大塚角満の ゲームを“読む!”
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皆さんもよくやってしまうと思われる失敗談を書きます。
ガンランス以外の武器を解禁したことにより、俺の前に一気に、だだっ広い『2nd G』の地平が拓けた。そりゃあもう、広大とか茫洋とか無辺際とか、そんな言葉では収まりきらないくらい広い広い世界が広がっておりました。
そんな世界に飛び込んだ俺が真っ先にやり始めたことは”作るのを我慢していた武器を作る”こと。ガンランス縛りでやっていようが作りたいものがあったら作ってもいいわけだが、「作っちゃうと我慢できずに間違いなく使ってしまう!!」と、自分が堪え性のないオトナだということを誰よりもよく知っていたので、これまで頑なに「作らないっ!!」と宣言していたのだ。で、すぐさまいくつかの武器を大人買いのような状態で作ったわけです。その顛末は”ハンマー始めました。”というコラムに詳しいので、どうぞご一読を。
で、つい先日のことだが、『モンスターハンターG』のころから大好きな火属性のランス”ブループロミネンス”を作ろうと思い立った。名前の響きが見事に俺の琴線に触れるので、『モンハン』シリーズのどの作品でも必ず作ってきた武器だ。俺のコラムには何度も何度も登場している武器なので、知っている人も多いでしょう。
でもこのランス、相変わらず作るためのハードルが高い。昔からそうなのだが、作るためにとにかく、めったやたらと蒼火竜の尻尾を要求するのである。武器屋の親父に向かって「あのぉ〜……。ブループ……」とちょっとでもブループロミネンスを匂わすことを言おうものなら、親父はとたんに血相を変えて「リオレウス亜種の尻尾だ尻尾!!! 持って来い持って来い!! いくらあっても足らねえ足らねえ!!」と血管をブチ切りながらわめきまくるに違いない。まあ親父がわめくのも当然で、ブループロミネンスの前段階である”ブルーテイル”を作るために3本の蒼火竜の尻尾が必要。そしてここから、問題のブループロミネンスに育てるためには、じつに10本もの蒼火竜の尻尾を調達しなければならないのだ。もう、書いているだけで鳥肌が立ってきたわ。尻尾を13本だよ13本!! いい機会だから皆さん、現時点で火竜の尻尾や蒼火竜の尻尾をどれくらい持っているか、アイテムボックスを漁ってみてごらんよ。きっと「どひゃー!!! これっきゃ持ってないのか俺!!」とビックリするから。尻尾は、鱗とか甲殻のようにジャンジャンバリバリと出る素材じゃないし、ランスやガンランスを作るときくらいしか必要としないので(たぶん)、ランサー以外は基本、見向きもしないであろう。これにより狙って集めることも少なくなるので結果、いざ必要になったときにアイテムボックスを開けても1個か2個の尻尾が所在なさげにコロコロと転がってるだけ……ということになるのである。
今回の俺が、まさにそうだった。「サアサア! ブループロミネンス作るぞ作るぞ!!」と思い立ったのはいいもののアイテムボックスには蒼火竜の尻尾が3個しかなく、製作作業はあっと言う間に、ブルーテイルで止まってしまった。でもこんなことは、ブループロミネンスのベテラン(?)たる俺にしたら想定内もいいところの現象である。俺は家の居間で、その日2本目となる白ワインをパカパカとあおりながらリオレウス亜種の尻尾を斬り続けた。酒の酔いがいい感じで、俺の脳ミソを包み込んでいる。あー……いい気分だ。蒼火竜の尻尾、相変わらずまったく出ないけど、たまにはこんなのんびりした作業もいいだろう。ときおり、身内ハンターたちに手伝ってもらいながら、俺は十数頭のリオレウス亜種から尻尾をちょん斬った。いつしか2本目のワインを飲み干し、「もう今日は飲むのやめよ……」と思ったころ、俺の記憶はプツリと途切れる。どうやら暖房の効いた部屋と心地いいワインの酔い、そしてくり返し尻尾を斬り続けるという単調な作業が夢魔を呼び寄せ、俺を夢の世界の住人にしてしまったようだ。そのまま尻尾の旅人は朝まで、昏々とコタツの中で眠り続けた。
そして翌日、同じように蒼火竜の尻尾を求めてリオレウス亜種の討伐作戦を開始した。身内の大学生、S君の助言もあり、俺の分身は”剥ぎ取り名人”(剥ぎ取り回数が1回プラスされる)のスキルが発動した防具を身につけている。その効果のほどは絶大で、俺はほどなく、ブループロミネンスを作るために必要な蒼火竜の尻尾を10個集めることに成功した。俺は躍り上がって叫んだ。
「やったやった! 蒼火竜の尻尾が揃ったぞ!!」
これを聞いたS君、心から不思議そうな顔をしてこんなことを言った。
「あれ? まだ蒼火竜の尻尾が必要だったんだ。もう昨日ので間に合ったのかと思ってた」
……え? 何のこと? 俺はこの間ずっと、ブループロミネンスを作るために蒼火竜の尻尾を集めていたんだよ? それ、S君も知ってるよねえ? 俺は言った。
「昨日の……って何のこと? 俺が作ろうと思っているのは、ブループロミネンスだよ。昨日も今日もね」
S君、さっきまでの不思議そうな顔に哀れみのテクスチャーを貼り付けながら、申し訳なさそうにそっと告げる。
「あ、そうなんだ……。……えっとヒデ君昨日、「ブループロミネンスができたできた!!」って喜びまくってから寝てたけど……」
え。そんなバカな。
あんなに欲しかった武器を作ったことを忘れるなんてことがあるのか……? 俺はS君の言ったことが信じられず、恐る恐る武器庫の扉を開けた。するとそこには……! 俺は深夜の住宅街で近所迷惑も顧みず、悲鳴と泣き声の混ざった情けない叫び声をあげた。
「……!!!! ブループロミネンスどころか、その先の”プロミネンスソウル”まで作ってあるーーーーーっ!!!! いま懸命に集めた蒼火竜の尻尾はなんだったんだあああ!!!!」
そんな俺は明日、人間ドックに入ります。そこで入念に、頭の構造を調べてもらおうと思います……。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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