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【MHP 2nd】第81回 ティガレックス、最後の激突 その2

2007年07月02日

 「もういいや、★8になんかならなくても……」

 本気でそう思ってしまったくらい、"異常震域"というクエストには苦労した。雪山を舞台に上位ティガレックス2頭を相手にすることは、ここまでたどり着いた手練のハンターからみてもとんでもない無謀な行為と言えるのではなかろうか。本当にこのクエストには、何度も何度も跳ね返された。いくらガンランスで突っついても壁を突き破ることができず、俺はプライドとともにガンランスを倉庫にぶち込み大剣を装備。しかしあえなく撃退されて今度はランスで挑むも簡単に返り討ち。「こうなったら切り札を出すしかない!」と叫んで片手剣を持ち出すもまったくいいところなく屠り去られて完全に手詰まりとなってしまったのだ。正直、悔しさを通り越してちょっとあきれてしまったよ。俺くらいこのゲームをやり込んでいる人間を、こうも簡単に弾き返すクエストが存在したのか、とね。

 「うーむ」

 と俺は唸った。俺程度の腕前で上位ティガレックスを屠り去るには、もっとドラスティックな精神改革が必要なのかもしれない。そう思いながら編集部を眺めると、同僚の女尻笠井が夢中になって『2nd』を遊んでいる姿が目に飛び込んできた。その刹那、(そうだ。集会所はオフラインだろうがオンラインだろうが関係なく、クリアーすればどっちにもクリアーマークがつくんだった。笠井に手伝わせれば上位ティガ2頭も倒せるかも)というドラスティックな考えが頭に閃く。しかし上位ティガレックスから見たら、それまでひとりだったヘッポコハンターが2名に増えただけのことで、「ヘボいのが2匹になった。これでもっと早くこのクエスト終わらせられるぞケケケケケ」と思わせるだけかもしれない。ふつうだったらハンターが倍に増えれば戦闘力も2倍か、それ以上になるのだろうが、俺と笠井が融合したところで目を見張るような化学反応が起こることはいっさい見込めず、3年くらい外に放り出しておいた薪に火をつけようとするがごとく、プスンプスンというムナしい不完全燃焼が起こるだけに決まっている。なので俺は視界から笠井を締め出し、「やっぱりここは、どんな手を使ってでもひとりでクリアーせねばいけない!」と決意を新たに、再びひとりで上位ティガに挑むことにした。

 しかしどう楽観的に考えても、俺が近接武器で上位ティガレックス2頭をボコるビジョンが浮かばなかった。どうやら度重なる壮絶な敗北が、俺に絶望的な負け犬根性を植え付けてしまったらしい。『2(ドス)』で初めてラージャンに挑んだときですら、ここまでのレベルの絶望感は持たなかったと思う。ラージャンと戦うとき以上の覚悟が必要かもしれない……。そう達観した俺が持った武器は、あろうことかライトボウガンであった。

 ……いま全国のハンターから、「ハイハイ、やっぱそうなるのね(苦笑)。最終的にはライトボウガンに頼るのねアンタも。はいはいはい(冷笑)」という猛烈な蔑み光線が飛んできた気がしたが、気のせいだろうか? でもいくら蔑まされようが軽蔑されようが……近接武器じゃ上位ティガレックス2頭倒せねえんだよおおお!! 仕方ないだろ!! 誰にナンと言われようと、俺は困ったらライトボウガンを持ち出すんだよ!! 困ったときは飛び道具。皆さんも覚えておきましょう。

 俺は、"ランス命"を貫き、どんな強敵でもランスだけで挑む『モンハン』シリーズのディレクター、藤岡要さんが住む西南西の空は極力見ないようにして、こそこそとライトボウガンを背負った。「ははあ。そこでライトボウガン持ちだすとは思わなかったですわ」と冷笑を浮かべる『2nd』のディレクター、一瀬泰範さんのニヤニヤ笑いを頭から締め出して、カラ骨[小]、竜の爪、散弾などをカバンにぶち込んだ。そして「ハンティングの基本はライトボウガンだヨ……」と誰にともなくつぶやき、戦うまえから不思議な敗北感に苛まれて雪山に降り立った。

 凶悪な近接武器でも倒せないモンスターに対して、なぜライトボウガンが"最後の切り札"に成り得るのか。そこにあるのは"攻撃を食らわなければやられることはない"という『モンハン』シリーズの絶対的な真理で、モンスターの近接攻撃はいっさい当たらない位置に陣取って強烈な弾丸を撃ち込めるボウガンは、攻撃力がハンパじゃない好敵手と戦うときほど、その力を発揮すると言える。とくにカラ骨[小]と竜の爪を合成することで簡単に作れる"拡散弾レベル2"は、モンスターから見たら"最悪の兵器"以外のナニモノでもない。通常、ボウガンの弾丸は敵との距離が開くことに反比例して攻撃力が落ちていくものだが、拡散弾系の弾丸は着弾したときに小爆弾(?)がまわりに拡散してダメージを与えるという兵器だ。よって、着弾さえすればモンスターとハンターの距離はいっさい関係なく、当分にダメージを与えることが可能。しかも拡散弾レベル2は簡単に手に入るカラ骨[小]と竜の爪を合成することで作れるので、最大50発(竜の爪をクエストに持ち込める最大数)はクエストに持って行くことができる(ついでに言うなら、街で先に3発合成して持っていけるので、拡散弾レベル2は計53発、1回のクエストで撃つことが可能だ)。俺は近接武器に限界を感じると、いつもライトボウガンを倉庫から引っ張り出してきた。グラビモス亜種で躓いたとき、ディアブロス亜種で絶望したとき……。じつは俺は初代『モンハン』では生粋のガンナーだったので、ライトボウガンを持つことには何の抵抗も感じない。なので俺はいつも思うのだ。このライトボウガンは、俺のハンターとしての歴史が持たせてくれているのだ、と。

 いい感じで言い訳ができたところで、さっそくティガレックス2頭を討伐してくりょう〜(狂言師風)。機動力に優れるライトボウガンだったら、そして俺くらいの腕があったら戦場を縦横無尽に駆け巡ってティガレックスを翻弄してやるのも悪くない。でも「やはり全力を尽くさないと好敵手に失礼だよナ」と俺は思って、脇目も振らずに雪山のエリア6へと突っ走った。そしてヨチヨチと高台に……。そう、つまり……。

 高台に隠れてそっからティガに攻撃すんだよ! ここならヤツの攻撃当たらないしな! ワハハハハ!

 ティガレックスはキリンのように天空から雷を落とすようなムチャはしない。高台にいるかぎり、俺は安全なのだ!! 負ける気、いっさいナシ!! 俺はうへへへへとヨダレを垂らしながら、エリア6にティガレックスがノコノコと現れるのを待った。するとすぐに、1頭目のカモ(ティガね)がドタドタと参上。ホレ、もっと近こう寄れ。俺はライトボウガンのスコープに哀れなティガレックスをアップにし、サドの炎を燃え上がらせた。いままでの恨み、ここですべて晴らしてくれるわ。俺は無傷のまま、おまえらを屠り去ってやる!! そう思いながらスコープを覗き続けていると、何を思ったのかティガレックスが右腕を大きくバックスイング。振り下ろした手から3発の弾丸が発射され、見事にそれが我が分身に直撃したではないか!!! ぐお! この攻撃、忘れてた!! ていうか、高台にいても当たるんだコレ!! しかも信じがたいことに、なんとこの1発で我が分身は昇天……。滅多にボウガンは使わないのでペラペラの画用紙装備しか持っておらず、「でも攻撃を食らわなければいいんだ!」と男らしく言い放って戦場に赴いたわけだが、まさかこんな簡単に昇天させられるとは……。

 結局俺は狭い高台から降りて、みっともなく涙やら鼻水やらを撒き散らしながらティガレックスの攻撃から逃げ惑い、それでもなんとか2頭の象徴の討伐に成功した。しかし思ったとおり、強敵を倒した高揚感や達成感はいっさいない……。苦労して倒したのに、なぜか強烈な敗北感に苛まれながら、俺はポッケ村に帰ってきた。やっぱり自分がメインとして使っている武器で倒さないと、心のどこかが納得しないようだ。

 まだまだ修行が足りないな……。

投稿者 otsuka-eb : 2007年07月02日 14:50

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