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大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHP 2nd G】第158回 寂しい夜に、このDVDを

 はぁ……(ため息)。もう最近、なんもやる気が起きんわ……。なんちゅうか、いろんなことをやり尽くしてしまった喪失感というか寂寥感というか、とにかく言い知れぬ孤独感に立ち向かいきれていないんです……。もうすぐお正月っていうワクワクしがちなこの時期にこんな暗い書き出しで申し訳ないのですが、だって寂しいんだもの……。

 じつは最近、俺のコラム、というか『逆鱗日和』シリーズに縁深い人を集めた忘年会を開いてね。なんと夜通し、17時間もぶっ続けで(笑)。俺と江野本ぎずもは「この忘年会を今年最後の作品にするぞ!」とめちゃくちゃ気合を入れて準備をしていて、それが終ってしまったいま、「もう俺にはなんも残ってない……」ってな感じですっかり老け込んでしまった次第です。

 そんなある日、江野本ぎずもが1冊のムックを手に持って俺の席にやってきた。彼女は大事そうに持っていたムックをスっと俺の眼前に指し出し、穏やかな口調でこう言ったのだ。

 「これでも観て、元気出したらどうですか?」

 江野本が持ってきたムック。それは今年の春に開催された『2nd G』の全国規模のイベント”モンスターハンターフェスタ`08”の全風景を納めたDVD付きムック『モンスターハンターフェスタ`08 メモリアルDVDブック』だった。そうだ……。観よう観ようと思っていたんだけど、忙しさを理由に本文部分を読んだだけで、肝心のDVDは観ていないんだった。でも、いまの俺の精神状態で楽しく、熱かったモンハンフェスタ`08の風景が詰まったDVDなんか観たらどうなってしまうのか……。躊躇する俺の心を読んだように、江野本はにっこりと笑ってこう続けた。

 「いろいろ思い出しちゃうと思いますけど、大塚さんは絶対に観なきゃダメです。そして観終わったときには、元気に復活していると思います。だから、観てください」

 俺は納得いかないながらも渋々と江野本からムックを受け取り、PCのディスクトレイにDVDを乗せた。そして、ちょっとドキドキしながら再生ボタンを押す。その瞬間から、俺は楽しくて仕方のなかった2008年春の世界にタイムスリップした。

 いまさらの説明になるが、このDVDにはモンハンフェスタ`08の地区大会(福岡、東京、札幌、大阪、名古屋)と全国決勝大会、そしてモンハン4人衆(辻本良三プロデューサー、藤岡要ディレクター、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナー)による座談会の映像などが収められている。座談会の内容はこのムックを買った人へのボーナスなのであえて触れるのはよそう。ぜひぜひ、購入してからお楽しみくだされ。

 俺が注目して観たのはやはり、各地区予選でのドラマと、全国決勝大会における選び抜かれたゲームアスリートたちの躍動だ。すべての会場を取材した俺ですら見ることができなかったアスリートたちの”素”の姿が、このDVDの中に凝縮されている。プレイ中のナマの声や舞台裏の姿が映し出された映像群は、それはそれは尊いものだ。たとえば、名古屋大会で驚異のシンクロプレイを披露して一躍時の人となったEffort Cristalが、じつはガチガチに緊張して予選のババコンガ討伐に挑んだことはあまり知られていない。彼らの一糸乱れぬシンクロプレイのインパクトと抜群の記録だけ見てしまうと「じつはゲームサイボーグがプレイしているのでは?」なんて思ってしまうところであろう(思わないか)。でも、予選を突破して心の底から安堵している表情とステージ上でふたりが発する「ごめん!」、「よっしゃ!」なんて言葉を聞くと、彼らがこのレベルに到達するまでに積み上げてきた努力の大きさがダイレクトに伝わってきて思わず圧倒されてしまう。Effort Cristalはほんの一例にすぎないが、映像の随所にあるアスリートたちの素の表情から、彼らが背負っているものやバックボーンを垣間見ることができるので、いろいろな資料を紐解きながら観るとさらに楽しいDVDになること請け合いである。まあここで言う資料とは当然、『逆鱗日和』シリーズやファミ通.comに掲載されている俺が書いたフェスタリポートのことだけどね(笑)。

 またこのDVDに収められている映像は、『2nd G』におけるタイムアタックの歴史の縮図でもある。福岡大会から決勝大会までを通して観るとわかるが、大会が進むごとにプレイヤーたちの立ち回りが極まっていっている。これは単純に後半の大会に出たチームのほうがうまい、ということではなくて、地区大会序盤における選手の動きを動画で検証し、贅肉をそぎ落とすことで動きを”詰める”ことができたことによるものだ。そういう意味では、福岡大会、東京大会といった序盤の映像も非常に重要。立ち回りの判断材料が少ない中で奮闘したアスリートたちの動きが『2nd G』タイムアタックを突き詰めるための種蒔きのひとつだったことがよくわかると思う。

 こんな感じで、広い意味で”ゲームイベントの資料”としても目を見張るものがあるこのDVD。しかし前述したとおり堅い部分だけではなく、人間ドラマを観るという部分でもこのDVDに収められた映像は貴重だと思う。福岡大会で敗れ去り、悔し涙に暮れるディフェンディングチャンピオン・Jast25`sの小さな背中。自信満々で大阪大会を突破し、その後全国1位まで駆け上るもうゲネポ。名古屋大会で伝家の宝刀・シンクロプレイを初お披露目したときのEffort Cristalの表情。次長課長の井上さんをして「彼らは本当にすごい」と言わしめたタレメの立ち回りと素顔……。間違いなく全国のトップにいる彼らのスタンスや素の表情を観ることで、多くの『モンハン』フリークは「俺もがんばって立ち回りを極めるぞ!」と思うはずだ。まったくこんなレベルには及んでいないが、俺と江野本がそうであるように、ね。

 DVDを観終わって、俺はちょっとだけ元気を取り戻した。このDVDの中で躍動しているアスリートたちは仕事や学業に追われながらも、「つぎに大会があったら、俺たちこそが頂点に!」の気合のもと練習しているに違いない。寂しがってる場合じゃないな。俺も、大塚角満だからこそできることを、コツコツとやっていこう。見ると、江野本ぎずもはしてやったりの表情を浮かべて、「ね。観てよかったでしょ」と言って笑った。

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投稿者 大塚角満 : 17:16

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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