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【MHP 2nd G】第30回 覇竜 その2

2008年05月08日

 じつは俺は心の中で、(ガンランスほどアカムトルム討伐に向いている武器はない!)と思っている。いや、”思っている”よりももっと強くて、”確信している”と言ってしまおう。この気持ちの拠り所、つまり根拠となっているものは……まあぶっちゃけて言ってしまうと、

 アカムトルムにはガンランスでしか挑んだことがない。

 というところに行き着きはするのだが黙れ黙れ。こういう事実をガン無視してオノレの意見を貫いても問題なかろうと思えるくらい、対アカムトルム時のガンランスは立ち回りやすいのだ。

 俺は今回のアカムトルム討伐に同行してもらった中目黒目黒、江野本ぎずもの様子を横目でチラチラと見ながら(やっぱ心配だったので)、いつものポジションに潜り込もうと猛るアカムトルムにズリズリと接近していった。いつものポジションとはそう、アカムトルムのデカい腹の下である。灯台下暗しというか木は森へ隠せというか(なんか違うナ)、とにかく腹の下に潜り込んで「うりゃうりゃ」と陰湿にガード突きと砲撃を食らわせている限り、俺はアカムトルムに劣る気がしないのだ。……ちょっとそこ! 「チキン」って言うな! これがガンランスで猛る覇竜に挑む最良の道なんだよっ! え? そんなことしていると牙とか尻尾とかを部位破壊することができないじゃないか、ですって? いやいや。俺を甘く見てはいけんよ。俺も何も一生涯、こやつの腹の下で生活していこうなんて思ってはいないのだよ。アカムトルムがちょっと気を抜いた隙に腹の下からヨチヨチと這い出て、顔や尻尾にも斬撃を……てハイハイ、そこで突進すんのネ。あーそうですか、そこで地面に潜って突き上げて、ただでさえペラペラの俺の防御力を削るのネ。そして俺の体力は再び1ミリ、と……。そうですかそうですか……。ふーん……。

 「目黒ォォ!! えのっちィィ!! 助けてェェェッ!!」

 恥も外聞も捨てて悲鳴をあげる俺を冷ややかな目で見ながらも、やはり初めてのアカムトルム討伐ですっかりテンパっているふたりに他人をかまっている余裕はない。アカムトルムを向こうにまわしたら、オノレの生存を確保するだけで精一杯になってしまうものなのである。仕方ないので俺は猛烈な勢いで逃げ惑い、何とか秘薬とモドリ玉を温存することに成功して体力の回復を図る。やっぱり『2nd』の番長(?)を張っていただけのことはある。ちょっとでも油断したら、圧倒的な瞬発力で地獄に落とされちまうぞ。

 経験者であり、「ガンランスだったら負ける気がしねえ」と豪語していた俺がこんな有様なんだから、アカムトルム自体を初めて見るふたりはどれほどの恐慌を来たしていることか。俺はアカムトルムに閃光玉をぶつけてちょっとだけインターバルを取り、砥石で武器の調整をしながらふたりの立ち回りを眺めた。そして、「おお……」と声を漏らした。

 ぎこちないながらも、ふたりはそれぞれの立ち位置に立ってしっかりとアカムトルムに対抗しようとしていた。大剣を担いでドタバタと走り回り、武器出し攻撃を繰り出しては再び「わーっ!」と叫びながら走り回る目黒のキャラ。何気に彼はアイテムを使うことが好きで、「閃光投げますよ!!」とわめきながらじつにいいタイミングでアカムトルムをピヨピヨ状態にしたりしている。一方、ライトボウガンで乗り込んできた江野本も、必要最低限のギリギリの距離に立って、貫通弾をボンボンボンとアカムトルムの顔面にぶち込んでいる。こいつが意外なほど効果的で、アカムトルムを何度もひるませることに成功していた。そんなふたりの姿を見て、俺はしみじみと独りごちた。「頼もしくなってくれちゃって……」と。もうふたりは、こんなに成長したんだなぁ……。

 いま思うと俺はこのとき、苦楽をともにしてきた仕事上のパートナーとしてのふたりの姿を、アカムトルムに果敢に挑むキャラクターにオーバーラップさせていたんだと思う。上司として、そして先輩記者としてとくに何かを教えてきたわけでもないのに、懸命に努力して駆け上がってきてくれたふたりの姿がゲーム内のハンターとしきりに交錯する。誰よりも目黒と江野本がこれを読んだら「大げさだなあ」と苦笑するだろうが、若手の成長を見守る立場になると、ときとしてこういう感情が湧き上がってくる瞬間があるのだ。たまたま今回、それがアカムトルム討伐で顔を覗かせただけでね。……って、何書いてんだろうな俺(苦笑)。

 一致団結した俺たちは強かった。いまだったらどんなモンスターが向かってきても対抗できる、と確信できるほどに。途中、江野本がアカムトルム最大の必殺技、ソニックブラストを食らって1オチ。目黒も、猛る覇竜の突進をモロに食らって1オチしたが、それでも俺は負ける気がしなかった。こうなったときは、絶対に勝てるのだ!

 そして、俺が回復系アイテムと閃光玉を使い果たしたころ、覇竜・アカムトルムが地響きを立てて決戦場の大地に倒れ伏す。尻尾を斬られ、牙を折られたモンスターの頂点は、もうピクリとも動かない。俺たち3人はここが編集部であることも忘れて感情を爆発させた。

 「うおおおおおし!!」と俺が叫んだ。

 「マジで!!? 3人で倒せたよ!!」と目黒がわめいた。

 「やったやった!! やりましたね!」と江野本が弾けた。

 こうして、新・へっぽこ3人組による覇竜・アカムトルム討伐は成し遂げられた。じつは俺、120パーセント失敗すると思っての挑戦だったので、そりゃあもう拍子抜けでした(笑)。

 このあと立て続けに目黒、江野本もG級に昇進。めでたく、新・へっぽこ3人組は全員G級ハンターとなった。これにいちばん喜んだのは、我がファミ通ニュースチームで唯一、『2nd』からのデータ引き継ぎを行っていた女尻笠井だ。圧倒的に強いG級ハンターがいると、下位や上位のクエストは瞬時にクリアーしてしまうので、新・へっぽこ3人組が遊ぶとき、笠井は寂しそうに遠目から俺たちがはしゃいでいるのを眺めていたのである。G級に昇進した俺たちを見て、涙ながらに笠井が叫んだ。

 「これでみんなといっしょに遊べるよぉ……(涙)。さみしかったよぉ……(号泣)」

 4人組となった逆鱗日和ファミリーの、ドタバタハンティング日記はまだまだ続く。

投稿者 otsuka-eb : 2008年05月08日 13:57