大塚角満の ゲームを“読む!”
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5月25日現在、俺の『G』におけるハンターランクは19になった。発売からちょうど1ヵ月ってところで、ハンターランク19か。当初、「それほど夢中になって遊ぶことはないだろうナ」と思っていたことを考えると、こいつはなかなかすばらしいペースではないか。
発売から1ヵ月が経過したいまでも、俺の周囲の人間は続々と『G』デビュー、そしてミナガルデデビューしてきている。最近も、もうゲネポのMASAKI君、Effort CristalのJack君が新規に参戦。俺と彼らを比べると、野球にたとえるなら大リーガーとニホンザルくらい腕前に差があるが(野球でたとえてない気がする)、そこは費やした時間の長さによってどうしても武具の充実度合いに差ができる『モンハン』世界。ペラペラの防具に身を包む彼らに対し、俺は上位の素材を駆使して作った“それなり装備”を身に着けている。なので、せっかくの機会なので俺は上位ハンターにならなければ作ることができない武器や防具をひけらかしながら、「なんでも好きなクエストを貼りな! おっちゃんがクリアーしちゃるけん」と言ってふんぞり返っているのである。いまだけ浸れる優越感と、いまだけ照射できる“上から光線”……。じつは5月31日から丸々1週間、E3取材でアメリカに行ってしまうので、その間にハンターランクをブチ抜かれてしまうことは火を見るよりも明らかなのだ。なので俺はふてぶてしい態度を取りながらもじつは内心カゲロウのような気分で、近づく落日に思いを馳せて涙を流しているのであった。
そんな中でまたひとり、俺の前にルーキーハンターが現れた。俺が書く初期の『モンハン』プレイ日記に頻繁に登場しているネット友だちのBである。ハンターランクは6まで育っていたが、上位の武具を身にまとう俺と比べるとまだまだ“駆け出し”という風情。なので俺はお約束のように発言した。「なんでも好きなクエストを貼りな! おっちゃんがクリアーしちゃるけん」と。
Bはまず、森と丘を舞台にしたリオレウス討伐クエストを受注した。なるほどなるほど。やっぱり最初はレウスかレイアだよナ。モンハン界には「やることなければレウスかレイア」っていう格言があるくらいだもんナ。まあ考えたの俺だけどナ……なんてことを言っているうちに、俺とBの前にリオレウスが現れた。
俺は上位ハンターの貫禄を見せつけてやろうと、めったやたらとリオレウスに突っ込んでいった。“ガードの美学”を吹聴する俺だが相手は下位のリオレウス。多少攻撃を食らっても、上位ハンターの俺はビクともするまい。なのでここはガードを捨てて、闇雲に攻撃を加えて瞬時にモンスターを屠り去ってくれようぞ。俺は「うりゃりゃりゃりゃ〜〜〜っ!!」の掛け声もろともリオレウスに突進をくり返した。そしてそのたびに、
ぱこーん
と軽薄な音を立てて回転するリオレウスの尻尾にジャストミート。俺、恥ずかしさと憤怒で顔を真っ赤にしながら「ぬぬぬ!」と立ち上がり、「なんのなんの!」と叫んで再び突進を敢行。すると今度はリオレウスの怒り突進と出会いがしらの正面衝突となって、“大>小”の法則どおり俺の分身は思いっきり壁に叩きつけられた。その様子を見ていた下位ハンターのBは「あはははは!」と大笑いしたあと、呆れた様子でこんなことを言った。
「ミド、レウスの攻撃を食らいすぎじゃない?w さっきからあらゆる攻撃が直撃してるようだけどwww」
俺、半ば呆然としながらも、上位ハンターの威厳を失わないように懸命に強がりを言った。
「な、何を言うか失敬な!! いまのはガードをかなぐり捨ててでも攻撃を敢行する“勇者プレイ”だ!! 俺は勇者だ!! 勇者なのだあああ!!」
これを聞いたBが「そのわりに攻撃が当たってないみたいだけどwww」と痛いところを突いてきたが、俺は勇者らしく敢然とこの意見をスルーした。
勇者御一行がなんとかリオレウスを討伐してミナガルデに戻ると、ネット友だちのYさんが酒場で待っていた。そして挨拶もそこそこに「つぎ、ゲリョスね」というBの提案に乗って沼地に出撃。下位のゲリョスと対峙した。もちろんここでも、俺は勇者プレイである。ゲリョスが毒を吐こうが閃光を放とうがおかまいなしに、ランスの突きや突進をお見舞いしようとした。ところが不思議なことに今回もまったく歯車は噛み合わず、まるでカウンター攻撃のように尻尾でブン殴られたり、パニック走りの突進を食らって地面に叩きつけられたりする。なんとか立て直そうを思って距離を取っても、ゲリョスは俺のいるほうにパタパタと走ってきて哀れなランサーを轢きつぶした。その様子を見て、Yさんがシラケた声を出す。
「ちょっとミドさん、轢かれすぎww 気がつくと吹っ飛ばされてるから笑っちゃうww」
これを受けて、Bがまたまた呆れ声で言った。
「なんかね、勇者なんだって。このプレイが」
Yさんは「へぇ〜ww 勇者なんだぁ〜ww おもしろいねえww」と言い、いつまでもケタケタと笑い続けた。
しかしこの日は勇者プレイの動きが染みついてしまったのか、上位のクエストに行っても“ガードをする”という動きを忘れてしまっていて困ってしまった……。深夜、江野本ぎずも、芸能事務所所属ハンターのゴメさんと3人で出向いたリオレイア討伐で、いったい何が起こったのかさっぱりわからぬうちに1オチを計上。ゴメさんに「大塚さん、眠いんですか?ww」と言われてしまった。さらにそのあと、江野本とふたりで上位のバサルモス討伐に出撃し、あろうことか転倒して転がるバサルモスの下敷きになって昇天……(苦笑)。こんな泣けるオチかた、まだ『モンハン』というものに慣れていなかった無印(初代『モンハン』のこと)の時代にもあったかどうか……。
それ以来、俺はガードを解くことができなくなり、モンスターがいないエリアでもジリジリとにじり歩きをするようになってしまったとさ。おしまい。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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