大塚角満の ゲームを“読む!”
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俺と江野本ぎずもによる”武神闘宴”の歴史は、苦難と挫折と絶望の歴史と言っていい。自分ひとりで、マイペースにできた”モンスターハンター”のときと違い、今回はふたりのスケジュールを合わせて時間を作る必要があった。でも、やろうと思ったら50分間はこのクエストに縛られることを覚悟しなきゃいけないので、どちらかに何か予定が入っていたり、ニュースが入ってくることが予想される日などは「今日はちょっときびしいね」ってことになってしまう。クエストに行けたころで3回も4回も連続で挑むことはほぼ不可能なので、クエスト中に何かを得たとしても「……悪りぃ、今日はこれ以上は無理だ」、「スイマセン、取材行ってきます……」てなことになって、つかみかけたコツやリズムは平気でスルスルと手の中から逃げていってしまった。想像していた以上に、ふたりで挑む武神闘宴の壁は高かった。
それでも挑戦し始めのころは、「まあふたりなんだし、どうにでもなるべ」と、どっからその自信が湧いてきていたのか皆目わからないが、かなーりナメた態度でクエストに臨んでいた。なんたって、1回目に俺が持っていた武器は大砲モロコシで、江野本がライトボウガンの繚乱の対弩。どちらも悪くはないが、”究極のクエスト”に挑むにはちょっと気合不足と言われても反論のしようがない。当然これではまったく歯が立たず、1頭目のナルガクルガで俺が1オチ、2頭目のティガレックスで江野本が連続オチ。……って、ここらへん、よく読むと”武器が弱いから3オチした”という結論になっているが、オチることと武器が弱いことは直接関係はないですね。自分で言ってりゃ世話ないですね。そうですね。で、2回目で俺は武器をヘルブリザードにチェンジしたがまったく起爆剤にはならず、またまたティガレックスまでに3オチを計上。ここで初めて俺たちは、「ぶ、武神闘宴、侮りがたし……」と思ったのである。
俺たちは、装備の見直しを余儀なくされた。そりゃあそうである。5頭の大型モンスターを討伐しなきゃいけないのに、俺たちは2頭目で3オチして村に強制送還されているのだ。武器の面でもスキルの面でも、ここで抜本的な改革をしなければとんでもないことになってしまうぞ……。
とくに、根本からテコ入れをしなきゃならないのは江野本ぎずもの装備だ。まず武器。江野本も自分の攻撃力のなさにはショックを受けたようで、「繚乱じゃキツイのかな……。つぎは片手剣で行ってみます」と神妙な表情。しかしその片手剣にしても、最終段階まで育っている強力なブツがほとんどなくて、「うーん……」と頭を抱えている。そんな江野本からPSPを強奪し、彼女が持っている武器リストを眺めると、毒属性の”クイーンローズ”を持っているではないか。これを最終段階の”ロイヤルローズ”に育てられればかなりの戦闘力アップになるはずだ。俺は言った。
「えのっち、ロイヤルローズを作っちゃいなよ。毒はかなり有効なはずだから」
江野本、キョトンとした顔で応える。
「そんな金ないっす。だって、12万ゼニーもかかるんだもの」
俺、目を丸くして「それくらい、素材を売ればすぐだべ! 金作れ金作れ!」と上司の威厳たっぷりに命令。俺の剣幕を見て江野本はしぶしぶとアイテムボックスを覗き込み、すぐに「あ! これなら売れる!」と顔を輝かせた。彼女は言った。
「カラの実がたくさんあるー。これ売ろーっと♪」
俺、グラビモスのように口から火炎を吐き出しながら激怒した。
「んなもの、何の足しにもならねえよっ!!!!!!!」
こういったくだらないやりとりが、このあと何回あっただろうか(苦笑)。あーでもない、こーでもないとふたりで喧々諤々と騒ぎながら装備と立ち回りを突き詰めていったが、どうにもうまくいかない。3頭目のモンスターとして現れるグラビモス亜種がとてつもなく強く、どうにかこれを討伐しても残り時間は3分とか、よくて5分程度しか残らないため、4頭目のディアブロス亜種であっさりと時間切れになってしまうのだ。
武神闘宴にチャレンジすること8回目。最初の転機が訪れる。江野本が、苦渋の表情で清水の舞台から飛び降りて断腸の思いで(シツコイ)金を作り、超強力なライトボウガン・”金華朧銀の対弩”を完成させたのだ。長年使っていた繚乱の対弩に別れを告げて、ついに最強クラスのライトボウガンを手にすることに成功したのである。この、金華朧銀の効果は思いのほか大きく、武神闘宴に挑戦すること10回目でついに、最後に控えるラージャンを引きずり出すことに成功する。……まあ、残り時間1分30秒しかなく、ディアブロス亜種の亡骸が消えたとたんに時間切れになって、ラージャンの姿を拝むことはできなかったんだけどな(苦笑)。それでも、本当にわずかながら希望の光が見えた気がした。
そして11回目、今度は俺が自分の装備にテコ入れをした。いままで頼り切っていたスキル”心眼”を捨てて、新たに”斬れ味レベル+1”を発動させて、斬れ味に紫ゲージが出現するガンランスで勝負しようと決意したのだ。ついでに、マイナススキルの”挑発”も発動させる。防御力の低いガンナーの江野本に、ちょっとでも攻撃が向かないようにする配慮であった。
15回目。現在も続く”最終装備”がここで完成を見る。あまり頼りたくなかったのだが「もうこれしかないヨ!!」とプライドを捨てて、爆弾軍団を狩場に持ち込む決断をしたのだ。しかもたまたまなのだが、キッチンスキルで”ネコの火薬術”が発動したのを見て「これだっ!!」といきり立ち、間髪入れずに「これでセーブして一生上書きしねえ!!」とわめいて速攻でセーブしてくれた。これで何度失敗しても上書きセーブしない限り、つねにネコの火薬術が発動した状態でクエストに挑戦することができるぞ。江野本も、荷物が多くなるガンナーながらなんとか切り詰めて、可能な限りたくさんの爆弾を持つことに成功。「爆弾を有効利用して、今度こそ武神闘宴をクリアーしてくりょう!!」と俺たちは充血した目で誓い合った。
しかし悲しいことに、この作戦も決定打にはならない。ナルガクルガ、ティガレックス、グラビモス亜種までは順調にタイム短縮できたのだが、副将として待ち構えるディアブロス亜種でどうしても時間を使ってしまうのである。ひーこら言いながらなんとかディアブロス亜種を葬り去っても、残り時間は5分〜7分といったところ。これでは最後に控える激昂したラージャンには歯が立たない。俺と江野本は顔をつき合わせて「うーんうーん」と唸りあった。江野本が言う。
「なぜディアブロス亜種に時間を使ってしまうのか? それは、やたらと走り回ったり地面に潜ったりされるからです。なんとか足止めできるといいんですが……」
ディアブロス亜種を足止めする手段として有効なのは、言わずもがなだが音爆弾と閃光玉だ。しかしディアブロス亜種は体力が減ってくるとやたらと怒りまくり、そうなると音爆弾がいっさい効かなくなるので、頼みの綱は閃光玉だけとなる。しかし閃光玉はナルガクルガやティガレックスにも有効なので、ここでタイムを縮めたいがために、俺は全部で15個ある閃光玉をほぼありったけ、ティガレックスまでで使い切ってしまっていたのだ。わざとらしく眉間に皺を寄せながら、俺は言った。
「序盤で閃光玉を温存して、ディアに全部使う覚悟で臨んでみるか……。ナルガやティガは、閃光玉がなくてもなんとかなるさ!」
江野本もこれに応え、「はい! それで行きましょう!」と目を輝かせる。この作戦が機能しなかったら、またイチから考え直さなければいけないだろう。いわば俺たちは、背水の陣を敷いたのだ。
24回目の挑戦。最初のナルガクルガを8分半で、ティガレックスを11分半で討伐。グラビモス亜種は、残り時間20分ちょうどくらいで屠り去った。俺たちふたりにしてはまずまずのペースだ。使った閃光玉は、1個だけ。まだ14個も残っている。でも問題はここからだ。ディアブロス亜種を、閃光玉で縛ることができるのか!?
俺は「もうずっとピヨってろ!!」とばかりに閃光玉を投げ続けた。これによりディアブロス亜種は、闘技場に現れてからほぼ休むことなく(?)目が眩んでいたのではなかろうか。閃光玉で動きを止めたら、ひたすら頭を攻撃。江野本はディアブロス亜種に有効な氷結弾を、顔面から叩き込んでいる。「これならいける!!」とふたりが確信したとき、拍子抜けするほどあっさりとディアブロス亜種が地面に崩れ落ちた。「うわ! 早いな!」と俺。「マジっすか!? ビックリした!」と江野本。見ると残り時間は13分30秒とある。武神闘宴に挑戦して以来、最高の持ち時間をラージャンに残すことに成功したのだ。
「いけるかもー!!」
俺たちふたりは同時に叫んだ。13分あれば、ふたりがかりだったらなんとかなるはず!!
しかし残念ながら、大将・激昂ラージャンに翻弄されて俺たちは3オチを計上してしまう。それでも、俺と江野本の顔は明るかった。ようやく、ラージャンとまともに渡り合うことができる土俵に立つことができたのだ。江野本は笑いながら、こんなことを言った。
「大塚さんは27回かかって”モンスターハンター”をクリアーしたんですよね? 武神闘宴は絶対に、27回以内にクリアーしますよ!!」
こんだけ叩きのめされているのにそれだけ前向きでいられたら、クリアーする日も遠くないだろうな。俺も明るく笑いながら短く、「そうだな」と言った。
※追記※
10月9日から東京ゲームショウ2008が始まりますね! いやあ、楽しみ……よりも今年はニュースがたくさんありすぎて怖ええ!! もう10年以上、ファミ通のニュース担当記者をしていますが、こんなにドキドキする東京ゲームショウは初めてです。
でね。
今年も週刊ファミ通は小さいながらもブースを展開し、クリエーターさんを呼んでのトークショーやいくつかのイベントを行うのです。そこで、まことに僭越ながら……大塚角満イベント(!)も行うことになりました! ひー、恥ずかしい!
拙著『逆鱗日和』シリーズに関するとある告知と、ちょっとしたイベント(?)を企画しております。開催予定日時は、10月12日(日)の午後3時から。閑散としていると泣いちゃうかもしれないので、興味のある方はぜひ、ファミ通ブースにいらしてください!! よろしくお願いします!!!
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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