大塚角満の ゲームを“読む!”
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記念すべき第30回目の『モンスターハンター2(ドス)』プレイ日記。じつはけっこうまえから「30回目は、あの"ラージャン"について語り尽くす!」と決めていたのだが、どうにもラージャンの恐ろしさを表現しきれず、途中まで書いたところで封印状態となっている。俺に表現の神様が降りてこない限り、このままラージャンコラムはお蔵入りになってしまいそうだ。ラージャンファンの方(いるのか?)、ゴメンナサイ。
そのかわりと言っては何だが、今回は"モス"について語りたい。モスとは、鼻をブヒブヒ鳴らしながら草むらでキノコを探している、あのブタ(?)のことだ。ラージャンを最強の怪物とするなら、モスは最弱の家畜である。あまりにも極端な差し替え原稿になってしまうが、この際、ご容赦願いたい。
モスは基本的に、人畜無害の存在だ。そっとしておけば一生キノコを漁り続けている、『モンスターハンター』のフィールド上では希有な平和主義者だったりする。なので森でモスを見かけても、よっぽど腹が減っていない限り(モスからは生肉が剥げるからね)、"動く背景"くらいの認識でシカトしておいてもいい存在だった。
でも俺はあるとき、とんでもない仮説が脳内にひらめいて愕然としてしまった。これを聞けば、多くのハンターが「!!!」となるに違いない。
"バサルモス"っているでしょう。火山で岩に化けて昼寝している、全身が角質に覆われていてエステに連れて行ってあげたくなるようなでっかいアイツ。こいつはじつはグラビモスの幼体で、何年かハンターに狩られずに成長すれば晴れて"グラビモス"になるという設定だったりする。イナダがブリに出世するのと同じようなものだが、出世魚が幼生時と成体時で名前が完全に変化するのと違い、彼らにはその名に、あるひとつの共通項が見られる。それが問題の"モス"の部分。もうおわかりでしょう。じつはあのブタのようなかわいらしいモスは、バサルモスの幼体だったのである!!! そう思って見てみると、目がふたつ、鼻がひとつ、口がひとつあるところなんて、バサルやグラビにそっくりだ。
この仮説に直面したとき、俺は震えあがった。『モンスターハンター2』では新たに季節の概念が導入されており、こと繁殖期ともなるとフィールドのいたるところでモスが群れて、賑やかなコロニーを形成しているのである。倒しても倒してもモスはボウフラのように湧いて出てくるので、潜在的な生息数はちょっと計り知れないものがある。こいつらが無事に成長しちまった暁には、火山といわず至るところで、バサルモスやグラビモスがボワンボワンと殺人火炎を吐きまくる……!
こいつはゆゆしき事態である。クシャルダオラやテオ・テスカトルが街を襲撃しているくらいで、ギャーギャーと騒いでいる場合ではない。フィールドに1歩足を踏み入れたら、将来ハンターを窮地に追い込むバサルモス、グラビモスの子供たちが、なんの対処もされずにすくすくと育っているのである。残念ながらこのことに気づいているハンターはほとんどいないようなので、俺はフィールドに行くたびにコツコツと、ひとりでモスを突っついて歩いている。しかしやはり、ひとりの力には限界がある。ここはひとつ、ハンターは手を携えて、ドンドルマの明るい未来のためにモスを倒して歩かなければならない! いつ立派に成長したバサルモスとグラビモスの大群が、街を襲ってくるかわからないのだ! 風の谷の二の舞になってはならぬ! 危険な芽は、まだ小さいうちに矯正しなければならないのだっ!!
はあはあはあと荒い息をつきながら、俺は以上のことをモンハン隊長の河合リエに熱く語って聞かせた。ツバを撒き散らしながら熱弁をふるう俺をしばらくぼんやりと眺めていた河合リエは突然、鋭い目を「バッカじゃないの」と吊り上げて、「そこまで言うなら開発チームに聞いてあげます」と言った。
そして数日後。わくわくしながら回答を待っていた俺に、開発チームから一報が届いた。そこにはひとこと、こんなことが書かれていた。
「んなわけないでしょ」
……。
でも俺と同じことを考えていた人、ほかにもいますよね!? ね! ね!?
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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