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大塚角満の ゲームを“読む!”

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『忌火起草』と目が合って

2007年11月01日

 いま、とあるゲームにハマっている。「どうせ『G』の発売時期が発表されたからってことで、『モンスターハンターポータブル 2nd』とでも言うつもりだろう」と思われるかもしれないが、そうではない。何を隠そう、プレイステーション3用ソフト『忌火起草』と、プレイステーション2用ソフト『ゴッド・オブ・ウォーII』にドップリなのである。

 『忌火起草』は今年の5月15日に行われたセガの発表会”セガ コンシューマ新作発表会2007 SUMMER”で初お披露目されたのだが、これの取材担当だった女尻笠井が帰社するなり血相を変えて、「大塚さん、ヤバいゲームが出ますよ!!」と、目ん玉が飛び出さんばかりの勢いで報告してくれたタイトルだ。笠井は俺が無類の怖いモノ好きということを知っていて、この日見た『忌火起草』に危険な匂いを感じとり、記事を書くよりもさきにその詳細をリポートしてくれたのであった。身振り手振りを織り交ぜた笠井の説明に、俺は震え上がった。チープな表現で恐縮だが、(『忌火起草』は心臓を鷲づかみにされるような恐怖を味合わせてくれるかもしれない)、とこのとき思ったものだ。

 9月に行われた東京ゲームショウ2007で、俺は真っ先に『忌火起草』をプレイするためにセガブースに走った。しかし俺が行ったときにはすでに『忌火起草』の特設ブースには大行列が発生していて、遊ぶまでに何時間かかるかわからない。さすがに東京ゲームショウ期間中は取材が立て込んでいるので、そうそう長い時間ひとつのブースに張り付くわけにもいかぬ。そこで俺はプレイステーション3用のソフトが軒並みプレイアブル出展されているソニー・コンピュータエンタテインメントのブースに走り、『忌火起草』を捜した。すると首尾よく、こちらにあった体験台は10分ほど待てば遊べるということだったので俺は嬉々としてSCEブースの『忌火起草』のコーナーに張り付き、おとなしく前に並んでいる人がプレイし終わるのを待ち続けた。

 そしてついに、俺に体験プレイの順番が回ってきた! なんでも、3つのコースからどれかひとつを選んで、7分間ほどの体験プレイができるという。俺は体験台に張り付いていた『忌火起草』担当とおぼしきコンパニオンのおねえさんに目をやり、「おねえさん、この3つの中でどれがいちばん怖いのですか?」と幼児のようなおねだり光線を照射した。そんな俺をコンパニオンのおねえさんは苦笑全開で見やり、そして急に声を潜めて「この"駐車場"ってやつ、怖いよ……」と芝居がかった台詞を吐いた。俺はゴクリとツバを飲み込み、早くも震える手でコントローラーを握って”駐車場”と書かれたシナリオを選択し、画面に没入していった。

 しかし残念なことにSCEのブースは、40タイトルものプレイステーション3用ソフトがズラリと並んでいる中に『忌火起草』もあったので、まわりから響いてくる轟音や歓声、賑やかな雰囲気をさえぎるものがない。なのでヘッドホンと画面でいかに恐ろしいオーラを中てられても心の底からビビることができず、俺は消化不良のままSCEブースをあとにすることになったのであった。それでもなんとなく、たった7分の体験プレイではあったが、(うん、このゲーム、怖いかも)という手ごたえだけは得ることができた。「発売されたら必ず買おう!」と俺は誓った。

 そして10月25日。ついに『忌火起草』が発売された! さっそく俺はソフトを入手し、プレイを始める。

 ……ふむふむ。

 ……なるほどなるほど。

 画面に現れる文字と映像、そしてそれを補完するように耳から入ってくる台詞と効果音のシンクロがじつに心地いい。俺がいままで遊んだゲームの中でもっとも恐怖を感じたのはダントツでスーパーファミコン用ソフト『かまいたちの夜』なのだが、それとはまた違った、リアルな恐怖を感じる。ネタばらしになってしまうので詳細は書けないが、ある種荒唐無稽な展開になっても”映像”、”文字”、”音声”の三位一体ぐあいが絶妙なため、ゲームに引き込まれてしまうのだ。うん、楽しい楽しい。サウンドノベルは突き詰めるとパラレルワールドのおもしろさになる。(もしもあのとき、右じゃなく左に曲がっていたら!)、(これじゃなく、別の選択肢を選んでいたら!)という、現実世界でも頻繁に現れる分岐点に簡単に立ち戻り、あのときとは別の道を歩む自分の姿を見せてくれる。「いったいどれが本当の自分なんだ!?」と戸惑い、「ひとつ選択を違えただけでこんなに人生変わるのか!?」と驚くこともあるが、パラレルワールドは着地点が遠くなっても、「ま、そういうのがあってもいいか」と思えてしまうからおもしろい。

 現在、シナリオの読了率は71パーセント。かなり夢中になって遊んでいるのであります。

 でもひとつだけ「失敗した!」と思うことがある。

 じつは俺は『忌火起草』を会社でプレイしているのです。私物のプレイステーション3を会社のデスクに設置してあるからなのだが、無理してでも家に持ち帰ってプレイすべきだった。というのも、やっぱり会社というところは程度の差こそあれ、それなりにやかましいところだと思うのだ。本来こういったゲームは、シンと静まった丑三つ時に、灯りを消した和室に独りこもって、高性能のヘッドホンで外の音もすべてシャットアウトしたうえでプレイするのがベストであろう。そういった環境に自分を置いて初めて、目は血走り、歯の根は合わなくなり、手はひたすら汗ばむという『忌火起草』ならでは恐怖を味わえるのではなかろうか。

 でも正直、このような完璧な環境で俺が『忌火起草』を遊べるかと言うと、まるで自信はない。ここだけの話、賑やかな会社だったからこそ、俺はスムーズにプレイできているのだと思う……。そう、俺は怖い話大好きだけど、大の苦手でもあるのです……。俺のような人、けっこうたくさんいると思うのだ。そういった方にぜひ、遊んでもらいたいと思いました。

 『ゴッド・オブ・ウォーII』については、また今度。

投稿者 otsuka-eb : 2007年11月01日 21:59

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