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【MHP 2nd】特別編 最後の招待状 〜長き旅路の果てに〜 (その2)

2007年12月06日

 今回のラージャン戦について、「勝てると思って臨んだのか?」と問われれば「うーん……」と唸らざるを得ないかもしれない。「また今回もダメだろうな」、「何分くらい持つかな」、「1頭目くらいはビビらせることができるかな」という、負け犬根性で心が満ちてしまっていたことは間違いないから。準備はいつも万端。1回のクエストに持ち込めるほぼマックスのアイテムを持ち込んでいるし、ネコ飯によるドーピングで、体力、スタミナもフルチャージ状態である。武器も、ガンランスの中ではもっともラージャンに向いている氷属性のヘルスティンガー。防具は、防御力に若干の不安はあるものの、いつもお世話になっているガード性能+2とガード強化のスキルがついている。つまり、俺というハンターが準備できる、対ラージャン用の限界装備がこれなのだ。

 闘技場に降り立った俺は、いつものようにこちらに気づかずにポケーっと突っ立っているラージャンの近くにひとつ目のシビレ罠を設置した。俺の不穏な動きにビクッと反応して、ラージャンが悠然と振り返ろうとする。ハンターが闘技場に降り立ってから、わずか10秒ほどの刹那にだけ存在する混沌とした不思議な空気。これが消し飛んだ瞬間に、牙獣の王とハンターの、壮絶な生存競争が始まるのだ。

 混沌を破ったのは、冷たいガンランスの鋭い切っ先。ラージャンが振り向いた瞬間に、その顔面に最初の一撃を見舞う。続けて、砲撃、砲撃。抜群のスピードを誇るラージャンの鼻っ面に砲撃ができるのは、罠で捕らえたときか、混沌とした空気が破れるこの瞬間くらいしかない。ボワンッ! ボワンッ! という拡散型の巨大な炎がラージャンの顔の毛を焼く。でもこんな攻撃、牙獣の王にとっては、争いが始まったことを告げる銅鑼のようなものにすぎない。そう、またしても俺は無謀にも、こいつに宣戦布告をしてしまったのである。

 さあ腹をくくって。

 今日もやるか! ラージャン!!

 何回も何回もやられ続けて悟った”最後の招待状”クリアーへの第1歩は、とにかく10分以内に1頭目を捕獲することだ。そのためには罠や爆弾などをいっさいケチらず、この1頭目に投入し続けるしかない。それだと2頭目が出てきたときに困るのでは……と考えがちだが、この1頭目を何とかしないかぎり2頭目とはまともに戦うことはできないのだから、遠慮してはいけないのだ。2頭目のことは、2頭目が現れてから考えればいいのだ。

 俺は闘技場に入ってきてすぐに設置したシビレ罠にラージャンを誘導し、大タル爆弾1個とともに、本日1発目の竜撃砲を爆発させた。とたんに怒髪天を衝き、黄金の毛を逆立てるラージャン。さっそくの大激怒である。ラージャンがこうなったときにムチャをすると、あとで取り返しのつかないことになる。慎重に、慎重に……。安心して攻撃できる瞬間は、ラージャンの動きが止まる雷ブレスを吐き出したときくらいだろう。するとさっそく、ラージャンが動きを止めてブレスを吐く仕草をした。うお! いきなり勝機!! どうせだったらブレスを吐いている顔面付近をチクチクと突っついてやろう。さすがのラージャンも得意になって黄金のブレスを吐いているときに突っつかれれば、それはそれはイヤな気分に苛まれるに違いない。俺はウキウキしながら怒れる金の牙獣に接近し、ボバーッと豪快に黄金ブレスを吐き出している口を目掛けてガンランスを振りかざした。そして思いっきり雷ブレスを身体に浴びて、開始3分弱にして体力残り1ミリの大ピンチに追い込まれた。”慎重に”を戦いのテーマとしていたくせに、こいつはとんだ自業自得である。

 「!!!!!」

 と、声にならない悲鳴を上げる36歳の中年ハンター。ここここれはどうすれば……。回復薬グレートを1個くらい飲んだところで焼け石に水。かといって複数個飲むほどの時間を、めったやたらと怒りまくっているラージャンが与えてくれるとは思えない。すっかり気が動転して、モドリ玉を使うことを忘れてしまった俺。となると……。

 「こここ、ここはもう、秘薬を飲むしかない!!!」

 ツバを撒き散らしながら絶叫し、ガシャガシャガシャとアイテムウインドをフル回転させて、黄色いアイコンを選択。開始3分にして、虎の子の秘薬をさっそく1個消費してしまった。エライことになった。

 それでも体力が満タンになったことで冷静となり、ラージャンの動きが見え出してくる。俺は「今度こそ慎重に!!」と自分に言い聞かせ、ガードを固めながらラージャンににじり寄って、ツンツンツンとガード突きをその顔面に降らせた。ラージャンは瞬発力が抜群に優れ、ほとんどノーモーションから多彩な攻撃を仕掛けてくるが、ガード性能+2とガード強化のスキルがついたこの防具ならば、ほぼすべての攻撃を防御することができる。1発当たれば瀕死の重傷は免れない回転攻撃や雷ブレスもガキンガキンとガードして、攻撃のたびにできるわずかな隙を狙って、俺はツンツクツンと地味な攻撃をくり返した。

 そのうちにラージャンは2回目の大激怒状態に突入。俺はそれを確認すると同時に閃光玉を1発放ってラージャンから視界を奪い、さらにアイテムウインドを回転させて落とし穴をセット。首尾よくラージャンが穴に落下するのを見届けてすぐさま鼻っ面に大タル爆弾Gを2個設置した。そしてガンランスを深く腰に構えて竜撃砲の体勢をとり、一瞬の逡巡もなく発射ボタンを強く押す。ヘルスティンガーの切っ先から迸る小さな種火。そしてつぎの瞬間、竜撃砲の巨大な火焔と大タル爆弾Gの豪快な爆炎が、PSPの画面を覆い尽くした。これは効いた!! いけるかも!!

 その後もチクチクと地味な攻撃に終始。砲撃なんて、できたもんじゃない。砲撃以前に、リロードする隙すら恐ろしいのだ。だからガード突きがメインでいいのだ。仕方ないのだ。

 しかし戦闘のバイオリズムによって悪い流れは必ず来るもので、いくらガードを固めたところで、かなりの数の回復薬を消費させられてしまう。そして当然のことだが、こちらの思惑などお構いナシに時間はドウドウと音を立てて流れていく。時計の針はとうの昔に、5分の位置に移動している。もうそろそろ、1頭目を捕まえないとヤバイかもしれない。でもまだ、捕獲できるほど十分なダメージを与えていないような気がする。でもでもデモ……。

 俺は意を決してトラップツールとゲネポスの麻痺牙を調合し、ふたつ目のシビレ罠を作成した。そしてラージャンが怒っていないことを確認し(怒っていると罠を壊されるからね)、足元にシビレ罠を設置する。まんまと引っかかるラージャン。俺は祈るような気持ちで捕獲用麻酔玉をラージャンにぶつける。

 ……ひとつ

 ……ふたつ

 ……みみみ、みっつ(意味ナシ)

 ……よよよ、よっつ(無駄なのに)

 …………ねねね、寝てくれねええ!!!!! やっぱりまだまだ早かった!!! 心のどこかで「まだ絶対無理だナ」と確信していたのに、焦りに押されてついつい罠&麻酔コンボをやってしまったじゃねえか!!! あああ……やっぱり無理だった(涙)。でも、いつまで泣いてても仕方がない。もっと攻撃しないと!!

 俺はすっかり開き直って、いままで以上にアグレッシブにラージャンを攻めに攻めた。それはもう鬼人か修羅かという勇ましさで、ラージャンの反撃を許さない。

 「よし! これならいける!」

 そう確信した俺の背後に、どす黒い瘴気のような、禍々しい怒気のカタマリが降り立った気配がした。恐る恐る時計を見ると、いつのまにか針は10分の位置を指している。

 あ……ヤバ……。

 そう思ったとたん、背中に強烈な痛みが走った。1頭目とは比べ物にならないような巨大な牙獣が、強烈な雷ブレスを我が分身に放ったのだ。壁際まで吹っ飛ばされるガンランサー。やばい……。2頭目が来ちまった……。でもあきらめるのはまだ早い。1頭目は確実に弱っている。こいつを捕まえさえすればなんとかなるはず!

 俺は必死になって緊急回避をくり返し、どうにかこうにか2頭から距離をとった。そして、「お願いします!!!」と本気で祈りながら最後のシビレ罠を設置。これがもし、怒り狂っている2頭目のラージャンに壊されてしまったら潔くリタイアするしかない。戦士は引き際も肝心なのだ。

 そんな悲壮感の詰まったシビレ罠に、なんとも幸運なことに1頭目のラージャンが捕まってくれた!! やったやった!!! 早く麻酔玉を!!

 そしてついに、俺は1頭目のラージャンを捕獲することに成功した。数え切れないほどこのクエストには挑戦しているが、1頭目を捕獲できたのは情けないけどこれが初めてだった。

 しかし、好事魔多し。

 1頭目を捕獲したことですっかり有頂天になった俺の背中に、またまたあの痛みが突き刺さった。巨大牙獣の雷ブレス……。最初の一撃は体力が満タンだったのでなんとか堪えることができたが、今回は体力を回復しきれていないときの痛撃だったのでひとたまりもなかった。

 1頭目と相打ちになったかのような壮絶な1オチ。でも、あと1頭倒すだけだ!

 俺はキャンプで、残りひとつとなった秘薬を飲んだ。これでもしも2オチするようなことになれば、いにしえの秘薬を持ってきていなかったので、体力を増やす手段がない。この回でなんとか、あの巨大なラージャンを屠りさるしかないのだ。

 しかしここでタイムアップ。つぎの取材に行く時間になってしまった。正直、こんなところで中断して集中力を切らしてしまうと、もう2頭目のラージャンには太刀打ちできないような気がしたが、こいつはもう、どうにもならない。俺は一時停止を選んだあとに電源スイッチに軽く触れ、PSPをスタンバイ状態にした。仕事をすべて終わらせたあと、ホテルの部屋で続きをやろう。それまで待ってろよ、牙獣の王よ……。

 次回ついに、長い旅が終わる−−。

投稿者 otsuka-eb : 2007年12月06日 15:02

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