« 【MHP 2nd G】第60回 ハンターたちの称号 | 大塚角満の ゲームを“読む!”のホーム | 【MHP 2nd G】第62回 ”世界の終わり”を背負った武器 »【MHP 2nd G】第61回 貧乏のヒミツ2008年06月27日『ニャンと! 逆鱗日和』の編集が大詰めを迎え、毎日毎日深夜まで原稿書いたり校正したりと多忙な日々を送っている。3冊目ともなればちょっとはスムーズにコトが運ぶだろう……と思うなかれ。ノウハウが蓄積されてきているのは確かだが巻が進むごとに新しいことやおもしろい企画を盛り込みたくなるわけで、そうなるとそれらの作業はイチからってことになるからたいへんさは1巻目、2巻目を作ったときとたいして変わらなくなるのである。そして俺以上にいろんな作業に忙殺されているのが編集担当の江野本ぎずもだ。誌面の校正はもちろん、デザイナーとのやりとり、宣伝や営業との打ち合わせ、さらには著者である俺のケツを蹴飛ばして原稿を書かせたりと、そりゃあもうデカい目がグルグル回ったあげくに3つに分裂して増えちまうんじゃないかってくらい(意味不明)、忙しい日々を過ごしているのであります。 しかしあまりにも詰め込みすぎると俺も江野本もパンクしてしまうので、打ち合わせの間隙を縫っては「ひと狩りいこか」ってことでクエストに出かけている。江野本も一応、ハンターランク9なので、数字のうえでは立派な”熟練ハンター”だ。俺もこう見えて”世界一のガンランサー(笑)”と称される熟練中の熟練。ベテランハンターがふたり揃えば、『2nd G』の中にあるどんなクエストもクリアーできるはずである。なので俺はここぞとばかりにG★2やG★3のヤバそうなクエストをバンバン受注し、そのたびに江野本が「ぐぎゃーーーーっ!!」とリアル絶叫してオチていくのを腹を抱えて笑いながら眺めているのでありました。 さてこの江野本、メインの武器は一応片手剣ってことになっているようだが、最近頻繁にライトボウガンを背負ってくるようになった。聞くと「攻撃力が高いおっかないモンスターには近寄れないので、ライトボウガンで行くことにしてるっす」とのこと。よって、出てくるモンスターすべての攻撃力が高いG級クエストのときは自動的にライトボウガンになるわけで、彼女は愛機・繚乱の対弩を持ってえっちらおっちらとG級モンスターの息吹吹き荒れる狩場を駆けずり回っているのであった。 そんなある日、江野本が妙なことを聞いてきた。「大塚さん、ゲネポスの麻痺牙の底値っていくらですか?」と。確か行商ばあちゃんの半額セールで売られるアイテムのひとつなので、そこが底値であろう。俺は答えた。「40ゼニーだったと思うよ」。江野本、これを聞いて明らかに眉をひそめてこう言った。「うーん……。40ゼニーかぁ……」と。たったの40ゼニーで、なぜそんなこの世には神も仏もないものか的な暗い表情をするのだろか? 不思議になって俺は尋ねた。「なんでそんなにブルーになってんの?」と。これに対する江野本の答えは単純にして明確だった。「お金がぜんぜんないんス」。 またか!! と俺は思った。じつは江野本はことあるごとに「お金がない。まったくない」と口走っているのである。その分、装備に多大な投資をしているのだろうと思って彼女の防具を見てみると、いつまでもまったく同じ、剣士装備はフルフルUを基本にしたものを、ガンナー装備はアカムトルム系をもとにしたものを着たきりスズメ状態でまとい続けている。武器も、ボウガンは先の繚乱の対弩オンリー、メインの片手剣も、彼女がデスパライズ以外のものを使っている姿はほとんど見たことがない。「ホントはいろいろ隠し持っているんでしょ?」と聞いても「いえ、これしか持ってないです」と真顔で言う。最高のハンターランクである9になるころになれば、レア度が9とか10の武器、防具をいくつか持っていても不思議ではない。持っていないとしても、その人は目指している武器や防具があってそのために貯金していることがほとんどで、江野本のように”武器・防具は何も持っておらず、お金もまったくない”というハンターはかなり稀少なのではないかと思われる。聞くと、このときの江野本の所持金は「32ゼニーです……」とのこと(笑)。……っておまえ、それじゃG級クエスト”素材ツアー”しか受注できねえじゃねえか!! うまい棒も3本しか買えないぞ!!! うーん、こいつはなかなか壮絶な逼迫具合ではないか。 しかしこいつはあまりといえばあんまりな数字である。高い装備を買ってしまったあとならともかく、さっきも書いたが江野本のキャラクターはしばらくまえから着たきりスズメなのだ。こんなに逼迫するわけがないのである。こいつはおかしい。何か秘密があるに違いない。俺は江野本に言った。「ちょっとキミのPSPを貸して、持ち物をチェックさせなさい」と。江野本は先生に叱られる直前の小学校3年生のような顔になり、それでも素直に「はい……。どうぞ……」と言って純白の新型PSPを差し出してきた。さあチェックだチェックだ。 さっそく江野本の自室に飛び込んで室内を物色する。一瞬、自分がイヤらしい中年オヤジになってしまったのではないかという錯覚に襲われたが、まあ江野本の部屋のアイテムボックスなので気にせず引っ掻き回すことにしよう。 まず最初に俺の目に飛び込んできたのは大量のペイントボールだった。数えると……161個もあるではないか! 俺は江野本に言った。「えのっち、なんでこんなにたくさんペイントボールを持ってるの?」。ケロっとした顔で江野本が答えた。「クエストに行くといつも大塚さんや目黒さんがペイントボールを投げてくれるので、あっしはほとんど使ったことがないんです。でも支給品ボックスからはもらうようにしているので、こんなに貯まっちゃいました」。あ、そですか……。 続いて俺の目に止まったのは、数多く保管されているハチミツだった。数にして、約400個。かなりの量である。……しかし、これは解せない。ガード命を貫き、ほかの人よりもダメージを受けることが少ないと自負している俺もハチミツには苦労させられていて、いち時期は30個ほどにまでストックが激減してしまっていたのだ。それを、しょっちゅうオチるし、ダメージも食らいまくりのはずの江野本がなんでこんなにたくさん持っているのだ。俺は聞いた。「えのっち、なんでこんなにたくさんハチミツ持ってるの?」。江野本、確信に満ちた口調で答える。「じつは回復薬グレートって、ほとんど使ったことがないんです」。俺は驚いて、勢い込んでたずねた。「マジで!? すげえな!! よくそれでやっていけるな!!」と。すると江野本、急に暗い顔になってしぶしぶと返す。「……回復薬グレートを使う間もなく、攻撃を食らうとたいがい1発で昇天するからです……。なので秘薬はたくさん使いますよ……」。俺、葬式帰りのようなシュンとした気分になり、「そ、そっか……。悪いこと聞いちゃったね……」と江野本の目を見ずに答えた。 こんな感じで江野本のアイテムボックスの中を徹底的にチェックしていったわけだが、とくに目立っておかしい部分はなかった。強いて挙げれば、カクサンの実やらペイントの実など、ポッケ農場の畑で採れる植物系のアイテムがたくさんあったくらいで、不審な点は何もない。大型モンスターから剥ぎ取る素材も、意外なほどふんだんに放り込まれている。うーん、どうなっておるのだ……。少々困惑しながら、俺は江野本に言った。 「けっこう素材持ってるし、なんでえのっちが貧乏なのかよくわからないよ。まあでも、大型モンスターの素材をちょこちょこ売ればすぐに貧乏からセレブに昇格できるので、たくさん持ってるナルガの素材とかいくつか売っちゃうよ?」 すると江野本、いきなりギズモからグレムリンに姿を変え、口の先からチロチロと怨嗟の炎を噴出させてキシャーキシャー! と叫び、怒気をふんだんに含んだ声で絶叫した。 「ちょっと!!! ダメですよ売っちゃあ!! せっかく剥いできた素材を売るなんてことができるわけないじゃないですか!!」 ……ん? ちょっと待てよ。その言いようだと”自分はモンスターの素材は1回も売ったことがない”って言ってるように聞こえるんですけど……。 「当たり前じゃないですか。モンスターからもらった素材は、1回も売ったことなんてないですよ。大事にとっておくんです。売っちゃダメです♪ ていうか、みんなそうでしょう?」 ……ハイ、なんでアナタが貧乏なのか、理由がよくわかりました。 投稿者 otsuka-eb : 2008年06月27日 01:45 |





