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『レッド・デッド・リデンプション』ダン・ハウザーインタビュー完全版!(後編)

2010/11/05 (金曜日)

●オープン・ワールドのゲームを作るためには、その世界の生活全体を見せなくてはいけない

(編集部より:前回に引き続き、ロックスター・ゲームスのダン・ハウザー氏へのインタビューをお届けします。)

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<『RDR』の時代考証>
マスク・ド・UH(以下、UH)  100年前の当時の西部の人々の生活や風俗の再現が非常に細かいのですが、どんな資料を調べて再現したのでしょうか?
ダン・ハウザー(以下、ダン) それはもう“調査”に尽きる。R★には、フルタイムでリサーチだけを専門とするチームがいるんだ。オープンワールドのゲームを作る際には、その世界における生活全体を見せなくてはならない。西部の風景を作るだけならば、サンディエゴのスタジオ周辺が、まさにそういう風景なので簡単に作れるど(笑)、当時の人々の暮らし方については、本を読んだり、米国議会図書館へリサーチャーを送って写真を集めたり、"Sears"という老舗デパートの古いカタログなどを見て当時使われていた商品の広告を見たり、昔の新聞記事を参考にして情報を集めたんだ。
 このゲームの根底に流れるテーマでる、旧世界と新世界がぶつかり合っている様子がわかる情報を徹底的に拾い集めるのが重要だった。モダン・コンシューマー・アメリカン・グッズ(大量生産品)の誕生の時代だよ。
UH 登場人物たちが、女性キャラのボニーをはじめ、みんな歯が汚いところが細かいと思いました。
ダン 非常に優れたキャラクター・モデリングだね。コンピューターでは難しいことだが、フィーリングを大事にした。土で汚れた、有機的な質感の中から、人々が吹きさらしの世界で生きている感じなど、開拓時代の人たちの厳しい生活を表現している。そうでないと田舎がデジタル化して見える。


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<ゲーム史上最高の馬>
UH もう1つの『RDR』の主役といえば「馬」ですよね。馬を作るにあたって、一番苦労した部分は、どこでしょうか?
ダン アニメーションと、それを取り扱うメカニズムだ。GTAでは50種類くらいのクルマとバイクが走っていれば良かったけど、馬には個性がある。だから、苦労したのは馬のコアの部分のデザインと、乗馬を楽しくすることかな。馬は、このゲームでは重要な部分を占めるので、乗っていて楽しくて、しかも本物のように感じられないといけないと考えていたんだ。
UH ロデオの時の激しい動きや、太ももの筋肉、尻尾の動き、鬣(たてがみ)が風でなびくところなど、ゲーム史上最高の完成度の馬でした。
ダン それが我々のゴールだ。大きくて強い馬もいれば、小さくて弱い馬もいる。このゲームを作り始めて、色々新しいことを試したわけだが、最初から神経を尖らせたのが馬だ。馬の完成度が低いと、このゲームは駄作になってしまうからね。見た目もメカニズムも、これまでのゲームで登場した中では、一番いい馬だと思うよ。
UH 野良馬を捕まえてロデオで馴らすのは、GTAでクルマを盗むのと同じくらい興奮しますよね。長く乗り続ければ、馬との信頼度が増すところも、クルマでは味わえなかったです。
ダン それ以上に楽しいよ。GTAではクルマは乗り換えられるので、そういう興奮はない。乗り続ければ、それに従って馬の行動も上達するから、ぜひとも馬との交流を楽しんでほしいね。交流すれば、信頼度が上がり、それに従って馬の行動も上達するからね。


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<オープンワールドのゲームデザイン論>
UH  『RDR』のマップは、実際どのぐらいの広さがありますか?
ダン これまでで最大。『GTA:サンアンドレアス』の倍くらいか、それより大きいかも。しかし重要なのは、プレイヤーが完全に入り込んで、自分がどこにいるのか、わからなくなるようなマップにすることだった。荒野の探検を実感して欲しかったんだ。古典的な西部劇の様々な風景、山脈からメキシコの砂漠まで、それぞれが大きくてボリュームがある。これはとても重要なことだ。アメリカの西部は、特に英国や日本から来た人にとっては、とにかく巨大に感じるからね。このフィーリングをゲームに入れたいと思ったんだ。
UH 植物や岩といった自然の造形物を作るのは、ビルや家といった人口構築物を作るより大変だったのではないでしょうか?
ダン 技術面、モデリングで一番苦労したのは“断崖絶壁”だね。このワールドには崖がたくさんあるが、これを良く見せるのに大変苦労した。崖はすべて手作業で作ったんだよ。どうしてもコンピューターは直線が得意だからね。それを風や雨や太陽で曲げられたように見せ、環境が有機的に感じられて、風が吹いて埃が立って、陽が照り返しているように見せることが重要だ。それが全体としてのチャレンジだった。過去のゲームでは、片田舎をあれほど美しく見せていなかったからね。これはチャレンジだったが、全てのゴールでもあったんだ。
UH なるほど。天候変化や夜空の美しさなどは、尋常ではない完成度だと思いましたが、そのような苦労があったわけですね。

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ダン そしてゲームデザイン上の重要なポイントだが、ゲームを作り始めると起こる問題には、それに直面するまでわからない。このゲームを作っていて、自分たちは、オープンワールドについては誰よりも作り方を知っていると思い、ゲームデザインに真面目に取り組んでいたが、ここでGTAでは直面しなかった問題に直面した。それは「片田舎がとても退屈」だということ。これを解決する方法を見つけなくてはならなかった。GTAではクルマや人間があちこちにいて、警察がいて、エンターテイメントを提供してくれるし、あれこれインタラクションが可能なので、様々なミニゲームを作れば、それで完成する。これは過去にやってきたことだが、今回は町があって、誰かがミッションをくれても、それが終わればやることがなくなってしまう。そこでシステムを見直して、新しい発明しなくてはならなかったんだ。そのためにコンテンツを二層のレイヤーに分けてみた。1つは「ビーツ」と呼ぶシステムだが、これはプレイヤーにタスクをたくさん与える。道を進むと強盗が他人を襲っているとする。そこに加担して強奪することも出来るし、助けることも可能なら、何もせずに見ていることもできるようにしたんだ。
 もう1つは「フェリコ」システムで、鳥や熊などの動物が登場して、逃げ惑う人たちを食べてしまうかもしれない。動物を倒すこともできるし、放っておくことも可能だ。この2つのシステムが相互に働く、二層に構築されたイベントが有機的にプレイヤーの周りで発生する。動物はプレイヤーを追いかけたりもする。これが『RDR』のゲームデザインの上で、大きな突破口となったんだよ。
UH 二層のレイヤーによるゲームデザインですか! そうやって解り易い言葉で表現できることが、すごいです。
ダン ありがとう。プレイヤーは常にそのワールドにいるという感覚を持っているけれども、ストーリーに沿ったミッションをやってもやらなくても、実はあまり変わりはない。ストレンジャーも野生動物も関わるミッションも、ミニゲームにも、すべてテーマに一貫性があれば、プレイヤーには「自分はこの世界に生きているキャラクターだ」と感じてもらえるからね。もちろん、新しい何かを求めるゲーマーたちとの戦いみたいなところもあるよ。だからこそプレイヤーの没入感を高めることに努力しているんだ。


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<DLCと今後のR★の展開>
UH 『RDR』は、本編以外にもオンライン・マルチプレイヤーが作り込まれていますよね。また、すでに海外では、マルチプレイヤー・モード対応のDLCが何本か配信されていますが、今後の展開を教えていただけますか?
ダン 近い将来、日本でもDLC展開ができるはずだから日本のファンは期待して待っていてほしいね。今は『RDR』の世界にゾンビが登場する『Undead Nightmare(アンデッド・ナイトメア)』が最新リリースのDLCとなる。きっと日本のファンにも気に入ってもらえると思うよ。コンセプトとしては、1970年代の映画スタジオを想像してもらえると解り易いかもしれないね。昼間は上質の西部劇を作り、夜はB級ゾンビ映画を作っているような感じだね。1970年代のゾンビ映画風に仕立ててある。ゾンビにもゲームとしては退屈な部分があるけれども、自分たちは西部劇にゾンビを入れることで、面白いアングルを見つけたと思うんだ。何しろオープンワールドのゾンビゲームへのリクエストが一番多いからね。
UH 様々な映画のエンターティメントの味わいを、ゲームに持ち込んでいるんですね。
ダン YES! ゾンビ映画は、ある意味でカウボーイ映画と同じようにアメリカ的だ。2つのアメリカン・シネマの伝統を同じ世界で体験できるんだよ。他のタイトルではなく『RDR』にゾンビを取り入れたのは、どちらも同じぐらい映画的だったからなんだ。
UH また新しいチャレンジですね!
ダン そうだ。DLCは、今までと違うこと、主流でないことをやるには面白い手段だと思ったんだ。(R★が)完全なゾンビゲームを作りたいかどうかは、わからないが、このような小さなゲームを作ることは、既存の世界を面白く使う1つの方法だと思うよ。ゾンビがアメリカの片田舎にある丘を歩いているのを見ると、70年代のクラシック・ゾンビ映画のようで楽しいしね。ミッションにはシングルとマルチの両方が用意してある。そうそう! 是非とも「ゾンビ馬」の完成度も見てほしい。


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UH 非常に楽しみです! では、最後になりましたが、日本人には少し馴染みの薄い西部劇の世界ですが、日本のプレイヤーには、『RDR』のどんな部分を楽しんでもらいたいですか?
ダン 一番楽しんでもらいたいのは、ゲームデザイン全体だ。ワールドにいるという経験。このゲームの強みは、そこにあると思う。西部劇には、黒澤明の映画などを通じて侍文化や日本文化に繋がる部分もあるから、日本のファンにも楽しんでもらえると期待しているし、ある意味GTA以上に共感してもらえると考えているよ。
UH 最後に、今後のR★の展開を教えてください。どんな新作を準備しているのか知りたいですね。
ダン 現在は『マックス・ペイン3』を作っている。そして『LAノアール』も開発中だ。この2本のタイトルに総力を費やしていて、両方とも順調に進んでいるよ。日本のファンにも、きっと気にってもらえると思うよ!
UH 期待してます! 本日は長時間のインタビュー、ありがとうございました!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:33

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『レッド・デッド・リデンプション』ダン・ハウザーインタビュー完全版!(前編)

2010/11/04 (木曜日)

●西部劇のゲームなんか作って、周囲からバカだと言われたよ

 ファミ通11/11号(No.1143)に異例の4ページという大ボリュームで掲載された、ROCKSTAR GAMESクリエィティブ部門・副社長ダン・ハウザー氏インタビューが、リクエストにお答えして、4ページでも収録しきれなかった完全版を掲載! 読み逃した人はここでバッチリ最後まで読めます! インタビュアーは、ロックスターとは所縁の深い私マスク・ド・UH! しかも単身でニューヨークに乗り込み、ロックスター本社にて1時間40分にも及んだロングインタビューを隅から隅までご堪能ください。

<メイキング・オブ・RDR>
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マスク・ド・UH(以下、UH) このたびは『レッドデッド・リデンプション』(以下『RDR』)39点獲得および殿堂入りおめでとうございます。
ダン・ハウザー(以下,ダン) ありがとう! チーム全員が感謝しているよ。とても重みのあることだからね。自分たちが気にしているゲームレビューは世界に3〜4つあるけど、ファミ通はその中の1つなんだ。10点が3つと、9点が1つは、イイ点数だ。欧米の人たちは、『ファミ通』で良いスコアが出れば、海外のゲームでも優れていると考えるからね。
UH ダンさんがロングインタビューの形でファミ通誌上に登場するのは初めてのことなので、ロックスター・ゲームス(以下R★)を愛する日本のファンの多くが、ダンさんの発言に注目すると思います。それを踏まえて、まず、ダンさんがR★において、どのような肩書きで仕事をされているのか、簡単に教えてもらえますか?
ダン 肩書きはクリエイティブ部門の副社長だ。仕事はゲーム開発全般がうまくいくようにすることだね。R★ではチーム全体での努力にフォーカスしているが、自分が関わるのは技術以外のところだよ。キャラクターやストーリー、ゲームデザインに関するところだ。技術のことになる途端に自分は追い出されるけど(笑)、技術以外では多くのスタッフを助けている。R★では、一人が何かをやるのではなく、常にチームとして動いているんだけど、自分は色々なエリアの仕事を助けるシニア(上級職)の一人なんだ。
UH 『RDR』の開発においても、『GTA』シリーズ同じ形で関わっていたのですか?
ダン もちろん。技術以外のすべてだね。特に深く関わったのはキャラクターとデザイン、ストーリー、ワールドの感じられ方、人々の話し方など様々なことかな。また最初から最後までのゲームの流れもね。
UH 日本では『GTA』シリーズのシナリオ・ライターとして、また、サム・ハウザー社長の実弟であることで知られていますが。
ダン それはその通り。『GTA』でも一緒だけど、『RDR』では自分とサムとレズリー・ベンジース(※ROCKSTAR GAMESのGTA開発部門ROCKSTAR NORTHのプロデューサー)の3人が全部のゲームの開発をまとめているんだ。自分は開発の初期を面倒見て、レズリーは、技術的にすべてをまとめる役なので最後の仕上げの段階を。そしてサムはゲーム開発の全体の流れを管理している。だから自分はシナリオライターでもあり、デザインもやり、同時にチームがフォーカスしやすいように動く。サムはプロデュース面で同じことをやり、全体を動かしているんだよ。
UH そのようなスタイルでR★のゲームが開発されてることは日本では知られていませんね。
ダン そういう意味では、『RDR』は『GTA』と同じクルーが作った。同じ開発チームではないけれど、シニアは同じだよ。そしてR★サンディエゴ・スタジオの優れた人材に、自分たちシニアの専門知識が『GTA』と同じように活かされたオープンワールドのゲームを作ったんだ。精神面は『GTA』とは違うけど、技術的な専門知識やデザイン上の理解は同じなんだよ。


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UH それでは、『RDR』制作までの経緯を伺いたいのですが。
ダン まず最初に『レッドデッド・リボルバー』というゲームを作った背景から説明しないといけない。カプコンが途中まで開発したものを入手して引き継いだものだった。カプコンのスタイルのゲームデザインに、R★による研磨で仕上げて、音楽を加えたものが、最初の『リボルバー』だ。
 当時、他のオープンワールドのゲームを作っていたんだけど、カウボーイの設定がとても気に入って、オープンワールドにピッタリだと考えた。こうして『RDR』のアイディアが生まれたんだ。オリジナルの『リボルバー』から引き継いで残したのは、<デッドアイ>の射撃システムとタイトルの『レッドデッド』の部分、そして西部という設定だけで、残りはすべて新しくした。でも遊びで残している部分もあるよ。たとえばキャンプファイアーの回りに座っている人たちの会話が『リボルバー』の話題だったりするんだ。
UH それは細かい遊びですね! 
ダン そこまで日本語字幕があるから、よく聞いてみると面白いよ。それで『リボルバー』発売後の少し後、西部を舞台にした本格的なオープンワールドのゲーム、最初から最後まで本物のR★スタイルのゲームを作りたい思ったんだ。その最初の難関は、<感傷的で安っぽく感じられる西部劇にはしないこと>だった。そして現代の若い世代にも共感してもらえるテーマと精神性を持たせたかった。そのために時代背景も19世紀末期ではなく1911年に設定した。西部開拓時代の終焉から新しい時代に突入する頃ならば、古典的な西部劇でありつつも、現代のファンにも共感してもらえるストーリーを取り入れていけると考えたんだ。
UH 実際の開発期間は?
ダン 全部で5年。最初の2年は小さなチームで、後の3年は大きなチームになったんだけど開発期間中には3つの技術的な挑戦を行った。それは“馬”と“美しい田舎”、そして精神的にも地理的にも退屈しないように、大勢の人々を配置することだった。


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<キャラクター設定とデザイン>
UH 主人公ジョン・マーストンは、これまでのR★のゲームにはいなかったタイプの、まったく新しい魅力を持つ主役級キャラクターですが、その人間性、性格で最も表現したかった部分を教えて下さい。
ダン 興味深い人物であることは必要だが、まずゲームデザインに合致してないといけない。しかしプレイヤーに自由が必要だし、またストーリーはある程度制限される。このゲームをプレイする人は、善人と悪人のの両方を試したいだろうから、それが可能な性格を表現したかった。この基本設定を発展させるためにガンマンの時代が終わり、米国西部開拓が終わり、技術的に進んだ新しいアメリカが始まりつつある時代設定になっているんだ。そして、マーストンには家族もいるので、自らの過去から逃れられない。
UH モデルにしたり、インスパイアされた俳優や実在の人物は?
ダン それはいないね。すべて我々が考え出したものだ。プレイヤーは、このキャラクターと共に長い時間を過ごすことになるから、人間として深みがあり、人格的に豊かで、しかも一貫性のあるところも含まれるように、ゲームにうまく合致する人物に仕上げたんだ。
UH なるほど。色々な西部劇の主人公のカッコいいところを集めたような印象を受けました。
ダン その通り。直接何かをコピーするのではなくて、色々なところから良い部分を持ってきて、整理したんだ。クラシックな西部劇だが、特定の誰かではない、現代の人たちに共感してもらえる人物を目指したんだよ。
UH ダンさんは、西部劇映画は好きですか?
ダン イエス! しかし熱狂的なファンではないよ。好きな作品もあれば、退屈と思う作品もある。『RDR』の開発中は、以前よりは西部劇の映画を観るようになったけど、出来の悪い映画を多く観るよりも、好きな映画を何度も見るほうがイイよね(笑)。
UH 今はほとんど西部劇の映画は作られていませんが……。
ダン だから、西部劇のゲームの開発に予算を注ぎ込んで、周囲からはバカだと言われたよ。これまで西部劇のゲームは売れなかったんだ。北米では売れないし、ヨーロッパや他の地域ではもっとダメだ。だからこそ、自分たちでしっかりしたゲームを作るだけではなく、「現代の人たちに共感してもらえるゲームを作るんだ」という意識を持って開発を進めていたよ。
UH 多くの人物が登場し、主要なキャラクターだけでも大勢いますが、ダンさんがお気に入りの登場人物は誰ですか? 
ダン 主要なキャラクターだけでも15人ぐらいいるけど、自分は詐欺師のウェスト・ディケンズと、セス・ブライヤーが好きだね。彼らは普通じゃない(笑)。
UH 私が一番好きなのはハロルド・マクドゥーガル教授ですかね。クスリ中毒で、いつもシャツがズボンからはみ出してて……。
ダン そうそう(笑)。でも当時はクスリも完全に合法だったからね。クスリをやることでインテリになったと思っている、だらしない男なんだ。ゲームのテーマにも通じるように、彼はモダンな人物であり、一方のジョン・マーストンは、オールド・ファッションというコントラストになっている。教授は片田舎にやって来た“モダン・アメリカン”なのさ。
UH たくさんの個性的なキャラクターが登場する『RDR』ですが、R★の作り上げる人物像には、常に何かしらの皮肉が込められている気がします。主人公以外の登場人物の設定や性格を作り上げるにあたって、重要視した部分は何でしょうか?
ダン キャラクターというのは、ゲームに限らず退屈しないように作らなくてはいけない。このようなゲームの中では、15人のタフなカウボーイを用意するだけではダメなんだ。ジョンソン保安官のような真面目な人、マクドーガル教授のようなジョークっぽい人など、様々な人間が登場するが、一人一人が二面性を持っていて、英雄的かと思うと、うぬぼれ屋だったり、小心者に見えて結構な太っ腹だったりと、見た目の通りのストレートな人物像ではなく、一個の人間的な性格になっているんだ。冗談ばかり言うと思ったら悲劇的な背景を持っているとかね。主人公のマーストンについては、この人物は悪い状況に置かれた善人なのか、それとも少し善人の心を持った悪人なのかは明確ではない。どちらなのかは物語の最後にプレイヤー自身に判断してもらいたいんだ。


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<出会いミッションについて>
UH 『GTAIV』にもありましたが、本編のストーリーとは直接関係のない“出会いミッション”のイベントも非常に面白いですね。しかも『GTAIV』の時より、さらに研ぎ澄まされた感じがします。これをゲームに加えた理由を教えてください。
ダン 「研ぎ澄まされた」という表現は、まさにその通りだと思う。『GTAIV』では、全く同じではないが似たものが入っていた。これは、まず『GTAIV』で実験をして、やり方をつかみ、今回はそれを改善した。メイン・ストーリーとは違う感覚に仕上げて色々な人物と出会えるようにしたんだ。そうすれば、ゲームプレイで、好きな時間に遊べるタスクが増えるからね。
UH 『GTAIV』の場合は、現代の物語だから人物像も現代的ですよね。しかし『RDR』の場合は、物語の舞台が100年前だけに、何か説明のつかない不気味な話が加わっているのが面白いと思います。
ダン ゲーム設定が片田舎であり、争いがある環境の中では、都市部より脅かされている。だからプレイヤーが出会う人々の中には変な人物もいて、彼らの行動は先が読めないし、100%論理的でもないし、理由づけができないんだけど、これは重要なことなんだ。この幅広さがゲーム全体のフィーリングをかもし出したと思っているよ。論理的ではなくとも、ゲームを活性化させられるし、それなりに筋も通っているからね。
UH 私は<出会いミッション>の中では“お見通し(I Know You)”がお気に入りです。あれは、ものすごく不気味な話でした。なんともいえない気分にさせられましたよ。
ダン GOOD!! ちょっと超自然現象的な話なので、これを入れるのは少し賭けだったよね。しかしカウボーイという存在には神話的な部分もあるから、ゲーム全体の経験の中に、何か他のものを追加できると思ったんだよ。結果としてはうまくいったけど、神経質にはなったよね。
UH あと、“花を集めるおじいさん”とは、ヤバい出会いでしたね。
ダン そうそう! 彼には笑ったよね〜。
UH そういう細かい描写や背景が、ただの銃撃戦ゲームに終わらない、深い味わいを出していたと思います。猟奇的な部分もあるし。
ダン その通りだと思う。オープンワールドのゲームでは、とてもうまくいくケースもあるんだ。今回はゲームを活性化できたよね。物語性の面から言えば、それぞれ完結する、たくさんの短い物語があり、最後には誰が死ぬのか、崖に飛び込んで死ぬのかなど、楽しみが増える。我々にとって“出会いミッション”は、『RDR』を構成する大事なゲームの一部だよ。
UH 食人一家のエピソードも取り入れているのも、すごいですよね。
ダン 実はベースにしているのは、15世紀にスコットランドの片田舎、グラスゴーとエジンバラの間あたりに実在した食人一家(※15世紀に実在したとされる食人ファミリーの“ソニー・ビーン一家”のこと。洞窟で暮らしながら20年間に数百人を襲い、金品を奪って食人行為を続けたが、最後は王室の派遣した軍隊に捕まり処刑された)だ。この人たちのエピソードを本で読んでいて、面白かったのでゲームに加えてみたんだよ。アメリカの西部で本当に同じようなエピソードがあったかどうかは知らないが、恐らくあったと思うよ。片田舎というのは、美しくもあるが、恐ろしい面もあることを再現したかったからね。
UH 美しさと恐怖というギャップが、ただキレイなだけじゃない、しかし猟奇的だけでもない『RDR』の持つ深さなんでしょうか?
ダン その通りだね。それは我々にとって大事なことだった。オープンワールドは360度あり、人々の生活のすべて取り入れたい。お尋ね者や、白い帽子を被った善良な人たちや、黒い帽子を被った悪人だけを登場させてもダメだ。風変わりなもの、おかしなもの、その中間のものなど、すべてを入れたんだ。
(以下、後編に続く!)


投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|10:33

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