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ファイナルファンタジーXI●Bekunaiタブ変換コラムG い【いたわる】
2007年07月04日
ヴァナ・ディールには2種類の冒険者がいる。英語を話す者と、それ以外の者だ。
定型文辞書、つまり【Tabキー】による簡易翻訳機能はたいした発明だと思う。
英語圏の冒険者と話していてとっさに単語が思い浮かばないときなど、
この機能に助けられたことが何度もある。すくなくとも高校卒業程度の英語力があれば、
あの機能を使うことで、ゲーム内で必要なコミュニケーションの大部分は
済ませることができると考えている。
フェロー、サンクション、ふざけてないで真剣にやれ!
あまたれるでないよくないよあなた! などの言葉が変換できればさらにありがたいが、
いまのままでもないよりははるかにマシであり、便利である。いや、ないと困ります。
ついでにいえば、日本人どうしの会話でもこの機能は大活躍で、
タイピングの手間が省けるのと同時に、一種の決めゼリフギャグ的に使うのに便利である。
尾籠な話で恐縮だが、初めて【運】【腰】【滴】【マスター】を見たときは、
飲んでいたコーヒーを吹いてしまった。
一時期、「【テレポヴァズ】【くれませんか?】【いたわる】【これをキミにあげましょう】」
といったシャウトをよく耳にした。最初はこの「いたわる」の意味がわからずに首をひねったものだ。
日本語で「いたわる」と言えば、通常は「困っている人や病人などに
同情の気持ちをもってやさしく接する」という意味だ。
この用法からすると、いたわるのはテレポヴァズをしてあげる側であって、
飛ばしてほしいと懇願のシャウトをする側ではない。
なのになんでシャウトする側が「いたわる」をわしにくれるのか?
種明かしは簡単で、「いたわる」=rewordで、報酬とか礼金といった意味だった。
ヴァナ・ディールにおいて【いたわる】獣使いが専用のアイテムを消費して
ペットを回復するためのアビリティーだが、こんなところに日米の国民性の違いが出てくるんだなあ、
と感心したものだ。日本的な解釈をすれば、傷ついたペットに対しておいしい餌を与えつつ、
「よく頑張ってるな、いい子いい子」という感じだが、
英語だと「ふむ、これだけ働いたか。ではこれを褒美としてあげるからもっと頑張れ」てな
ニュアンスなのだろう。
こういった日米の国民性や言語感覚による「解釈のズレ」はけっこうあるようだ。
わしは相手が日本人であれ、英語圏の人であれ、【残念です。】という言葉をよく使ってきた。
日本人相手に使う場合にはなんら問題はないのだが、英語圏の人に対してこれを使ったときに、
なんとはなしの違和感を感じていた。なんというかこう、
言われたときの相手の肌がすこし堅くなる感じだ。
【ただいま。】に対して【おかえり。】と言っただけで【ありがとう。】と返してくる
気さくな人々にしては、【残念です。】に対しての反応が薄いのである。
薄いというよりは、返答に困って黙っている、という感じすら受ける。
こちらとしては同情と共感交じりの憐憫の気持ちを表しているつもりだから、
相手に対して礼を失している自覚など微塵もなかったのだが、
じつはこれ、使う状況によってはかなり無礼な言葉だったようだ。
どうやら【残念です。】=【That's too bad】らしいのである。
たとえば、経験値稼ぎのパーティの最中に、釣り役のシーフが【遠隔攻撃】用の矢弾を
切らしてしまったときに、「最低だな」と言ったら、そりゃ黙るわな。
同様に、習得レベルに達しているのにお金がなくて【イレース】などの
高額な魔法スクロールが買えない白魔道士に「全然ダメじゃん」と言えば、
物言いがストレートすぎるってもんだ。
この機能が実装されてからずいぶん経ってからこのことに気づいて、
ちょっと自分を恥じました。ふだんから「ヴァナ・ディールで冒険者が自由に使えるものは言葉だけ。
だからこそ言葉遣いには気をつけたい」なんて言っておきながら、
この点にはまったく注意を払ってこなかったのだから。
このことがわかったのは、パーティーで同行した黒魔道士とのテルでの会話によって、だった。
後衛が暇なパーティだったので、日本語を覚えたいという黒魔道士と、
タブ変換についての雑談をしていたのだった。
先の、英語の人は【いたわる】を「報酬、礼金」の意味で使うことが多いが、
日本人にとって「いたわる」は treat it kindly といった意味だから、
ちんぷんかんぷんになることが多い、なんて話をしつつ、
魔道士としての仕事もさぼらない程度にやって、時間を過ごした。
経験値もそこそ得ることができ、会話もはずんで、なかなか楽しいパーティだった。
別れ際にその黒魔道士【さようなら。】【はじめまして。】と言った。
ああ! そうだったのか。
この黒魔道士はふざけていたでもなんでもない。日本人が【はじめまして。】を使うときは、
「よろしくお願いします」のニュアンスが濃いが、
じつは英語では【nice to meet you】=あなたに会えてよかった、なのだった。
決して、this is the first time I meet you. ではないのだ。
英語の人と話をしてみたいけど、何を話していいのかわからない日本人は
けっこういると思う。そんなときは、タブ変換で何かの言葉を表示して
「how do you speling this in English?」とでも聞いてみれば、よいきっかになると思う。
●Bekunaiプロフィール
Alexanderワールドで活動するガルカ。所属国はバストゥーク。読みかたはそのまま「べくない」で、落語の『やかんなめ』の登場人物からの借用。「武士に仕える者」の意味だとか。ヴァナ・ディールでの冒険暦は古く、今年で5年目に入り、プレイ時間は550日以上。白魔道士、赤魔道士、シーフ、ナイト、狩人、コルセアの6ジョブがレベル75。メインジョブはコルセアだと言い張っているが、白魔道士か赤魔道士でいる時間が全体の8割を占める。鍛冶スキル100。ヴァナ・ディールでの趣味は通りすがりの辻ケアル・辻プロテスで、辻ケアル隊の隊長を自認するものの隊員は自分だけ。このごろは「ふとした出会い」を求めてヴァナ・ディールをぶらついていることが多い。本名の田原誠司で週刊ファミ通のクロスレビューに時々登場する。
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投稿者 online_editorial_dept : 2007年07月04日 10:55
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