携帯電話の方はファミ通MAXをご覧ください。

Asian Undergroundカテゴリ
DIARY OF A MAD GAMERのホーム

マスクド警部の特捜タイ前線 PART2 〜東南アジア最強最後のゲーム魔境サパーンレックは驚愕の品揃え!!??

2011/09/02 (金曜日)

※以下の内容はマスク・ド・UH氏によるタイ現地事情のリポートであり、いかなる不正行為も推奨するものではございません。
DSCF5566
サパーンレックにてマスクド警部が身銭を切って証拠品として押収したソフトたち。諸事情により見えにくくなっておりますが、大人の事情を察していただきたい所存です。

 MAGICAL SUPER BOOTLEG ASIA!!!!!!!!!!!!

 前回に引き続き、微笑みと灼熱の国・タイの現状をレポートする第2回目である。カオスと呼ぶに相応しい首都バンコクのチャイナタウン、ヤワラー。その街の外れに位置する違法建築の水上マーケット、サパーンレックを目指し、辿り着くまでの行程が前回の内容だったが、辿り着くまでの説明が長すぎて文字数が尽きてしまった。そこで今回は、いよいよサパーンレックの内部の詳細について、自称・国際ゲーム警察所属のマスクド警部という意気込みで単身でアンダーカバーした結果を報告したい。

●サパーンレックでは何を売っているのか?

 サパーンレックには両端にクソ狭い渡り廊下が2本並走し、その合間を隙き間というか抜け道というか、網の目のように走っている。集まった店は軽く見積もっても百軒以上あり、全て1畳から4畳程度の広さしかないが、扱う品目は実に多岐に渡るので、箇条書きにしてみた。上から扱う店舗が多い順になっている。

・ゲームソフト
・ゲームハード(携帯機含む)
・周辺機器
・ゲーム雑誌&攻略本
・フィギュア、カードゲーム関連
・コスプレ衣装、Tシャツ、アクセサリーなどグッズ関連

 まず最も売れ筋、サパーンレックの主力商品となるゲームソフトだが、お察しの通り全てがコピーROMの海賊盤である。しかも、この海賊盤には、どういったプロテクトが施されているのか不明だが、絶対にコピーできない仕様となっている(笑)。自分たちはコピーを売るくせに、それをコピーさせないとは太ぇ野郎どもだが、何しろ価格が激安なので文句を言う気も無くなる。
 コピーROMの値段はプレイステーション2のソフトなら1枚50バーツ(1バーツは約2.6円)。最も取り扱う種類が多く、タイでは未だに主力商品である。次に多いのがPCソフト。これまた当然コピーだが、1枚80バーツと少々高め。さらに2枚組の場合は、海賊盤の基本である「内容ではなく枚数で計算」が適用されるため、160バーツになる。それでも410円だから、当たり前だがコピーと頭では理解していても、安いと唸ってしまう。
 PS2、PCほど数は多くないが、PSPタイトルも充実している。UMDディスクに2〜3本のソフトが収録された、かつて海賊ファミコンソフトで猛威を奮ったアジアお得意の「inワン」スタイルとなっている。もちろんマジコンに関しては書くまでも無いだろう。ここは日本ではない。タイなのだ。「けしからん!」と怒ったところで日本の常識も法律も通用しないのである。また、ここまで海賊盤が氾濫する理由には、正規品の価格が高すぎるという理由が挙げられる。タイではゲームソフトもハードも基本的に全てが輸入品扱い。特に洋ゲーは、正規品を取り扱うサイアム(※バンコクで最も栄えたエリア。原宿と渋谷と六本木が混じった感じ)あたりにある金持ちタイ人や成金の華人、外国人駐在員のマダムなどが入り浸るショッピングセンターなどでは、正規版の洋ゲーがPS3、Xbox 360ともに1本3000バーツから5000バーツ。PS2でも2000バーツはする。日本円にして1万円を超す価格設定なのだから、貧乏人がおいそれと手を出せるシロモノではないし、そもそもタイの一般企業に務めるサラリーマンの一ヶ月の平均所得が10万円程度の国であるからして……決して海賊盤を肯定するつもりは無いが、この環境では致し方が無いといったところだろう。
 話をソフトに戻すと、いまサパーンレックで一番人気は360タイトルである。PCソフトと同じ1枚80バーツだが、日本のタイトル、洋ゲータイトルのみならず欧州限定タイトルまである。日本では欧州タイトルはPALシステム+リージョン設定のため、一部しか輸入されていないのが現状だが、そもそもタイはPALシステムなので互換性は高い。ある意味、世界で最も充実した品揃えを実現させているのだ。サパーンレックが最強最後の海賊盤市場と呼ばれる理由がソコにある。


091
087
閉店後のショップ店内を激写! ソフトは軽量化&低価格化のためトールケースを排除している。足下に散らばるバーツの札束が生々しいが、こんな写真でも撮影に軽く応じる罪悪感の無さが…サパーンレック内の典型的なゲームショップ。座り込む子供連中は店の関係者と常連客。閉店後は従業員としてコピーROMのパッキング作業をお手伝いする。手前に陳列されている大量のGTAにも注目!
●サパーンレックで買ったソフトは、サパーンレックで買ったハードでしか遊べない!!??

 サパーンレックでは世界最多と思えるほどのバリエーション豊富なタイトルが揃っているが、問題もある(海賊盤云々ではなく)。サパーンレックで購入したコピーROMは、基本的にサパーンレックで売られているハードでしか起動しないからだ。販売されているハードは全て中古品で、漏れなく海賊盤が起動できるように改造を施してある。もちろんバリバリ違法であり、仮に故障しても正規の修理サービスは受けられないし、360に至っては本体改造が発覚すると、当然ながらアカウントを剥奪されてオンラインサービスの一切が停止する。それじゃあ「本体アップデートが必要なソフトはどうするん?」とは、『火垂るの墓』の節子でなくとも疑問に思うところだが、抜け道はしっかり用意されている。
 アップデートが必要な場合、各店がサービスとしてアップデート専用のコピーROMをくれたり、本体を持っていくとアップデート済み状態に改変してくれたりするのだ。まったくなんて連中だ……。サービスは充実しているが、その方向性が大いに間違っている。しかし、そんな文句は何処吹く風、である。何しろここはサパーンレック。何度も書くが、我々の常識など全く全然何も通用しない。
 ネット対戦に関しては日本よりも数が多いゲーム専門のネットカフェでプレイすれば良いし、そもそもタイは未だにADSLがデフォルトのため、高速回線による据え置きハードのネット対戦など一般家庭では不可能に近い。
DSC_0655
DSC_0652
改造済みのPS2本体。DVDのリージョンまでオールフリーだったり、ドライブが新品だったりすると価格が変化する。その陳列ケースの上でくつろぐ猫。ガラスがひんやりと冷たく、起動中のPS2が温かいので寝心地は最高の模様。これぞアジアの純真ってヤツですかね(古っ!)。
DSC_0656
076
こちらは改造済み360本体。良い子は買ったらダメ絶対ダメ!さすがにノーコメントということで。

 気になるハードの価格だが、改造済みのPS2本体が平均4000〜5000バーツ。新品に改造を施したものになると6000バーツほどになる。Wii本体および360本体は、少し高めの7000バーツからのスタートなるが、それでも1台買ってしまえば、あとは激安コピーROMを買いまくるだけ。メタクソな話だが、これが東南アジアの現実である。ちなみに他で買った未改造のハードを持ち込めば改造を施してくれる改造専門の店も多数ある。価格は店……というより店主の腕によって異なるが、平均で1000バーツ程度。預けてから早ければ数時間、遅くても数日で改造専用ハードに仕上げるらしい。需要と供給のバランスが崩壊しているからこそ成り立つ市場であり、呆れるを通り越して感心してしまう。
080_2
084
訪れた時期(6月下旬)に発売直後だった『SHADOW OF DAMNED』の海賊盤が大人気だったけど……。そんな撮影でも笑顔で応じる店員のチャンネーの罪悪感のなさ…改造請け負い専門店。分解されたハードの数々が世紀末感を煽るが、店員は明るい好青年。写真撮影にも軽く応じる兄ちゃんの……(以下同文)

●周辺機器は意外と高額?

 サパーンレックではハードもソフトも安いが、唯一高いものがある。専用コントローラーなどの周辺である。メモリーカード程度なら、ありえない大容量(表示詐欺が多い)の非正規品が腐るほど売られているが、コントローラーやアーケードスティックとなるとコピーが難しい……というより工業製品そのものなので、こればっかりは正規品を購入するしかない模様。
 日本未発売で筆者が大好物のリズムアクション洋ゲー『ROCK BAND』は、タイでも相当人気があるらしく、輸入品の専用ギタコンも売られているが、当然かなり高額。しかし、そこで転んでもタダでは起きないのが東南アジアのクォリティ。なんと、ギタコンそのものをコピーして、しかも専用のオリジナルタイトルをコントローラー内部に同梱したパチモンゲームマシンが大人気だったりする。筆者が確認しただけでも5〜6種類売られており、その名称も含めて思わず軒先で爆笑してしまったのもイイ思い出だ。サイズがでかいのが旅行者にとっては命取りだが、コピーROMと違ってオリジナル商品(それでも相当グレーゾーン)なので、荷物に余裕があれば土産に買うのも悪くない。欲しがる人がいればの話ですが。
085
033
ROCK BANDパチモンギタコンin 1ゲーム機の在庫。それぞれの名称が本当にイカす!『GUITAR STAR』だってよ! サイズも心なしか小さくなってる気がする。

●あなたの知らないGTAの世界

 さて、ここからが本題である。ゲームにまつわる商品であれば、実に豊富なラインナップを誇るサパーンレックであるが、売っているソフトに話を限れば、必ずしもコピー商品だけが主力ではない。そう、サパーンレックには単なるコピー,海賊盤を超えた究極のゲームソフトが流通しているのである。それこそが筆者が我が目を疑った存在。事情通ならば、その存在は知られていたが、まさかこれほどのバージョンが存在したとは……と、息を飲んでしまった驚愕の人気タイトルがある。それが通称"クローンGTA"だ!
 世界最高峰のアクションゲームは、ご他聞に漏れず東南アジアでも大人気を誇っている。しかし、ただ人気があるのを通り越して、ゲーム内容そのものに大幅に改造を加えてしまった、データ改竄済みのMOD仕様が超絶すぎる! 内容は基本的に改造の容易な『GTA:バイスシティ』および『GTA:サンアンドレアス』が中心だが、問題なのは改造そのものより、その方向性。有名どころでは、『GTA:SA』のキャラを某ドラ●ンボールの登場人物たちに書き換えて、おまけにスーパー●イヤ人に変身して通行人をワンパンチで撲殺したり、ベ●ータとなって空を飛んだりできる超絶改竄を実現させた『GTA:ド●ゴンボール』や、バイスシティの登場人物をス●イダーマンやスー●ーマン、ウ●バリンなどに代表されるアメコミヒーローに書き換えた『GTA:ス●イダーシティ』などが挙げられるが、現在は更にバージョンが増加して、某人気忍者漫画のキャラに書き換えた『GTA:SHINOBI WORLD』や、登場する車が某ゲームの車種にソックリ書き換えられた『GTA:ニード・フォー・スピード』、データ改竄により、削除された要素が全て復活し、無敵かつ無法の最強プレイが楽しめる『GTA:サンアンドレアス2』、マップ全てが豪雪に覆われた『GTA:サンアンドレアス SNOW』、そして究極は、サンアンドレスの主人公CJをニコ・ベリックに書き換えてしまったPS2版『GTAIV』あたりになると、もはや何がなんだか理解できない地平に到達してしまっている。
DSCF5571
DSCF5570
DSCF5569
 これはもはや単なるブートレグを超えた「オリジナル海賊盤」という、世にも奇妙なジャンルの誕生である。データ改竄ソフトは他にも確認されたが、種類の多さではGTAがダントツのトップだった。これがアジアの現実だ。筆者は、自分の知らない文化圏で生まれたゲームソフトを求めて洋ゲーにドップリとハマったが、まさか今更こんな世界が誕生しているとは、話には聞いていても、この目で確かめるまでは信じられなかった。地球は広い! そして世の中には、まだまだ自分の知らないゲーム文化が存在すること知り、その認識不足を深く反省した次第。ちなみにサパーンレックで売られている海賊盤ソフト全てに共通している注意事項がある。これらのコピーROMは、GTAに限らずコピー作業がいい加減なために焼きミスがあっても平気で売っている。起動できないROMも多いので、本気で遊びたいなら同じソフトを複数購入する必要がある。されど1枚50バーツ。日本でならペットボトル飲料1本分の値段なのだから、保険としてはお安いリスクと断言できる。

 また、サパーンレックはタイ全土および周辺国で販売されている海賊盤ソフトの供給源であり卸問屋の集合体である。よほど大量に購入しない限り値引きには応じないし、値引きしてくれるほど大量に買ったら間違いなく税関で没収される。もしも、である。もしも買うのであれば、あくまでもジョークの範囲内に留めておいてほしい。どのみち買ったところで普通のハードでは起動できるわけもないので、買うこと自体がギャグなのだが、きちんとリスクも考慮してこその大人の買い物であることを承知していただきたい。これはあくまでタイのお話。旅先の思い出として残しておきたい1ページにすぎないのである。

 そしてまだまだ電脳珍道中は続く。次回更新はサパーンレックにほど近い超絶無法フリーマーケットであり、某人気戦場カメラマンが「もしも〜カメラや機材が盗まれたら〜、ここに来れば〜買い戻すことができます〜」と語っていた本物の暗黒市場"クローントム"に突撃! 土曜の夜なら24時間営業! 絶滅したかに思われた時代遅れのソフトやハードも現役で販売中! 他にもアレもコレも何でもかんでも、買えないモノは人の心ぐらい(それさえも何とかなりそうな気がする)という狂乱の泥棒市場潜入レポートをお届けします!
 乞うご期待!
 MAGICAL SUPER THIEF ASIA!!!!!!!!!!!!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|13:00

ソーシャルブックマーク

はてなブックマークに追加 ライブドアクリップに追加 Yahoo!ブックマークに登録

マスクド警部の特捜タイ前線 PART1〜東南アジア最強最後のゲーム魔境サパーンレックを往く

2011/08/30 (火曜日)

large
早朝で、まだ人の往来が少ないヤワラー通り。ここから画面奥に向かって15分ほど歩けば、サパーンレックに到着する。

 MAGICAL SUPER ASIA!!!!!!!!!!!!
 親愛なる読者諸兄の皆様、お久しぶりです! 『L.A. NOIRE』のレビュー以来、更新が途絶えておりましたが、この度復活しました! 途絶えていた理由は色々あるんですが、まぁ単純に多忙を極めていただけです。そして多忙になった理由こそ、今回の題材にもつながってくると。前回更新の『L.A. NOIRE』レビュー記事冒頭においても少し書いたけど、筆者はあの東日本大震災直後に仕事が激減。震災の影響で出版業界全体が当面の間、部数やページ数の削減を余儀なくされ、筆者のようなフリーランスの根無し草は真っ先にその影響を被るワケですわ。そこで思い立ったのが、以前から計画していながら、時間が無くてなかなか実行に移せなかった東南アジア長期旅行。仕事が無いうえに金も無い状態だったけど、自分のコレクションだったビンテージ古書漫画を一気に処分して現金を得て航空券を入手。その勢いのまま3月末日には女房と2人でタイの首都・バンコクに降り立っていた次第。欧米には仕事柄よく行っていたものの、東南アジア旅行の経験はインドと韓国ぐらい。とにかく何もかもが無計画な状態で日本を出発してしまい、手元にあるのは僅かな荷物と3ヶ月のオープンチケットだけ。そこから何をするか? 何処に向かうのか? おまけに全てが手探りのNO DATAな状況で繰り広げられた3ヶ月に及ぶ珍道中は、それはそれは人生観を変えるほど刺激的なものだった。

 そんな話を帰国後に担当編集者に話すと、是非それを書いてほしいと依頼された。それはそれで非常に嬉しい申し出だが、自分が見てきたモノはこの世の果ての無法地帯。そんなリアルにも程があるワイルド・ウェイストランド旅行記を、仮にも"ファミ通"の冠が付くブログで執筆して良いものか? 小1時間ほど悩んだが、何でもアリのアジア市場の現状を告発するという体裁でならアリ! と判断し、今回の執筆に至ったのである。

 前置きが長くなったが、これより筆者の文章は東南アジアの闇の奥……映画『地獄の黙示録』の原作となったジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』そのままの世界に侵入する。旅先における筆者の行動は全てゲームの研究のための冒険であり、フリーランスの物書きとして自己責任の元で行動しているので、筆者の見たこと聞いたこと体験したことに関しては、事実として全てをありのままに報告したい。読者諸兄には、それを決して薦めないし、真似することもオススメできないが、そこから何を感じ取るかは読者の皆さんの判断におまかせしたい。批判も賞賛も無用だ。ただソコにある現実を知ってもらえれば、それで良いのだ。アンダーカバーした甲斐があるってもんである。

 それでは共に旅立とう……闇の奥の世界に!!


●灼熱の国・タイ。そこは秩序と無秩序が混在する微笑みの国

 一度でもタイを旅行した経験がある人ならば、そこは日本の常識が全く全然何も通用しないアジアの大国であることを実感するだろう。4月の平均気温は37度を超え、湿度は80%を余裕でオーバー。そんな筆舌し難い暑さの中でありながら、観光地の目抜き通りには所狭しと屋台が出店し、バーナーで焼き鳥を焼いていたり、プロパンガスのコンロでトムヤンクンを煮ていたり、炭火で魚を焼いていたりするのだから、気温は一気に40度を超える。夜でも、だ。その代わり、コンビニからショッピングセンターからタクシーの車内にいたるまで、上着が無ければ凍え死ぬほど冷房が効いており、四季折々の気温に慣れた日本人は一発で自律神経がおかしくなる……のだが、人間とは強い生き物で、2日もすればそんな暴力的なタイの気候にも慣れ、しまいにゃ日本の猛暑など「タイに比べれば全然」なんて軽口まで叩けるようになるから驚きだ。  驚くような体験、経験は他にも幾らでもあるのだが、このブログはゲームブログなので、まずはゲームのネタを執筆するのが先ということで、細かい生活描写やグルメ体験などは省いてゲームの話について書く。それもタイのゲーム市場を語るにおいて、決して避けては通れないブートレグ市場について!

●東南アジア最大最強、そして最狂の海賊版市場"サパーンレック"
R0015333
R0015330
こちらは夕方のヤワラー通り。歩道には人がスレ違うのも困難なほど屋台が出店し、皆そこら中でメシを喰ったり、将棋を指したり、酔っぱらってケンカをしたり、ポン引きが客引きをしている。 路上の有名中華料理屋台。パッタイ(タイ風焼そば)やシーフードがメイン。安くて旨いが、車も多いので排気ガスに塗れるのが最大の欠点。すぐ横には24時間体制で娼婦がたむろする連れ込みホテルもある!

 読者諸兄の中にも一度はその噂を耳にした人がいるかもしれない。バンコクはおろか、東南アジア最強と呼ばれる海賊版市場の存在を。筆者は10数年前に、東南アジア電脳旅行記のパイオニアであるクーロン黒沢氏の著作を読み、その存在をしった。市場の名前はサパーンレック。"バンコクの上野"と呼ばれるファランポーン駅近くにある、多くの華人(※タイの中国系住民)がひしめくように暮らすエリア"ヤォワラート"……通称ヤワラーの外れに、この海賊版市場は実在する。しかし、そこに辿り着くのは至難の技。タイに長期滞在してる人ならともかく、一介の観光客が向かうには困難が多過ぎる。

 まず、近くに電車の駅が無い。路線バスは走っているが、経路が複雑なので観光客には不向き。しかし、タクシーの運転手に「サパーンレックまで!」と伝えても、まず通じない。そもそも、タイのタクシーは乗車する前に行き先をドライバーに告げ、ドライバーが納得しないかぎり目的地に連れて行ってもらえないうえに、メーターを倍速計算にしたり、メーターを倒さずボッタクリ料金を掲示してくる悪徳運転手がも多いから交渉スキルが試されるが、とりあえずファランポーン駅までなら地下鉄が走っているので、そこからヤワラー通りまで(わりと近距離だが)タクシーに乗る。ヤワラー通りは常に渋滞気味なので、車が動かないようであれば適当な場所で降りて、そこから徒歩、もしくは地元を流すトゥクトゥク(三輪オートのタクシー風移動車。天蓋付きで冷房無し、おまけに排気ガス浴びまくりだが、タバコが吸えるのが魅力)でサパーンレックを目指すのが基本となる。よりタイのローカルらしさを体験したければバイタクにも挑戦してみよう! しかし、トゥクトゥクの運転手は観光客を見るとタクシー以上にボッタクリ率が上昇し、事前の料金交渉をしっかりしておかないと下車した瞬間に法外な料金(それでも数百円単位)を請求されるというトラブルが後を絶たない。おまけにサパーンレックは地元のトゥクトゥクの運転手でも知らなかったりする。それは何故か?


 その理由は、サパーンレックの立地に由来する。サパーンレックは市場としては完全に非合法であり、自らがイリーガルな存在であることも自覚しているため、非常にわかりづらい場所に敢えて建立されている。そう、サパーンレックは決して表通りからは見えない、とんでもないエリアにあるのだ。
 ヤワラーのメインストリートを、ガイドブックの地図に掲載されている「ワット・チャイ・チャナソンクラム寺院」という名前を読むだけで舌を噛みそうな寺に向かってひたすら歩くと、次第に中華料理店が減り、メガネや靴や日用品を扱う問屋が増えてくる。その先に少し開けた交差点があり、そこを通り過ぎるとルプ・クルーン河という運河に架かる橋と国道35号線がぶつかるのだが、そのルプ・クルーン河の上に、川面が見えないほどの違法建築の小屋で埋め尽くされた光景が確認できる。そこが約束の地・サパーンレックだ!
DSC_0705
DSC_0703
サパーンレック入り口の目印となるルプクルーン河の看板(画面奥の緑のサイン)と国道35号線(画面手前の青いサイン)。とても電化製品を扱う市場があるとは思えない風情だが……。原付バイクとATMが並ぶ隙き間の闇の奥に、サパーンレックの入り口がある。軍資金はここのATMで用意しておこう。ちなみに付近には両替商など無いが、店によってはUSドルもOKな場合もある。
089
DSC_0658
こちらは反対側のサパーンレック入り口。籠売り侵入禁止の看板が目印だが、その下で喫煙に勤しむオヤジが何気にカメラ目線なのがタイの流儀。写真は撮るものではない!撮られるものなのだ!(BY根本敬著『定本ディープコリア』)サパーンレックに架かる橋の名前の看板だが、こんな名称をタクシードライバーに告げたところで「マイダーイ(意訳:知らねえよ)」と言われるのがオチ。参考までに。
081
large-1
サパーンレックを橋の上から見たところ。川面は一切見えず、見渡す限りトタン屋根ばかり。しかし、この内側にこそ"約束の地"がある! ヤワラーの薬局で発見したジャッキー・チェーンがイメージキャラクターを務める育毛シャンプー『覇王』。498バーツ(日本円で約1800円)は高いか安いか?
 幅約10数メートル、長さ約50メートルほどの規模で広がる水上マーケットの内部には、そんな狭いエリアにも関わらず数百軒のゲームショップがひしめいている。入り口は、これまた非常にわかりにくいのだが、橋の真横にATMが並び、所狭しとバイクが駐輪され、"籠売り侵入禁止"というアジアらしい標識が立つあたりが入り口だったりする。捜査員として、そこからの内部の様子を動画を撮影しながら侵入したので、さっそく下の画面の再生ボタンをクリックしていただき、その臨場感を味わってもらおう。

 いかがだったであろうか? 撮影したのは、ほんの一部であり、こんな感じで小さな店が延々と続くのがサパーンレックである。店舗は川の上のみならず、周辺のビル内部とも連結されているので、無目的に歩いていると、いつの間にか知らないビルの地上数階に迷い込んでしまったりする。しかし、サパーンレックにある店は98%がゲーム系、残り2%もカードゲームやフィギュア、日本の漫画雑誌などを扱う一大オタク地帯なのだ! そんな聖地を、タイ全土はおろか周辺国からも大挙して客が押し寄せるのだから恐れ入る。ちなみに営業時間は大体午前9時ぐらいから夕方18時ぐらいまで。17時を過ぎると、ほとんどの店が売り上げの計算を開始してシャッターを閉めてしまうため、行くなら人出の少ない午前中がオススメだ。ウィークエンドの金曜と土曜は少し長めに営業する店もあるが、それでも19時には閉まってしまうので注意が必要である。

 さて、サパーンレックに辿り着くまでに、かなり文字数を費やしてしまったので、続きは次回更新に回したい。果たしてそこで何が売っているのか!!?? 筆者がこの目で確認した限り、そこで購入できる商品は、単なるコピーROMでは終わらない。違法でありつつも自由市場という意識を最大限に拡大した、もはやブートだとか断罪するのが馬鹿らしくなるほどの創意工夫に溢れた品々が並んでいた。
 次回は、そんな究極の海賊盤ラインナップの詳細について告発したい!
 MAGICAL SUPER BOOTLEG ASIA!!!!!!!!!!!!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|15:58

ソーシャルブックマーク

はてなブックマークに追加 ライブドアクリップに追加 Yahoo!ブックマークに登録