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【MHP 2nd G】第96回 モンスターハンター 〜めげない気持ち〜

 村長下位の最後のクエスト”最後の招待状”を拍子抜けするほどあっさりと、ガンランス・古龍銃槍エンブレムでクリアーした大塚角満。『2nd』の時代、本当に何十回となくラージャン2頭の高い壁に阻まれ、一時は本当に「俺もう、無理かも……」とPSPを封印しそうになったほど難易度の高かったクエストだ。それを、わずか10分程度でクリアー。用意した罠も回復薬も、余裕で余らせての”完全勝利”である。ラージャン2頭が相手とはいえ、村の下位クエストにG級全開の装備で臨みゃあ、そりゃあ余裕で立ち回れるってものだし、そんなことは重々承知していたのだが、やはり”最後の招待状”という『モンハン』世界における”一大ブランド”を難なく乗り越えてしまったことは、俺の心理に多大な影響を及ぼした。

 そう、慢心したのである。

 最後の招待状を余裕でクリアーできたいまの俺に、少なくとも村クエストでは壁となるものは存在しないのではあるまいか。俺がそう思ったとして、誰に責められようか。いや責められない。ていうかそれ以前に、俺の前に立ちはだかろうとする村クエストはもうひとつしか残されていないのである。そう。ネコートさんが用意する村長クエスト上位の最後のクエスト”モンスターハンター”だ。『モンハン』シリーズの象徴であるリオレウス、ティガレックス、ナルガクルガ、ラージャンを、大闘技場を舞台に連続で討伐しなければならない”究極の大連続狩猟”。これをクリアーして初めて、ハンターは”モンスターハンター”を名乗ることができるようになるのではなかろうか。そう思わせるほどこのクエストの威光は強烈だったが、じつは以前から俺の中には(なにげにモンスターハンターは、最後の招待状よりも余裕でクリアーできるのではなかろうか)という思いがあったことをここに告白してしまおう。

 最後の招待状の最大の恐怖は、”ラージャンを2頭狩らないといけない”という部分にあるわけではない。もっとも恐ろしいのは”クエストが始まったら10分後には問答無用で2頭目のラージャンが現れてしまう”という、誰もが避けられない絶対的なルールにある。だからこそ最後の招待状は忌み、恐れられ、『2nd』の時代に”伝説のクエスト”になったのだ。

 ところが、『2nd G』のラストクエスト、モンスターハンターは大連続狩猟だ。最初に現れるリオレウス討伐に手こずり、たとえ10分が経過したとしても、次に控えるティガレックスが大闘技場に乱入してくることはない。モンスターハンターではつねに、ハンターとモンスターは1対1のサシで勝負を決する。第三者の介入はいっさいないので、最後の招待状で1頭目を倒せずに10分が経過してしまったときのような地獄絵図が展開することは決してない。

 なので、俺は余裕だった。村長上位のモンスターとはいえ、同時に出てくるのならまだしも、単独でリオレウスやナルガクルガと渡り合ったら俺が後れをとるわけがない! と思っていたのだ。

 というわけで俺はさしたる危機感もないままに、モンスターハンターをクリアーすべく準備を始めた。「余裕」を連呼しつつも、回復軍団フルセット(回復薬、回復薬グレート、秘薬、生命の粉塵、薬草)、シビレ罠3個分、落とし穴、閃光玉、モドリ玉などをきっちり用意するところが俺のカワイイところである。

 8月25日午後9時30分。『2nd G』発売からまもなく5ヵ月を迎えるこの日、俺は初めてラストクエスト”モンスターハンター”に挑んだ。何度も言うように、最初に現れるのは『モンスターハンター』の象徴、リオレウスである。初代『モンハン』の時代から数えたらはたして幾度、このモンスターと渡り合ったことだろう。『2nd G』だけに限っても、この日までのリオレウス討伐数は111。大型モンスターの中でダントツにたくさん狩っているのが目の前にいるリオレウスなのだ。言ってみれば、もっとも手の内を知っている相手と言える。そんなリオレウスに、俺が手こずるわけがない。そう確信していた。

 ところが。

 このリオレウス、強い……。

 ナメてかかっていたのは事実だが、まさかこれほど、後手に回されるとは思わなかった。攻撃力、体力ともに「こいつホントに、村上位のリオレウスか!?」と叫んでしまったほどズバ抜けているのである。結果、時計の針が5分を指すころには回復薬グレートを6個、秘薬を1個消費。さらに10分が過ぎるころ、あろうことか上空からのキック(通称、ワキャキャキック)をまともに食らい体力が半分以下に減らされたうえにピヨピヨ状態に。「うわわわわ!!」とはしたなく叫ぶもレウスの猛攻は止まらず、怒りタックルをまともに浴びて衝撃の1オチを計上してしまった。こいつは予想外の展開である。まさか”先鋒”であり、もっとも容易い相手と思っていたリオレウスに屠られるとは……。

 呆然としながら、俺はある事実を思い出していた。ベテランハンターになって、すっかり忘れてしまっていた絶対的な事実を。しみじみと、ボロボロのガンランサーはつぶやく。

 「そうだ……。リオレウスって、強かったんだよな……」

 初代『モンハン』の時代、熟考に熟考を重ねた上で戦術を紡ぎだし、それでも何度も何度も跳ね返されていた強大な壁が、このリオレウスだったのだ。なんで俺は、そのことを忘れてしまったんだろう。リオレウスが”対等以上の相手”ということをしっかりと胸に刻み込めていれば、これほど無残に屍をさらすこともなかったのではないか……。

 俺は気を引き締めなおした。なんとかかつての荒ぶる魂を呼び戻し、立ちはだかるリオレウスを討伐せねば!!

 しかしいくら口で気合を入れ直しても、傾いた勝敗の天秤は簡単には元に戻せない。なんとか15分針でリオレウスを討伐するも、回復薬グレートは8個消費し、秘薬にいたってはゼロに……。折れかかった心に”残り時間が少ない”という焦燥も覆いかぶさってきて、俺は息も絶え絶えになってしまった。こんな状態で次の相手である”『2nd』の象徴”、ティガレックスとまともに対峙できるわけもない。25分針で2オチ目を計上。秘薬は飲み尽くしてしまっていたので、もうノーマル体力で大闘技場に戻るしかない。体力が満タンでも太刀打ちできなかったティガレックスにノーマル体力でどうこうできるわけもなく、しかも奇跡的にこやつを倒したところで、まだ無傷のナルガクルガ、ラージャンが控えているのだ。

 「もう……、ダメだ……」

 心、踏み潰された枯葉のようにボロボロとなり、我が分身は攻撃する気力もないままフラフラとティガレックスに接近。猛るティガレックス、「介錯してくれよう」とばかりに壮絶な回転アタックをくり出して、ズタズタのガンランサーにトドメを刺した。クエスト開始からわずか25分。3頭目のナルガクルガも見ないうちに最初のモンスターハンターは終了となった……。

 クエストの取っ掛かりで余裕を振りかざしていただけに、2頭目のティガレックスにすら歯が立たなかったという事実は俺に衝撃を与えた。いやもう、衝撃なんて言葉じゃ済まされない。いままで築き上げてきたプライド、実績(あったっけ?)、名声(それこそ、あったっけ?)はすべて脆くも崩れ去り、無残な瓦礫の下には何も残っていない……。

 いや、そんなことはない。見るも無残な心の瓦礫だが、よく見るとキラリと光る”何か”があるじゃないか。

 それは、”めげない気持ち”だ。いままでにだって何度も、こういう壁はあったじゃないか。初代『モンハン』のリオレウスもそうだし、『モンハンG』の2頭のフルフルにだってさんざん悩まされた。そして何より、『2nd』の最後の招待状。いつまでもめげずに、何度も何度も挑戦したじゃないか。

 よーし。やってやろうじゃないか。どんなに高い壁でも、信じて使い続けてきたこのガンランスで、絶対に越えてやろうではないか!

 次回に続く!

投稿者 大塚角満 : 14:16

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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