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【MHP 2nd G】第37回 タイムアタックで勝負だ! そ、その4

 もうこの話、終わらないかもしれない宣言

 4月29日。カプコンの名物広報、萩原さんとのガチンコ勝負の日を迎えた。いまとなってはこの日の天気が晴れだったのか雨だったのかもよくわからないのだが、朝目を覚ましたときの気分は悪いものではなかった。過去3回の記事(関連記事123)にあるとおり、俺にしては珍しくかなり一生懸命パートナーの江野本ぎずもと特訓したのである。武器を大剣にしてしまったので俺のギルドカードの武器使用頻度のグラフが「……」なものになってしまったが(ガンランスだけが突出していたのに、大剣のグラフに”24”という数字が刻まれてしまったのだ)、おかげでそれなりの自信を持てるだけの結果は出せたような気がする。大塚角満&江野本ぎずもコンビが叩き出したババコンガ討伐タイムアタックの最高タイムは”2分44秒”。モンハンフェスタ`08福岡地区大会の予選8位のタイムが2分33秒だったから、ヘタすると萩原さんどころか、東京地区予選も突破して決勝ステージに立ってしまうかも……。俺は自信に満ち満ちた表情で東京ビッグサイトに乗り込み、浮かぬ顔で遅刻気味に現れた江野本と合流。そこで俺は、青白い幽鬼のようなオーラをまとった、ダークサイドに堕ちつつある女に言った。

 「練習どおりのパフォーマンスができれば、酒に冒されているハギーに負けるわけがない!! なあえのっち!!」

 しかし、ド緊張ここに極まれりという感じで能面のような顔になってしまったパートナーはボソリと「酒に冒されているのは大塚さんもいっしょなので何の慰めにもなりません」と言うのみ。(決勝ステージでナルガクルガを相手にしたらどうやって立ち回ればいいんだろう?)と本気になって考えていた俺は一気に現実に引き戻され、じつは練習で3分切れたの2回(しかも1回は2分59秒)しかなかったんだ! という衝撃の事実を思い出してしまった。とたんに俺も、初めてティガレックスに遭遇したときと同様に顔面を硬直させ、お地蔵さんのような表情に。そして、(じつは俺は極めつけの小心者だったんだ……)という忘れかけていた36年来の自分の性格を掘り起こしてしまい、いまさらながら自分の境遇を呪いまくった。

 そんな地蔵&能面コンビの前に、人にプレッシャーをかける才能に長けた人々が続々と集結してきた。「大塚さん、タイムアタック出るんやって? 恥かかないようにね(笑)」と辻本良三プロデューサー。「どうですか? きっちり練習しましたか?(ニヤリ)」と藤岡要ディレクター。「ハギーに負けたらエラいことになりますよ(ニヤニヤ)」と小嶋慎太郎プランナー。「えのっちに頼るのではなく、大塚さんがひとりで何とかしないとアカンですよ(ニヤ)」と一瀬泰範ディレクター。そんな人々に対して俺は、言わなきゃいいのに「ナ、ナメてもらったらいかんぜよ……。俺たちこう見えて、2分44秒を出しているんですからねっ!」と、1回だけ出せた奇跡のタイムを自慢しまくる。それを聞いた人々は一様に「ほほー! いいタイムじゃないスか! それならまったく問題ないですね!」と感心しまくり。しかしそのたびに江野本は「なんでそういう余計なことを言いまくるんですかっ!! もっともっとプレッシャーかかるでしょう!!!」と大激怒。俺はいい意味で自分を追い込もうと思って持ちタイムを吹聴していたのだが、江野本の言うとおりそんな効果はまったくなく、余計に緊張感を高めるだけ。自分のオロカな見栄にますます追い込まれながら、俺は呆然とモンハンフェスタ東京大会の様子を眺め続けた。

 そして4月29日正午。ついに決戦の時間となった。遠くに、端整な顔にニヤニヤ笑いを浮かべる萩原さんの姿が見える。一瞬、歌舞伎町か中洲に迷い込んでしまった錯覚を覚えながら、俺はツカツカと萩原さんに歩み寄った。

 「いよいよ決着をつけるときが来ましたね」

 と俺が言った。女性ファンが聞いたらメラルーガジェットで殴られたようにビリビリと痺れまくるに違いないと思える渋い渋い声であった。これを受けた萩原さん、眉間に皺を寄せながら低い声で言い返す。

 「大塚サン、これは真剣勝負ですからね。あとでガタガタ言いっこナシですよ」

 俺と萩原さんは「のぞむところだ!」、「負ける要素がねえ!!」、「何をおごってもらうかなあ!(負けたほうが勝ったほうにご飯をご馳走する取り決めがある)」と、ギャーギャー騒ぎまくり。このやり取りを、心ここに在らずの状態で見ていたのが俺のパートナーである江野本ぎずもと、萩原さんのパートナーに抜擢されたカプコン広報の鈴置倫久さんである。柔道家を思わせる巨体に引きつった笑みを浮かべる鈴置さんに、萩原さんの関西弁が飛ぶ。

 「おう、トモヒサ。負けたらどういうことになるか、わかっとんのやろな?」

 鈴置さん、マンガのように顔を歪めて、「ハ、ハイ! がんばります! 全力を尽くします!!」と回答。そしてついでとばかりに「で、萩原さん。我々、武器は何で行くんでしょうか……?」とまったく練習できていないことを露呈する衝撃の発言をするではないか!! 俺は心の中で(しめた!!)と叫び、緊張で何も聞こえなくなっている江野本に向かって大声で「おい! 余裕で勝てそうだぞ!」と勝利宣言をした。

 しかしここで、これ以上ないってくらい招かれざる客が、ゾロゾロと俺たちのまわりに集結してきた。ファミ通が誇るゲームの達人、悪鬼・ブンブン丸、職人・佐治キクオ、奇人・バサラ佐藤である。ここに天才・スレイブ間々田を加えて”ファミ通モンハン四天王”と呼ぶ(誰が?)。しかしこいつら、ゲームの腕前は確かに「どうかしてんじゃね?」ってくらい極まっているが、上司を上司と思わない無礼っぷりも極限まで極まっているからタマラナイ。ブンブン丸が鬼のような顔に般若のような笑みを浮かべて「大塚さん、負けたらどうなるかわかってるんでしょうね?」と言ったかと思えば、佐治キクオは「つーか、俺たちに恥かかせるようなマネだけはせんでくださいよ」と言い、バサラ佐藤は俺がガンランスじゃなく大剣を持っているのを指して「何を最初っから日和ってんすか大塚さん!! その時点で負けてんじゃないすか!!」なんて言い出す始末。それも全員、ニヤニヤと笑いながら。俺は悪ガキどもの狼藉に毛を逆立て、「うるせえ!! てめえらどっか行け!! お前らが見てると余計に緊張すんだよっ!!!」と大爆発。しかし無礼者3人組はますますニヤニヤ笑いを強めて、「いえいえ。副編集長のプレイっぷりをしっかりと見させていただきます」とバカ丁寧に答える。このやりとりを聞いて、いつの間にか俺の背後に立っていた辻本プロデューサーが「あははは!!」と大笑い。(こ、ここにもひとり招かれざる客が……)と俺は心の中で舌打ちをし、しばらくまえからまったく言葉を口にしなくなってしまった江野本を連れてババコンガの待つ闘技場に降り立った−−。

 ……つぎで本当に完結するから!!

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▲悪鬼と奇人に見守られながらプレイするという最悪の環境。PSPを持つ俺と江野本の表情はこわばり続ける。

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投稿者 大塚角満 : 14:47

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。

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