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マスクド刑事の『L.A. NOIRE』密着24時!(後編) 刑事たるもの、革靴が磨り減って履けなくなるまで捜査しろ! |
2011/07/07 (木曜日)A DARK AND VIOLENT CRIME THRILLER !!!!!! その意味においては、これまでのROCKSTAR GAMESのタイトルとは大きく違うテーマをもって作られている。それは主人公コール・フェルプスが、「正義の味方」であること。それと同時に、コールは太平洋戦争に従軍した帰還兵であり、沖縄戦によって絶望的なトラウマを植え付けられ、その過去に苦悩する1人の人間という設定が重要だ。こういった影のある人物像は、ここ数年間に発表されたROCKSTAR GAMESのタイトルにおける主人公全てに共通している。かつて名うての侠客として恐れられたが、家族を守るために改心したにも関わらず、血なまぐさい世界に引き戻された『RDR』のジョン・マーストンしかり、セルビア内戦と政情不安に巻き込まれ、アメリカに逃亡して再起を図ろうとする『GTAIV』のニコ・ベリックしかり、である。複雑な過去を持つ主人公たちは、自らの過去を断ち切るために現在目の前に立ちはだかる問題を必死に解決しようとする。時には非合法な手段を用いてでも……。だが、コールは違う。心の闇を抱えながらも、彼は正義を貫くために生きようとしている。そのために悪は徹底的に容赦なく暴き、捕らえ、追求して告発し、然るべき社会的制裁を受けさせる。『GTAIV』と『L.A. NOIRE』の違いは、ズバリ「追う者と追われる者」の違いなのである。 「追われる者より追う者のほうが強いんじゃ……」とは、日本が世界に誇る傑作任侠映画『仁義なき戦いー第1部ー』における、松方弘樹演じる山守組若頭・酒井に向けて、出所早々にヒットマンを命ぜられた菅原文太演じる広能昌三が放った名台詞だが、『L.A. NOIRE』で最も重要なファクターは、まさしく「追う者の強さ」なのだ。 では、プレイにおいて具体的に注意すべき点とは何か? ルールを守ることは、意外と簡単だったりする。パトカーを思いっきり飛ばしたければサイレンを鳴らせばよい。対向車も通行人も協力的に避けてくれる。無闇に鳴らす必要はないが、選任事件以外にも、ロスの市街ではそこかしこで路上犯罪が発生し、警察車両を運転中は常に無線連絡が入る。その時こそコールの出番だ!サイレンを鳴らしてアクセルを踏み、時には逆走してでも現場に急行する姿は、まさしくアメリカンポリス! もしも運転に自信がなく、被害総額が増えるのを心配しているなら、それはそれで解決策がある。バディ(相棒)に運転を代わってもらえば良いのだ! 新米刑事のくせに偉そうな態度だが、バディは文句を言ったり言わなかったりしつつも運転してくれる。おかげで今月も無事故だったと上司に報告できそうだ。 ただし、カーチェイスだけは自分で運転しなければならないが、うまく犯人のクルマを追い詰めればバディが助手席から射撃の腕前を披露してくれるだろう。タイヤをパンクさせてパトカーを体当たりさせれば一件落着。距離を詰められなくても、サイレンを鳴らしてしつこく追えば、犯人は焦って自らアクセルを踏みこみ、誤って路面電車と正面衝突してくれることもある。諦めこそが最大の敵なのだ。 路上犯罪において留意すべきことは他にもある。例えば銃撃戦。武装強盗などが頻発するアメリカン・バイオレンス(※山本又一郎プロデュースによる同名ドキュメント映画を知ってる人には座布団百万枚差し上げたい)な街であるからして、時には容赦なく犯人を射殺する必要がある。もちろん正統防衛なので、銃撃戦になったらガンガン撃ちまくったほうが良いのだが、そこで最も危険なのが"誤射"。間違えて仲間の警官を殉職させたら即クビになってしまうので、くれぐれも銃撃戦の際には同僚警官のポジションに注意を払いたい。また、防弾チョッキなども無い時代なので、コールは生身の人間としての生命力しか持っていない。しっかり物影にカバーしなければ、殉職して二階級特進間違いなしで、ゲームは終わってしまう。死なない限り問題はないので、時に慎重に、時には大胆に犯人と撃ち合う度胸が必要だ。太平洋戦争帰りの意地の見せどころである。 運転や銃撃戦をくぐり抜けたら、次は本格的な事件捜査だ。上司からの指令を受けて現場に急行すれば、そこでは陰惨な殺人の跡を目の当りにすることになる。そこでハンカチで口を押さえて吐き気を催すようなら、いますぐ辞表を提出したほうが宜しい。しかし、死体は証拠の塊である。まずは実況見分中の監察医(この監察医に会う度に、ロス疑惑事件の時に日本のワイドショーに頻繁に登場したトーマス・ツネトミ・ノグチ監察医を連想してしまうのは俺だけか?知らない人はウィキペディアで今すぐ調査!)に事情を聞き、死亡推定時刻や凶器を割り出す。死体をじっくり観察し、何か手がかりが残されていないか調べまくる。現場の周囲に散乱する、一見するとガイシャとは何の関係もなさそうなアイテムでも、よくよく見れば重要な証拠だったりする。周りの警官や相棒が見つけてくれるわけではない。自らの足でソレを発見し、分析することが重要だ。もし物証が現場のあちこちに散らばっていて、全てを発見するのが難しいなら…最後の手段ではあるが…"虫の知らせ"を発動させるというテクもある。ただし、これは本当に最後の手段。無闇やたらに発動させると肝心な時に自力で解決しなければいけなくなるので、なるべく地道に捜査したほうがよい。時間は十分にある。ガサ入れでも殺人現場でも要領は同じ。全ての証拠を見つけるまで諦めないことが肝心なのである。 現場も捜査し、ガサ入れも完了。後は犯人を逮捕するだけ……そんなタイミングで容疑者が帰宅し、刑事の姿を見るなりダッシュで逃走されたらどうするか? もちろん追いかけるのだが、とにかく容疑者は捕まりたくない一心で逃げる。パイプをつたって屋上に登り、ビルからビルへとジャンプする。コールも負けじと追い詰めるが、パイプをつたってる時に接近しすぎると、蹴り落とされて大きく距離を稼がれる場合もあるので、こういう時に深追いは禁物。平地であればダッシュで追いついてタックルで捕縛できるので、容疑者の動きに注意しながら確実に追い詰めたい。発砲許可が降りている場合には威嚇射撃もできるが、実はコレ意外と狙いどころが難しいので、容疑者の逃走ルートを見極めながら狙いを定めるよう心がけたい。 オープンワールドでありながら、緻密な頭脳ゲームによる駆け引きを同梱した次世代のアドベンチャー『L.A. NOIRE』。単に用意された事件を解決するだけでなく、今後配信が予定される様々な追加シナリオによって、その世界は無限の広がりすら感じさせる。100%クリアまでの道程は険しく遠いが、そこを目指さなければ意味がない。だから最後にもう1点だけアドバイスしておこう。 ©: 2011 Rockstar Games, Inc. ※画像はすべて海外版のものです。 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:10 ソーシャルブックマーク |
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マスクド刑事の『L.A. NOIRE』密着24時!(前編) 10年先のスタンダード〜『L.A. NOIRE』に秘められたADVの理想郷 |
2011/07/05 (火曜日) I'm Baaaacccckkkkkkk!!!!!!!!!! そしてMAD GAMERブログ再開!!!!!!!!!!!!!!!!!
と、気を吐く前に、まずは読者諸兄の皆様に3ヶ月以上まったく更新してなかったことをお詫び申し上げます。3.11の東日本大震災以降、日本社会は大きく変わってしまいました。筆者も震災以降、色々思う所あって全ての仕事を一旦休止を決意。相棒・須田剛一氏の了解も得て週刊ファミ通連載の『未確認洋ゲー基地AREA51』も最終回を迎え、働き詰めだったここ数年間分の休暇を一気に消化する形で東南アジア長期旅行に出立。約3ヶ月の放浪を経て帰国したのがつい先日だったという次第。もちろんMAD GAMERの見聞旅行であるからして、その釣果は絶大かつ膨大極まりなく、次週以降にもこのブログで報告する予定ですので、今後ともご愛読よろしくお願いします! そんなご挨拶はともかく、まずは我らがROCKSTAR GAMESが2011年に満を持して送り出した最新オープンワールド作品『L.A. NOIRE』を語らねば、MAD GAMERの名が廃るってもんである。既に本作の魅力はゲーム専門誌のみならず、様々な媒体で語られている。そのポイントは主に4つ挙げられるだろう。 それは“映画”である。もちろん、1940〜50年代のフィルムノワールを語らずして、『L.A. NOIRE』を語ることはできないが、それらの映画の魅力を理解するには、相応の知識が必要となる。『L.A.コンフィデンシャル』が元ネタだということも散々語られているし、本作の元ネタとして挙げられているレイモンド・チャンドラーの探偵小説は決して若者向けのジャンルではない。3D映画や最新のド派手な演出に慣れている現代人たちにとって『L.A. NOIRE』は、ある意味非常に共感が難しいジャンルであるといえる。しかし、そこに敢えてチャレンジするROCKSTAR GAMESの思想こそ、最も語られるべきポイントだ。昨年度の最高傑作と断言できる『レッド・デッド・リデンプション』は、かつてどこのメーカーも成功しなかった西部劇というジャンルを敢えて選び、そこに最高峰の技術とセンスを投入して世界の賞賛を得た。世間の流れに逆行しつつ、そこから新たなサムシングを開拓する思想が重要であり、それは『L.A. NOIRE』にも当てはまるだろう。 これまでのビデオゲームの制作手法は、良くも悪くもアニメに近いものだった。ポリゴンモデルがどんなにリアルになろうと、背景がどんなに美しくなろうと、アニメーターやデザイナーが作り上げたモデルに声優ないし俳優が声を吹き込み、演技のモーションをつける。その技術がどんなに進化したところで、根本部分には変化がない。 と、色々な論説を展開したが、ここに辿り着くまでには様々な試行錯誤がゲーム業界でも繰り返されていた。本筋からは少し脱線するが、ゲーム+映画=演技論という部分においては、実に意外な人物が革命を起こしている。故・深作欣二監督が演出を担当した『クロックタワー3』である。実は深作演出の遺作とされる『クロックタワー3』では、ブルーバックでモーションを付ける現場において、「役者だけでなく小道具まで細かく配置することでリアルなモーションが確立する」という深作監督の指示により、これまでのパントマイム的な演技からの脱却に成功した。もちろん、フィルムノワールは深作監督にとっても重要なファクターなのは言うまでもない。あの時代に活躍した映画監督は、おしなべて皆フィルムノワールの洗礼を受けている。『サンセット大通り』、『第三の男』、『マルタの鷹』、『現金に体を張れ』…無声映画からトーキー(音声付き)映画に移行し、撮影機材の大幅な進化により夜間撮影が可能になり、技術の進歩は映画の内容にも多大な影響を与えた。そこで生まれた映画で描かれた物語は、大戦を終えて空前の好景気に沸き立つアメリカ合衆国の二度と戻らない黄金時代の象徴であり、その成熟した文化に世界中が影響を受けたのは、紛れもない歴史的事実だ。その歴史を追体験させるのが『L.A. NOIRE』なのである。 ちなみに、こういったノワール映画の影響を最も受けていた人物として筆者が連想するのは、深作欣二でもリドリー・スコットでも神宮寺三郎でもなく、『まんが道』の満賀道雄こと、藤子不二雄A先生だ。『まんが道』の富山新聞社編において、満賀は毎日のように映画のタダ券を片手にノワール映画の鑑賞三昧。特にオーソン・ウェルズの『第三の男』は衝撃的だったらしく、A先生特有の黒ベタ塗りの多い描写は、そのままノワール映画の多大なる影響を感じる。いや、思い過ごしかもしれませんが、実際に漫画界にもノワールの影響は色濃いことは、フランク・ミラーの『SIN CITY』を例に挙げるまでもなく事実である。だからきっとA先生も……(この証言は"疑う"を選んでください)。 いまそこにある技術に満足することなく、基礎研究を繰り返すことでカルチャーは進化する。ROCKSTAR GAMESは常に基礎研究を怠らず、数年越しでしか結果の出ない地味な作業に途方もない予算を投入し、試行錯誤を繰り返すことで新しいジャンルを築き上げた。そこに注目せずして『L.A. NOIRE』は語れないと筆者は考える。 と、まぁ色々と難しい論説を繰り広げたが、ゲーム自体は決して難しくはない。本気で刑事になったつもりで頭を使い推理すれば、おのずと真実は見えてくるだろう。その推理の合間に、是非とも細かく作り込まれた小道具に注目してほしい。フィルムノワールと連呼しているが、同時代には"B-MOVIE"と呼ばれる珍作駄作も大量に公開されていたという時代背景がある。とある事件で捜査に訪れた映画プロデューサーの仕事場には、どうしようもないタイトルの映画ポスターが数多く展示されており、そのデザインも細かく再現され、B級映画好きの筆者は思わず苦笑してしまった。 ゲーム内で捜査する事件の多くは、実際に発生した犯罪や、それを元ネタにした映画などのタイトルをひねったものが多いのも、痒いところに手が届くROCKSTAR流のお遊びである。フィルムノワール黄金時代の裏では、アメリカ政府が啓発目的でハリウッドに作らせた啓蒙映画や、テレビ以前の情報源としてのニュース映画が大量に出回っていた。ノワールの名作をオススメするのも悪くないが、本当に面白いのは、こういった評価されることのない不毛のジャンルであり、そんな重箱の隅までキッチリ再現しているのが『L.A. NOIRE』の本当に凄い部分なのである。DLCで配信予定の追加シナリオ『REEFER MADNESS』は、まさにそういった政府主導による啓蒙映画の代表的タイトルであり、その内容もまた元ネタをキッチリ踏襲している。その特殊性から日本国内では鑑賞が難しく、日本版ビデオ/DVDなども発売されていないジャンルだが、こういった文化的背景に対する理解も深めるキッカケとしても、『L.A. NOIRE』を楽しむことができるだろう。 今回はゲームそのものの世界観を考察するという趣旨なので小難しい内容になってしまったが、次回後編では、いよいよマスクド刑事の事件簿を報告したい。両津勘吉からスタートして警視庁殺人課(リスペクト菅原文太!)、ヤクザGメンを経て火付け盗賊改めに出世するまでのマスクド犯科帳を乞うご期待! マスクド刑事のB級ノワール映画コレクションの数々。ホラーパンクバンド、THE MISFITSのトレードマークとして有名な"CRIMSON GHOST"(実は1946年の作品。『L.A. NOIRE』の時代にドンズバ!)も、この時代に登場した名キャラクターであり、『月光仮面』の悪役サタンの爪に多大なる影響を与えた……とはマスクド刑事の推理。 © 2011 Rockstar Games, Inc. ©SUNSOFT,©CAPCOM CO.,LTD.2002 ALL RIGHTS RESERVED. ※画像はすべて海外版のものです。 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|17:15 ソーシャルブックマーク |
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ZOMBIES GO WEST!! 『RED DEAD REDEMPTION: UNDEAD NIGHTMARE』 |
2011/02/03 (木曜日)ZOMBIES GO WEST !!!!!!
超久々の更新DESTROY!! 年末年始はスッカリ別枠の『Fallout: New Vegas』プレイ日記に全力投球しすぎて、本チャンブログの更新が疎かになっていたことを素直に謝りたい。マジごめん! というわけで、筆者が単身で魔都ニューヨークに突撃取材したロックスター・ゲームス開発部門副社長ダン・ハウザー氏インタビュー以来の更新ネタは、実は全然そこから地続きの話題だったりする。そう、日本版の発売を目前に控えた、あのタイトル……『RED DEAD REDEMPTION: UNDEAD NIGHTMARE』だ! この度、めでたく配信版と共にパッケージ版もリリースされる本作は、既に北米では配信済みだった3本のオンライン対戦用ダウンロードコンテンツに加えて、全く新規で制作された追加シナリオエピソードが、誰もが驚く<西部劇・ミーツ・ゾンビ>という超ブッ飛びの内容だった! そして、お約束も大事だが『UNDEAD NIGHTMARE』では他社のゾンビゲームでは有り得ないクリーチャーも多数登場する。その筆頭が、ダン・ハウザー氏インタビューでも話題に登った<ゾンビ馬>の存在。マーストンの愛馬がゾンビに襲われて死ぬと、荒野のどこかでゾンビ馬となって甦り、マーストンのところに戻ってくるのだ。もちろんそれだけで終わるはずもなく、広大な西部のマップの彼方此方に、伝説のゾンビ馬が生息していたりする。しかも何頭も! 全身から炎を吹き出す馬や、毒ガスを巻き散らしゾンビを蹴散らす馬など、これまでの常識を覆すモンスター級の馬に乗らずして『UNDEAD NIGHTMARE』は語れない。もちろん捕獲の際はロデオで飼いならそう! 「オープンワールドには、単純に善と悪を配置するだけでは不完全だ。常識では説明のつかない人物や現象も織り交ぜる必要がある」 その発言は本作でもバッチリ反映されている。何しろゾンビとは全く違う、まさしくモンスター級の敵まで登場しちゃうのである。その筆頭が<ビッグ・フット>と<チュパカブラ>だ! 誰もが一度は耳にしたことがある怪奇生物であり、一般にはUMA(Unidentified Mysterious Animal)と呼ばれるファンタジックな存在。有名どころではネッシーや雪男、日本だったらツチノコや河童だが、そんな文字通りのモンスターまでもがマーストンの前に立ち塞がるのだから、このゲームは本当にヤバい! ビッグ・フットに至っては、超有名な記録映像パターソン・フィルム(註:1967年に北米カルフォルニアの山間部において、元カウボーイのロジャー・パターソンが偶然撮影したとされるビッグ・フットの証拠映像。しかし発表から現在まで真偽を疑われている)まんまの姿で走り去るんだからタマラない! 西部劇ファンやゾンビ映画ファンだけでなく、UMAファンまで取り込んでしまう懐の深さが素晴らしいではないか! チュパカブラに関しても同様で、現代の神話ともいえる二大モンスターを臆面も無くゲームに登場させる心意気を評価したい。遭遇するまでには、それなりに時間がかかるが、ヤツらを探すためだけに森林を探索したくなる。そう、マーストンはパターソンでもあるのだ! そもそも、R★がゾンビゲームを作るのは初めての事態である。これまでR★はゾンビゲームに対して関心が薄かった。かつてサム.ハウザー社長は、「ゾンビは動きが遅くてゲームの敵としては退屈だ」と語っていたし、ダン・ハウザー氏もまた同様の発言をしている。しかし、西部劇にゾンビを盛り込むという発想は、R★的には<アリ>だった。なぜなら、そんなゲームは今まで存在しなかったから。 じゃあ、元ネタはあるのか? 映画とか? と思うだろうが、実はゾンビ&西部劇という映画もほとんど無い。あっても超B級だ。筆者が知る限りでは、『ゴーストタウン』('88年/アメリカ/エンパイア・ピクチャーズ)とか、『インディアン・ゾンビ 死霊の詰め合わせ』('85年/アメリカ)、もしくは『ゴーストライダース』('87年/アメリカ)ぐらいしか思い当たらない(それだけ思い当たれば充分だというツッコミもあるが)。しかし、いくつかの使い古された要素を組み合わせ、新しいコンセプトに仕立て上げる手法は、B級娯楽映画の王道でもある。『UNDEAD NIGHTMARE』もまた、見事にその手法を継承しているのではないだろうか。その裏付けとして、マカロニウエスタンとゾンビ映画の関係性にも言及せねばなるまい。 1960年代中盤から映画市場に登場したイタリア製の偽西部劇は、その後の約10年間で黄金期を謳歌するが、70年代後半より急速に衰える。しかし、マカロニウエスタンで仕事をこなした多くのイタリアの職人映画監督たちの娯楽映画魂が死に絶えることはなく、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ DAWN OF THE DEAD』(1979年)の登場を期とする、1980年代に世界中を席巻したゾンビ映画ブームにイタリア映画界が呼応。その結果、多くの傑作が輩出されることになる。そのブームの底上げに貢献したのが、ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチだ。 ダリオ・アルジェントといえば『サスペリア』に代表されるジャッロ映画(殺戮サスペンスものを示すジャンル名)の名手だが、実は下積み時代には西部劇や戦争映画のシナリオライターとして活躍していた。その頃の代表作には、仲代達矢が主演を果たした異色のマカロニウエスタン『野獣暁に死す』(1968年)があり、DVDも発売されているので興味のある方は要チェックだ(そんなに面白い映画ではないけど)。さらにアルジェントは、ロメロの『ゾンビ』では共同プロデューサーとしても名を連ねているのも見逃せない。 そしてルチオ・フルチ! フルチといえば超グロ系スプラッターゾンビ映画『サンゲリア』(1979年)を筆頭に、『ビョンド』(1981年)、『地獄の門』(1980年)、『墓地裏の家』(1981年)といった残虐ゾンビ映画を世に送り出した、ゾンビ映画のマエストロ。そのフルチもまた、監督デビュー当時はマカロニウエスタンを撮っていった過去がある。フランコ・ネロ主演による『真昼の用心棒』(1966年)は、内容的には大して面白くもない作品だが、アクションと残虐描写に関しては早くもフルチ趣味が全開。60年代という時代を差っ引いても余りあるゴアな殺しの連続に、その才能の片鱗が見え隠れしている(この2人のエピソードは比較的有名なもので、この2人以外にも数多くの職人監督たちが、マカロニブームが去った後、ホラー/スプラッター映画ブームに便乗して路線転向を果たしている)。西部劇とゾンビの関係性を語るには、十分すぎる歴史的事実ではないだろうか。 「1970年代の映画スタジオを想像してもらえると解り易いかもしれないね。昼間は上質の西部劇を作り、夜はB級ゾンビ映画を作っているような感じだね。」 ゾンビ映画と西部劇の親和性を表現した『UNDEAD NIGHTMARE』のコンセプトは、映画界の裏面史をゲームに盛り込むことで完成したといえるだろう。まさしく発想の勝利であり、そのコンセプトは歴史的事実に裏打ちされている。これこそR★の真骨頂ではないだろうか。あまたのサブカルチャーを貪欲なまでにゲームに取り込むという、発想の時点での自由度の高さこそR★の強みである。ぜひとも、そのブッ飛んだ世界に身を投じてほしい。 あなたの知らない西部劇の世界が、そこに確実に存在するのだから! UNDEAD NIGHTMARE!!!!!!!!!!!!!! (C)2005-2011 Rockstar Games, Inc. 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|22:01 ソーシャルブックマーク |
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『レッド・デッド・リデンプション』ダン・ハウザーインタビュー完全版!(後編) |
2010/11/05 (金曜日)●オープン・ワールドのゲームを作るためには、その世界の生活全体を見せなくてはいけない
(編集部より:前回に引き続き、ロックスター・ゲームスのダン・ハウザー氏へのインタビューをお届けします。) <『RDR』の時代考証> <ゲーム史上最高の馬> UH 『RDR』のマップは、実際どのぐらいの広さがありますか? ダン これまでで最大。『GTA:サンアンドレアス』の倍くらいか、それより大きいかも。しかし重要なのは、プレイヤーが完全に入り込んで、自分がどこにいるのか、わからなくなるようなマップにすることだった。荒野の探検を実感して欲しかったんだ。古典的な西部劇の様々な風景、山脈からメキシコの砂漠まで、それぞれが大きくてボリュームがある。これはとても重要なことだ。アメリカの西部は、特に英国や日本から来た人にとっては、とにかく巨大に感じるからね。このフィーリングをゲームに入れたいと思ったんだ。 UH 植物や岩といった自然の造形物を作るのは、ビルや家といった人口構築物を作るより大変だったのではないでしょうか? ダン 技術面、モデリングで一番苦労したのは“断崖絶壁”だね。このワールドには崖がたくさんあるが、これを良く見せるのに大変苦労した。崖はすべて手作業で作ったんだよ。どうしてもコンピューターは直線が得意だからね。それを風や雨や太陽で曲げられたように見せ、環境が有機的に感じられて、風が吹いて埃が立って、陽が照り返しているように見せることが重要だ。それが全体としてのチャレンジだった。過去のゲームでは、片田舎をあれほど美しく見せていなかったからね。これはチャレンジだったが、全てのゴールでもあったんだ。 UH なるほど。天候変化や夜空の美しさなどは、尋常ではない完成度だと思いましたが、そのような苦労があったわけですね。 ダン そしてゲームデザイン上の重要なポイントだが、ゲームを作り始めると起こる問題には、それに直面するまでわからない。このゲームを作っていて、自分たちは、オープンワールドについては誰よりも作り方を知っていると思い、ゲームデザインに真面目に取り組んでいたが、ここでGTAでは直面しなかった問題に直面した。それは「片田舎がとても退屈」だということ。これを解決する方法を見つけなくてはならなかった。GTAではクルマや人間があちこちにいて、警察がいて、エンターテイメントを提供してくれるし、あれこれインタラクションが可能なので、様々なミニゲームを作れば、それで完成する。これは過去にやってきたことだが、今回は町があって、誰かがミッションをくれても、それが終わればやることがなくなってしまう。そこでシステムを見直して、新しい発明しなくてはならなかったんだ。そのためにコンテンツを二層のレイヤーに分けてみた。1つは「ビーツ」と呼ぶシステムだが、これはプレイヤーにタスクをたくさん与える。道を進むと強盗が他人を襲っているとする。そこに加担して強奪することも出来るし、助けることも可能なら、何もせずに見ていることもできるようにしたんだ。 <DLCと今後のR★の展開> ダン 一番楽しんでもらいたいのは、ゲームデザイン全体だ。ワールドにいるという経験。このゲームの強みは、そこにあると思う。西部劇には、黒澤明の映画などを通じて侍文化や日本文化に繋がる部分もあるから、日本のファンにも楽しんでもらえると期待しているし、ある意味GTA以上に共感してもらえると考えているよ。 UH 最後に、今後のR★の展開を教えてください。どんな新作を準備しているのか知りたいですね。 ダン 現在は『マックス・ペイン3』を作っている。そして『LAノアール』も開発中だ。この2本のタイトルに総力を費やしていて、両方とも順調に進んでいるよ。日本のファンにも、きっと気にってもらえると思うよ! UH 期待してます! 本日は長時間のインタビュー、ありがとうございました! 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:33 ソーシャルブックマーク |
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『レッド・デッド・リデンプション』ダン・ハウザーインタビュー完全版!(前編) |
2010/11/04 (木曜日)●西部劇のゲームなんか作って、周囲からバカだと言われたよ
ファミ通11/11号(No.1143)に異例の4ページという大ボリュームで掲載された、ROCKSTAR GAMESクリエィティブ部門・副社長ダン・ハウザー氏インタビューが、リクエストにお答えして、4ページでも収録しきれなかった完全版を掲載! 読み逃した人はここでバッチリ最後まで読めます! インタビュアーは、ロックスターとは所縁の深い私マスク・ド・UH! しかも単身でニューヨークに乗り込み、ロックスター本社にて1時間40分にも及んだロングインタビューを隅から隅までご堪能ください。 <メイキング・オブ・RDR> マスク・ド・UH(以下、UH) このたびは『レッドデッド・リデンプション』(以下『RDR』)39点獲得および殿堂入りおめでとうございます。 UH それでは、『RDR』制作までの経緯を伺いたいのですが。 <キャラクター設定とデザイン> <出会いミッションについて> 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|10:33 ソーシャルブックマーク |
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A FISTFUL OF VIDEOGAME!! 『RED DEAD REDEMPTION』REVIEW:SECONDO TEMPO |
2010/05/25 (火曜日) IF YOU SHOOT KILL!! ROCKSTAR!!
PRIMO TEMPO(前編)では、ロックスターゲームズ最新のオープンワールド・アクションゲーム超大作『RED DEAD REDEMPTION』(以下『RDR』)というタイトルが、いかにマカロニ・ウエスタンの影響を受けているかを検証しようとしたが、マカロニ・ウエスタンの周辺文化を掘り下げている内に文字数が尽きてしまい、肝心なところまで語れなかったので、今回お届けする後編ではゲーム、映画、音楽、そして歴史が複雑に絡み合う『RDR』の特筆すべきポイントについてタップリと語ってみたい。なにもマカロニ・ウエスタンを知らなければ遊べないゲームではない。その間口とてつもなく広く、探れば探るほど面白い。そこに興味を持ってもらえるかどうかで、このゲームの遊び方は全然変わってくるという事実を是非知ってほしいのであります。 前編では、マカロニウエスタンと呼ぶのは日本だけで、海外ではスパゲッティ・ウエスタンが正しい名称となっていることを締めの部分で触れた。なぜマカロニではなくスパゲッティなのか? ここがものすごく重要で、長い映画の裏面史が巡り巡って『RDR』にまで辿り着いてしまうからである。 そもそもスパゲッティは、東方の麺類がシルクロードを通じてローマにもたらされた出自の料理。日本が世界に誇る名作時代劇『用心棒』を源流にイタリア映画を代表する巨大ジャンルに育ったのだから、同じルーツを持つスパゲッティを組み合わせて生まれたのは実に自然なことだと、名付け親の1人である映画史研究家のクリストファー・フレイリング氏が語っていた。スパゲッティ・ウエスタンとは、遠く離れた日本とイタリア結ぶリスペクトの証であり、一言でジャンルの内容を簡潔に表現しているのである。 そしてスパゲッティ・ウエスタンはスプラッター映画にも多大なる影響を与えている。いや、むしろ直接の源流として考えるべきだろう。『続・荒野の用心棒』の耳削ぎシーンやジャンゴに加えられた壮絶なリンチ。『さすらいのガンマン』ではマチェーテ(ナタ)が脳天に食い込み、頭皮が引き剥がされる。『ソルジャーブルー』のクライマックスは北軍による先住民キャンプ急襲虐殺事件を丹念に描き、女子供も容赦なく殺戮の対象となり、首が宙を舞った。この残酷表現の元ネタも、実は黒澤映画『用心棒』にある。チンピラの腕が三船の太刀で切り落とされ、真っ黒な血飛沫を吹き上げるシーンこそ、世界最初の露悪的リアリズムに乗っ取った切り株描写である。その影響は遠く海を越えた先で百花繚乱の時代を迎えるに至った。 『サンゲリア』を送り出したイタリアの職人ホラー監督ルチオ・フルチは1960年代にフランコ・ネロ主演で『真昼の用心棒』('66)を撮っているし、『サスペリア』のダリオ・アルジェントは、若き脚本家時代にウエスタンを2本作った。その内の1本は仲代達矢主演の異色ウエスタン『野獣暁に死す』('68)。仲代が器用されたのは、もちろん黒澤映画『椿三十郎』における仲代が演じる室戸半兵衛の壮絶な死に様への、アルジェントのリスペクトから決定したそうだ。そして三船敏郎もテレンス・ヤング監督作品、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンの二大巨頭と共演した珍道中西部劇『レッドサン』('71)に主演。三船のウエスタン出演は時期的には完全に遅刻だったが、日本とヨーロッパの間で盛んに映画交流が繰り広げられていた点は見逃せない。そしてスパゲッティ・ウエスタンのえげつない物語、残虐描写は日本に逆輸入され、勝新太郎率いる勝プロダクションは特にビビットに反応。『荒野の用心棒』を更にハードコアに、そしてアシッドにアレンジしたかのような『新座頭市物語 折れた杖』は精神的には“和製すぱげってぃ・ウエスタン”とでも区分できる異常な傑作。そして若山富三郎主演による東宝の劇場版『子連れ狼』のマシンガン乳母車などは、原作の時点で『続・荒野の用心棒』のようなトンデモ武器系ウエスタンの影響を色濃く受けている。さらに日・伊の共演合作は白熱し、『暁の用心棒』シリーズのトニー・アンソニーが主演した『STRANGER IN JAPAN』('69)という、難破したスペイン船からガンマンが日本に流れ着き京都の史跡名所で大暴れするという大怪作まで存在するからビックリだ。 もちろん日本だって負けてはいない。日活アクション路線といえば小林旭が有名だが、二番手に追っ付く“エースのジョー”こと宍戸錠は、日活の和製ウエスタン映画(なんじゃそりゃ?と、思うがソバ・ウエスタンということか?)『メキシコ無宿』では日本人なのに特濃のパンチョを熱演。世界で“三番目の早撃ち”というキャッチコピーも微妙で良かった。しかし日本とは環境も背景もDNAも違いすぎたので和製ウエスタンはすぐに廃れたが、男のロマンを求める観客はそのままいる。マカロニ・ウエスタンは、そんな市場に流れ込んできた強大なムーブメントだったのだ。 かつて日本とイタリアの映画界は、ここまで濃密な関係を結んでいた時代が確かにあった。その流れは現在は完全に断絶されているが、そのミッシングリンクを結ぶのが『RED DEAD REDEMPTION』なのである。日本映画の模倣から始まったイタリア製西部劇。『用心棒』へのリスペクト抜きには語れない『荒野の用心棒』の存在あっての『RDR』である。全ての事象、歴史、文化は遠い旅路を経て原点に帰結したのだ。最新鋭のゲームに生まれ変わって。しかも、である。『RDR』も元々はカプコンが開発していた『レッドデッド・リボルバー』(略称はRDRのまんま!)がロックスターに移譲されたタイトル。日本製アクションゲームのシステムと欧米人の心の故郷・ウエスタンの世界の融合は、我々が気づかない間も常に行われていたのだ。この輪廻を深く考えずにはいられない。 こうして筆者は今日もアリゾナの荒野を歩きまわり、ミッションそっちのけで鹿探しに熱中して不用意に茂みに足を踏み入れ、猛毒ガラガラヘビに噛まれて死にかけるのだった……。 最後に前編に引き続き、マスク・ド・UHオススメの西部劇映画リストをオマケに付けておくので、各自DVDを探すなり借りるなりして、是非プレイ前プレイ中プレイ後のカンフル剤にお役立てください! 『クイック&デッド』(監督サム・ライミ!) 『カンニバル!THE MUSICAL』(監督トレイ・パーカー!) 『サボテンブラザース』(監督ジョン・ランディス!) 『盲目ガンマン』(主演リンゴ・スター!) 『夕陽のガンマン』 『ウエストワールド』 『ミスター・ノーボディ』 『郡盗荒野を裂く』 『真昼の用心棒』 『野獣暁に死す』 『サルタナがやって来る 虐殺の一匹狼』 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|12:49 ソーシャルブックマーク |
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A FISTFUL OF VIDEOGAME!! 『RED DEAD REDEMPTION』REVIEW:PRIMO TEMPO |
2010/05/24 (月曜日) THE BAD, THE UGLY, THE ROCKSTAR!! しかしそこでいきなりマカロニウエスタンが生まれたわけではなく、どんなものにも歴史と段階がある。最初のイタリア映画界はローマ近郊で撮影された『ベン・ハー』などの影響もあって“ハーキュレイス(ヘラクレス)ムービー”と呼ばれる一風変わったジャンルが人気だった。その名の通り筋骨隆々のヘラクレスがサンダル履きでデカいカタナを振り回して暴れるマッチョ極まりない映画で、ものすごい本数が制作されているが、ジャンルの特殊性から日本ではほとんど未公開。アメリカでも最近になって“SWORD & SANDAL”と呼ばれ定着しはじめたばかりである。そんな映画でもテレビも満足に普及していなかった当時のイタリア情勢の中では大ヒットを記録。大衆は映画を求めるが、もう撮るものがない。そういえばアメリカはもう西部劇映画を作ってないじゃないか。じゃあ、俺たちで思いっきり面白い、俺たち好みの西部劇を作ろう。荒野だって砂漠だって、ちょっとスペインまで行けばアリゾナに負けないぐらい広大な自然がある……! かいつまんで説明すると、そんな経緯で誕生したのがマカロニ・ウエスタンというジャンルだ。その最初のヒット作を飾るのは、セルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド主演『荒野の用心棒』('65)。すでにアメリカ製のクリーンな西部劇の代表的作品ともいえるテレビドラマ『ローハイド』でも主役を演じていたイーストウッドが、無精髭ボサボサ、ポンチョに葉巻、羊皮のベストに泥だらけの履き古されたブーツという出で立ちでスクリーンに登場した瞬間、西部劇というジャンルが劇的なまでの変貌を遂げた。ロックンロールがグランジとハードコアに同時進化したような感じというか、とにかく下品に、衝撃的に、そして卑怯になったのだ。 マカロニの世界には正義はない。あるのは金だけ。金のためだけに人を助け、金欲しさに人を殺す。『荒野の用心棒』の原題が“A FISTFUL OF DOLLERS(一握りのドル札)”というのも、実に簡潔にその路線を表現している。この『荒野の用心棒』なくしてマカロニは語れない理由は他にもある。邦題が示す通り、この作品は黒澤明監督、三船敏郎主演の日本映画史に残る大名作『用心棒』の存在を抜きには語れないのだ。 監督を務めたセルジオ・レオーネは『用心棒』を鑑賞して衝撃を受け、すぐさま西部劇版のリメイクを検討。テレビ契約のために他のハリウッド映画に出演できないイーストウッドをイタリアで撮影することで主演を合意させ、ほぼそのまんまの脚本の随所に西部劇らしいロジックを多数織り込み映画を完成させたのだが、後に黒澤サイドから訴えられてしまう騒動に発展した。 しかし『荒野の用心棒』の大ヒットにより、イタリア映画界は一気にウエスタン作品の増産体制に突入する。そして『続・荒野の用心棒』(原題『DJANGO』)の登場により、マカロニウェスタンとは何であるかが、決定づけられるのだった。 この作品の凄いところは物語や設定のディティールなどではなく、画面全体を支配する湿った異質な空気感である。棺桶、墓場、十字架、十字を切る踊り子、死体、祈り等々、ジョン・ウェインの映画には存在しなかった異様な空気感こそが、マカロニウェスタンの醍醐味と言わんばかりの演出である。乾いた空気と湿った空気の混じり合う瞬間に銃弾が飛び交い死体が増える。この無情な演出こそマカロニ! 日本から飛び火したマカロニの火種は『続・荒野の用心棒』によって再び日本に帰ってくる現象にも注目したい。独特のアクションシーンが展開する本作の演出は、70年代以降に制作された東映ヤクザ映画の実録路線にもピタリと当てはまる。特に深作欣二監督はサム・ペキンパーの影響が強いとされているが、筆者の私見ではセルジオ・コルブッチの手法のほうが深作演出のソレに非常に近いと感じる。読者諸兄にも是非観て比較してみてほしい。実によく似ている。 マカロニウエスタンが盛況だったのは約10年ほどの間だったが、その間にありとあらゆる手段で殺戮が繰り返され、ありえない設定の珍ヒーローや、もはやSF的発想のユニーク武器が多数登場する有り様。その“何でもアリ感”は、第二次世界大戦後の世界を支配したアメリカ的マチズモへのイタリアからの反抗であり、正義ではなく金のために動く主人公こそ英雄という歪んだヒロイズムこそがマカロニの真骨頂なのではないか。 だいぶ遠回りになってしまったが、以上でマカロニウエスタンに関する基礎知識は終わり。とにかく『荒野の用心棒』と『続・荒野の用心棒』の2本を観ずして『RDR』を遊ぶなかれ、である。いや遊ぶのは自由だが、絶対に観ておいたほうがゲームが面白くなる。 もちろん単なるマカロニウェスタンのゲーム化に終わっていないのがロックスターゲームズのスンゴイところ。過去最強とも呼ばれる壮大なマップの中に封じ込められた緻密な演出にも注目だし、爽快感とテクニック性の両面を追求したシューティングシステムと、西部ナンバーワンの早撃ちを目指す“デッドアイ”モードの迫力もたまらない。さらに移動手段として大活躍する、スピードに性能差がある馬たちは、大衆車からスタミナ満点の赤兎馬クラスまで多種多彩。そんな自由空間を用意された筆者が、まずどんな状況に陥ったか? とりあえず前編はマカロニ・ウエスタンの何たるかを語ることで文字数が尽きてしまったが、より細かいゲームレビューと、『RDR』というタイトルが行き着いた約束の地について、そして現代まで強い影響力と再評価のブームを繰り返すマカロニウエスタンというジャンルのゲームの関係性までドップリと語りたい。ちなみに“マカロニ・ウェスタン”というジャンル名は日本だけで使用されているジャンル名で、海外では“スパゲッティ・ウェスタン”が正式名称。外国人の友達と話す時があって「マカロニウエスタン」と言っても通じないので気をつけよう。(そんな機会はそうそうないと思うが)。そして“スパゲッティ・ウエスタン”という言葉にも、ジャンル名を体現する深い意味が込められているのである。その詳細は後編にて! 最後にマスク・ド・UHオススメのマカロニ映画リストをオマケに付けておくので、各自DVDを探すなり借りるなりして、是非プレイ前プレイ中プレイ後のカンフル剤にお役立てください! 『殺しが静かにやって来る』 『情け無用のジャンゴ』 『ハチェット無頼』 『地獄から来たプロガンマン』 『さすらいのガンマン』 『ソルジャーブルー』 『ガンマン大連合』 『ウエスタン』 『西部悪人伝』 『夕陽のギャングたち』 『荒野の1ドル銀貨』 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:42 ソーシャルブックマーク |
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Mask de LONDON Tour 2009 :EPISODE 1 |
2009/11/13 (金曜日)LONDON IS BURNING !!
今週の週刊ファミ通連載のAIRPORT51は読んでくれたかな? ピッツバーグの大学にて日本のビデオゲームについて熱弁を奮ってきた須田剛一兄貴と、それとは全く正反対に単なる遊びでロンドンに旅立ったマスク・ド・UHが、お互いの見聞について語り合う洋行レポート編がスタート! しかし今週号の時点では、須田剛一兄貴が先行で、ピッツバーグが如何にクソ寒い土地だったかなどを語っているため、連動企画である本ブログが先んじてロンドン事情を書いてしまうのはマズいと判断。お茶を濁すようで恐縮だが、とりあえずロンドンにまつわる他の洋ゲーの話でもしておきたい。 まずロンドン、いや英国と聞いて思い出す洋ゲーは、やはりなんといっても『グランド・セフト・オート』! なぜGTAがロンドンなのか知らない人に説明しておくと、開発元であるロックスター・ゲームスのスタジオROCKSTAR NORTHの所在地は、実はスコットランドであり、インターナショナル部門を統括しているのはロンドンだったりする。ロックスターの本社はニューヨークのブロードウェイに構えているが、そこはあくまでビジネスの拠点。開発スタジオなどはサンディエゴ、バンクーバー、トロント、そしてスコットランドと、世界中に散らばっていたりする。 新たなストーリーに新たな主人公とくれば、気になるのは新着のアイテム(クルマ、武器、道具などなど)だろう。もちろん大量に追加されているのだが、中でも注目なのがパラシュート! アイテムとして登場するのは『GTAサンアンドレアス』以来だが、ハイデフに生まれ変わったリバティー・シティの摩天楼を滑空する様は格別であり、着地するまで細かく操作できるので意味のなく何度も飛び降りたくなること間違いない。 ちなみに今回はDLCだけでなく、THE LOST AND DAMNEDを同梱したパッケージ版も発売されており、北米アカウントを持っていない我々日本人でもアジア版ソフトさえゲットしてしまえば遊べるという親切仕様。『THE BALLAD OF GAY TONY』の日本版リリースは現時点で未定だが、気の早い洋ゲー野郎ならば先んじて遊ぶべきと、ゲイっぽい笑顔で断言しておきたい。 ロンドンの話とは直接関係ない話題になってしまったが、こんなゲームが実際に開発されている大英帝国に敬意を表するという意味で執筆させていただいた。次回の更新ではロンドン話に戻したいと思っているが、それは須田剛一兄貴のピッツバーグ話が、どこまで続くかにもよるので、詳細は未定ということでヨロシク! 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|23:33 ソーシャルブックマーク |
オレは暴走ギャングスタ!〜『Midnight Club: Los Angeles South Central』(後編) |
2009/04/09 (木曜日) BANNED IN AMERICA !! そして今回の追加DLCには、あの『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス』でもお馴染みのギャングスタなクルマたちがハイデフ仕様で登場しているのだ。追加車種は全部で9台。その中の3台がローライダー仕様となっており、ハイドロも搭載可能で新規バイナルやリムも追加されている。 なかでもギャングスタを目指すために必須といえるのがChevy Impala '64年型。こいつだけは外せない。車高は限界まで低く「ショッポ(ショートホープ)の箱を横にしてやっと入る」ぐらいのシャコタンが基本であるのは、日本のヤンキー文化と同じ。さらに新規リムにパールでツートンカラーのボディ。バイナルは渋めのトライバルでキメれば、『ローライダー・マガジン』の表紙を飾るのも夢ではない超ギャングスタ仕様の完成です!
例によって欲を言えば、屋根を取り外してオープンカーにしたり、パールやメタリックの塗装だけでなく、LAローライダーには必須のキャンディー加工も欲しかったところだが……。Rockstar Gamesからは、追加DLC第2弾“マシンパック”の配信も予告されている。近いうちに詳細が発表されるだろうが、期待してるぜ! カルフォルニアには、他にもまだまだ魅力的な地域がある。ヒスパニック系が中心のEAST L.A.なんかイイよね! チーチ&チョン的世界観もカルフォルニアを象徴する文化なので、期待してますよ! 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|11:54 ソーシャルブックマーク |
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オレは暴走ギャングスタ!〜『Midnight Club Los Angels South Central』(前編) |
2009/04/08 (水曜日)CANNONBALL RUN !! さる2月10日のブログにてインプレッションを執筆させていただいたリアリスティック無法レースゲーム『ミッドナイトクラブ:ロサンゼルス』。夕日に輝くロサンゼルスの街並を見事に再現しながらも、そこではポリ公上等の走り屋たちが、昼夜を問わず公道レーシングを開催! というクルマ大国アメリカらしいゲームが展開し、地道なレースでコツコツ貯めてチューンした愛車で道なき道(歩道や商店街のアーケード)を爆走すれば、速攻で通報されてポリ公とカーチェイスに突入(筆者的には用意されている各種レースよりも、警察との戦いのほうが、よっぽど熱いと思っている)。まぁ、いろんな意味でワイルドなレースゲームなのだが、カルフォルニアに年2回はプチ亡命する筆者にしてみれば登場車種やマップ構成に若干不満を感じたのも事実。しかしブログでも書いたとおり「これは追加DLCを期待させる“じらし作戦”ではないか?」と直感していたが、それが本当にその通りになったのには驚いた。 つうわけで今回は、すでに現在絶賛配信中の『MCLA』追加DLC『Midnight Club: Los Angeles South Central』の魅力を、マスク・ド・UH的にフックした部分を中心にお伝えしよう(文化的背景が複雑なアメリカ西海岸事情を鑑みるに、話題が散らかる可能性もあるので前後編に分けておきます)。ゲームの概要に関しては、すでに斎藤モゲくん(反逆の七光りライター。『GTAIV』攻略特集ではお世話になりました)がこちらの記事でタップリ書いているので、まずは、そこでは触れられてない周辺文化について書き飛ばしてみたい。 まず、今回のDLCのタイトルとなっている“サウスセントラル”とは具体的にどういう地域なのか? 読者諸兄の皆さんは1992年に発生した「ロス暴動」を覚えておいでか? 大勢の白人警官が1人の黒人をボコボコにしてしまった衝撃映像で有名な「ロドニー・キング事件」をキッカケに、様々な複合要因によって発生したとされるロス暴動は、近代アメリカにおける人種問題の象徴的な事件の1つとして有名だが、その暴動の舞台となったのがサウスセントラル地区なのである。この地区はもともとアフリカ系アメリカ人(アフロアメリカン)が多く居住していたが、時代の流れとともにヒスパニック系、そして韓国系の住民が急増。人種構成の複雑化や極端な差別構図のなかで、暴動は起こるべくして起こった。その詳細はスヌープ・ドッグ主演のドキュメンタリー映画『ザ・LAライオットショー』を観賞すれば超わかりやすいのでオススメしておく。 そんな街だからして、走ってるクルマは基本がローライダー! またはマッスルカー! それ以外はドライブバイで襲撃準備中のレンジローバー! などなど非常にギャングスタ色が濃いクルマが走り回っており、金曜土曜の夕方以降は街中のそこかしこにギャング連中が溢れるというステキな街。筆者も過去に一度だけ見物しに行った(というより道に迷い誤って侵入した)経験があるのだが、そこはもう旭山動物園もビックリのギャングスタ行動展示が絶賛開催中という悪夢。道ばたでマリファナ吸ってるヤツ、ガソリンスタンドにて数十人単位でタムロするチカーノギャング(全員ポンチョ姿!)、そして交差点には必ずビカビカでBLING BLINGなローライダーがガッコンガッコンとカーダンスを踊る。今考えると「よく何事もなく生きて帰って来れたなぁ」と思うのだが、サウスセントラルの外れにあったビデオレンタル屋兼ゲームショップの品揃えは、すごく良かったと追記しておく。 以上、サウスセントラルという地区が、いかに危険と興奮に満ちた場所であるかは理解していただけたかと思う。ちなみにこのサウスセントラル地区は、あの『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス』にも(同じ地区名ではないが)登場する。観光客が行くような場所ではないからこそ、ゲームの舞台となる価値があるのだ! 現実ではちょっと近寄り難い場所でも、ゲームでならいくらでも行けますからね! DLC登場前に遊んだ時の不満はズバリ「もっと色んな地域に行きたい!」だったが、それは見事なまでに解消された。 しかもよりによってサウスセントラルである。このあたりのチョイスのセンスは流石Rockstar Games! もはやレースゲームのレビューになってないような気がするけど、こういう文化的背景を知ることこそ、ゲームへの没入感を高める意味で最も重要なのであります。 さて次回は、BANNED IN AMERCAなサウスセントラルにピッタリの不良性感度MAXな新規クルマについて書き飛ばしてみたい。あと、ゲームでも現実でも、事故と警官には気をつけよう! CANNONBALL RUN !! 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|12:36 ソーシャルブックマーク |
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世界最高峰のアクションゲーム、遂にDSに降臨! 『GRAND THEFT AUTO: CHINA TOWN WARS』 |
2009/03/17 (火曜日) Death Smack!!!!! 『GTACTW』の舞台となる街は、お馴染みのリバティーシティ! しかもマップの広さは『GTAIV』と、ほぼ同じ! さすがにフリーカメラではないものの、3D化された市街地を徒歩やクルマで移動するのは変わらずで、カメラアングルは旧『GTA』の“真上からの俯瞰視点”を踏襲した、斜め後ろ上視点となっており、移動する主人公もしくはクルマを追跡するようなスタイルでアングルが調整されている。タッチスクリーン画面はPDAとなっており、メールやマップ、ラジオ局の切り替えや進行中のミッション情報などがリアルタイムに切り替わりながら表示され、プレイヤーは上の画面を見ながらタッチ画面で情報を確認するというゲームデザインに仕上がっている。DS向けの完全新作だけにシステムは全てタッチペン操作が基準となっており、マップの目的地にタッチペンでナビルートを書き込んだり、豊富に用意されたミニゲームを攻略したりと新要素満載となっているのだ。 リー青年は、これまでのシリーズにおける、どのキャラクターとも違うバックボーンを持った主人公だ。中国系のマフィアは度々脇役として登場したが、主役級は今回が初。しかもやることなすことメチャクチャな男である。 非合法ビジネスは、そのほとんどがタッチスクリーンを使ったミニゲームに絡めてあり、これがまたハマる。オレはミッションそっちのけで街角の宝くじ屋に通い詰め、スクラッチカードで現金ゲットにひたすらハマっていた。もちろんラジオ局も健在で、さすがに曲数は多くはないが、しっかり音楽も吟味されているのが素晴らしい(主題歌は少林寺の魂を持つラッパー集団、ウータンクランが担当!)。そして、警察とのチェイスバトルシステムも変化しているのも見逃せない。これまでは逮捕レベルを逃亡行為によって下げることで逃げ切れたのだが、『GTACTW』ではパトカーをタイミング良くクラッシュさせることで逃げ切るという、まるで『チェイスHQ』のようなシステムとなっているのだ。このへんの元ネタのチョイスは流石ですわ。 もちろんミッションの内容も過激極まりなく、DSでここまでやって大丈夫なのか? と余計な心配もしてしまうのだが、最も売れているゲームが最も普及してるハードに登場するのは自然なことであり、また新しいファン層の開拓にもつながるのだから大歓迎である。しかもアドホック対戦(2人まで)も可能になっている! それじゃあ、また中華街に戻ります。ブツを売りに行かないと叔父貴に怒られるんで。 (C)2007-2009 Rockstar Games, Inc. 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|22:10 ソーシャルブックマーク |
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バニシング in L.A. !! 『Midnight Club: Los Angeles』で炸裂する暴走遊戯 |
2009/02/10 (火曜日) おひさしぶり! ここんとこ、ずぅ〜っと『フォールアウト 3』のプレイ日記を心血注いで執筆&凶悪プレイしまくっていたおかげで、スッカリ本家のブログ更新してなかったけど、ようやくそっちが一段落着いたので復帰ですわ。
まず最初に触れておきたいのは、『ミッドナイトクラブ』シリーズの日本版が発売されること自体、かなり久しぶりというコト。ロックスターのゲームだから過激なイメージを持つ人も多いかもしれないが、実際のところは純然たるレースゲーム。たしかに自由度は高いけど人を跳ねたりするような内容ではない。作品に込められているのは、日本の“走り屋”に対するリスペクトと、オープンワールドで作り込まれた“街”への愛着、そして“クルマ”に賭ける情熱である。
前作までは『ミッドナイト〜』のタイトル通り“夜の市街地で繰り広げられる違法公道レース”がゲームデザインの中核となっていたが、今作から全天候型になり昼夜晴曇雨の時間軸をゲームに導入。登場車種も増え、チューニングからバイナルのカスタムまで自由自在。街の作り込みもハンパじゃなく、毎年カルフォルニアにプチ亡命する筆者にとっては、思わずデジャブを感じる瞬間があったほど。なにしろロサンゼルス市内の主要幹線道路が全て実名で登場するうえに、マップの位置関係も再現。 アークライトシアター このようなオープンワールドなので、レースをしないでドライブに徹して風景を眺めてるだけでも楽しいのだが、その道中でストリートレーサーを発見したらパッシング(ケンカを売る)せずにはいられない。そして、いざレースが始まると公道は無法地帯と化し、およそクルマが走れそうな場所なら全てのポイントに突撃できる自由度の高さで思わず無謀運転にも気合いが入る。
今作が、これまでのシリーズと違うポイントは、まさにココなのだ。日本の走り屋へのリスペクトから、より映画的な進化を遂げた。そんな感じがする。実際、片輪走行や大ジャンプ、バイクでウィリー走行といったスタント行為が可能なのだが、これはレース中に繰り出すと確実に事故るという、かなり意味なしのパフォーマンス(笑)。車高の低いクルマ(カウンタックとか)なら、カー・アクション映画でお馴染みの“トレーラーの荷台の下を並走しながらくぐり抜ける”という荒技も可能! もちろんこれもレース中にやったら確実に最下位になる。でも、やるんだよ!
そして『ターミネーター2』でお馴染みの「乾いた河川敷」を突っ走り、下水からフリーウェイに突入。そのままショッピングモールに突っ込んで通報されて、警官に停車を命じられたら、素直に停まるフリして猛ダッシュで逃走!
しかし(あくまで筆者個人の感想だが)完璧な傑作として手放しで賞賛できるほどの完成度ではないのも事実。以下、グッドな部分とバッドな部分を挙げてみた。 <良> <悪> マップに関しては、あくまでも雰囲気を楽しむドライブ&レースゲームなのだから、ムチャクチャ細部まで再現する必要はないとは思う。しかし現実ではハリウッドからダウンタウンまでは、フリーウェイを使っても30分は余裕でかかるのに、ゲームだと一般道を使っても1〜2分で到着してしまう。いくらなんでも速すぎでしょ! 4〜5分かかっても良かったんじゃないかな。
比較対象としては、ハワイを舞台にした同じオープンワールドのレースゲーム『テストドライブ・アンリミテッド』がある。こちらはマップのデザイン自体は“なんちゃってオアフ島”な感じで結構いい加減だったが、レースゲームとしては痒いところに手が届くゲームデザインになっており、不動産購入などもできるなど、レース以外のやり込み要素が多かったのが印象深い。筆者も相当やり込んだッス!
以上の感想を踏まえたオススメのプレイスタイルは、基本はクルージングで街を流し、気が向いたらレースをチクチク攻める。オンラインでもドライブできるので設定で一般車やパトカーをOFFにすれば快適なL.A.カーライフが楽しめる(この設定変更オプションはオフラインにも欲しかった)。
色々書き飛ばしたけど、他のレースゲームとは一線を画す不良な雰囲気はズバ抜けているので、クルマ好き、洋ゲー好き、ロックスター・ゲームズ好きはマストバイなタイトル。もちろん、そうでない人にもオススメできる完成度であり、バーチャルな西海岸観光を楽しめるので、プレイすれば渡米への思いがこみ上げてくる。実際、筆者もプレイしてロスに行きたくなった。ああ! 今すぐ行きたい! でも旅費がないから、とりあえず『MCLA』だぜ!
投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|11:44 ソーシャルブックマーク |
BULLY(ブリー)(その5) |
2008/07/26 (土曜日)『BULLY』の魅力について5回連続で語らせてもらったが、それでもまだ書いてないことが一杯ある。『BULLY』はいうなれば、青少年に向けてソフトに仕上げられた『GTA』である。マップの広さや乗り物の数では及ばないのだが、主人公が学生という設定だけに、その世界は中規模でちょうどいいぐらいだ(それでもかなり広い)。
そして、ジミーの活動拠点となるのは学生寮だけではない。市街地で特定のミッションをクリアするとセーブポイントが増えるので、門限を気にしなくてもいいようになる。門限は23時で、それを超えると警戒レベル1になって補導されやすくなる。深夜の午前1時を過ぎると体力が消耗して2時になると強制的に気絶してしまう。翌朝8時に倒れた場所で目覚めるのだが、たいてい何か身に付けていたアイテムを紛失した状態(履いていた靴がないとか)なので、着替えなくてはいけない。紛失してもクローゼットには残っているので問題はないが、ソックス丸出しの状態でスケボーやBMXに乗りながら寮へ朝帰りの姿は相当かっこ悪い。そうなると夜更かしは恥ずかしいので、最近は1時前には就寝するように心がけるようになる。悪がきジミー、更正への第一歩である。
しかし門限が近いことを軽く吹き飛ばしてくれる最高の娯楽施設がブルワースの街にはある。遊園地だ。この誘惑は非常に大きい。入場チケットを買って遊園地に入場すると、そこは市街地とは裏腹にものすごいハイテンション! 街のあらゆる人たちが集まり、そこに用意された様々な遊具で遊び回っている。観覧車やジェットコースター、ゴーカートレースに射的などなど。遊園地内のゲームに勝てばチケットが貰えて、お土産屋で交換してもらえるのだが、この店がまた学生の物欲を激しく刺激するおバカ系アイテムで溢れているのだ。思わず新聞配達のバイト代を遊園地で使い切ってしまうバカ学生。しかも門限を忘れて遊びほうけて遊園地内で気絶。そのまま翌朝も裸足で遊園地内を駆け巡るほど、それはそれは楽しい場所なのである。遊園地にはミッションで必ず行くことになるので、『BULLY』を遊び始めたら必ず行ってほしい。ここに用意されたピュアな高揚感は、『GTA』シリーズとは全く違う青春ドラマの1ページのような甘酸っぱい気分にさせてくれる。
そしてそれが『BULLY』というゲームだけが持つ魅力なのだと思う。 自分のようないい歳の大人がキャッキャッとはしゃぎながら遊べるゲームは、そうそう滅多にはない。『BULLY』を遊ぶ前には「学生の日常をゲームにして面白いのか」という疑いの気持ちもあったが、実際遊んでみるとマジで面白いから本当に驚いた。でも最初に遊んだのは2年前にリリースされたプレイステーション2版の北米盤ソフトで、当然英語なので必死に聞き取ったり字幕を解読したりと、かなり苦労しながらプレイしていた記憶がある。それがまさかの日本版発売! 完全日本語字幕によってミッションのチュートリアルやヒントもバッチリ理解でき、しかも画質が大幅に向上して追加要素も加わっているXbox 360版も同時リリースされるんだから最高だ。
アメリカ東海岸の全寮制学校が舞台というのは、日本には全く馴染みのない文化のため、正直受け入れられるか不安だった。しかし日本語字幕があれば話は違う。海外の人気連続テレビドラマが、日本でもそのまま放映されているご時世。『BULLY』も同じ感覚で楽しめる、しかもゲームという参加型でヤンキー生活を堪能できるのだ。 洋ゲーを遊びたいけど、銃撃戦や激しいレースゲームとかはちょっとね……という人には『BULLY』は鉄板でオススメできるタイトルである。 月刊ファミ通Wave DVDの8月号DVDコンテンツに掲載の「動く!AREA 51」では、9月号と2号連続で『BULLY』特集をお届け! ゲストにはKING OF STAGEの異名で知られるラップグループ、ライムスターからMC宇多丸が『BULLY』ファン代表として登場。3人でそれぞれの中学生ライフをプレイしまくっているので、そちらも是非チェックしてください! GOOD NIGHT !! (c)2006-2008 Rockstar Games, Inc. ・発売元:ベセスダ・ソフトワークス 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|00:00 ソーシャルブックマーク |
BULLY(ブリー)(その4) |
2008/07/25 (金曜日)ブルワースアカデミーへようこそ! 今回は意外と広くて観光もできるブルワースの市街地と、その移動手段について語り倒しましょう! 学校も広いけど街はもっともっと広い! そこにはキテレツな住人やポリスや不良たちが生活し、時には酔っぱらいのオッサンがミッションを依頼してくるから気が抜けない。そんな街を楽しく移動できるアイテムが用意されている。 『BULLY』に登場する乗り物の中で、移動手段としてはもっとも活躍するのが"スケボー"だ。舗装された道ならば単に走るよりも全然早く、なによりもスケボーで滑っているスタイルがマジでクールだ。街中の至るところに配置されたジャンプ台から飛んで空中でグラブトリックを決めれば爽快感も抜群! 俺はジミーをスキンヘッズ風のファッションに包ませて、Xbox 360のハードディスクに読み込ませたOi PUNKのCDをBGMに街をスケボーで爆走させて楽しんでいる。気分はもう4 SKINS! 拳を振り上げてプレイしたくなる!
しかしスケボーにも欠点がある。芝生や未舗装の道では全然スピードが出ないのだ。どんだけ遅いかというと、ズバリ走ったほうが速いぐらいである。敷石や路肩にも注意が必要だ。ジャンプしないと乗り上げられない微妙な高さなので、猛スピードで突っ込むと勢いあまって進行方向が変わってしまう。そして坂道にも弱い。どうにもスケボーでは移動に限界を感じる……。 そこで注目されるのがBMXなどの自転車である。自転車は技術の授業を受けることで入手でき、ランクアップした授業をクリアすれば自転車もアップグレード! スピードやブレーキング、ハンドリングの性能が向上した自転車をゲットすれば街で開催される自転車レースにも勝ちやすくなるんだから、技術の授業だけは真面目に出席しておきたい。そしてその心意気は、そのままヤンキー文化へとつながっている。事実、ブルワースのロカビリー軍団はガレージ周辺を根城にしており、彼らのチャリンコへの熱い情熱を感じてしまう。
自転車はママチャリから競輪仕様まで幅広く用意されているが、やはり乗りやすいのはBMX系。ジャンプの高さもスケボーとは比較にならないし、何しろ速い。未舗装だろうが坂道だろうが立ちこぎ連打ならスイスイ走る! 小回りも効くのでブルワース市街地の散策には、うってつけのアイテムといえる。 さらに街の自転車屋主宰で開催される自転車レースは、賞金稼ぎには絶好のミッション。グレードの高いBMXをゲットしているなら迷わず参加してギャンブルレーサーとして荒稼ぎしたい。レースは後半戦になると難易度が上がり、ライバルと並走中に殴り合いになることもしばしば発生する。もちろん殴り返すのが礼儀だ! レース内のコースには大ジャンプが可能なポイントがあるのだが、そこで飛ぶと滞空時間中に追い抜かれてしまったりするので多用は禁物である。ツーリングの時だけにしておこう。
さて、スケボーと自転車を続けて紹介したが、両方を所有していれば無敵に思えるアイテムも完全ではない。まだ"人力"に頼っているからだ。 『BULLY』には最強の移動アイテムとしてスクーターが登場する。入手には特殊条件を満たす努力が必要だが、ゲットしてしまえばコレほど楽な移動手段はない。スピードもあり悪路も問題なしだが、ジャンプだけはできない。あとヘルメットを被ってないと、すぐ警察に追っかけられるので運転中はヘルメットを必ず装着しよう。
スクーターをゲットするには遊園地に用意された様々なミニゲームをクリアする必要があり、最強移動アイテムに相応しく入手は容易ではない。 とりあえずヒントとしては、写真の授業は全部クリアしておくこと。そうすると条件達成が少し楽になるからだ。 以上の移動手段を駆使して、ブルワースの市街地エリアを散策してほしい。ウロウロしていれば、そこで様々なものに巡り会える。最初は買い物や遊びが中心だが、街にはミッションを依頼してくる人もいるし事件も起きる。エリアごとに不良の溜まり場があるし、高級住宅地では番犬に尻を追い回される。
そんな時、目の前に収集系のアイテムが落ちていたりするんだから散策が止められないのだ。輪ゴムやトレーディングカードといったアイテム集めは、全て集めることでボーナス要素がアンロックされていく。マップ上で濃い緑色の部分以外は、たいてい侵入することができるし、ビルの裏にはハシゴがあって屋上まで登れる。街中や校内のそこかしこに散らばっているラジオのパーツを集めれば、校舎裏に住み着く元軍人のじいさんから本格的な格闘技を教えてもらえたりする。収集アイテムは集めるとイイこと尽くしなので、授業をサボり街に繰り出す気にもなってしまう。まさに"書を捨て街に出よう"的なアナーキズム! アリス・クーパーの名曲「SCHOOL'S OUT」が頭の中でガンガン鳴り響くぜ! 今回は乗り物を通して『BULLY』の自由度の高さについても語ったが、まだそれだけでは終わらない。授業やミッションや郊外活動以外にも楽しめる要素はある。ありまくる! 次回はマスク・ド・UHのオススメBULLYプレイなどを書きつつ、そこで発見される新たな魅力について掘り下げてみたい。 GOOD NIGHT !! (c)2006-2008 Rockstar Games, Inc. ・発売元:ベセスダ・ソフトワークス 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|00:00 ソーシャルブックマーク |
BULLY(ブリー)(その3) |
2008/07/24 (木曜日)ブルワース・アカデミーへようこそ! 今回は学校内の人間関係を掘り下げながら、学生の物欲を満たすべく登場する様々なアイテムについて紹介。 ブルワース・アカデミーを取り巻く登場人物たちのズッコケぶりや、悪い冗談にしか思えないトンデモ集団など、『BULLY』には魅力的なキャラクター、しかもロックスター流儀でブラックユーモア満載に味付けされた人物が主人公に無理難題をしかけてくる。
まず教師。各授業を受け持つ担任たちは授業中こそ真面目に勉強を教えてくれるが、中には放課後に危険なミッションを依頼してくる先生や、自らの欲望を満たすためのお使いをジミーに頼みこんでくる。 厄介なのは風紀委員で、常にくまなく学校内を巡回しており、いたずらをしたり授業をサボっていたりすると警戒レベルが上がる。捕まっても抵抗して抜け出せる時もあるが、警戒レベルが高すぎると確実に補導されてしまう。 教師の頂点に君臨するブルワース・アカデミーの校長に呼び出されると、芝刈りなどの奉仕活動を命じられるので、基本は捕まらないことである。 このゲームは全体的に"大人なんて偉そうな顔してるけど、裏を返せば俺たちなんかより汚いぜ!" というロックスターのパンクな主張が全面に押し出されているのが本当に痛快なポイントだ。校則という『GTA』シリーズに比べるとユル〜いルールがあってこそ、このゲーム内においてのジミー(つまり遊んでいるプレイヤー)のヤンチャぶりが光るのである。 生徒たちにも注目してみよう。まずは "悪ガキ"。白いワイシャツをダラしなく着た連中で、ジミーが転入生というだけで因縁をつけてくる。その場合は挨拶がわりにブン殴ってやるのがベストだ。もちろん仲良く平和的な解決もできる。 "インテリ"はメガネをかけて科学部の緑色の制服を着ている。図書館を根城にテーブルトークRPGに青春をかける純情で危険な集団。いつもチャックが半開きのアルジーと仲良くできるかで、プレイの方針が変わってくる。殴り飛ばすこともできるけど、見かけ以上に強い連中なのでナメないほうが無難。朝の寝起きに遭遇したら真っ先に後ろからパンツを食い込ませてやろう。
"お坊ちゃま"は金持ちの子息どもで、人間の根本からして鼻持ちならない連中だが、ガタイも良く全員がボクシングを習得してるので喧嘩は強い。街中にあるボクシングジムを根城にしているので、そこでボクシングを習いながら反撃の機会をうかがうのが、喧嘩も強くなって一石二鳥。 "ロカビリー"は古き良き時代の不良の生き残りだ。グリースを塗り付けたリーゼントに校則違反の革ジャンで決めるロカビリーだが、ハクいスケもいるので無視はできない。ガレージ付近を溜まり場にしているが、街にも大勢いて悪さを繰り返している。とりあえず仲良くしておこう。 "体育会系"は最強だ。何しろスポーツマンである。とにかくガタイは最強クラスでスポーツ万能。ラグビー仕込みのタックル攻撃を仕掛けてくるので、目を付けられると厄介である。体育の授業に出席して様々な技を習得しないとなかなか勝てない。実質的にブルワース・アカデミー内では支配者クラスの連中で、我がもの顔で校内をのし歩いている。インテリを目の敵にしており抗争の火種がくすぶっているのが現状。ただし、チアリーダーの女は一度はコマしてやりたい学園の華といえるだろう。だが、非常に性格が悪いところも青春ドラマの定番を見事に押さえている。
主人公ジミーは、このような複雑なグループが入り乱れた狭い社会でどう生き抜くかを模索しなければいけない。こう書くと難しいテーマのように思えるが、ようするに拳(ナックル)で解決すればよいのである。快適に生き抜くためには、しかたのない選択である。 生活は学校内だけでなく街にも広がっている。そこでも様々な人々に出会えるのだが、買い物も大きな楽しみになる。ミッションをクリアすれば多くの場合で報酬を受け取れる。多くのミッションをこなせば金が貯まるので、当然使い道が必要になってくる。 そこでこの悪ガキの旺盛な物欲を満たしてくれるのが、街にある洋服屋や床屋、そして様々な雑貨や遊び場である。『BULLY』のゲーム内で購入できる服の種類は膨大で、その組み合わせも自由自在。完璧なお坊ちゃまスタイルからロカビリー、パンクスにスキンヘッズにテッズといった怒れる不良スタイルのほぼ全てが楽しめるのである。
この"おしゃれ"のチョイスっぷりが実にロックスター・ゲームスらしく、これまでのゲームでは登場しなかったタイプのリアルなストリートファッションが研究されている。それこそBーBOYもあれば、タクシードライバー風に、軍事マニア風、THE QUAKESのようなサイコビリー・ファッションだってバッチリだ。何しろ校長先生と対峙しているイメージイラストを注目してほしい。ジミーはドクター・マーチンのブーツを履き、ロールアップしたジーンズでキメている! いいねぇ〜! フーリガンのスタイルですよこれは。思わずレンガを投げて校舎のガラスをブチ割りたくなります。もちろん花火も仕掛けなくてはいけない。見つかったらスケボーで逃げて適当な場所に隠れましょう。学校さぼって街にスケボーで繰り出すなんて、爽快じゃあないですか!
次回はブルワースで乗り回せる数々の乗り物や、街中の様々な娯楽施設について掘り下げてみましょう! GOOD NIGHT !! (c)2006-2008 Rockstar Games, Inc. ・発売元:ベセスダ・ソフトワークス
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BULLY(ブリー)(その2) |
2008/07/23 (水曜日) ブルワース・アカデミーへようこそ! 今回もマスク・ド・UHがロックスター・ゲームスが放つ学園青春フリーダムアクションゲーム『BULLY』の魅力を語り尽くし、しゃぶり尽くし、遊び尽くす!
『BULLY』では、「英語」「美術」「体育」「技術」「科学」「写真」などの科目が1日の午前と午後に勉強できる。Xbox360版には追加要素として新たに「生物」「音楽」「数学」「地理」も登場し、さらに勉学の幅が広がった。授業は全てミニゲームとなっているのだが、それがどれも絶妙に面白い。Nintendo DSで流行している『脳トレ』のようなカジュアルゲームが、見事に落とし込んであるのだ。授業をクリアすれば主人公ジミー・ホプキンスのスキルが上昇し、生活がより豊かになる。授業に出るのは強制ではなく、プレイヤーの気分次第。ミッションを優先させると、どうしても授業に出られない場合もあるが、そこに学生生活における"1日の感覚の短さ"が表現されているのが、実はこのゲームの一番すごいポイントなのかもしれない。 「ああ〜、もう夕方になっちまった。寮に帰らないと怒られる」 授業もミッションも満足にこなせなかった日には、ホントにこんな気分になるんだよ。もちろん優等生を目指して授業に出席しまくるのもプレイヤーの自由である。授業をクリアして得られるスキルは、何1つとして無駄がない。スキル以外にもボーナスアイテムやスペシャルコスチュームが貰えたりするあたりのシステムは「勉強しておけばイイことがある」という親の説教を思い出してしまった。特に美術の授業は、クリアすると「女生徒にモテるようになる」という素晴らしい特典がある。女生徒に花束を渡して口説きまくり、ブルワースのプレイボーイとして君臨するのも悪くない。こんな青春を過ごしたかった!
体育の授業に出れば新しい技を覚えるし、音楽はリズムアクションゲームの感覚を楽しめる。どれもこれもよくできているのだが、そこはやはり勉強なので、得意不得意も出てきて通知表オール5というワケにはいかなくなる。
そうなると自然に苦手な科目は避けるようになり、その授業の日は学校さぼって街に行ってしまうのが俺の『BULLY』生活の基本。街にも学べる機会はいくらでもあるのだ。もちろん魅惑的な遊びも、そしてミッションも! ブルワースはあくまでも架空の街であり、ブルワース・アカデミーもまた架空の学園である。しかしながらこのゲームの中で繰り広げられるドタバタな日常風景とドラマは、明らかに自分が過去に遭遇したことのある出来事なのだ。 実は筆者は学生寮の経験者で、高校時代の3年間はド田舎の寮で過ごしていたが、そこでは通学ではありえない濃密な人間関係が形成されており、集団生活を通して社会の縮図を知ることができた。それは結果論で、当時はその生活がイヤでイヤでしかたなく、授業なんかサボりまくって街に遊びに行っていたもんである。 サボるといっても金がないので、ゲーセンに行ったり、古本屋に行ったり、喫茶店でパフェでも喰って帰るのが関の山なのだが、街で不良に絡まれたり補導されそうになって逃げ回ったり、門限を過ぎてスクールバスが終わってしまい歩いて寮まで帰ったり……と、およそBULLY的なことは経験済みだったので、このゲームの世界観は非常に共感できるというか、共感しすぎてイヤな思い出までフラッシュバックしてしまうほど。 そんな生活態度だったので勉強は赤点連発で単位も全然足らず、最後はほぼお情けで卒業させてもらったが、まさかゲームで再入学するハメになるとは思わなかったよ! 寮生活もゲームと大体同じで、部屋では先生に隠れてファミコンを遊びつつ上級生からの"かわいがり"から下級生の悩み相談まで何でもありの青春ヴァーリー・トゥード! プライバシーらしき概念が、まるで存在しない男子寮での生活は、最初は苦行だったけど慣れるにしたがって楽しくなったのも事実。その理由はやはり"友達"であり、人間関係の円滑するためのテクニックを覚えたからだ。 田舎の学校だったせいか生徒のバリエーションも多種多用で、体育会系やインテリ集団、金持ちの息子連中にロック系、もちろんビーバップ的世界観全開のヤンキー軍団もいた。そういう連中と、どううまく渡りあえるかが学校生活をエンジョイする鍵だったのは間違いない。 そしてその人間関係は、そのまま『BULLY』でも再現されている(さすがにヤンキーは登場しないが、それに近い連中はいる)。次回はゲームに登場するブルワース・アカデミー内のグループと人間関係について迫ってみたい。 GOOD NIGHT !! (c)2006-2008 Rockstar Games, Inc. ・発売元:ベセスダ・ソフトワークス 投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|00:00 ソーシャルブックマーク |
BULLY(ブリー)(その1) |
2008/07/22 (火曜日)ロックスター・ゲームスが放つ学園アクション『BULLY(ブリー)』の日本版発売バンザイ! ということで、今回は5回連続でブルワース・アカデミーを百倍楽しく遊べる三十路男のデビュー日記を書き飛ばします!
たしかに自由度は高いが、物語はあくまでも学園が中心。そこでプレイヤーができる最大の反抗は"いたずら"なのである。ゲームで自分をとっちめに来るのは主に風紀委員や先生であり、学園生活を知り尽くしていれば逃げおおせることだってできる。しかし夜になれば眠くなるし、補導ばかりされると私物を取り上げられる。度が過ぎれば奉仕労働までさせられるのだ。 まず目的が違う。『BULLY』は非合法な手段を中心としたピカレスクロマンではなく、誰もが経験したことのある学生時代の甘酸っぱいような塩っぱいような思い出を追体験させる、わんぱく小僧の青春ドラマなのである。 そのストーリーも非常に練り込まれており、エンディングには本当のドラマに参加していた錯覚さえ感じてしまう。いや本当に。 ゲームシステムの根幹は、あくまで箱庭系のアクションゲームだが、そこにはロックスター・ゲームスが過去にリリースした数々のアクションゲームの美味しい要素が、ほぼ全て盛り込まれている。ロックスター・ゲームスのタイトルはGTAシリーズ以外は、ほとんど日本版がリリースされてないのだが、実は様々なタイプのアクションゲームを産み出しているのだ。 まず世界一残酷なゲームとして知られる『MANHUNT』は、恐怖演出とスニーキングシステム、練り込まれた銃撃戦などホラーアクションゲームとしてもかなり完成度が高いが、過激さゆえに日本版はリリースされていない。 『BULLY』では、風紀委員や教員が学校内を巡回することで、プレイヤーの"いたずら"や校則違反行為を見張っている。このスキを突いてロッカー荒らしや便所にクラッカーなど、考えうる限りの悪事を働き、そして逃げる。ロッカーやゴミ箱に隠れて警戒モードをやり過ごす。これはまさに『MANHUNT』のスニーキングシステムを踏襲している! また喧嘩やボクシング、ドッジボールにレスリングといったアクションゲームは、『THE WARRIORS』に非常に近い。 『THE WARRIORS』は同名の映画を原作としたシネマゲームだが、映画の雰囲気を損なわず、しかも格闘メインのアクションゲームとして研ぎ澄まされた完成度を誇るのだが、こちらも過激なシーンが多く日本版はリリースされなかったのが残念。多人数と同時に喧嘩したり、持ち武器や投げ武器を使ったり、落書きしたり逃げ回ったりといったアクションは『THE WARRIORS』を基本に改良が加えられた感じだ。
また、スケボーを使って移動したりジャンプするアクションは、プレイステーションの懐かしいタイトル『スラッシャー SK8』('00年/日本版はウェッブシステムより発売)を思わせる。本当にこれは集大成なのである。ただしGTA以外のアクションゲームの集大成だ。『BULLY』のGTA的な部分といえば、自由行動の権利とマップの広さだろうが、それでもGTAに比べると全然小さい。しかもその行動範囲の狭さが実に学生らしい。自転車でマップの端まで行くと、朝一番に出ても戻るのに半日かかってしまうだろう。スクールバスを使えば速攻で学校に戻れるが、寄り道はできない。 学生の基本行動である寄り道も『BULLY』ではゲームを楽しむために必須の行動。町外れの遊園地には娯楽が待っているし、服屋やスーパーも開店している。学業以外にやることが本当に多すぎる! チンタラ遊んでいたら永遠にクリアできないのではないかと思うぐらい、密度がある。金を稼ぎたければ、学校をさぼってアルバイトをしてもいい。バイトには懐かしの海外アーケードゲーム『ペーパーボーイ』を彷彿とさせる新聞配達、芝刈りのミニゲームがあり、チルアウトしたい時には特定のポイントに設置されている、昔のアーケードゲームのパロディのようなミニゲーム筐体で遊んでもいい。
賞金狙いで白熱する自転車レースにゴーカート・レース、学校周辺で生活する人たちからも様々な依頼がやってくる。それをこなすのも無視するのも自分次第で、全てを破壊する手のつけられない悪ガキを演じることだって可能である。学校内で頻繁にみられる"かわいがり"行為を無視するか、助けるのか? 次回は『BULLY』と勉強の大事な関係についても掘り下げたい。ゲームとはいえ、勉強しなければいけない局面が必ずあり、しかも勉強だって楽しくできるのが『BULLY』の面白さでもあるのだ。 GOOD NIGHT !! (c)2006-2008 Rockstar Games, Inc. ・発売元:ベセスダ・ソフトワークス
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