DEATH FROM ABOVE !!
『KILLZONE 2』のブログを書いた時に、開発会社であるGUERRILLAが、どんなにスゴイ会社か軽く補足した(読んでない人は過去記事参照)。GUERRILLAといえば、筆者的に真っ先に思い浮かべるのは、ベトナム戦争TPSアクション『SHELL SHOCK:NAM’67』だ。主人公は海兵隊員となり、地図もなければ敵の全貌も掴めない未開のベトナムのジャングルを突き進み、突然襲いかかってくる北ベトナム軍ゲリラを倒すのがゲームの大まかな内容だが、TPSゲームの開発技術が現在ほど進んでいなかった当時にしては、かなり遊び易いゲームデザインとなっていたと思う。
ちなみにタイトルの『SHELL SHOCK』の意味は、“爆音恐怖症”。戦場で兵士が発症する一種の精神疾患である。起源は20世紀に入ってからと新しく、最初の症例は第一次世界大戦におけるヨーロッパ戦線だった。長期間の塹壕戦に投入された最前線の兵士は、この大戦から導入された新兵器である戦車や空爆、長距離砲の攻撃によって疲弊し、震えやシャックリが止まらなくなったり、まっすぐ立ったり歩いたりできなくなってしまう。この新しい病気を総称する言葉がSHELL SHOCKなのだった。現実戦争と戦争ゲームの関わりや、ベトナム戦争ゲームの詳細な考察に関しては、『洋ゲー通信 AIRPORT 51』に詳しいので、未読の方は是非とも読んでやってほしい(宣伝)。
筆者的には好評価の『SHELL SHOCK』だが、腐っても洋ゲーなので遊び易い日本のゲームに慣れた人には結構ツライ内容だったのも事実。もちろん日本版は発売されなかった。その理由として挙げられる残酷表現に関しては極上で、ヘッドショットや吹き飛ぶ四肢、生皮を剥がされた米兵の死体オブジェや農民のフリをしてナタで襲いかかってくるゲリラなど、ベトナム戦争の最中に起こったと思われる悲劇は、ほぼ全て再現されていると言い切れる。さらにミッションを攻略して報酬を貯めると、ベトナム人やり手マダムの紹介で「5ドルでXX」できたり、ヌードトランプを集めたり、チートコードを入力するとLSD服用状態を再現したサイケデリックモードでプレイできたりと、色々と悪フザケが過ぎる面が多々あるのもステキだ。何度も書くが、日本版は発売されなかった。
この『SHELL SHOCK』こそ、GUERRILLAというデベロッパーの知名度を押し上げたのは間違いなく、細かな技術と大胆なゲームデザイン、そして戦場の過酷さを臨場感タップリで再現するセンスは、後の『KILLZONE』にバッチリ発揮されている。
さて、本題はここからである。GUERRILLAが『KILLZONE 2』を発表したその裏で、『SHELL SHOCK』の続編が、さりげなくリリースされていた事実は、あんまり知られていない。そのタイトルは、
『SHELLSHOCK 2:BLOOD TRAILS』!!!!!!!!!!!!!!
なんと前作のTPSからFPSに生まれ変わり、ハイデフマシン初登場のベトナム戦争ゲームということで、筆者的な期待も高かったのだが、いざ発売日にゲットしてフタを開けてみれば、それはもう全く全然何も前作とは関係ないゲームだった! その最大の原因はデベロッパーがGUERRILLAからREBELLIONに変更されたことだろう。なぜGUERRILLAが続編を手掛けなかったのか定かでないが、とにかく全然違うゲームに生まれ変わってしまった。何がどう違うのかというと、内容が完全にホラーゲーム化してること。ベトナムの戦場で謎の感染症が発生し、最前線の兵士は北ベトナム側も米兵側も、もれなくゾンビ化。様々な武器を駆使して戦場から脱出するのが目的という、まるでLEFT 4 DEADのような状況に、ゲーム開始直後から放り出されるのである。
大抵の人は、この続編の内容を知ると「そんなのベトナム戦争に関係ないじゃん!」と思うかも知れない。筆者も一瞬そう思ったが、よくよく考えてみると、あながち無関係でもないコトに気づいてしまった。その理由はイタリア製の食人映画の佳作『地獄の謝肉祭』(原題『CANNIBAL APOCALYPSE』)にあった! 1980年に公開されたこの映画。時期的にはコッポラの名作『地獄の黙示録』に完全便乗するカタチで日本でも公開され、TVCMの「一度喰ったら止められない」のキャッチコピーと共にドテッ腹を背後からショットガンで撃たれ、大きな穴が開いて向こう側が見えるゴア描写が、多くの人々にトラウマを与えたことでも有名なこの作品。その内容は単純で、ベトナム戦争で捕虜になった米兵たちが、なぜか人肉食を好む奇病に感染。帰還兵となって故郷に帰っても人肉の味が忘れられず、人々を突然襲い始める……ハッキリいってB級ホラー映画です。
ちなみに主演は『燃えよドラゴン』でアメリカ人空手家ローバーを演じたジョン・サクソン。彼氏の代表作は『燃えドラ』と『地獄の謝肉祭』ぐらいしかないが、イタリアB級映画界では大物と筆者は認識している。
『SHELL SHOCK 2』は、間違いなく『地獄の謝肉祭』を踏襲していると、筆者は勝手に判断している。
肝心のゲーム性は格段とダウンしており、銃を撃つよりもナタで殴り斬ったほうが早く敵を倒せるという仕様。ジャングルも真っ暗で、何がどこで、どこへ行けばいいのかサッパリわからないが、戦争ゲームではなくホラー
ゲームとして遊べば、この暗闇仕様にも合点がいく……かな?
いかねーよ! なんだよソレ!
というのが正直な心の叫びだが、これも世界で唯一の『地獄の謝肉祭』フォロワーゲームと思えば、その価値は急上昇する(と思う)。救いとしては360版の実績解除コンプが、かなり楽なところ。スコアの底上げに1本いかがですか?
『地獄の謝肉祭』の北米版ビデオ。日本版DVDはSPOより発売中。
色んな意味で傑作なので、とりあえず観とけ!
ちなみにこの『SHELL SHOCK 2』は、北米のゲーム雑誌『OXM(オフィシャルXBOXマガジン)』誌上のレビューにて、おそらく近年のゲームレビューで最低レベルの2.0ポイントという評価が下されている(レビュアーは北米XBOX LIVEの番組でお馴染みのRYAN KING氏)
Shellshock 2: Blood Trails and Shellshock: Nam’67 are trademarks of Eidos Interactive Limited. All rights reserved.