大塚角満の ゲームを“読む!”
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9月20日、東京ゲームショウの会場で日本ゲーム大賞2007”年間作品部門”の発表授賞式が行われた。日本ゲーム大賞は、その年の優れたエンターテインメントコンテンツを選定、表彰するCESA主催による表彰イベント。一般投票も可能なので、投票したことがある人も多いんじゃないだろうか。
今年、優秀作品賞に選ばれたのは13タイトル。『ポケットモンスター ダイヤモンド/パール』、『ブルードラゴン』、『龍が如く2』など、それこそ綺羅星のごとき大ヒット作品がつぎつぎと選ばれていった。この13作品の中から、今回の”大賞”が選ばれるのだ。
13作品の中に、カプコンのPSP用ソフト『モンスターハンターポータブル 2nd』が入っていた。これはもちろん、予想できたことだ。PSP初のミリオンヒット作にして、学生を中心に一大ムーブメントを巻き起こしたニュース性はめちゃくちゃ強烈だからね。でも前述のとおり、ほかの作品もニュース性という点においては引けをとらないものが揃っている。どの作品が大賞を受賞してもおかしくない。ニュース記者としての冷静な目を保ちながら、俺は満席となっている会場の隅からステージを見つめ続けた。
そして−−。
司会を担当する伊集院光が、このブログの読者がもっとも頻繁に口にしているソフトのタイトルを読み上げた。
「大賞は、『モンスターハンターポータブル 2nd』です!」
社会現象となったWii用ソフト『Wiiスポーツ』とのダブル受賞だった。『モンスターハンター』シリーズの作品が日本ゲーム大賞を受賞するのは、初代『モンスターハンター』に続いて二度目。”快挙”という言葉がもっとも似合う、会心の受賞だった。
壇上には、俺がここでさんざん書いてきた”モンハン4人衆”、辻本良三プロデューサー、藤岡要ディレクター、一瀬泰範ディレクター、小嶋慎太郎プランナーの4人が並んでいた。遠目に見た彼らの表情は、”喜び”というよりも”驚き”に満ちていたように思えたのは、俺の気のせいだろうか。
会うたびにくだらない冗談を言い合っていっしょになってゲラゲラ笑っている4人が、日本を代表する錚々たるゲームクリエーターの前に立って表彰を受けているシーンは、俺から見たらそれはそれは不思議な光景だった。正直、ちょっと夢を見ているような気分だった、と言ってしまおう。これで彼らも、日本屈指のゲームクリエーターのひとりになったんだなあ……。いっしょに収まっている人たちが本当に偉大なクリエーターばかりだったので、余計、そんな気分にさせられた。でもこれは俺だけの感情ではなくて、先のモンスターハンターフェスタの会場で彼らと話したことのある人だったら、きっと同じように思っただろうな。彼らはモンハンフェスタの会場で、本当に気さくにユーザーとの会話を楽しんでいた。そんな距離感の近いクリエーターが日本ゲーム大賞の大賞受賞者として表彰されている姿は、何とも言えず誇らしかったのだ。
この間、週刊ファミ通誌上で”『モンスターハンターポータブル 2nd』誕生物語”という記事を連載してきた(って、まだ完結してないけど)。その取材を行う中で、サクセスストーリーだけが満ちているわけではない『2nd』の制作現場の苦悩や逡巡をたくさんたくさん目の当たりにしたことで、俺の『モンスターハンター』制作チームに対する尊敬の念は強くなるばかりだった。そんな彼らが今回のような大きな賞を受賞して、俺が感激しないわけがなかった。
表彰式が終わり、壇上から降りてきた4人は俺の姿を認め、ニコニコしながら歩み寄ってきてくれた。すぐに良三さんが、「やりましたよ! 大塚さん!」と言って右手を差し出してきた。俺も「やったね!」とそれに応え、痛いほど固い握手を良三さんと交わした。
続いて小嶋さんが、「ありがとうございました!」と元気に言って、同じように右手を差し出してきた。その手と、がっちり握手。弾けるような小嶋さんの笑顔は、じつにじつに印象的だった。
そして、『モンハン』世界を守る男、藤岡さんが何も言わずに笑いながらサっと右手を差し出してきた。俺は鼻の奥にツンとした痛みを感じながらも同じように笑いながら、強く強く、藤岡さんの手を握り返した。藤岡さんの目は、(本当にありがとうございました!)と言っていた。俺はそれに心の中で、「やっぱ『モンハン』ってすごいね!」という言葉で応えた。
最後に、一瀬さんと向かい合った。「やったっすね!」と俺が右手を差し出すと、一瀬さんは間髪入れずにニヤリと笑い、サっと左手を差し出す。空中でぶつかる、俺と一瀬さんの右手と左手。俺は一瀬さんと同じようにニヤリと笑い、「ちょっと!(笑) わざとっしょ!!」と猛抗議。ゲラゲラ笑う俺と一瀬さんの姿を見て、良三さん、藤岡さん、小嶋さんも愉快そうに笑った。やっぱいいな、『モンハン』チームは。
でも今回の受賞で、『2nd』が終わったわけではない。98回目のコラムで書いた『モンスターハンターポータブル 2nd G』の存在はもちろん、なんか焼けぼっくいに火じゃないけど、彼らに触れてまたまた、『2nd』熱がぶり返してきちゃったよ。このコラムはあと1回で終わりにするつもりだけど、俺はまだまだいつまでも、『2nd』で遊び続ける気がする。でもこれってきっと、このコラムを読んでくれてる多くの読者も抱いた想いなんじゃなかろうか。
さて、ラージャンと遊んでくるかな。なんかいまなら、勝てそうな気がするよ(笑)。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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