« 【MHP 2nd】特別編 最後の招待状 〜長き旅路の果てに〜 (その2) | 大塚角満の ゲームを“読む!”のホーム | 『勇者のくせになまいきだ。』を生意気にも語ってみる »【MHP 2nd】特別編 最後の招待状 〜長き旅路の果てに〜 (その3)2007年12月07日取材を終えてモントリオール市内のホテルに戻ってきたとき、俺はその日取材したゲームサミットのことで頭がパンパンになっていて、2頭目のラージャンをほったらかしにしていることなどすっかり忘れてしまっていた。 マイナス2度の刺すような外気に追われるように、暖かいホテルの部屋に侵入。風呂に入って温まりたいのを必死に我慢して、取材したことをざっと記事にまとめてファミ通.comにアップした。部屋に戻ってきてから、2時間が経過していた。 ようやく人心地ついて、セミダブルの大きなベッドに横たわる。「あ〜眠い……」なんてつぶやきながらも手は無意識のうちにカバンをまさぐり、ふかふかした布のケースをピタリと探し当てる。中にはドス黒い怒気を潜ませた、冷たい旧型のPSP。「な、何このイヤな予感……」。そして瞬時に思い出した。そうだ。そうだった……。 「ラージャンの2頭目がこん中にいるんだったぁぁぁぁああ!!!!」 時差ボケによる眠気など瞬時に吹っ飛び、カラクリ人形のように跳ね起きる36歳の中年ハンター。そうだ! 決着つけなきゃ!! 恐る恐るPSPの電源スイッチに触れ、スタンバイ状態を解除する。キャンプに佇む我が分身。瞬時に、いままでオノレがここで何をしていたのかを思い出す。1頭目と刺し違えて1オチさせられたんだった。そして最後の秘薬を飲んで体力を満タンにし、2頭目のラージャンに挑むところだったのだ。そうだそうだ。そうだったそうだった。 俺はとりあえず冷静になろうと努め、残っている手持ちのアイテムをチェックした。手元にはつぎのようなものが残されていた。 ・回復薬(9個) とりあえずハチミツと回復薬が残っているので、まずはこれを調合。回復薬グレートを満タンの10個にする。これで、回復系は何とかなるであろう。それでも、もう秘薬も、いにしえの秘薬もないので、ダメージには細心の注意を払う必要がある。絶対に2オチはできない。 俺は意を決して闘技場に突入した。もうここからは、罠も閃光玉もない、本当のガチンコ勝負である。俺は、いまだ最高潮の怒気で金色の毛を逆立てている巨大なラージャンに向かって突進した。さあ決着つけよう!! 戦いは熾烈を極めた。足止めするアイテムが何もないとはいえ、いつまでもガードの殻に閉じこもっていては決定的なダメージを与えることはできない。俺は、自分で言うのもナンだがいつも以上の勇猛さで、ラージャンと本気の殴り合いを展開した。さすがに竜撃砲を撃つことはできないが、要所要所でガンランスの真骨頂、砲撃も、怒れる牙獣の顔面にぶちかます。「手応えアリ!!」と叫びたくなる、ハンター側に勝負の天秤が傾きかけた会心の瞬間だった。 しかしこのくらいのことで倒せるのなら、誰もこのモンスターを”最凶”などとは言わない。俺が調子に乗って顔面に砲撃を浴びせているところでラージャンはいきなり体毛を逆立て、怒り状態に突入。怒りの咆哮をまともに食らって我が分身はラージャンの目の前で棒立ちになり、そのまま何の抵抗もできぬまま回転アタックを食らう。その一瞬で体力の8分の7を吹っ飛ばされ、「あわわわわ……」と慌てふためきながら立ち上がろうとしたところに駄目押しの直線タックル。ついさっきまで満タンに満たされていた体力が、わずか数秒で”無”にされてしまった。衝撃の2オチである。 さあ困った。もう秘薬がない。まだまだ元気な巨大なラージャンに、ドーピングなしのノーマルな体で挑まなければならない……。 リタイアする、という選択肢も確かにあった。でもここまで来て村に逃げ帰ったら末代までの笑いもの……と言うより何より、闘技場で待つライバルに失礼である。俺は迷わず、ここまで残しておいた最後の強走薬グレートを口にし、アイテムウインドにモドリ玉をセットする。もうコイツを倒すには、”あの作戦”しかない!! 俺は勇躍闘技場に乗り込んで、ラージャンに接近した。そして迷わず、防御体勢に。そのままツンツクツンと、いつものガード突きをラージャンに浴びせた。ちっこい挑戦者のチクチクした攻撃をウザがるように、大きな手を振り回すラージャン。ガキン! とそれを防御し、チクリチクリと2回ほど、ラージャンの顔を突っつく。ラージャン、さらにムっとした表情でステップバックし、得意の雷ブレスをボバーッ。俺、「なんのなんの」とこれも防御して、一気に間合いを詰めてからの斬り上げ砲撃をラージャンの角を目掛けてぶっ放す。しかし深追いはせずに再び防御姿勢。ラージャン、頭の上に「!?」のマークを飛び出させて、雷ブレスを連発しようとする。俺はそれを見て「ここだ!!」と叫び、竜撃砲の体勢に。雷ブレスの光の中で爆ぜるヘルスティンガーの切っ先から、巨大な竜撃砲の火焔が放たれる!! 竜撃砲の凶暴な炎に焼かれて、怒髪天を衝く牙獣の王。これを見て俺は叫んだ。 「わーーー!!! 逃げろ逃げろ!!!」 ボワンと広がる緑色の煙。モドリ玉の穏やかな煙幕に包まれて、我が分身は平和なキャンプに運ばれていった。そう、俺が取った作戦は、ひたすらガードを固めながらラージャンを攻撃し、ヤツが怒ったのを合図にモドリ玉でキャンプに逃げ帰って怒りが収まるのを見計らってから闘技場に戻る……という、究極のチキン戦法だったのである!! ちょっとそこ! 「卑怯」って言うな!! ノーマル体力でしかもガンランスでラージャンに挑むの、怖ええんだよぉぉぉ!! もう俺には、これしかなかったんですっ!! 恥も外聞も捨てたこの作戦、非常にうまく回った。とにかく時間はたっぷりあったので、俺はひたすら「慌てるな! 俺!!」とだけ念仏のように唱え続け、「小さな水滴もいつかは岩に穴を開けるんだ!!」という気持ちでチクチク攻撃を続けた。そしてラージャンが怒ると同時にモドリ玉で帰郷。2分ほどのインターバルを置いてから闘技場に戻るという作業をくり返した。 しかし前述のとおり、俺が持ち込んだモドリ玉セットは6回分しかなかった。これが尽きたとき、そこに待っているのは……。 そして簡単に、モドリ玉はなくなった。もうここからは本当のガチンコ勝負だ!! と、いままでさんざんチキンなことをやっていたくせにガチンコも何もあったもんじゃないが、俺は覚悟を決めてラージャンとの最後の決戦に臨んだ。 そして−−。 ラージャンが最後の力を振り絞って雷ブレスを吐こうとしたところを目掛けて、俺は渾身の踏み込み突きを見舞う。そのままガンランスの伝家の宝刀、砲撃を1発、2発……。2発目の轟音が轟いたと思った刹那、画面にあの文字が表示された。 ”目的を達成しました−−” え。マジで……? ホントに? 倒したの?? 俺が? ガンランスで、ラージャン2頭を……? ウソじゃないのか……! 「うおおおおおお!!!」 俺は本気で、ベッドの上で飛び跳ねた。やったやった!! ついに最後の招待状をクリアーしてやったぞおお!!! そして俺は、思い出していた。初代『モンスターハンター』で初めて、リオレウスを倒したときのことを。あのときも、そうだった。どうしてもどうしても倒せなくて、持っていた弾を全部撃ち尽くして(当時、俺はガンナーだった)、「もうナンも残ってないよ!!」と半分泣きながら、手元に残っていた最後の小タル爆弾をリオレウスの足元で爆発させて勝ったんだった。持っている武器は違うけど、苦労して苦労してやっとライバルを倒せたときの感動は、数年まえのあのときとまったく同じだった。瞬時に流れ込んできた当時の記憶がいささかも色褪せていなかったことも、俺の感動に拍車をかけた。本当に、泣きたいような気分だった。 こうして、ラージャンとの死闘は幕を閉じた。なんだかこの瞬間のために、2007年2月22日から長い長い旅をしてきたような気がするよ。これで胸を張って、来年3月に発売される『モンスターハンターポータブル 2nd G』に向き合えるかなあ……。 でも、最大のライバルだったラージャン2頭を倒したことで、俺の『2nd』の歴史が幕を閉じたわけではない。刺さっていたトゲが取れたからか、いままで以上に精力的に、クエストをこなしていたりする(笑)。やっぱ最高だな、『モンスターハンター』は。『2nd G』が発売されるまでまだまだたっぷり時間があるから、遣り残していたこと、全部やっちまおう。そして万全の体勢で、G級クエストや新モンスターを迎え撃ってやるんだ。モントリオールの静かなホテルで、ひとり騒ぎまくる36歳のおっさんハンターだった。
投稿者 otsuka-eb : 2007年12月07日 15:46 トラックバックこのエントリーのトラックバックURL: |






