大塚角満の ゲームを“読む!”
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7月に行った『ニャンと! 逆鱗日和』発売記念イベントの際に、とある神業プレイを会場で披露してもらった。それが、今年のモンハンフェスタ準優勝チーム”Effort Cristal”(エフォクリ)による”シンクロプレイ”だ。もう、説明する必要を感じないくらい有名な立ち回りなのだが一応解説しておく。彼らはモンハンフェスタ名古屋地区大会において決勝ステージのナルガクルガを相手に、ふたりのハンターが残像のように重なって動き、振り向くナルガクルガの頭目掛けて同時に大剣の溜め3斬りを当てるという信じられないプレイを披露したのだ。これが、エフォクリのシンクロプレイ。観るものが驚きを通り越して笑い出してしまうと言われる、『2nd G』の立ち回りの中では極まったパフォーマンスだ。これを『ニャンと! 逆鱗日和』のイベントで披露してもらったわけだが、当然のことながら会場は興奮の坩堝。「やっぱりやってもらってよかった!」と、彼らを招聘した俺と江野本は強く強く頷いたのだった。
それから4ヵ月。再び『逆鱗日和』のイベントを行うことになった。メインコンテンツは前回書いたとおり、日本のトッププレイヤー6人によるタイムアタック。でもこれとは別にもうひとつ、何か柱になるプレイを見せたい。でもエフォクリのシンクロプレイは前回やっちゃったし……。何がいいのかな……。毎日のようにミーティングをしながら、アレコレとアイデアを出し合っていた俺と江野本。そんなあるとき、俺は漠然と頭の中にあったアイデアを江野本に向かって話し始めた。
「前回、エフォクリにシンクロプレイしてもらったじゃん?」
にっこりと笑って江野本が応じる。
「はい^^ 本当にやってもらってよかったですよね♪ 来場者も大喜びで」
ウンウンと頷きながら、俺は先を続けた。
「で、思ったんだけどサ。あのシンクロプレイをさらに進化させてお見せする、ってことはできないかねえ?」
江野本、瞬時に笑顔を消してグレムリン化の兆しを見せる。
「……。何が言いたいんですか……?」
俺、パっと頭に閃いたすばらしいアイデアを、ついに江野本に披露した。
「いっそ数を増やしてサ。俺とえのっちとエフォクリの4人で、”史上初! 4人シンクロプレイ!”ってのをやればいいじゃん!!」
グレムリンと化した江野本、喉が裂けるほどの大声で絶叫した。
「バッカじゃないのおお!! できるわけないでしょーーーー!!」
しかしナゼか、やることになりました(笑)。
さあて、どうしたものか。いきなりぶっつけで実践練習を始めてもシンクロなんてするわけがないのは、エフォクリ以外にシンクロプレイを実行しているチームがないことで証明されている。じゃあどうするか。俺たちは「まずはやはり、ここからだな」と言いながらPCの電源を入れ、今年のモンハンフェスタ名古屋大会の動画が収録されているファミ通.comの特設サイトを開いた。そして、幾度となくエフォクリのシンクロプレイを鑑賞。なんとなくでも「観て覚えよう」と思ったのである。そして、納得ができたところで初めてチャレンジクエストの”モンハンフェスタ01”を受注して、ふたりでナルガクルガのタイムアタックに挑戦。ものの見事に一度もシンクロすることなく、俺たちは呆然としながら樹海から帰郷したのであった。
「エライことになった……」と俺。顔面は間違いなく蒼白だったことだろう。
「思ったとおり、まったくシンクロしませんね……」と江野本。その顔には「だから言ったでしょ」と書いてあるようだった。
それでもなぜか、俺たちは諦めようとしなかった。圧倒的なスキルを持つエフォクリのふたりですら、シンクロプレイを完成させるために、ものすごい量の努力と時間を費やしたのだから。しかも俺たちには、エフォクリのふたりが見せてくれたお手本プレイの動画ある。無から有を生み出した彼らと比べて、なんと環境の整っていることか。俺と江野本は同時に、同じことを言った。
「個人練習でスキルを高めるしかないね」と。
この考えに至ったのには理由がある。シンクロプレイを考案したのはエフォクリのチームリーダー、God君なのだが、彼は”天才”と呼んでしまいたくなるほど個人スキルがずば抜けている。相棒のJack君も当然ながらすばらしい技術を持っているのだが、天才に比肩する才能を求めるのは、ふつうに考えたら酷なことなのだ。なので当初、エフォクリのシンクロプレイも絵に描いた餅になるところだった。Jack君のスキルが、God君のそれと差があったから……。しかしJack君は諦めず、徹底的にモンハンフェスタ01のナルガクルガタイムアタックをソロでプレイし続けた。いつしかソロ討伐のタイムは5分台になり、そして4分台に突入したとき、いきなりGod君の動きとシンクロしだしたのである。俺たちはこの事実を、誰よりもよく知っていた。だから同時に言ったのだ。「徹底的に個人練習しよう」と。
俺と江野本は空いた時間を見つけては、ソロでナルガクルガタイムアタックの練習を行った。狙うのは、ナルガクルガの振り向き様を狙った溜め3斬りだけ。ほかの動きをしてタイムを縮めても、意味がないのである。タイムが短縮されたり、ちょっとでもコツを見つけたらすぐにメール。それを参考&刺激にして、さらに個人練習を積んだ。結果、俺はソロで5分59秒を、江野本も7分台前半で、振り向き様の溜め3斬りだけでナルガクルガを討伐できるようになった。
「よし……。ふたりのプレイを合わせてみよう」と俺は言った。(もしかしたら、シンクロするかもしれない)という、淡い期待を抱いての提案だった。
「はい……。やってみましょう!」と江野本。その顔は、明らかな緊張感に満ちている。さあ、タイムアタック開始だ!!
その結果……。
な、なんかシンクロしてるーーーっ!! 動きはぎこちないし、ダメージを食らってオチてしまうこともしばしばだったが、攻撃をする狙いが完全に一致しているので肝心なところでシンクロしてくれているのである。
「いけるぞえのっち! これならきっと、4人でも合わせられる!」
と俺。
「はい!! 俄然燃えてきたーー!!」
その後さらにふたりの呼吸を合わせることに専念して、イベント前日となる11月22日を迎えた。俺たちとエフォクリが4人揃って唯一、練習できるのがこの日なのだ。時間は、2時間程度しかない。いくら俺と江野本がシンクロしていても、エフォクリとズレていてはまったく意味がないのだ。俺と江野本と同じように、エフォクリのふたりも緊張している。企画倒れに終るのか……? それとも……。俺は3人に声をかけた。
「じゃ、練習1回目、いってみよう……」
そして間髪入れずにクエストスタート。G級のクエストなので、全員でモドリ玉を使ってキャンプに集合してからナルガクルガのもとに向かう。首尾よく、エリア6でナルガクルガに遭遇する4人。俺と江野本は「いつもどおりにやってみよう!」を合言葉に、エフォクリのふたりの動きをトレースするように動いた。結果……。
「うおおお!! 4人でシンクロしてるぞ!!」(大塚)
「気持ちいいー!! コレ、すごくない!?」(江野本)
「こんなにシンクロするとは!!(笑)」(God)
「いいじゃないですか!! いけますよ!!」(Jack)
俺たちは、意外なほどシンクロする4人のハンターの動きをホレボレと眺めながら、2時間あまりの時間を練習に費やした。結果、最初こそナルガクルガにエリア移動を許してしまってのタイムロスをくり返していたが、いつしかそれもなくなり、最速4分ジャストで討伐するまでに立ち回りが極まった。
「これが見せられれば、間違いなく会場は沸きますよ」とGod君。シンクロプレイの発案者にこう言われたら、鬼に金棒である。
俺たちは練習会場としたファミ通の会議室を後にして、新宿の歌舞伎町へ向かった。そこでエフォクリ、もうゲネポ、Jast25`sと、イベント前日の決起集会を行うことになっていたのだ。
次回に続く〜。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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