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マスクド警部の特捜タイ前線 PART1〜東南アジア最強最後のゲーム魔境サパーンレックを往く

2011/08/30 (火曜日)

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早朝で、まだ人の往来が少ないヤワラー通り。ここから画面奥に向かって15分ほど歩けば、サパーンレックに到着する。

 MAGICAL SUPER ASIA!!!!!!!!!!!!
 親愛なる読者諸兄の皆様、お久しぶりです! 『L.A. NOIRE』のレビュー以来、更新が途絶えておりましたが、この度復活しました! 途絶えていた理由は色々あるんですが、まぁ単純に多忙を極めていただけです。そして多忙になった理由こそ、今回の題材にもつながってくると。前回更新の『L.A. NOIRE』レビュー記事冒頭においても少し書いたけど、筆者はあの東日本大震災直後に仕事が激減。震災の影響で出版業界全体が当面の間、部数やページ数の削減を余儀なくされ、筆者のようなフリーランスの根無し草は真っ先にその影響を被るワケですわ。そこで思い立ったのが、以前から計画していながら、時間が無くてなかなか実行に移せなかった東南アジア長期旅行。仕事が無いうえに金も無い状態だったけど、自分のコレクションだったビンテージ古書漫画を一気に処分して現金を得て航空券を入手。その勢いのまま3月末日には女房と2人でタイの首都・バンコクに降り立っていた次第。欧米には仕事柄よく行っていたものの、東南アジア旅行の経験はインドと韓国ぐらい。とにかく何もかもが無計画な状態で日本を出発してしまい、手元にあるのは僅かな荷物と3ヶ月のオープンチケットだけ。そこから何をするか? 何処に向かうのか? おまけに全てが手探りのNO DATAな状況で繰り広げられた3ヶ月に及ぶ珍道中は、それはそれは人生観を変えるほど刺激的なものだった。

 そんな話を帰国後に担当編集者に話すと、是非それを書いてほしいと依頼された。それはそれで非常に嬉しい申し出だが、自分が見てきたモノはこの世の果ての無法地帯。そんなリアルにも程があるワイルド・ウェイストランド旅行記を、仮にも"ファミ通"の冠が付くブログで執筆して良いものか? 小1時間ほど悩んだが、何でもアリのアジア市場の現状を告発するという体裁でならアリ! と判断し、今回の執筆に至ったのである。

 前置きが長くなったが、これより筆者の文章は東南アジアの闇の奥……映画『地獄の黙示録』の原作となったジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』そのままの世界に侵入する。旅先における筆者の行動は全てゲームの研究のための冒険であり、フリーランスの物書きとして自己責任の元で行動しているので、筆者の見たこと聞いたこと体験したことに関しては、事実として全てをありのままに報告したい。読者諸兄には、それを決して薦めないし、真似することもオススメできないが、そこから何を感じ取るかは読者の皆さんの判断におまかせしたい。批判も賞賛も無用だ。ただソコにある現実を知ってもらえれば、それで良いのだ。アンダーカバーした甲斐があるってもんである。

 それでは共に旅立とう……闇の奥の世界に!!


●灼熱の国・タイ。そこは秩序と無秩序が混在する微笑みの国

 一度でもタイを旅行した経験がある人ならば、そこは日本の常識が全く全然何も通用しないアジアの大国であることを実感するだろう。4月の平均気温は37度を超え、湿度は80%を余裕でオーバー。そんな筆舌し難い暑さの中でありながら、観光地の目抜き通りには所狭しと屋台が出店し、バーナーで焼き鳥を焼いていたり、プロパンガスのコンロでトムヤンクンを煮ていたり、炭火で魚を焼いていたりするのだから、気温は一気に40度を超える。夜でも、だ。その代わり、コンビニからショッピングセンターからタクシーの車内にいたるまで、上着が無ければ凍え死ぬほど冷房が効いており、四季折々の気温に慣れた日本人は一発で自律神経がおかしくなる……のだが、人間とは強い生き物で、2日もすればそんな暴力的なタイの気候にも慣れ、しまいにゃ日本の猛暑など「タイに比べれば全然」なんて軽口まで叩けるようになるから驚きだ。  驚くような体験、経験は他にも幾らでもあるのだが、このブログはゲームブログなので、まずはゲームのネタを執筆するのが先ということで、細かい生活描写やグルメ体験などは省いてゲームの話について書く。それもタイのゲーム市場を語るにおいて、決して避けては通れないブートレグ市場について!

●東南アジア最大最強、そして最狂の海賊版市場"サパーンレック"
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こちらは夕方のヤワラー通り。歩道には人がスレ違うのも困難なほど屋台が出店し、皆そこら中でメシを喰ったり、将棋を指したり、酔っぱらってケンカをしたり、ポン引きが客引きをしている。 路上の有名中華料理屋台。パッタイ(タイ風焼そば)やシーフードがメイン。安くて旨いが、車も多いので排気ガスに塗れるのが最大の欠点。すぐ横には24時間体制で娼婦がたむろする連れ込みホテルもある!

 読者諸兄の中にも一度はその噂を耳にした人がいるかもしれない。バンコクはおろか、東南アジア最強と呼ばれる海賊版市場の存在を。筆者は10数年前に、東南アジア電脳旅行記のパイオニアであるクーロン黒沢氏の著作を読み、その存在をしった。市場の名前はサパーンレック。"バンコクの上野"と呼ばれるファランポーン駅近くにある、多くの華人(※タイの中国系住民)がひしめくように暮らすエリア"ヤォワラート"……通称ヤワラーの外れに、この海賊版市場は実在する。しかし、そこに辿り着くのは至難の技。タイに長期滞在してる人ならともかく、一介の観光客が向かうには困難が多過ぎる。

 まず、近くに電車の駅が無い。路線バスは走っているが、経路が複雑なので観光客には不向き。しかし、タクシーの運転手に「サパーンレックまで!」と伝えても、まず通じない。そもそも、タイのタクシーは乗車する前に行き先をドライバーに告げ、ドライバーが納得しないかぎり目的地に連れて行ってもらえないうえに、メーターを倍速計算にしたり、メーターを倒さずボッタクリ料金を掲示してくる悪徳運転手がも多いから交渉スキルが試されるが、とりあえずファランポーン駅までなら地下鉄が走っているので、そこからヤワラー通りまで(わりと近距離だが)タクシーに乗る。ヤワラー通りは常に渋滞気味なので、車が動かないようであれば適当な場所で降りて、そこから徒歩、もしくは地元を流すトゥクトゥク(三輪オートのタクシー風移動車。天蓋付きで冷房無し、おまけに排気ガス浴びまくりだが、タバコが吸えるのが魅力)でサパーンレックを目指すのが基本となる。よりタイのローカルらしさを体験したければバイタクにも挑戦してみよう! しかし、トゥクトゥクの運転手は観光客を見るとタクシー以上にボッタクリ率が上昇し、事前の料金交渉をしっかりしておかないと下車した瞬間に法外な料金(それでも数百円単位)を請求されるというトラブルが後を絶たない。おまけにサパーンレックは地元のトゥクトゥクの運転手でも知らなかったりする。それは何故か?


 その理由は、サパーンレックの立地に由来する。サパーンレックは市場としては完全に非合法であり、自らがイリーガルな存在であることも自覚しているため、非常にわかりづらい場所に敢えて建立されている。そう、サパーンレックは決して表通りからは見えない、とんでもないエリアにあるのだ。
 ヤワラーのメインストリートを、ガイドブックの地図に掲載されている「ワット・チャイ・チャナソンクラム寺院」という名前を読むだけで舌を噛みそうな寺に向かってひたすら歩くと、次第に中華料理店が減り、メガネや靴や日用品を扱う問屋が増えてくる。その先に少し開けた交差点があり、そこを通り過ぎるとルプ・クルーン河という運河に架かる橋と国道35号線がぶつかるのだが、そのルプ・クルーン河の上に、川面が見えないほどの違法建築の小屋で埋め尽くされた光景が確認できる。そこが約束の地・サパーンレックだ!
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サパーンレック入り口の目印となるルプクルーン河の看板(画面奥の緑のサイン)と国道35号線(画面手前の青いサイン)。とても電化製品を扱う市場があるとは思えない風情だが……。原付バイクとATMが並ぶ隙き間の闇の奥に、サパーンレックの入り口がある。軍資金はここのATMで用意しておこう。ちなみに付近には両替商など無いが、店によってはUSドルもOKな場合もある。
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こちらは反対側のサパーンレック入り口。籠売り侵入禁止の看板が目印だが、その下で喫煙に勤しむオヤジが何気にカメラ目線なのがタイの流儀。写真は撮るものではない!撮られるものなのだ!(BY根本敬著『定本ディープコリア』)サパーンレックに架かる橋の名前の看板だが、こんな名称をタクシードライバーに告げたところで「マイダーイ(意訳:知らねえよ)」と言われるのがオチ。参考までに。
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サパーンレックを橋の上から見たところ。川面は一切見えず、見渡す限りトタン屋根ばかり。しかし、この内側にこそ"約束の地"がある! ヤワラーの薬局で発見したジャッキー・チェーンがイメージキャラクターを務める育毛シャンプー『覇王』。498バーツ(日本円で約1800円)は高いか安いか?
 幅約10数メートル、長さ約50メートルほどの規模で広がる水上マーケットの内部には、そんな狭いエリアにも関わらず数百軒のゲームショップがひしめいている。入り口は、これまた非常にわかりにくいのだが、橋の真横にATMが並び、所狭しとバイクが駐輪され、"籠売り侵入禁止"というアジアらしい標識が立つあたりが入り口だったりする。捜査員として、そこからの内部の様子を動画を撮影しながら侵入したので、さっそく下の画面の再生ボタンをクリックしていただき、その臨場感を味わってもらおう。

 いかがだったであろうか? 撮影したのは、ほんの一部であり、こんな感じで小さな店が延々と続くのがサパーンレックである。店舗は川の上のみならず、周辺のビル内部とも連結されているので、無目的に歩いていると、いつの間にか知らないビルの地上数階に迷い込んでしまったりする。しかし、サパーンレックにある店は98%がゲーム系、残り2%もカードゲームやフィギュア、日本の漫画雑誌などを扱う一大オタク地帯なのだ! そんな聖地を、タイ全土はおろか周辺国からも大挙して客が押し寄せるのだから恐れ入る。ちなみに営業時間は大体午前9時ぐらいから夕方18時ぐらいまで。17時を過ぎると、ほとんどの店が売り上げの計算を開始してシャッターを閉めてしまうため、行くなら人出の少ない午前中がオススメだ。ウィークエンドの金曜と土曜は少し長めに営業する店もあるが、それでも19時には閉まってしまうので注意が必要である。

 さて、サパーンレックに辿り着くまでに、かなり文字数を費やしてしまったので、続きは次回更新に回したい。果たしてそこで何が売っているのか!!?? 筆者がこの目で確認した限り、そこで購入できる商品は、単なるコピーROMでは終わらない。違法でありつつも自由市場という意識を最大限に拡大した、もはやブートだとか断罪するのが馬鹿らしくなるほどの創意工夫に溢れた品々が並んでいた。
 次回は、そんな究極の海賊盤ラインナップの詳細について告発したい!
 MAGICAL SUPER BOOTLEG ASIA!!!!!!!!!!!!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|15:58

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