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【MHP 2nd】第89回 ラージャンと『東京タワー』

2007年07月25日

 結果見えてるかもしれませんが、せっかくなので書こう……。

 高度10000メートルの上空で、最凶悪魔・ラージャンと戦うことを決意した俺。ヒマつぶしで……というにはあまりにもリスキーな相手とは思ったが、もしかすると地上とは状況が違う天空での決戦だったら意外にもアッサリと勝てるのでは……。そんな、なんの根拠も裏づけもない勝手な理屈に後押しされて、俺はクエスト”最後の招待状”を受注した。気分は完全に、スカイハイデスマッチ、である。

 一戦必勝を期して、武器は自分が持っているガンランスの中でも最強と信じている”ガンチャリオット”を選んだ。ラージャンが氷属性に弱いのは知っているが、イマイチ、氷属性のガンランス”ヘルスティンガー”はルックス的に信用ができぬ。それに難関中の難関、最後の招待状を初めてクリアーするときは、傍らにもっとも信頼している武器にいてもらいたい……。そんな思いが、ロマンチストな俺の脳裏で閃いたとしても何ら不思議はない。ちなみにアイテムは、回復系フルセット(回復薬、回復薬グレート、薬草、秘薬、生命の粉塵などを限界数)、シビレ罠(最大3個作れるように調合材料も持参)、落とし穴、そしてモドリ玉(現地調合できるようにドキドキノコと素材玉も10個ずつ)などを持った。ここでポイントとなるのがモドリ玉だ。闘技場での決戦は、いったん闘技場に足を踏み入れてしまうと出入り口が塞がってしまうので、ピンチになったらエリアチェンジで逃げる……というハンターの常套戦術を使うことができない。相手がゲリョスやイャンクックだったら「いくらでも塞いでくれ」ってな強気な姿勢でいられるが、ここで対峙するのはラージャンである。動きがべらぼうに速いうえに、遠距離の攻撃も多彩な悪魔がいる戦場で回復系アイテムを使うことは、猛烈にリスクの高い行為だったりするのだ。なので本当にヤバくなったらモドリ玉を炸裂させて、悠然とキャンプのベッドで寝るか回復薬を飲む。これが闘技場で強敵と戦うときの”必勝”戦術なのである。でもモドリ玉は通常、1個しか持つことができない。たった1個じゃあまりにも心もとないので、現地で作成できるようにとドキドキノコと素材玉を持参したというわけだ。

 さあ準備は万端だ。ここで会ったが5回目か6回目。今度こそ勝利して村クエにピリオドを打ってやる!! エコノミーの狭い座席でウザいほど気合をみなぎらせながら、俺は闘技場へと降り立った。

 闘技場へ入ると、なんとラージャンがいる!! って当たり前なのだが、この狭い闘技場内で見ると、やたらとこの悪魔が巨大に見えるのは気のせいでしょうか? これはもしかすると、圧倒的に強い格闘家と対峙すると、たとえその人が自分より小さくてもめったやたらと巨人に見えてしまう……というのと似ているかもしれない。そんな現象、我が35年の人生で一度もお目にかかったことはないのだが、きっとそうに違いない。

 しっかし本当にこのラージャンだけは、何度戦っても慣れることがない。毎回怖い。つねに怖い。

 (また怒られるんだろうナ……)

 (怒らせるようなことしちゃうんだろうナ……)

 (あまり血圧上がらせるようなことしたくないんだけどナ……)

 ラージャンの体調すら気遣いながら、俺はソロリソロリと強敵に接近。しかし(なるべく怒られないように……)という俺の思いは一瞬にして消し飛び、ラージャンは俺の存在に気がついた瞬間に「どがぁぁぁぁぁああ!!!」と大激怒した。オイオイ、そんな怒ることねぇだろ……。ままま、まだなんもしてないじゃんか……。一気に失禁一歩手前まで追い詰められながらも、俺はガンチャリオットをジャキーンと構えてラージャンと対峙した。こここ、今度こそ倒してやるぅぅ!!

 はっきり言って今回は、かなり善戦した。もう、誇っていいくらい善戦した。なんたってラージャンが、「こ、この手練のハンター強い……。オレひとりじゃ手に余る……」と弱音を吐いて、戦闘開始から10分後に仲間のラージャンを呼んだくらいだからな^^ ……って、もう1匹キター!!! まあ当然わかっちゃいたのだが、このラージャン2頭が同じ場所に佇んでる絵は凶悪なんて言葉じゃ収まらない。俺の乏しい語彙から出てくるこの絵に対応する言葉は”絶望”しかない。

 わずかな希望をも絶ってしまう、凶悪な悪魔の揃い踏み。1頭だけでも手に余っていたのに、この最初の1頭目よりもさらに大きく見えるラージャンが現れてしまったら、もうお手上げである。俺は”切り札”と踏んでいたモドリ玉を使う間もなく、容赦ないラージャン2頭の猛攻にさらされてズタボロにされてしまった。屈強な友だちをして「10分以内に1頭目を倒してしまわないとクリアーするのはほぼ不可能」と言わしめる史上最強タッグに、俺などが敵うわけがないのだ。俺はあっさりと3回倒され、それでもあきらめずにさらに2度、最後の招待状を受注してラージャンに挑んだのだが、ことごとく敗北を喫してしまった。さすがに3回連続で同じクエストに失敗したらやる気がなくなる。俺はうなだれながら、静かにPSPの電源を切った。

 スカイハイデスマッチに敗れた俺は、傷ついた心と身体(?)を癒すために座席のモニターで映画『東京タワー』を観た。そしてラージャンにいじめられたことなどすっかり忘れ、まんまとクライマックスシーンでボロボロに涙を流した(マジ)。そしてハンカチで涙をぬぐいながら顔を上げると、通路を挟んだ斜め前の席に座っていた男性が俺と同様にハンカチで目頭を押さえている姿が飛び込んできた。よく見ると彼の座席モニターには、いま俺のモニターで流れているのとまったく同じ『東京タワー』の映像が……。

 俺はほんわかと優しい気持ちになって、「きっとあの男性はいい人だ」と確信した。そして、「ラージャンもこういう映画を観ればもっと優しい男になれるのにナ……」と思ったりした。

 高度10000メートル上空では、ラージャンよりも『東京タワー』がいい(意味不明)。

投稿者 otsuka-eb : 2007年07月25日 15:14

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