【MHP 2nd G】第7回 満開の桜の下で
日曜日。俺が暮らすさいたま市の桜が満開になった。
前日の酒が多少残った寝ぼけ頭を強引に覚醒させて布団から抜け出し、忙しくてほとんど遊べていない『2nd G』の入ったPSPを手に取る。まだ発売されてから3日しか経っていないのに、「自分はものすごく出遅れているのではなかろうか……?」という確信に満ちた焦燥感に駆られる。電源を入れたら、まだマフモフ装備から一歩も抜け出せていない我が分身が、ポツンと寂しそうに佇んでいる姿が画面に映るだろう。……なんだかとても怖い。『2nd G』の人気が爆発的であるがゆえに、先を行く無数のハンターの姿が脳裏に閃いて焦ってしまうのだ。効率やスピードとは対極にあるプレイスタイルを貫いているつもりだが、多くのベテランハンターが話題にしているG級クエストや新モンスターのことを俺も語ってみたい! そう思ってしまうのである。でも、データ引き継ぎをせずに、イチから始めようと決めたのは自分だ。コツコツとがんばっていくしかない。俺は瞬時に思考を切り替え、薄曇りの春の空を眺めた。ま、とりあえず今日のところは……。
「花見に行くかー!!」
俺は親類の大学生、S君らに声をかけ、大きなレジャーシートを自転車のカゴにぶち込んで、ルンルルルンとハミングなんかしながら一路、大宮公園へと疾走した。
大宮公園は、さいたま市近郊ではいちばんのお花見スポットである。何本あるのか知らないが、とにかくたくさんの桜の巨木が「わー! わー! わー!」と大騒ぎしながら一斉に花を咲かせているようなところで、その風景は「壮観!」のひと言に尽きる。この花の香に吸い寄せられるようにたくさんの出店も立ち並んでいて、今度はこの出店の匂いに吸い寄せられるように無数のお花見客も殺到して、この時期の大宮公園はまさに”花のカーニバル”と化すのである。酒を飲むことと出店で買い食いすることに言い知れぬ快感を覚える体質の俺は、毎年欠かさず、この時期の大宮公園に足を向ける。そして、飲み食いしまくる。その証拠に、自分がこっそり書いている個人ブログの4月の欄にこんな記述があったのでコピペしておく。
"歩き疲れて駐輪場に戻ったときには、じゃがバター、焼きソバ(目玉焼き付き)、チヂミ、玄米パン(あんこ入り)、ジャンボフランク、クレープ(プリンアラモード味。出店のクレープとは思えないくらい激ウマだった)が、俺の胃の中で暮らすようになっていた。俺は「ああ……、空腹のころが懐かしい……」と自責の念にかられてつぶやきながら、ちょっとやそっとでは返せない莫大な摂取カロリーに思いを馳せ、「ご利用は計画的に」と自分で自分に言い聞かせるのだった−−"
さあ今年も食いまくるぞ。
大宮公園は花見客でごった返していた。ちょうどこの週末が満開のタイミングで、しかも翌日(つまり今日ですな)から雨が降ることが確実視されていたので、「花見をするならいましかない!!」と思った人々が殺到しているようだ。まあ俺もそのひとりだがね。例年どおり、たくさんの出店が軒を連ねている。俺は究極のウキウキ状態に突入して、持参した巨大なビニールシートを桜の木の下に設置した。そしてS君に陣地番をさせておいて、焼きソバ、骨つきフランクフルト、チヂミ、道産子焼き(初めて見た。いわゆる大阪焼きに似ているが、中に大量の裂きイカのようなものが入っていた。激ウマでビックリ)、じゃがバター、たこ焼き、シシケバブーを購入。ついでに人数分のビールも手に入れて、ベースキャンプへと帰還した。
そして、協力プレイが始まった……(苦笑)。
とりあえずビールで乾杯したあと、俺とS君はやおらPSPを取り出し、最近合言葉になっている「ひと狩りいこうぜ!!」を合唱したあとに電源を入れた。さっきまであんなに感動していた美しい桜の花々は、早くも目に入らなくなっている。桜にかまっている場合ではないのだ。まだマフモフ装備から抜け出せずにいる俺ひとりでは、立ち塞がっているドドブランゴを狩れないんだよ!! 「そんなことだったらわざわざ花見をしながらやらずに、家で狩っていればよいのではないか」と思う向きがあるかもしれないが、それではあまりにも風情がないではないですか。
そして無事、満開の桜の下で、立ち塞がっていたドドブランゴの狩猟に成功した。……もちろん俺はほとんど何もせずに、S君がひとりで狩ってくれたんだけど(苦笑)。S君は当初、俺がデータ引き継ぎをしないことを聞いて、「僕もイチから始めようかなぁ」と言っていたのだが、すぐさま俺に「ぜひデータを引き継いで俺のクエスト手伝ってくれ!!!」と必死に懇願されて、「わかったよ〜」とデータを引き継いでくれたのであります(笑)。
ドドブランゴ討伐を果たした直後から雨がパラパラと降ってきてしまったので、俺たちは出店の料理をビールで流し込んで大宮公園を後にした。正直、明るい屋外だと画面が見づらくなるので狩猟には向いていないのだが、この時期しか体験できない”花見プレイ”を堪能できて、俺はじつにじつに満足したのでありました。
あ、せっかくだから証拠写真を。なかなか”いとおかし”な感じでしょう?

▲桜の花とPSPがけっこうシュールでしょう。恥ずかしいので、写真は小さめに。












