだ俺を見て「さすがにスラッシュは初めてですよね。使いこなせるとメチャクチャかっこいいですから、操作方法を解説しましょう」と助け舟を出してくれた。これで怖いものナシだ。
スラッシュアックスは、斧と剣というふたつの顔を持った特殊な武器だ。カシャカシャと瞬時に形態を変化させることで、斧と剣のふたつの特徴をモンスターにぶつけることができるらしい。解説によると、斧モードのときは基本の攻撃力が高く、通常攻撃で大ダメージが見込めるようだが、攻撃がガキンと弾かれることがある。逆に剣モードのときは斧よりも攻撃力は低いが攻撃が弾かれることがなくなり、何より属性攻撃をすることができるようになる。斧から剣、剣から斧へと瞬時に形状を変化させることが可能で、たとえば剣で突きのモーションを出したときにヌンチャクのZボタンを押すと、一瞬で斧に切り替わった。当然、この流れの中で斧から剣に変えることも可能。形状の変化を攻撃の流れに組み込むことで、延々とコンボを続けることができるようだ。
そして、スラッシュアックスの真骨頂となるのが“属性開放”という攻撃だ。スラッシュアックスを剣モードにしたときに発動する特殊な攻撃方法で、ガンランスの竜撃砲のようにしばしのタメ時間のあと、一気に属性のカタマリ(としか言いようがない)を剣の切っ先から放出する。コンボの流れの中から発動させることもできるし、足止めをしたモンスターを狙い、いきなりお見舞いすることも可能だった。でも、タメ時間がわりと長かったので「俺にできるかな……?」と少々心配だったのだが、江野本の攻撃で転倒したボルボロスを見て後ろにいた開発スタッフの方が「属性開放のチャンスですよ!!」と叫んだのをきっかけに、俺は「チャチャチャ、チャーンス!!!」と絶叫。のた打ち回るボルボロスに接近し、「うおおおおっ!!!」とツバを撒き散らしながらマイナスボタンを連打。徐々にスラッシュアックスの切っ先に属性の力が溜まっていって……!
ボワンッ!!!
吐き出された属性のカタマリが、ものの見事にボルボロスに直撃した。
「ややや、やった!!! 当たった!!」と俺。
「当たりましたね!!!」とまわりにいた開発スタッフの方々。な、なんて気持ちいいんだ、スラッシュアックス……。
そして俺はこのとき、『2(ドス)』で初めてガンランスを持ち、初めて竜撃砲をブチかましたときのことを鮮明に思い出していた。あのときも、いまとまったく同じように“初めての出来事”に感動して居ても立ってもいられなくなっちゃったんだよな……。このスラッシュアックス、姿、形はぜんぜん違うし使い勝手もガンランスとはかけ離れている。でも、その佇まいとスピリッツの中に、俺は確かに、ガンランスの姿を見た気がした。
しかし残念ながら、俺が属性開放をぶっ放したところで閉館の時間となり、クエストは終了となってしまった。プレイできた時間は、10分弱といったところだろう。それでも、俺と江野本は興奮の極みにいた。個人的情報規制なんてやってる場合ではない。このすばらしい作品の魅力を、もっともっといろんな人に伝えて歩かなきゃ!!
帰り際、俺はたくさんの開発スタッフの方々に声をかけてもらった。数年に及ぶ開発が終わったばかりでその顔には疲れの色も残っていたが、それ以上に彼らは、充実感に満ちたステキな笑顔を見せてくれた。
「大塚さん、やっと完成しましたよ!」
開発スタッフのHさんは弾けるような笑顔でそう言った。重要なポジションにいる彼の苦労とプレッシャーは、並々ならぬものがあったに違いない。それでもHさんは別れ際に、決意に満ちた口調でこう続けてくれた。
「本当にみんなで、魂を込めて作りました」
ひとつの仕事をやり遂げた男の、これ以上はないってくらい気持ちの詰まった言葉を聞いて、なんだか無性に、泣きたくなった。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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