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スタイリッシュ大虐殺! 『MADWORLD』で世界を殺せ!

2009/03/16 (月曜日)

 TOO MUCH BLOOD !!!!!!!!
 最近アレだよね、洋ゲーも完成度が高くなったせいか往年の過激さや馬鹿さ加減が足りない気がするんだよオレは。90年代から2004年ぐらいまでの洋ゲーって、ホント凶悪なタイトルが多かった。モラルへの挑戦というか、とにかくMATURE指定で販売が制限されることを逆手に取った超残虐な描写や内容のゲームが時折登場して、もちろん日本でリリースなんかされないから、海外版コンソールを持っていた一部の洋ゲーマニアさんしか遊んでいなかったし、そんなゲームを喜んで遊んでいると変態呼ばわりされたのも、今となっては懐かしい思い出ですよ。
 しか〜し! そんな変態洋ゲーマーである筆者のココロの琴線を激しく掻きむしるタイトルがドロップされた! しかも日本国産! なのに北米オンリーの発売! それもWii専用タイトルなんだから二度、三度どころか四度ビックリな事態、いや事件である。
 そのタイトルは『MADWORLD』。プラチナ・ゲームズ×セガによるビッグプロジェクトにおいて海外リリースのみがアナウンスされていたが、その時点で日本版発売は全く全然何も未定。目指すは「家族で楽しむ残虐エンターテイメント」ということで話題になったが、語るべきところはソコじゃない。本作には「いわゆる洋ゲーを日本人が本気で作ったらどうなるか?」という、これまでありそうでなかった壮大かつ実験的なアプローチが内包されているのだ。そして組織を率いる三並達也氏、稲葉敦志氏に代表されるこのクリエイター集団は、日本のみならず海外で真正面から勝負できるクリエイター集団であるのは間違いない。その挑戦の結果や如何に!?

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 『MADWORLD』のディレクター西河繁範氏は、本作がプラチナゲームズで初のディレクション作品となるわけだが、そのセンスはガイジンのソレを遥かに突き抜けた感があり、作品のメインテーマとなる「明るい暴力」をバッチリ表現している。 昨年5月にファミ通.COMに掲載されたプラチナゲームズの発表会記事で「コミカルなバイオレンス」という表現があったが、コレはまさしくアメコミそのもの。参考にしたどころか、完全にアメコミ独特のグルーヴや世界観、タッチなどを自分たちの糧にしてしまっている。グラフィックをパッと見ただけなら洋ゲーと勘違いしてしまうぐらい完璧だ。そしてそこで爆発するエクストリームな暴力描写の数々! 
 プレイヤーは“デスウォッチ”と呼ばれる近未来の殺人テレビショーに参戦して、そこのランカー保持者たちと退廃したステージで対決する。勝ち抜けば栄誉、負ければ死……そんな命がけの状況下でも単に相手を殴り殺せば良いというワケではなく、観客を楽しませなければいけない。だから殺り方にも工夫を凝らして観客の声援をゲットして高いポイントを稼がなければいけない。
 そこでタイヤやドラム缶などを敵に被せて動きを封じ、次に道路標識をひっこ抜いて首に突き刺して体力を奪い、最後に持ち上げて巨大な鋲の突き出た壁に投げ刺す、または叩きつけ刺す! この手順でハイスコアゲットォォオオ! もっとド派手に殺りたいなら、右手に装備したチェーンソーをブルンッと発動させてWiiコントローラーを横に振れば真っ二つ! 縦に振れば唐竹割り! 処刑コマンドが表示された瞬間に、対応する攻撃ボタンを押せば心臓ぶっこ抜きやジャイアントスイングで処刑完了! ボーナスゲームでは敵を次々を血祭りに上げて、またまたハイスコアゲット! 観客のボルテージも最高潮!!まさに“殺しのスター誕生!”の瞬間に立ち会えるのだ!
 OH YEAH ! TOO MUCH BLOOD !!!!!!!!!!!


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 しかし単なる残虐描写で終わらないのが、本作のゲームデザイン。サクサク敵を斬殺して進行するステージは、かつての和製アクションゲームの爽快感をきちんと取り込んでおり、操作感覚さえ身に付けてしまえば純然たるアクションゲームとしての作り込みを十分に堪能できるのだ。見た目はだいぶ違うけど『ビューティフル・ジョー』の魅せプレイに近いものがある。もちろん物語が「殺人テレビショー」なのも(筆者を含む)ゲームおっさん世代にはタマラない世界観だ。そう、『MADWORLD』は2009年の『スマッシュTV』なのである!
 『スマッシュTV』は1990年にアーケードに登場した洋ゲーだが、殺人テレビショー(合い言葉は「ビッグマネー! ビッグプライズ!」)に参加する賞金稼ぎを主人公にワラワラと出現する敵をパンチキックで肉ダンゴにしながら進むという根本的な設定が狂ったゲーム。それまでピースな世界のゲームを楽しんでいた日本のゲーマーの記憶にはベッタリとトラウマが塗り込められ、かくいう筆者も未だにゲームギア版を所持しながらXbox Liveアーケード版もダウンロード済みの名作中の名作である。つまり『MADWORLD』とは、最新版『スマッシュTV』である事実に異論を挟む余地はないだろう、たぶん。
 あと、カプコンの名作『シャドウ・オブ・ローマ』も北米版に限った話だが公開殺人ショーとしてのエッセンスが投入されているのも見逃せないポイントだ。北米版ではド派手な四肢切断技や、敵の生首を掲げて観客にアピールすると体力回復アイテムや強力な武器が投げ込まれるなど、色んな意味でパワフルなゲームに仕上がっていた。余談だが、筆者がアメリカのゲームショップにて『シャドウ・オブ・ローマ』を買おうとレジに持って行くと、店員に「お前、このゲーム買うのか? いいのか? これチョッピング・ミートだぞ!」と真顔で諭されたことがある。もちろんオレは笑顔で「チョッピングミートだから買うんだよ。日本版は違うからね」と返答すると、店員は満面の笑みを浮かべてオレにハイタッチを求めてきたね。YES ! TOO MUCH BLOOD !!
 おっと話が横道にずれてしまった。


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 しかし『スマッシュTV』のような残虐ショー的ゲームの系譜が途絶えていたワケでもない。海外では『キリング・ゲームショー』や『ピットファイター』のような似たような設定のゲームは続々と制作され続け、近年ではロックスター・ゲームズ開発による『MANHUNT』(日本未発売)が、その残虐度数の高さで話題を呼んでいた。『MANHUNT』はアクションゲームではあるが、そのゲームデザインは誤解を恐れずに書くと『メタルギアソリッド』に通じるものがある。ステルス&キルによって地道に、でも確実にスタイリッシュに敵を葬りながら進むので、爽快感よりも"死んだ感"のほうが遥かに大きい。殺害行為は全て変態で大富豪の映画監督によって隠し撮りされ、主人公は死刑囚で執行寸前に身柄を拉致された男という設定も生々しくて恐ろしい。欧州各国で発売禁止になったのもうなづける超ゴアな描写は“世界10大残酷ゲーム”のベスト1に輝くだけのことはある。
 そしてこれらのタイトルが全て洋ゲーだったので、「洋ゲーとは残酷で血がブシャーッと出るのばっかり」というイメージが定着してしまったが、別に間違ったイメージではなく、ホントにその通りなんだからしょうがない。


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コチラは『MANHUNT2』の画像。

 『MADWORLD』はリアル路線に突き進んでいった洋ゲーのゴア路線を、また昔のアクションゲームに戻してくれた。「ゲームなんだからゲームらしく楽しめる」。そんな基本的な部分を思い出させてくれるのだ。それでもゴア描写は最上級、しかもグラフィックは鮮血の赤を目立たせるためにモノトーンを基調としたアメコミタッチなので、気持ちが悪いとは思わない(個人差はある)。まるでフランク・ミラーの『シンシティ』に『北斗の拳』が合流したような、そんなイメージである。だってフランク・ミラーのコミックも相当残虐だな。『300』は生首飛びまくり、『シンシティ』だって超残酷シーン目白押しなのにコミックは大ヒットしてハリウッド映画化ですよ。でもフランク・ミラーは日本のマンガの影響をものすごく受けているのも事実。オリジンが日本にありながら、それが必ずしも評価にはつながらない……それもまた事実であり、その状況を逆手に取ったのが『MADWORLD』なのではないかと。
 もちろんアメリカ人には『MADWORLD』のプレゼンが馬鹿受けしたらしいので、狙いはバッチリだったといえる。何よりもゲームデザイン自体が良くできている。ただ残虐なだけではなく、日本人ならではのキメ細やかな配慮があることが純洋ゲーとの最大の違いではないだろうか。
 さらにWiiタイトルであることも奮っている。周知の通り、日本のWiiタイトルの多くは家族向けのファンシー系や、実用重視のシリアス系が占めている。それに比べて海外(特に北米)WiiタイトルはMATURE指定が多い多い!
 Wiiコントローラーに対応した『モータルコンバット』や『プリンス・オブ・ペルシャ』(残酷版)、『ゴッドファーザー』や『スカーフェイス』までリリースされており、まさかの続編『MANHUNT2』に至っては、あまりの残虐描写に修正を余儀なくされて発売日が大幅に延期された後に発売という逸話まである。また、オレの数少ない洋ゲー・ソウルフレンドの1人、グラスッパー・マニファクチュア代表の豪腕クリエイター、須田剛一氏の作品『ノーモア・ヒーローズ』北米版の存在も忘れてはならない。
 『ノーモア・ヒーローズ』北米版と日本版との最大の違いとは、画面が真っ赤っかになりキャラが見えなくなるほどの大流血&人体破壊描写の目白押しなことだろう。別に北米版が本気モードという意味ではなく、須田氏は日米のレーティングの格差を利用して2つのバージョンを作ったのが正しい解釈だ。そして殺人ランキングという設定も、突き抜けた暴力描写と共に『MADWORLD』と親和性が高いと感じる。プラチナ・ゲームズと須田剛一氏が密接な関係にあるのも偶然ではなく必然であり、日本から海外にゲームを発信する新たな潮流を作ろうというハードコアな意気込みが、そこに確実にあるのだ。


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 また北米版Wiiタイトルを日本で遊ぶには、北米版コンソールが必要という関門の高さも、往年の洋ゲーをプレイする際につきものだった制約を彷彿とさせる。リージョンフリーは最近のトレンドであり、洋ゲーの遊び易さは一昔前とは比較にならなく好転している。それなのにこの敷居の高さ! 時代に逆行しているとも思えるが、筆者のような変態おっさん洋ゲーマーにとっては探究心を煽られてやまないし、関門があれば越えたくなるのが男ってもんではないか。
 最後になってしまったが、『スマッシュTV』から『MADWORLD』に至るまでの過程には、避けては通れない映画が存在する。それが原作スティーブン・キング、主演アーノルド・シュワルツェネッガーで製作されたSFアクション『バトルランナー』だ。1987年の正月映画として日本公開されたこの作品は、設定はまんま『スマッシュTV』。荒廃した近未来のアメリカを舞台に、任務失敗で失業した元特殊部隊の男が、家族を養うために最高視聴率を誇る人間狩りエンターティメント番組“ランニングマン”に出演するというもの。立ちはだかる敵はオペラを歌いながらチェンソー片手に大暴れする“バズソー”を筆頭にクセものばかりでサイコーにPSYCHO! 最後は逆襲に出たシュワちゃんが番組の司会者をブッ殺して爽快にTHE ENDという娯楽映画にも程がある内容なのだが、この映画を期待に胸を膨らませて、お正月にわざわざ劇場まで足を運んだ筆者のココロには、映画鑑賞後にポッカリと大きな穴が空いていた……。
 『MADWORLD』は、その時筆者に生じたココロの隙き間を埋めてくれるトラウマ解消ソフトであり、日本から世界に放つ強烈なアジテーションなのである。つまり「お前らにできてオレたちにできないことはない」のだ!
 YES ! TOO MUCH BLOOD !! WE WANT MORE BLOOD !!!!

 あ、あと大事なことを書き忘れてました。『MADWORLD』の日本版発売は現時点では未定であります。日本のセガに問い合わせたりしないように!


(C)SEGA, the SEGA logo and MADWORLD are registered trademarks or trademarks of SEGA Corporation. Developed by PlatinumGames Inc. (C)2006 Rockstar Games. All rights reserved.

投稿者 マスク・ド・UH : 2009年03月16日 15:11

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