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マスクド警部の特捜タイ前線 PART2 〜東南アジア最強最後のゲーム魔境サパーンレックは驚愕の品揃え!!??

2011/09/02 (金曜日)

※以下の内容はマスク・ド・UH氏によるタイ現地事情のリポートであり、いかなる不正行為も推奨するものではございません。
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サパーンレックにてマスクド警部が身銭を切って証拠品として押収したソフトたち。諸事情により見えにくくなっておりますが、大人の事情を察していただきたい所存です。

 MAGICAL SUPER BOOTLEG ASIA!!!!!!!!!!!!

 前回に引き続き、微笑みと灼熱の国・タイの現状をレポートする第2回目である。カオスと呼ぶに相応しい首都バンコクのチャイナタウン、ヤワラー。その街の外れに位置する違法建築の水上マーケット、サパーンレックを目指し、辿り着くまでの行程が前回の内容だったが、辿り着くまでの説明が長すぎて文字数が尽きてしまった。そこで今回は、いよいよサパーンレックの内部の詳細について、自称・国際ゲーム警察所属のマスクド警部という意気込みで単身でアンダーカバーした結果を報告したい。

●サパーンレックでは何を売っているのか?

 サパーンレックには両端にクソ狭い渡り廊下が2本並走し、その合間を隙き間というか抜け道というか、網の目のように走っている。集まった店は軽く見積もっても百軒以上あり、全て1畳から4畳程度の広さしかないが、扱う品目は実に多岐に渡るので、箇条書きにしてみた。上から扱う店舗が多い順になっている。

・ゲームソフト
・ゲームハード(携帯機含む)
・周辺機器
・ゲーム雑誌&攻略本
・フィギュア、カードゲーム関連
・コスプレ衣装、Tシャツ、アクセサリーなどグッズ関連

 まず最も売れ筋、サパーンレックの主力商品となるゲームソフトだが、お察しの通り全てがコピーROMの海賊盤である。しかも、この海賊盤には、どういったプロテクトが施されているのか不明だが、絶対にコピーできない仕様となっている(笑)。自分たちはコピーを売るくせに、それをコピーさせないとは太ぇ野郎どもだが、何しろ価格が激安なので文句を言う気も無くなる。
 コピーROMの値段はプレイステーション2のソフトなら1枚50バーツ(1バーツは約2.6円)。最も取り扱う種類が多く、タイでは未だに主力商品である。次に多いのがPCソフト。これまた当然コピーだが、1枚80バーツと少々高め。さらに2枚組の場合は、海賊盤の基本である「内容ではなく枚数で計算」が適用されるため、160バーツになる。それでも410円だから、当たり前だがコピーと頭では理解していても、安いと唸ってしまう。
 PS2、PCほど数は多くないが、PSPタイトルも充実している。UMDディスクに2〜3本のソフトが収録された、かつて海賊ファミコンソフトで猛威を奮ったアジアお得意の「inワン」スタイルとなっている。もちろんマジコンに関しては書くまでも無いだろう。ここは日本ではない。タイなのだ。「けしからん!」と怒ったところで日本の常識も法律も通用しないのである。また、ここまで海賊盤が氾濫する理由には、正規品の価格が高すぎるという理由が挙げられる。タイではゲームソフトもハードも基本的に全てが輸入品扱い。特に洋ゲーは、正規品を取り扱うサイアム(※バンコクで最も栄えたエリア。原宿と渋谷と六本木が混じった感じ)あたりにある金持ちタイ人や成金の華人、外国人駐在員のマダムなどが入り浸るショッピングセンターなどでは、正規版の洋ゲーがPS3、Xbox 360ともに1本3000バーツから5000バーツ。PS2でも2000バーツはする。日本円にして1万円を超す価格設定なのだから、貧乏人がおいそれと手を出せるシロモノではないし、そもそもタイの一般企業に務めるサラリーマンの一ヶ月の平均所得が10万円程度の国であるからして……決して海賊盤を肯定するつもりは無いが、この環境では致し方が無いといったところだろう。
 話をソフトに戻すと、いまサパーンレックで一番人気は360タイトルである。PCソフトと同じ1枚80バーツだが、日本のタイトル、洋ゲータイトルのみならず欧州限定タイトルまである。日本では欧州タイトルはPALシステム+リージョン設定のため、一部しか輸入されていないのが現状だが、そもそもタイはPALシステムなので互換性は高い。ある意味、世界で最も充実した品揃えを実現させているのだ。サパーンレックが最強最後の海賊盤市場と呼ばれる理由がソコにある。


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閉店後のショップ店内を激写! ソフトは軽量化&低価格化のためトールケースを排除している。足下に散らばるバーツの札束が生々しいが、こんな写真でも撮影に軽く応じる罪悪感の無さが…サパーンレック内の典型的なゲームショップ。座り込む子供連中は店の関係者と常連客。閉店後は従業員としてコピーROMのパッキング作業をお手伝いする。手前に陳列されている大量のGTAにも注目!
●サパーンレックで買ったソフトは、サパーンレックで買ったハードでしか遊べない!!??

 サパーンレックでは世界最多と思えるほどのバリエーション豊富なタイトルが揃っているが、問題もある(海賊盤云々ではなく)。サパーンレックで購入したコピーROMは、基本的にサパーンレックで売られているハードでしか起動しないからだ。販売されているハードは全て中古品で、漏れなく海賊盤が起動できるように改造を施してある。もちろんバリバリ違法であり、仮に故障しても正規の修理サービスは受けられないし、360に至っては本体改造が発覚すると、当然ながらアカウントを剥奪されてオンラインサービスの一切が停止する。それじゃあ「本体アップデートが必要なソフトはどうするん?」とは、『火垂るの墓』の節子でなくとも疑問に思うところだが、抜け道はしっかり用意されている。
 アップデートが必要な場合、各店がサービスとしてアップデート専用のコピーROMをくれたり、本体を持っていくとアップデート済み状態に改変してくれたりするのだ。まったくなんて連中だ……。サービスは充実しているが、その方向性が大いに間違っている。しかし、そんな文句は何処吹く風、である。何しろここはサパーンレック。何度も書くが、我々の常識など全く全然何も通用しない。
 ネット対戦に関しては日本よりも数が多いゲーム専門のネットカフェでプレイすれば良いし、そもそもタイは未だにADSLがデフォルトのため、高速回線による据え置きハードのネット対戦など一般家庭では不可能に近い。
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改造済みのPS2本体。DVDのリージョンまでオールフリーだったり、ドライブが新品だったりすると価格が変化する。その陳列ケースの上でくつろぐ猫。ガラスがひんやりと冷たく、起動中のPS2が温かいので寝心地は最高の模様。これぞアジアの純真ってヤツですかね(古っ!)。
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こちらは改造済み360本体。良い子は買ったらダメ絶対ダメ!さすがにノーコメントということで。

 気になるハードの価格だが、改造済みのPS2本体が平均4000〜5000バーツ。新品に改造を施したものになると6000バーツほどになる。Wii本体および360本体は、少し高めの7000バーツからのスタートなるが、それでも1台買ってしまえば、あとは激安コピーROMを買いまくるだけ。メタクソな話だが、これが東南アジアの現実である。ちなみに他で買った未改造のハードを持ち込めば改造を施してくれる改造専門の店も多数ある。価格は店……というより店主の腕によって異なるが、平均で1000バーツ程度。預けてから早ければ数時間、遅くても数日で改造専用ハードに仕上げるらしい。需要と供給のバランスが崩壊しているからこそ成り立つ市場であり、呆れるを通り越して感心してしまう。
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訪れた時期(6月下旬)に発売直後だった『SHADOW OF DAMNED』の海賊盤が大人気だったけど……。そんな撮影でも笑顔で応じる店員のチャンネーの罪悪感のなさ…改造請け負い専門店。分解されたハードの数々が世紀末感を煽るが、店員は明るい好青年。写真撮影にも軽く応じる兄ちゃんの……(以下同文)

●周辺機器は意外と高額?

 サパーンレックではハードもソフトも安いが、唯一高いものがある。専用コントローラーなどの周辺である。メモリーカード程度なら、ありえない大容量(表示詐欺が多い)の非正規品が腐るほど売られているが、コントローラーやアーケードスティックとなるとコピーが難しい……というより工業製品そのものなので、こればっかりは正規品を購入するしかない模様。
 日本未発売で筆者が大好物のリズムアクション洋ゲー『ROCK BAND』は、タイでも相当人気があるらしく、輸入品の専用ギタコンも売られているが、当然かなり高額。しかし、そこで転んでもタダでは起きないのが東南アジアのクォリティ。なんと、ギタコンそのものをコピーして、しかも専用のオリジナルタイトルをコントローラー内部に同梱したパチモンゲームマシンが大人気だったりする。筆者が確認しただけでも5〜6種類売られており、その名称も含めて思わず軒先で爆笑してしまったのもイイ思い出だ。サイズがでかいのが旅行者にとっては命取りだが、コピーROMと違ってオリジナル商品(それでも相当グレーゾーン)なので、荷物に余裕があれば土産に買うのも悪くない。欲しがる人がいればの話ですが。
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ROCK BANDパチモンギタコンin 1ゲーム機の在庫。それぞれの名称が本当にイカす!『GUITAR STAR』だってよ! サイズも心なしか小さくなってる気がする。

●あなたの知らないGTAの世界

 さて、ここからが本題である。ゲームにまつわる商品であれば、実に豊富なラインナップを誇るサパーンレックであるが、売っているソフトに話を限れば、必ずしもコピー商品だけが主力ではない。そう、サパーンレックには単なるコピー,海賊盤を超えた究極のゲームソフトが流通しているのである。それこそが筆者が我が目を疑った存在。事情通ならば、その存在は知られていたが、まさかこれほどのバージョンが存在したとは……と、息を飲んでしまった驚愕の人気タイトルがある。それが通称"クローンGTA"だ!
 世界最高峰のアクションゲームは、ご他聞に漏れず東南アジアでも大人気を誇っている。しかし、ただ人気があるのを通り越して、ゲーム内容そのものに大幅に改造を加えてしまった、データ改竄済みのMOD仕様が超絶すぎる! 内容は基本的に改造の容易な『GTA:バイスシティ』および『GTA:サンアンドレアス』が中心だが、問題なのは改造そのものより、その方向性。有名どころでは、『GTA:SA』のキャラを某ドラ●ンボールの登場人物たちに書き換えて、おまけにスーパー●イヤ人に変身して通行人をワンパンチで撲殺したり、ベ●ータとなって空を飛んだりできる超絶改竄を実現させた『GTA:ド●ゴンボール』や、バイスシティの登場人物をス●イダーマンやスー●ーマン、ウ●バリンなどに代表されるアメコミヒーローに書き換えた『GTA:ス●イダーシティ』などが挙げられるが、現在は更にバージョンが増加して、某人気忍者漫画のキャラに書き換えた『GTA:SHINOBI WORLD』や、登場する車が某ゲームの車種にソックリ書き換えられた『GTA:ニード・フォー・スピード』、データ改竄により、削除された要素が全て復活し、無敵かつ無法の最強プレイが楽しめる『GTA:サンアンドレアス2』、マップ全てが豪雪に覆われた『GTA:サンアンドレアス SNOW』、そして究極は、サンアンドレスの主人公CJをニコ・ベリックに書き換えてしまったPS2版『GTAIV』あたりになると、もはや何がなんだか理解できない地平に到達してしまっている。
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 これはもはや単なるブートレグを超えた「オリジナル海賊盤」という、世にも奇妙なジャンルの誕生である。データ改竄ソフトは他にも確認されたが、種類の多さではGTAがダントツのトップだった。これがアジアの現実だ。筆者は、自分の知らない文化圏で生まれたゲームソフトを求めて洋ゲーにドップリとハマったが、まさか今更こんな世界が誕生しているとは、話には聞いていても、この目で確かめるまでは信じられなかった。地球は広い! そして世の中には、まだまだ自分の知らないゲーム文化が存在すること知り、その認識不足を深く反省した次第。ちなみにサパーンレックで売られている海賊盤ソフト全てに共通している注意事項がある。これらのコピーROMは、GTAに限らずコピー作業がいい加減なために焼きミスがあっても平気で売っている。起動できないROMも多いので、本気で遊びたいなら同じソフトを複数購入する必要がある。されど1枚50バーツ。日本でならペットボトル飲料1本分の値段なのだから、保険としてはお安いリスクと断言できる。

 また、サパーンレックはタイ全土および周辺国で販売されている海賊盤ソフトの供給源であり卸問屋の集合体である。よほど大量に購入しない限り値引きには応じないし、値引きしてくれるほど大量に買ったら間違いなく税関で没収される。もしも、である。もしも買うのであれば、あくまでもジョークの範囲内に留めておいてほしい。どのみち買ったところで普通のハードでは起動できるわけもないので、買うこと自体がギャグなのだが、きちんとリスクも考慮してこその大人の買い物であることを承知していただきたい。これはあくまでタイのお話。旅先の思い出として残しておきたい1ページにすぎないのである。

 そしてまだまだ電脳珍道中は続く。次回更新はサパーンレックにほど近い超絶無法フリーマーケットであり、某人気戦場カメラマンが「もしも〜カメラや機材が盗まれたら〜、ここに来れば〜買い戻すことができます〜」と語っていた本物の暗黒市場"クローントム"に突撃! 土曜の夜なら24時間営業! 絶滅したかに思われた時代遅れのソフトやハードも現役で販売中! 他にもアレもコレも何でもかんでも、買えないモノは人の心ぐらい(それさえも何とかなりそうな気がする)という狂乱の泥棒市場潜入レポートをお届けします!
 乞うご期待!
 MAGICAL SUPER THIEF ASIA!!!!!!!!!!!!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|13:00

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マスクド警部の特捜タイ前線 PART1〜東南アジア最強最後のゲーム魔境サパーンレックを往く

2011/08/30 (火曜日)

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早朝で、まだ人の往来が少ないヤワラー通り。ここから画面奥に向かって15分ほど歩けば、サパーンレックに到着する。

 MAGICAL SUPER ASIA!!!!!!!!!!!!
 親愛なる読者諸兄の皆様、お久しぶりです! 『L.A. NOIRE』のレビュー以来、更新が途絶えておりましたが、この度復活しました! 途絶えていた理由は色々あるんですが、まぁ単純に多忙を極めていただけです。そして多忙になった理由こそ、今回の題材にもつながってくると。前回更新の『L.A. NOIRE』レビュー記事冒頭においても少し書いたけど、筆者はあの東日本大震災直後に仕事が激減。震災の影響で出版業界全体が当面の間、部数やページ数の削減を余儀なくされ、筆者のようなフリーランスの根無し草は真っ先にその影響を被るワケですわ。そこで思い立ったのが、以前から計画していながら、時間が無くてなかなか実行に移せなかった東南アジア長期旅行。仕事が無いうえに金も無い状態だったけど、自分のコレクションだったビンテージ古書漫画を一気に処分して現金を得て航空券を入手。その勢いのまま3月末日には女房と2人でタイの首都・バンコクに降り立っていた次第。欧米には仕事柄よく行っていたものの、東南アジア旅行の経験はインドと韓国ぐらい。とにかく何もかもが無計画な状態で日本を出発してしまい、手元にあるのは僅かな荷物と3ヶ月のオープンチケットだけ。そこから何をするか? 何処に向かうのか? おまけに全てが手探りのNO DATAな状況で繰り広げられた3ヶ月に及ぶ珍道中は、それはそれは人生観を変えるほど刺激的なものだった。

 そんな話を帰国後に担当編集者に話すと、是非それを書いてほしいと依頼された。それはそれで非常に嬉しい申し出だが、自分が見てきたモノはこの世の果ての無法地帯。そんなリアルにも程があるワイルド・ウェイストランド旅行記を、仮にも"ファミ通"の冠が付くブログで執筆して良いものか? 小1時間ほど悩んだが、何でもアリのアジア市場の現状を告発するという体裁でならアリ! と判断し、今回の執筆に至ったのである。

 前置きが長くなったが、これより筆者の文章は東南アジアの闇の奥……映画『地獄の黙示録』の原作となったジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』そのままの世界に侵入する。旅先における筆者の行動は全てゲームの研究のための冒険であり、フリーランスの物書きとして自己責任の元で行動しているので、筆者の見たこと聞いたこと体験したことに関しては、事実として全てをありのままに報告したい。読者諸兄には、それを決して薦めないし、真似することもオススメできないが、そこから何を感じ取るかは読者の皆さんの判断におまかせしたい。批判も賞賛も無用だ。ただソコにある現実を知ってもらえれば、それで良いのだ。アンダーカバーした甲斐があるってもんである。

 それでは共に旅立とう……闇の奥の世界に!!


●灼熱の国・タイ。そこは秩序と無秩序が混在する微笑みの国

 一度でもタイを旅行した経験がある人ならば、そこは日本の常識が全く全然何も通用しないアジアの大国であることを実感するだろう。4月の平均気温は37度を超え、湿度は80%を余裕でオーバー。そんな筆舌し難い暑さの中でありながら、観光地の目抜き通りには所狭しと屋台が出店し、バーナーで焼き鳥を焼いていたり、プロパンガスのコンロでトムヤンクンを煮ていたり、炭火で魚を焼いていたりするのだから、気温は一気に40度を超える。夜でも、だ。その代わり、コンビニからショッピングセンターからタクシーの車内にいたるまで、上着が無ければ凍え死ぬほど冷房が効いており、四季折々の気温に慣れた日本人は一発で自律神経がおかしくなる……のだが、人間とは強い生き物で、2日もすればそんな暴力的なタイの気候にも慣れ、しまいにゃ日本の猛暑など「タイに比べれば全然」なんて軽口まで叩けるようになるから驚きだ。  驚くような体験、経験は他にも幾らでもあるのだが、このブログはゲームブログなので、まずはゲームのネタを執筆するのが先ということで、細かい生活描写やグルメ体験などは省いてゲームの話について書く。それもタイのゲーム市場を語るにおいて、決して避けては通れないブートレグ市場について!

●東南アジア最大最強、そして最狂の海賊版市場"サパーンレック"
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こちらは夕方のヤワラー通り。歩道には人がスレ違うのも困難なほど屋台が出店し、皆そこら中でメシを喰ったり、将棋を指したり、酔っぱらってケンカをしたり、ポン引きが客引きをしている。 路上の有名中華料理屋台。パッタイ(タイ風焼そば)やシーフードがメイン。安くて旨いが、車も多いので排気ガスに塗れるのが最大の欠点。すぐ横には24時間体制で娼婦がたむろする連れ込みホテルもある!

 読者諸兄の中にも一度はその噂を耳にした人がいるかもしれない。バンコクはおろか、東南アジア最強と呼ばれる海賊版市場の存在を。筆者は10数年前に、東南アジア電脳旅行記のパイオニアであるクーロン黒沢氏の著作を読み、その存在をしった。市場の名前はサパーンレック。"バンコクの上野"と呼ばれるファランポーン駅近くにある、多くの華人(※タイの中国系住民)がひしめくように暮らすエリア"ヤォワラート"……通称ヤワラーの外れに、この海賊版市場は実在する。しかし、そこに辿り着くのは至難の技。タイに長期滞在してる人ならともかく、一介の観光客が向かうには困難が多過ぎる。

 まず、近くに電車の駅が無い。路線バスは走っているが、経路が複雑なので観光客には不向き。しかし、タクシーの運転手に「サパーンレックまで!」と伝えても、まず通じない。そもそも、タイのタクシーは乗車する前に行き先をドライバーに告げ、ドライバーが納得しないかぎり目的地に連れて行ってもらえないうえに、メーターを倍速計算にしたり、メーターを倒さずボッタクリ料金を掲示してくる悪徳運転手がも多いから交渉スキルが試されるが、とりあえずファランポーン駅までなら地下鉄が走っているので、そこからヤワラー通りまで(わりと近距離だが)タクシーに乗る。ヤワラー通りは常に渋滞気味なので、車が動かないようであれば適当な場所で降りて、そこから徒歩、もしくは地元を流すトゥクトゥク(三輪オートのタクシー風移動車。天蓋付きで冷房無し、おまけに排気ガス浴びまくりだが、タバコが吸えるのが魅力)でサパーンレックを目指すのが基本となる。よりタイのローカルらしさを体験したければバイタクにも挑戦してみよう! しかし、トゥクトゥクの運転手は観光客を見るとタクシー以上にボッタクリ率が上昇し、事前の料金交渉をしっかりしておかないと下車した瞬間に法外な料金(それでも数百円単位)を請求されるというトラブルが後を絶たない。おまけにサパーンレックは地元のトゥクトゥクの運転手でも知らなかったりする。それは何故か?


 その理由は、サパーンレックの立地に由来する。サパーンレックは市場としては完全に非合法であり、自らがイリーガルな存在であることも自覚しているため、非常にわかりづらい場所に敢えて建立されている。そう、サパーンレックは決して表通りからは見えない、とんでもないエリアにあるのだ。
 ヤワラーのメインストリートを、ガイドブックの地図に掲載されている「ワット・チャイ・チャナソンクラム寺院」という名前を読むだけで舌を噛みそうな寺に向かってひたすら歩くと、次第に中華料理店が減り、メガネや靴や日用品を扱う問屋が増えてくる。その先に少し開けた交差点があり、そこを通り過ぎるとルプ・クルーン河という運河に架かる橋と国道35号線がぶつかるのだが、そのルプ・クルーン河の上に、川面が見えないほどの違法建築の小屋で埋め尽くされた光景が確認できる。そこが約束の地・サパーンレックだ!
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サパーンレック入り口の目印となるルプクルーン河の看板(画面奥の緑のサイン)と国道35号線(画面手前の青いサイン)。とても電化製品を扱う市場があるとは思えない風情だが……。原付バイクとATMが並ぶ隙き間の闇の奥に、サパーンレックの入り口がある。軍資金はここのATMで用意しておこう。ちなみに付近には両替商など無いが、店によってはUSドルもOKな場合もある。
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こちらは反対側のサパーンレック入り口。籠売り侵入禁止の看板が目印だが、その下で喫煙に勤しむオヤジが何気にカメラ目線なのがタイの流儀。写真は撮るものではない!撮られるものなのだ!(BY根本敬著『定本ディープコリア』)サパーンレックに架かる橋の名前の看板だが、こんな名称をタクシードライバーに告げたところで「マイダーイ(意訳:知らねえよ)」と言われるのがオチ。参考までに。
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サパーンレックを橋の上から見たところ。川面は一切見えず、見渡す限りトタン屋根ばかり。しかし、この内側にこそ"約束の地"がある! ヤワラーの薬局で発見したジャッキー・チェーンがイメージキャラクターを務める育毛シャンプー『覇王』。498バーツ(日本円で約1800円)は高いか安いか?
 幅約10数メートル、長さ約50メートルほどの規模で広がる水上マーケットの内部には、そんな狭いエリアにも関わらず数百軒のゲームショップがひしめいている。入り口は、これまた非常にわかりにくいのだが、橋の真横にATMが並び、所狭しとバイクが駐輪され、"籠売り侵入禁止"というアジアらしい標識が立つあたりが入り口だったりする。捜査員として、そこからの内部の様子を動画を撮影しながら侵入したので、さっそく下の画面の再生ボタンをクリックしていただき、その臨場感を味わってもらおう。

 いかがだったであろうか? 撮影したのは、ほんの一部であり、こんな感じで小さな店が延々と続くのがサパーンレックである。店舗は川の上のみならず、周辺のビル内部とも連結されているので、無目的に歩いていると、いつの間にか知らないビルの地上数階に迷い込んでしまったりする。しかし、サパーンレックにある店は98%がゲーム系、残り2%もカードゲームやフィギュア、日本の漫画雑誌などを扱う一大オタク地帯なのだ! そんな聖地を、タイ全土はおろか周辺国からも大挙して客が押し寄せるのだから恐れ入る。ちなみに営業時間は大体午前9時ぐらいから夕方18時ぐらいまで。17時を過ぎると、ほとんどの店が売り上げの計算を開始してシャッターを閉めてしまうため、行くなら人出の少ない午前中がオススメだ。ウィークエンドの金曜と土曜は少し長めに営業する店もあるが、それでも19時には閉まってしまうので注意が必要である。

 さて、サパーンレックに辿り着くまでに、かなり文字数を費やしてしまったので、続きは次回更新に回したい。果たしてそこで何が売っているのか!!?? 筆者がこの目で確認した限り、そこで購入できる商品は、単なるコピーROMでは終わらない。違法でありつつも自由市場という意識を最大限に拡大した、もはやブートだとか断罪するのが馬鹿らしくなるほどの創意工夫に溢れた品々が並んでいた。
 次回は、そんな究極の海賊盤ラインナップの詳細について告発したい!
 MAGICAL SUPER BOOTLEG ASIA!!!!!!!!!!!!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|15:58

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マスクド刑事の『L.A. NOIRE』密着24時!(後編) 刑事たるもの、革靴が磨り減って履けなくなるまで捜査しろ!

2011/07/07 (木曜日)

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A DARK AND VIOLENT CRIME THRILLER !!!!!!

 前編に引き続き、マスクド刑事が『L.A. NOIRE』を語り倒す後編に突入! 記念すべき日本版発売当日の更新なので、今回はロサンゼルスの歩き方および市警としての心得、捜査のイロハなど、ゲームにおける実践的な部分について報告したい。
 前編では、筆者のいつものスタイル……即ちゲームを巡る周辺文化や、そこに秘められた思想やメッセージについて論説を展開したが、やはりゲームは遊んでナンボの世界である。まずは『L.A. NOIRE』の世界に飛び込まなければ話にならない。しかし、『L.A. NOIRE』はオープンワールドであっても『GTA』シリーズとは全く違うゲームである。もちろん『RED DEAD REDEMPTION』とも違う。 あくまで基本はアドベンチャーゲームであり、推理と思考をフル回転させなければ何も解決できない厳しいルールがある。何よりも自らの足で証拠を探し、証言を集め、追い詰めて捕らえた犯人を尋問しなければならない。オープンワールドだからといって、それが「何でもアリ」という世界ではないのだ。それを根本から理解しなければ、永遠に出世できないだろう。


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 その意味においては、これまでのROCKSTAR GAMESのタイトルとは大きく違うテーマをもって作られている。それは主人公コール・フェルプスが、「正義の味方」であること。それと同時に、コールは太平洋戦争に従軍した帰還兵であり、沖縄戦によって絶望的なトラウマを植え付けられ、その過去に苦悩する1人の人間という設定が重要だ。こういった影のある人物像は、ここ数年間に発表されたROCKSTAR GAMESのタイトルにおける主人公全てに共通している。かつて名うての侠客として恐れられたが、家族を守るために改心したにも関わらず、血なまぐさい世界に引き戻された『RDR』のジョン・マーストンしかり、セルビア内戦と政情不安に巻き込まれ、アメリカに逃亡して再起を図ろうとする『GTAIV』のニコ・ベリックしかり、である。複雑な過去を持つ主人公たちは、自らの過去を断ち切るために現在目の前に立ちはだかる問題を必死に解決しようとする。時には非合法な手段を用いてでも……。だが、コールは違う。心の闇を抱えながらも、彼は正義を貫くために生きようとしている。そのために悪は徹底的に容赦なく暴き、捕らえ、追求して告発し、然るべき社会的制裁を受けさせる。『GTAIV』と『L.A. NOIRE』の違いは、ズバリ「追う者と追われる者」の違いなのである。


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 「追われる者より追う者のほうが強いんじゃ……」とは、日本が世界に誇る傑作任侠映画『仁義なき戦いー第1部ー』における、松方弘樹演じる山守組若頭・酒井に向けて、出所早々にヒットマンを命ぜられた菅原文太演じる広能昌三が放った名台詞だが、『L.A. NOIRE』で最も重要なファクターは、まさしく「追う者の強さ」なのだ。
 だからこそ、ゲーム内で緻密に再現された1947年のロサンゼルスでは、警察官としての正しい行動が重要視される。信号を守らない無謀運転で通行人を跳ね飛ばしたり、あたり構わずクルマを盗んだり、街中で意味もなく銃を乱射することは許されない。むしろ、そういう連中を逮捕するのが役目であるからして、クルマが必要な時は盗むのではなく警察手帳を見せて「借りる」手続きを踏まねばいけないし、犯人がいないところでは銃を抜く必要性もない。信号を守らなければ左右から一般車が突っ込んできて衝突事故を起こすし、捜査中に一般人をクルマで跳ね飛ばしたり、標識や街路灯を破壊したりすれば被害届が報告され、上司や人事部からの評価が著しく下がってダメ刑事の烙印を押される。ルール無用の快感を味わいたいのならば、いますぐ『L.A. NOIRE』ではなく『GTAIV』にディスクを入れ替えたほうが良い。しかし、ルールを守ることもまた、ゲーム性として重要なファクターであり、無法を繰り返すことより守るほうがよっぽど難しいことを思い知らされるのが『L.A. NOIRE』におけるゲームデザインなのだ。同じオープンワールドでありながら、非常に緻密で繊細なプレイを要求され、それをこなすことが快感に変化して、プレイヤー自身が悪の道から更正したような気分になるのが、本作から与えられる最大のカタルシスではないかと、筆者は理解している。


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 では、プレイにおいて具体的に注意すべき点とは何か? ルールを守ることは、意外と簡単だったりする。パトカーを思いっきり飛ばしたければサイレンを鳴らせばよい。対向車も通行人も協力的に避けてくれる。無闇に鳴らす必要はないが、選任事件以外にも、ロスの市街ではそこかしこで路上犯罪が発生し、警察車両を運転中は常に無線連絡が入る。その時こそコールの出番だ!サイレンを鳴らしてアクセルを踏み、時には逆走してでも現場に急行する姿は、まさしくアメリカンポリス! もしも運転に自信がなく、被害総額が増えるのを心配しているなら、それはそれで解決策がある。バディ(相棒)に運転を代わってもらえば良いのだ! 新米刑事のくせに偉そうな態度だが、バディは文句を言ったり言わなかったりしつつも運転してくれる。おかげで今月も無事故だったと上司に報告できそうだ。  ただし、カーチェイスだけは自分で運転しなければならないが、うまく犯人のクルマを追い詰めればバディが助手席から射撃の腕前を披露してくれるだろう。タイヤをパンクさせてパトカーを体当たりさせれば一件落着。距離を詰められなくても、サイレンを鳴らしてしつこく追えば、犯人は焦って自らアクセルを踏みこみ、誤って路面電車と正面衝突してくれることもある。諦めこそが最大の敵なのだ。


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 路上犯罪において留意すべきことは他にもある。例えば銃撃戦。武装強盗などが頻発するアメリカン・バイオレンス(※山本又一郎プロデュースによる同名ドキュメント映画を知ってる人には座布団百万枚差し上げたい)な街であるからして、時には容赦なく犯人を射殺する必要がある。もちろん正統防衛なので、銃撃戦になったらガンガン撃ちまくったほうが良いのだが、そこで最も危険なのが"誤射"。間違えて仲間の警官を殉職させたら即クビになってしまうので、くれぐれも銃撃戦の際には同僚警官のポジションに注意を払いたい。また、防弾チョッキなども無い時代なので、コールは生身の人間としての生命力しか持っていない。しっかり物影にカバーしなければ、殉職して二階級特進間違いなしで、ゲームは終わってしまう。死なない限り問題はないので、時に慎重に、時には大胆に犯人と撃ち合う度胸が必要だ。太平洋戦争帰りの意地の見せどころである。


 運転や銃撃戦をくぐり抜けたら、次は本格的な事件捜査だ。上司からの指令を受けて現場に急行すれば、そこでは陰惨な殺人の跡を目の当りにすることになる。そこでハンカチで口を押さえて吐き気を催すようなら、いますぐ辞表を提出したほうが宜しい。しかし、死体は証拠の塊である。まずは実況見分中の監察医(この監察医に会う度に、ロス疑惑事件の時に日本のワイドショーに頻繁に登場したトーマス・ツネトミ・ノグチ監察医を連想してしまうのは俺だけか?知らない人はウィキペディアで今すぐ調査!)に事情を聞き、死亡推定時刻や凶器を割り出す。死体をじっくり観察し、何か手がかりが残されていないか調べまくる。現場の周囲に散乱する、一見するとガイシャとは何の関係もなさそうなアイテムでも、よくよく見れば重要な証拠だったりする。周りの警官や相棒が見つけてくれるわけではない。自らの足でソレを発見し、分析することが重要だ。もし物証が現場のあちこちに散らばっていて、全てを発見するのが難しいなら…最後の手段ではあるが…"虫の知らせ"を発動させるというテクもある。ただし、これは本当に最後の手段。無闇やたらに発動させると肝心な時に自力で解決しなければいけなくなるので、なるべく地道に捜査したほうがよい。時間は十分にある。ガサ入れでも殺人現場でも要領は同じ。全ての証拠を見つけるまで諦めないことが肝心なのである。

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 現場も捜査し、ガサ入れも完了。後は犯人を逮捕するだけ……そんなタイミングで容疑者が帰宅し、刑事の姿を見るなりダッシュで逃走されたらどうするか? もちろん追いかけるのだが、とにかく容疑者は捕まりたくない一心で逃げる。パイプをつたって屋上に登り、ビルからビルへとジャンプする。コールも負けじと追い詰めるが、パイプをつたってる時に接近しすぎると、蹴り落とされて大きく距離を稼がれる場合もあるので、こういう時に深追いは禁物。平地であればダッシュで追いついてタックルで捕縛できるので、容疑者の動きに注意しながら確実に追い詰めたい。発砲許可が降りている場合には威嚇射撃もできるが、実はコレ意外と狙いどころが難しいので、容疑者の逃走ルートを見極めながら狙いを定めるよう心がけたい。
 時には逃げ切ったと思われる容疑者が物影で待ち伏せしてクローズラインをぶちかましてくることもある。マップを見れば待ち伏せを見破ることができるので、危険を察知したら余裕を持って徒歩に切り替え、そこから肉弾戦に突入しよう。ボクシングの要領でガードして殴り返すのが基本だが、この時に帽子を落とさずに勝利すれば男っぷりが上がる。それが男の身だしなみってもんである。
 無事に容疑者を捕らえたら、署に連行して尋問の開始だ。ここからが『L.A. NOIRE』の最も重要なゲームシステムに突入するワケだが、これより先は読者諸兄の胆力と頭脳が試される場面だからして、敢えて筆者は指南しない。指南してしまえば、アドベンチャーゲームとしての最大の楽しみを奪うことになってしまうからね。諸君の健闘を祈る、敬礼!


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 オープンワールドでありながら、緻密な頭脳ゲームによる駆け引きを同梱した次世代のアドベンチャー『L.A. NOIRE』。単に用意された事件を解決するだけでなく、今後配信が予定される様々な追加シナリオによって、その世界は無限の広がりすら感じさせる。100%クリアまでの道程は険しく遠いが、そこを目指さなければ意味がない。だから最後にもう1点だけアドバイスしておこう。
 「クルマは片っ端から乗れ!」
 それだけで100%までの工程がだいぶ短くなる。登場する95種類全てのクルマを乗り回すまでゲームは終わらないが、この関門にこそ『GTA』の魂が存在する。まさしく「三つ子の魂百まで」。クルマ収集こそオープンワールドの、そしてROCKSTAR GAMESならではのゲームデザインなのである。さらに付け加えるならば、OPTIONの項目から切り替え可能な"BLACK & WHITE"モードの存在にも触れておかねばなるまい。
 そもそも本作の時代の記録は白黒写真が大半。カラー撮影の技術は当時の最新鋭として軍が独占していた。つまり、現存する当時の資料のほとんどが白黒写真であり、映画も当然白黒。全てがモノクロで統一された当時の様相が、実は現代と変わらない色鮮やかな世界だったところまで細かく、彩り豊かに再現されている部分こそが、実は『L.A. NOIRE』の最も誇るべき作り込みなのである。だからゲームを一度クリアしたら、やり残したことがあるCASEはBLACK & WHITEモードで再挑戦してみてほしい。それこそが、本当のノワールの世界。モノトーンの中で繰り広げられる熱い人間ドラマを、是非とも体感してほしいものである。

 DETECTIVE PHELPS, GOING MY WAY !!!



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投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:10

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マスクド刑事の『L.A. NOIRE』密着24時!(前編) 10年先のスタンダード〜『L.A. NOIRE』に秘められたADVの理想郷

2011/07/05 (火曜日)

 I'm Baaaacccckkkkkkk!!!!!!!!!! そしてMAD GAMERブログ再開!!!!!!!!!!!!!!!!!
と、気を吐く前に、まずは読者諸兄の皆様に3ヶ月以上まったく更新してなかったことをお詫び申し上げます。3.11の東日本大震災以降、日本社会は大きく変わってしまいました。筆者も震災以降、色々思う所あって全ての仕事を一旦休止を決意。相棒・須田剛一氏の了解も得て週刊ファミ通連載の『未確認洋ゲー基地AREA51』も最終回を迎え、働き詰めだったここ数年間分の休暇を一気に消化する形で東南アジア長期旅行に出立。約3ヶ月の放浪を経て帰国したのがつい先日だったという次第。もちろんMAD GAMERの見聞旅行であるからして、その釣果は絶大かつ膨大極まりなく、次週以降にもこのブログで報告する予定ですので、今後ともご愛読よろしくお願いします!

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 そんなご挨拶はともかく、まずは我らがROCKSTAR GAMESが2011年に満を持して送り出した最新オープンワールド作品『L.A. NOIRE』を語らねば、MAD GAMERの名が廃るってもんである。既に本作の魅力はゲーム専門誌のみならず、様々な媒体で語られている。そのポイントは主に4つ挙げられるだろう。

「新技術MotionScanにより役者の演技と表情を完璧に再現した」
「戦後の好景気に沸き立つアメリカ合衆国社会の時代性を再現した」
「アクション性を追求ではなく、本格推理アドベンチャーに挑戦した」
「ハリウッド黄金期に制作されたノワール映画の世界観を追体験させる」

 いずれの媒体も、『L.A. NOIRE』を語る際にはこの4点に重きを置いている。そこで筆者が同じ視点で本作を語っても、それは単にプレスリリースの内容を踏襲するだけに終わってしまい面白みに欠けるので、やはりここは筆者ならではの別の切り口から本作の魅力を引き出すのが筋だろう。その切り口とは何か?


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 それは“映画”である。もちろん、1940〜50年代のフィルムノワールを語らずして、『L.A. NOIRE』を語ることはできないが、それらの映画の魅力を理解するには、相応の知識が必要となる。『L.A.コンフィデンシャル』が元ネタだということも散々語られているし、本作の元ネタとして挙げられているレイモンド・チャンドラーの探偵小説は決して若者向けのジャンルではない。3D映画や最新のド派手な演出に慣れている現代人たちにとって『L.A. NOIRE』は、ある意味非常に共感が難しいジャンルであるといえる。しかし、そこに敢えてチャレンジするROCKSTAR GAMESの思想こそ、最も語られるべきポイントだ。昨年度の最高傑作と断言できる『レッド・デッド・リデンプション』は、かつてどこのメーカーも成功しなかった西部劇というジャンルを敢えて選び、そこに最高峰の技術とセンスを投入して世界の賞賛を得た。世間の流れに逆行しつつ、そこから新たなサムシングを開拓する思想が重要であり、それは『L.A. NOIRE』にも当てはまるだろう。
 本作で描かれる世界は、単にフィルムノワールの世界を踏襲したものではない。従来のゲーム制作現場と、映画の制作現場が合体した全く新しいジャンルへの布石なのである。この論説のタイトルに「10年先のスタンダード」と書いたのは、そういう意味なのである。すでにハリウッド映画はCGI技術が進歩しすぎて内容が伴わない足踏み状態にあると筆者には思える。しかし、『L.A. NOIRE』で表現された世界観は、これまでの映画やドラマが「観るだけ」で終わっていたのに対し、これからは「観客が介入する」ことができる映画に変わることが証明された。映画作品をゲーム化するのとは全く違う、映画と同じ……否、映画以上に手間ヒマかかった手法で丁寧に作り込むことで、我々はスクリーンの中に飛び込むことが可能になったのだ。スクリーンから飛び出すのが映画の進化ではない。重要なのは、映画に参加することだ。



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 これまでのビデオゲームの制作手法は、良くも悪くもアニメに近いものだった。ポリゴンモデルがどんなにリアルになろうと、背景がどんなに美しくなろうと、アニメーターやデザイナーが作り上げたモデルに声優ないし俳優が声を吹き込み、演技のモーションをつける。その技術がどんなに進化したところで、根本部分には変化がない。
 だが、『L.A. NOIRE』は、その根本部分を変えた。役者の演技、表情、感情の機微、動きは全てトレースされ、ゲーム内に反映される。映画制作におけるCGI技術ではとっくに確立されていた手法だったが、それがビデオゲームに取り入れられるのは初めてだ。逆にいえば、実在する俳優の顔をソックリそのままポリゴン化しても、そこに命が感じられなければ意味がない。瞳の輝き、視線の動き、表情筋の微細な変化などが見えなければ、それは俳優によく似たマネキン人形でしかない。そこを極限までにリアルにすることで、初めて物語の素晴らしさやゲームへの没入感が上がる。ROCKSTAR GAMESが目指す地平とは、恐らくゲームモデリングにおける不自然さの排除であり、過去最高の没入感を目指したものではないか。そして、その思想が最も顕著に表現できるジャンルが、アドベンチャーゲームだったのではないか。筆者はそう考える。自分の足で捜査し、証拠を集め、あちこちに移動して聞き込みをし、真犯人を追い詰めてタックルで捕らえる。従来のADVではできなかったことが、すべてできる。映画のようなド派手な銃撃戦やカーチェイスもあれば、陰惨な殺害現場でシリアルキラーの残忍な犯行を目の当りにすることもある。良き相棒もいれば、汚職に塗れた腐敗役人もいる。単なるADVでもなく、壮大なオープンワールドでもない、『L.A. NOIRE』はプレイヤー自らが本当の意味で主人公として"参加できる映画"なのである。



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 と、色々な論説を展開したが、ここに辿り着くまでには様々な試行錯誤がゲーム業界でも繰り返されていた。本筋からは少し脱線するが、ゲーム+映画=演技論という部分においては、実に意外な人物が革命を起こしている。故・深作欣二監督が演出を担当した『クロックタワー3』である。実は深作演出の遺作とされる『クロックタワー3』では、ブルーバックでモーションを付ける現場において、「役者だけでなく小道具まで細かく配置することでリアルなモーションが確立する」という深作監督の指示により、これまでのパントマイム的な演技からの脱却に成功した。もちろん、フィルムノワールは深作監督にとっても重要なファクターなのは言うまでもない。あの時代に活躍した映画監督は、おしなべて皆フィルムノワールの洗礼を受けている。『サンセット大通り』、『第三の男』、『マルタの鷹』、『現金に体を張れ』…無声映画からトーキー(音声付き)映画に移行し、撮影機材の大幅な進化により夜間撮影が可能になり、技術の進歩は映画の内容にも多大な影響を与えた。そこで生まれた映画で描かれた物語は、大戦を終えて空前の好景気に沸き立つアメリカ合衆国の二度と戻らない黄金時代の象徴であり、その成熟した文化に世界中が影響を受けたのは、紛れもない歴史的事実だ。その歴史を追体験させるのが『L.A. NOIRE』なのである。  ちなみに、こういったノワール映画の影響を最も受けていた人物として筆者が連想するのは、深作欣二でもリドリー・スコットでも神宮寺三郎でもなく、『まんが道』の満賀道雄こと、藤子不二雄A先生だ。『まんが道』の富山新聞社編において、満賀は毎日のように映画のタダ券を片手にノワール映画の鑑賞三昧。特にオーソン・ウェルズの『第三の男』は衝撃的だったらしく、A先生特有の黒ベタ塗りの多い描写は、そのままノワール映画の多大なる影響を感じる。いや、思い過ごしかもしれませんが、実際に漫画界にもノワールの影響は色濃いことは、フランク・ミラーの『SIN CITY』を例に挙げるまでもなく事実である。だからきっとA先生も……(この証言は"疑う"を選んでください)。


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 いまそこにある技術に満足することなく、基礎研究を繰り返すことでカルチャーは進化する。ROCKSTAR GAMESは常に基礎研究を怠らず、数年越しでしか結果の出ない地味な作業に途方もない予算を投入し、試行錯誤を繰り返すことで新しいジャンルを築き上げた。そこに注目せずして『L.A. NOIRE』は語れないと筆者は考える。  と、まぁ色々と難しい論説を繰り広げたが、ゲーム自体は決して難しくはない。本気で刑事になったつもりで頭を使い推理すれば、おのずと真実は見えてくるだろう。その推理の合間に、是非とも細かく作り込まれた小道具に注目してほしい。フィルムノワールと連呼しているが、同時代には"B-MOVIE"と呼ばれる珍作駄作も大量に公開されていたという時代背景がある。とある事件で捜査に訪れた映画プロデューサーの仕事場には、どうしようもないタイトルの映画ポスターが数多く展示されており、そのデザインも細かく再現され、B級映画好きの筆者は思わず苦笑してしまった。  ゲーム内で捜査する事件の多くは、実際に発生した犯罪や、それを元ネタにした映画などのタイトルをひねったものが多いのも、痒いところに手が届くROCKSTAR流のお遊びである。フィルムノワール黄金時代の裏では、アメリカ政府が啓発目的でハリウッドに作らせた啓蒙映画や、テレビ以前の情報源としてのニュース映画が大量に出回っていた。ノワールの名作をオススメするのも悪くないが、本当に面白いのは、こういった評価されることのない不毛のジャンルであり、そんな重箱の隅までキッチリ再現しているのが『L.A. NOIRE』の本当に凄い部分なのである。DLCで配信予定の追加シナリオ『REEFER MADNESS』は、まさにそういった政府主導による啓蒙映画の代表的タイトルであり、その内容もまた元ネタをキッチリ踏襲している。その特殊性から日本国内では鑑賞が難しく、日本版ビデオ/DVDなども発売されていないジャンルだが、こういった文化的背景に対する理解も深めるキッカケとしても、『L.A. NOIRE』を楽しむことができるだろう。


 今回はゲームそのものの世界観を考察するという趣旨なので小難しい内容になってしまったが、次回後編では、いよいよマスクド刑事の事件簿を報告したい。両津勘吉からスタートして警視庁殺人課(リスペクト菅原文太!)、ヤクザGメンを経て火付け盗賊改めに出世するまでのマスクド犯科帳を乞うご期待!
 犯人はお前だ!!!!(と、自信満々に誤認逮捕)


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マスクド刑事のB級ノワール映画コレクションの数々。ホラーパンクバンド、THE MISFITSのトレードマークとして有名な"CRIMSON GHOST"(実は1946年の作品。『L.A. NOIRE』の時代にドンズバ!)も、この時代に登場した名キャラクターであり、『月光仮面』の悪役サタンの爪に多大なる影響を与えた……とはマスクド刑事の推理。



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©SUNSOFT,©CAPCOM CO.,LTD.2002 ALL RIGHTS RESERVED.
※画像はすべて海外版のものです。

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|17:15

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Banned in Japan!! 宇宙からのダイイングメッセージ『DEAD SPACE 2』

2011/02/08 (火曜日)

絶命異次元2!!!!!!!!!!!!!
 世界には、どんなに傑作でも諸事情により日本で発売されないゲームが存在することは、このブログでも書き続けてきた。だが、いまや大抵の洋ゲーはローカライズされ、修正したりしなかったりで、とにかくリリースはされる現在は、ひと昔前と比較すると相当恵まれた環境にあるといえる。しかし! その数こそ少なくなったが、上陸を果たせないタイトルがいまだあるのも事実。その筆頭が、EAが放つ超絶ゴア系サバイバルホラー『DEAD SPACE』だ!
 リドリー・スコットの出世作にして、SFゴシックホラーの傑作として名高い『エイリアン』('79年)をベースに、ゲームデザインは『バイオハザード4』を深化させ、奥深い物語とヤリ込み要素満載で2008年のハロウィンに合わせて北米リリースされた『DEAD SPACE』。その中身は、それはそれは凄まじいものだった。ここでその物語を軽く補足しておこう。
 2509年。人類は地球上の鉱物資源を採掘し尽くし、新たなる資源を求めて宇宙にまで探索を広げる。なかでも日本系企業のUSG石村は、その貪欲な営業姿勢でライバル企業を圧倒。次々と独占採掘を開始する中、採掘試験中だった石村所属の宇宙船<イージスVII>が。通信機器の故障で航行不能というSOS信号を発したまま消息を絶った。救助に向かったのは宇宙船修理のエキスパートであるエンジニアのアイザック・クラークと仲間たち。恋人であるニコルが医療班としてイージスVIIの船内で働くアイザックは、彼女を救うために旅路を急ぐが、到着してみればイージスVIIは既に壊滅状態。船内は謎のエイリアン<ネクロモーフ>たちに占領され、生存者は1人もいなかった。SOS信号は、さらなる獲物を求めるエイリアンの放った罠だったのだ! 乗組員の死体に寄生して増殖する凶暴なエイリアン軍団の攻防を退けながら、アイザックは唯一生存してると思われる恋人を探すために、巨大母船の修理を開始するが、そこには恐るべき陰謀が隠されていた……!
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 なるほど。その物語はまんま『エイリアン』である。しかし『エイリアン』の影響を受けたゲームは多いが(『エネミー・ゼロ』とか)、『DEAD SPACE』は設定からゲームデザインからグラフィックまで群を抜いている。黒幕が日系企業という部分や、謎の惑星から発掘された<マーカー>と呼ばれる巨大オブジェに秘められた呪い。そして次々と人間の死体に寄生することで無尽蔵に誕生する異形のエイリアン<ネクロモーフ>の気色悪すぎる造形。そんな恐怖と対峙する主人公アイザックもまた、カッチョいい宇宙の戦士などではなく、肩書き的には単なるエンジニアというブルーカラーな労働者。ジョン・カーペンターの『ダークスター』のダラしない宇宙船操縦士を彷彿とさせ、残虐描写ではポール・バーホーベンの『スターシップ・トルーパーズ』真っ青のゴアゴアなグラフィックが炸裂するゲーム展開は、それはそれは恐ろしく、かつ凄まじい。
 なかでも強烈なのがアイザックに襲いかかるエイリアンのルックスである。寄生した宿主である人間の面影を残しながらも、まるで『遊星からの物体X』さながらにグチャグチャに変身したルックスは「きめぇ」の一言に尽きるのだが、そんな気色悪い連中が神出鬼没でアイザックを襲撃。頭部、両手、そして両足をバラバラに切断しないかぎり死なず、腕一本の状態になっても這いずりながら攻撃してくるんだから恐ろしすぎる。そんな悪夢のようなゲームが、いま再び我々の前に立ちはだかるのだから、これはもう事件である! 本作を取り上げずして、何がMAD GAMERか! と、俺は1人宇宙(そら)に向かって叫んだね。
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 今年の1月25日に北米リリースされた『DEAD SPACE 2』は、前作よりも大幅にスケールアップを果たし、主人公アイザックもまた再び悪夢そのものの戦いに巻き込まれていく。
 イージスVIIの惨劇から3年……。石村の採掘宇宙船から命からがら脱出したアイザックは、宇宙空間を瀕死の状態で漂っているところを救出され、土星の衛星タイタン近くに建設された巨大な宇宙コロニーに収容される。しかし重度のPTSDにより認知症を患っていたアイザックは、コロニー内で拘束されて執拗な尋問を受けていた。その最中に、イージスVIIで発生した恐るべき事態が現場から遠く離れたコロニーにも侵蝕を始め、拘束されたアイザックの周囲は阿鼻叫喚の修羅場と化す! 恋人ニコルの幻影に悩まされるアイザックは、侵蝕を開始したネクロモーフ軍団、そして諸悪の根源となった遺物<マーカー>の謎を解き明かすために再び立ち上がるのだった……!
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 採掘用の宇宙船から一転して、舞台が巨大な宇宙ステーションになった『DEAD SPACE 2』は、ゲーム序盤からいきなりクライマックスのような盛り上がりを見せてくれる。新武器や新コスチュームも追加され、謎の宗教施設や住民たちの居住区、幼稚園から学校まで様々なステージで血で血を洗うネクロモーフとの壮絶バトルが繰り広げられる。特に注目したいのがスケールアップした物語で、なんとXBOX360版は2枚組! 謎が謎を呼ぶ展開と、新種のネクロモーフを相手にタップリ長時間遊べるのだが、難易度が高いと普通によく死にまくるゲームなので、折れない精神力が大事。でも、アイザックの死亡シーンが実に多種多様なのも魅力の1つであり、状況や敵に合わせた死に様が何十パターンも用意されている。死に様を味わうのも『DEAD SPACE』の世界観を構築する重要な要素なのだ。幸い、ゲームを一度クリアしてしまえば、クリアデータを引き継いで難易度を変えて再挑戦できる仕様なので、実績やトロフィーの解除を狙うために何周もプレイしたくなる。
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 とくにプレイを繰り返したくなるのは、成長要素の存在だろう。アイザックの装備する宇宙スーツや各種武器はPOWER NODEと呼ばれるアイテムを入手すれば、改造作業台BENCHを介在することでパワーアップが可能となっている。しかし、単純なレベルアップではなく、複雑な成長ツリーを埋めていくことでパワーアップの順番が決まるため、中途半端に振り分けると武器に込められた真の威力を発揮できないまま、強敵と対決するハメになる。やはり育成は計画的に進めないといけないのは、RPGのソレと非常に近い。かくいう筆者も初見プレイの段階で全体の約半分ぐらいまで進んだあたりで成長ツリーの振り分けを完全に間違えていたことに気づき、そこまでのプレイ経過を捨てて最初からやり直しを決意したほどである。
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 その結果を踏まえてアドバイスをするとすれば、パワーアップは初期装備の武器<プラズマカッター>が最優先。MAXまで成長させれば終盤まで頼れる強力武器になる。宇宙服のレベルアップは体力増強とダメージ耐性を優先し、酸素残量は最後でかまわない。余裕があればサブ武器としてマシンガン並みの連射が可能な<パルスライフル>の所持をオススメしたい。アイザックは十字キーに振り分け可能な4つの武器を同時に持てるが、そのぶん弾丸も複数種類を所持しなければならず、アイテムボックスが埋まりやすいのが難点。少なくとも1周目はプラズマカッターとパルスライフルだけでもクリアは可能なので、様々な武器の威力を試すなら2周目以降が望ましいだろう。
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 『DEAD SPACE 2』は、パート1と同様に激しい人体損壊描写が売りのゲームであるからして、そういった描写がNGの日本市場では発売が非常に難しいし、またその破壊描写をマイルドにすることはゲームのプログラムを根幹から変える必要があるため、欠損表現を削除したローカライズも不可能といえる。そうなると日本版の発売は限りなく無理なのだが、筆者は別にそれで構わない。洋ゲーの、実に洋ゲーらしい部分を残したタイトルは、最初に述べた通り、ほとんどの洋ゲーが普通にローカライズされる今となっては貴重な存在だ。リージョンはフリーだし、攻略に行き詰まったらYOU TUBEに海外から投稿された攻略動画が手助けしてくれる。何も困ることはない。あとは阿鼻叫喚のSF地獄絵巻に身を投じるだけで良いのだ。
 制作スタッフ全員が『バイオハザード4』をフェイバリットとして挙げている通り、『DEAD SPACE』シリーズは日本のサバイバル・ホラーゲームを手本に作られた洋ゲーである。その遺伝子を感じ取るか取らないかで、『DEAD SPACE』に対する印象は変わってくるだろう。とにもかくにも、いま最もHOTなゲームは『DEAD SPACE 2』であることは間違いない。その臨場感、緊迫感、そして死んだ感を味あわずして、洋ゲーの"今"を語ることはできないのである!  BRING THE TERROR TO SPACE !!!!!!!!!!
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ZOMBIES GO WEST!! 『RED DEAD REDEMPTION: UNDEAD NIGHTMARE』

2011/02/03 (木曜日)

ZOMBIES GO WEST !!!!!!

 超久々の更新DESTROY!! 年末年始はスッカリ別枠の『Fallout: New Vegas』プレイ日記に全力投球しすぎて、本チャンブログの更新が疎かになっていたことを素直に謝りたい。マジごめん! というわけで、筆者が単身で魔都ニューヨークに突撃取材したロックスター・ゲームス開発部門副社長ダン・ハウザー氏インタビュー以来の更新ネタは、実は全然そこから地続きの話題だったりする。そう、日本版の発売を目前に控えた、あのタイトル……『RED DEAD REDEMPTION: UNDEAD NIGHTMARE』だ!
 この度、めでたく配信版と共にパッケージ版もリリースされる本作は、既に北米では配信済みだった3本のオンライン対戦用ダウンロードコンテンツに加えて、全く新規で制作された追加シナリオエピソードが、誰もが驚く<西部劇・ミーツ・ゾンビ>という超ブッ飛びの内容だった!
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 その良い意味での"期待の裏切り"具合が、相変わらずタマラないR★だが、その中身もゴーイング・マイウェイ! ストーリーは『RDR』本編をクリア済みである人であれば、確実にのけぞるパラレル・ワールドが展開するのである。思わず「こんなんアリか?」と我が目を疑うが、ナシをアリにしてしまうのもまたR★流。しかし今回、このインプレッションを執筆するにあたって、最も留意したのは「本編をクリアしていない人にとっては、かなりのネタバレになってしまうのではないか?」という部分であり、少なくとも本編を未プレイの人が、いきなり『UNDEAD NIGHTMARE』から『RDR』の世界に触れるのは、正直いかがなものかと思う。それほどブッ飛んだゲームなのである。 だからといっては何だが、願わくばこのブログを読む人は『RDR』クリア済み、もしくはプレイ中である人であることを望みたい。『UNDEAD NIGHTMARE』は、あくまでも追加シナリオであるからして、やはり本編をタップリとプレイしてから挑んでほしい。注意点はそれだけ。前置きが長くなってしまったが、早速本題に入ろう。
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 『UNDEAD NIGHTMARE』は、お馴染みの主人公ジョン・マーストンと、その家族が平和に暮らしているところに、いきなり生ける屍が襲いかかる嵐の夜からスタートする。なぜ死者が突然甦ったのか? そこに明確な説明もないまま、次々と襲いかかるゾンビ軍団! 最愛の家族までゾンビに感染してしまい、途方に暮れたマーストンは解決策を求めて町に繰り出すが、そこはすでに死者の世界。生存者たちは建物に籠城し、ゾンビの侵攻を防ぐべく銃を乱射している。マーストンの良き協力者だった友人たちも次々とゾンビに襲われ倒れていく中で、マーストンは生存者を救出しながら孤独な戦いを強いられるのだった……。
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 同じ時代、同じマップ、同じ登場人物が織りなす物語でありながら、その実まったく別のストーリーが味わえる本作では、ゲームシステムにも大胆な変更が数多く加えられている。その中でも、まず一番大変なのは弾丸や武器の確保だ。ゾンビ軍団が押し寄せる状況下では、当然ながら武器屋も絶賛休業中。弾丸の補充ができないのは<死>に直結する問題なので、最初は弾探しで苦労することになるのだが、この「弾丸数制限」が実にゾンビゲームらしいゲームデザインとなっており、大量のゾンビ相手にするには弾数が微妙という緊迫感はゾンビ映画、そしてゾンビゲームのお約束ともいえる(『バイオハザード』シリーズがその筆頭)。R★は、お約束を守る漢のゲーム会社なのだ!
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 そして、お約束も大事だが『UNDEAD NIGHTMARE』では他社のゾンビゲームでは有り得ないクリーチャーも多数登場する。その筆頭が、ダン・ハウザー氏インタビューでも話題に登った<ゾンビ馬>の存在。マーストンの愛馬がゾンビに襲われて死ぬと、荒野のどこかでゾンビ馬となって甦り、マーストンのところに戻ってくるのだ。もちろんそれだけで終わるはずもなく、広大な西部のマップの彼方此方に、伝説のゾンビ馬が生息していたりする。しかも何頭も! 全身から炎を吹き出す馬や、毒ガスを巻き散らしゾンビを蹴散らす馬など、これまでの常識を覆すモンスター級の馬に乗らずして『UNDEAD NIGHTMARE』は語れない。もちろん捕獲の際はロデオで飼いならそう!
 さらに付け加えるなら、ゾンビ化するのは馬だけでは終わらない。平時には狩りの獲物として荒野に生息していた各種アニマルたちも、漏れなくゾンビ化しているうえに、飛んでる鳥は屍体を貪るハゲタカばかり。狼も猪も、そして最強アニマルの熊までがゾンビと化しているから始末が悪い。当然、脳天を狙い撃ちしなければ死なないので厄介極まりないのだが、この徹底したゾンビ化現象によってゲームの難易度は急上昇。ただ撃ちまくっているだけでは生き残れない絶妙なバランスも、『UNDEAD NIGHTMARE』の魅力なのである。


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 これだけでも、もうお腹一杯という状況だが、これで終わらないのがR★のスゴイところである。またまたダン・ハウザー氏がインタビューで語っていたことを思い出してほしい。

「オープンワールドには、単純に善と悪を配置するだけでは不完全だ。常識では説明のつかない人物や現象も織り交ぜる必要がある」

 その発言は本作でもバッチリ反映されている。何しろゾンビとは全く違う、まさしくモンスター級の敵まで登場しちゃうのである。その筆頭が<ビッグ・フット>と<チュパカブラ>だ! 誰もが一度は耳にしたことがある怪奇生物であり、一般にはUMA(Unidentified Mysterious Animal)と呼ばれるファンタジックな存在。有名どころではネッシーや雪男、日本だったらツチノコや河童だが、そんな文字通りのモンスターまでもがマーストンの前に立ち塞がるのだから、このゲームは本当にヤバい! ビッグ・フットに至っては、超有名な記録映像パターソン・フィルム(註:1967年に北米カルフォルニアの山間部において、元カウボーイのロジャー・パターソンが偶然撮影したとされるビッグ・フットの証拠映像。しかし発表から現在まで真偽を疑われている)まんまの姿で走り去るんだからタマラない! 西部劇ファンやゾンビ映画ファンだけでなく、UMAファンまで取り込んでしまう懐の深さが素晴らしいではないか! チュパカブラに関しても同様で、現代の神話ともいえる二大モンスターを臆面も無くゲームに登場させる心意気を評価したい。遭遇するまでには、それなりに時間がかかるが、ヤツらを探すためだけに森林を探索したくなる。そう、マーストンはパターソンでもあるのだ!
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 いささか興奮してしまったが、本題に戻ろう。『UNDEAD NIGHTMARE』には、上記のように実に様々な要素がテンコ盛りに詰まっているのがお判りいただけたであろう。あとはひたすらプレイしてもらうしかないが、最後に本作に込められた文化的背景についても触れておきたい。
 そもそも、R★がゾンビゲームを作るのは初めての事態である。これまでR★はゾンビゲームに対して関心が薄かった。かつてサム.ハウザー社長は、「ゾンビは動きが遅くてゲームの敵としては退屈だ」と語っていたし、ダン・ハウザー氏もまた同様の発言をしている。しかし、西部劇にゾンビを盛り込むという発想は、R★的には<アリ>だった。なぜなら、そんなゲームは今まで存在しなかったから。

 じゃあ、元ネタはあるのか? 映画とか? と思うだろうが、実はゾンビ&西部劇という映画もほとんど無い。あっても超B級だ。筆者が知る限りでは、『ゴーストタウン』('88年/アメリカ/エンパイア・ピクチャーズ)とか、『インディアン・ゾンビ 死霊の詰め合わせ』('85年/アメリカ)、もしくは『ゴーストライダース』('87年/アメリカ)ぐらいしか思い当たらない(それだけ思い当たれば充分だというツッコミもあるが)。しかし、いくつかの使い古された要素を組み合わせ、新しいコンセプトに仕立て上げる手法は、B級娯楽映画の王道でもある。『UNDEAD NIGHTMARE』もまた、見事にその手法を継承しているのではないだろうか。その裏付けとして、マカロニウエスタンとゾンビ映画の関係性にも言及せねばなるまい。  1960年代中盤から映画市場に登場したイタリア製の偽西部劇は、その後の約10年間で黄金期を謳歌するが、70年代後半より急速に衰える。しかし、マカロニウエスタンで仕事をこなした多くのイタリアの職人映画監督たちの娯楽映画魂が死に絶えることはなく、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ DAWN OF THE DEAD』(1979年)の登場を期とする、1980年代に世界中を席巻したゾンビ映画ブームにイタリア映画界が呼応。その結果、多くの傑作が輩出されることになる。そのブームの底上げに貢献したのが、ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチだ。

 ダリオ・アルジェントといえば『サスペリア』に代表されるジャッロ映画(殺戮サスペンスものを示すジャンル名)の名手だが、実は下積み時代には西部劇や戦争映画のシナリオライターとして活躍していた。その頃の代表作には、仲代達矢が主演を果たした異色のマカロニウエスタン『野獣暁に死す』(1968年)があり、DVDも発売されているので興味のある方は要チェックだ(そんなに面白い映画ではないけど)。さらにアルジェントは、ロメロの『ゾンビ』では共同プロデューサーとしても名を連ねているのも見逃せない。
 そしてルチオ・フルチ! フルチといえば超グロ系スプラッターゾンビ映画『サンゲリア』(1979年)を筆頭に、『ビョンド』(1981年)、『地獄の門』(1980年)、『墓地裏の家』(1981年)といった残虐ゾンビ映画を世に送り出した、ゾンビ映画のマエストロ。そのフルチもまた、監督デビュー当時はマカロニウエスタンを撮っていった過去がある。フランコ・ネロ主演による『真昼の用心棒』(1966年)は、内容的には大して面白くもない作品だが、アクションと残虐描写に関しては早くもフルチ趣味が全開。60年代という時代を差っ引いても余りあるゴアな殺しの連続に、その才能の片鱗が見え隠れしている(この2人のエピソードは比較的有名なもので、この2人以外にも数多くの職人監督たちが、マカロニブームが去った後、ホラー/スプラッター映画ブームに便乗して路線転向を果たしている)。西部劇とゾンビの関係性を語るには、十分すぎる歴史的事実ではないだろうか。
 ついでに、余談ではあるが本作の海外版予告編映像のスタイルも凝りに凝っている点にも触れておこう。筆者の印象では、そのスタイルは1960年代にドライブINシアター向けの低予算クズ映画を数多く送り出したアル・アダムソン監督のB級ゾンビ/モンスター映画の予告編のスタイルに酷似しており、非常に興味深い。オドロオドロしい効果音やナレーション、大げさなキャッチコピーとショッキングな描写の連続は、B級映画感を狙ったR★の確信犯的な演出ではないかと睨んでいる。ちなみにアル・アダムソンは日本では無名に近い存在だが、海外ではエド・ウッドJr.と並ぶクズ映画監督として(悪い意味で)カルト人気を誇り、それなりに再評価もされている。また、完全に蛇足情報だが、アル・アダムソン監督本人は'95年に自宅近くで他殺死体で発見されたという。自宅の風呂場を改築した際に、リフォーム業者の大工と口論になり、怒った大工に殺されたらしい。マジかよ……。
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 そして最後に、ダン・ハウザー氏がインタビューで語っていた言葉を、今一度思い出してほしい。

「1970年代の映画スタジオを想像してもらえると解り易いかもしれないね。昼間は上質の西部劇を作り、夜はB級ゾンビ映画を作っているような感じだね。」

 ゾンビ映画と西部劇の親和性を表現した『UNDEAD NIGHTMARE』のコンセプトは、映画界の裏面史をゲームに盛り込むことで完成したといえるだろう。まさしく発想の勝利であり、そのコンセプトは歴史的事実に裏打ちされている。これこそR★の真骨頂ではないだろうか。あまたのサブカルチャーを貪欲なまでにゲームに取り込むという、発想の時点での自由度の高さこそR★の強みである。ぜひとも、そのブッ飛んだ世界に身を投じてほしい。
 あなたの知らない西部劇の世界が、そこに確実に存在するのだから!
 UNDEAD NIGHTMARE!!!!!!!!!!!!!!

(C)2005-2011 Rockstar Games, Inc.

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|22:01

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『レッド・デッド・リデンプション』ダン・ハウザーインタビュー完全版!(後編)

2010/11/05 (金曜日)

●オープン・ワールドのゲームを作るためには、その世界の生活全体を見せなくてはいけない

(編集部より:前回に引き続き、ロックスター・ゲームスのダン・ハウザー氏へのインタビューをお届けします。)

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<『RDR』の時代考証>
マスク・ド・UH(以下、UH)  100年前の当時の西部の人々の生活や風俗の再現が非常に細かいのですが、どんな資料を調べて再現したのでしょうか?
ダン・ハウザー(以下、ダン) それはもう“調査”に尽きる。R★には、フルタイムでリサーチだけを専門とするチームがいるんだ。オープンワールドのゲームを作る際には、その世界における生活全体を見せなくてはならない。西部の風景を作るだけならば、サンディエゴのスタジオ周辺が、まさにそういう風景なので簡単に作れるど(笑)、当時の人々の暮らし方については、本を読んだり、米国議会図書館へリサーチャーを送って写真を集めたり、"Sears"という老舗デパートの古いカタログなどを見て当時使われていた商品の広告を見たり、昔の新聞記事を参考にして情報を集めたんだ。
 このゲームの根底に流れるテーマでる、旧世界と新世界がぶつかり合っている様子がわかる情報を徹底的に拾い集めるのが重要だった。モダン・コンシューマー・アメリカン・グッズ(大量生産品)の誕生の時代だよ。
UH 登場人物たちが、女性キャラのボニーをはじめ、みんな歯が汚いところが細かいと思いました。
ダン 非常に優れたキャラクター・モデリングだね。コンピューターでは難しいことだが、フィーリングを大事にした。土で汚れた、有機的な質感の中から、人々が吹きさらしの世界で生きている感じなど、開拓時代の人たちの厳しい生活を表現している。そうでないと田舎がデジタル化して見える。


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<ゲーム史上最高の馬>
UH もう1つの『RDR』の主役といえば「馬」ですよね。馬を作るにあたって、一番苦労した部分は、どこでしょうか?
ダン アニメーションと、それを取り扱うメカニズムだ。GTAでは50種類くらいのクルマとバイクが走っていれば良かったけど、馬には個性がある。だから、苦労したのは馬のコアの部分のデザインと、乗馬を楽しくすることかな。馬は、このゲームでは重要な部分を占めるので、乗っていて楽しくて、しかも本物のように感じられないといけないと考えていたんだ。
UH ロデオの時の激しい動きや、太ももの筋肉、尻尾の動き、鬣(たてがみ)が風でなびくところなど、ゲーム史上最高の完成度の馬でした。
ダン それが我々のゴールだ。大きくて強い馬もいれば、小さくて弱い馬もいる。このゲームを作り始めて、色々新しいことを試したわけだが、最初から神経を尖らせたのが馬だ。馬の完成度が低いと、このゲームは駄作になってしまうからね。見た目もメカニズムも、これまでのゲームで登場した中では、一番いい馬だと思うよ。
UH 野良馬を捕まえてロデオで馴らすのは、GTAでクルマを盗むのと同じくらい興奮しますよね。長く乗り続ければ、馬との信頼度が増すところも、クルマでは味わえなかったです。
ダン それ以上に楽しいよ。GTAではクルマは乗り換えられるので、そういう興奮はない。乗り続ければ、それに従って馬の行動も上達するから、ぜひとも馬との交流を楽しんでほしいね。交流すれば、信頼度が上がり、それに従って馬の行動も上達するからね。


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<オープンワールドのゲームデザイン論>
UH  『RDR』のマップは、実際どのぐらいの広さがありますか?
ダン これまでで最大。『GTA:サンアンドレアス』の倍くらいか、それより大きいかも。しかし重要なのは、プレイヤーが完全に入り込んで、自分がどこにいるのか、わからなくなるようなマップにすることだった。荒野の探検を実感して欲しかったんだ。古典的な西部劇の様々な風景、山脈からメキシコの砂漠まで、それぞれが大きくてボリュームがある。これはとても重要なことだ。アメリカの西部は、特に英国や日本から来た人にとっては、とにかく巨大に感じるからね。このフィーリングをゲームに入れたいと思ったんだ。
UH 植物や岩といった自然の造形物を作るのは、ビルや家といった人口構築物を作るより大変だったのではないでしょうか?
ダン 技術面、モデリングで一番苦労したのは“断崖絶壁”だね。このワールドには崖がたくさんあるが、これを良く見せるのに大変苦労した。崖はすべて手作業で作ったんだよ。どうしてもコンピューターは直線が得意だからね。それを風や雨や太陽で曲げられたように見せ、環境が有機的に感じられて、風が吹いて埃が立って、陽が照り返しているように見せることが重要だ。それが全体としてのチャレンジだった。過去のゲームでは、片田舎をあれほど美しく見せていなかったからね。これはチャレンジだったが、全てのゴールでもあったんだ。
UH なるほど。天候変化や夜空の美しさなどは、尋常ではない完成度だと思いましたが、そのような苦労があったわけですね。

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ダン そしてゲームデザイン上の重要なポイントだが、ゲームを作り始めると起こる問題には、それに直面するまでわからない。このゲームを作っていて、自分たちは、オープンワールドについては誰よりも作り方を知っていると思い、ゲームデザインに真面目に取り組んでいたが、ここでGTAでは直面しなかった問題に直面した。それは「片田舎がとても退屈」だということ。これを解決する方法を見つけなくてはならなかった。GTAではクルマや人間があちこちにいて、警察がいて、エンターテイメントを提供してくれるし、あれこれインタラクションが可能なので、様々なミニゲームを作れば、それで完成する。これは過去にやってきたことだが、今回は町があって、誰かがミッションをくれても、それが終わればやることがなくなってしまう。そこでシステムを見直して、新しい発明しなくてはならなかったんだ。そのためにコンテンツを二層のレイヤーに分けてみた。1つは「ビーツ」と呼ぶシステムだが、これはプレイヤーにタスクをたくさん与える。道を進むと強盗が他人を襲っているとする。そこに加担して強奪することも出来るし、助けることも可能なら、何もせずに見ていることもできるようにしたんだ。
 もう1つは「フェリコ」システムで、鳥や熊などの動物が登場して、逃げ惑う人たちを食べてしまうかもしれない。動物を倒すこともできるし、放っておくことも可能だ。この2つのシステムが相互に働く、二層に構築されたイベントが有機的にプレイヤーの周りで発生する。動物はプレイヤーを追いかけたりもする。これが『RDR』のゲームデザインの上で、大きな突破口となったんだよ。
UH 二層のレイヤーによるゲームデザインですか! そうやって解り易い言葉で表現できることが、すごいです。
ダン ありがとう。プレイヤーは常にそのワールドにいるという感覚を持っているけれども、ストーリーに沿ったミッションをやってもやらなくても、実はあまり変わりはない。ストレンジャーも野生動物も関わるミッションも、ミニゲームにも、すべてテーマに一貫性があれば、プレイヤーには「自分はこの世界に生きているキャラクターだ」と感じてもらえるからね。もちろん、新しい何かを求めるゲーマーたちとの戦いみたいなところもあるよ。だからこそプレイヤーの没入感を高めることに努力しているんだ。


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<DLCと今後のR★の展開>
UH 『RDR』は、本編以外にもオンライン・マルチプレイヤーが作り込まれていますよね。また、すでに海外では、マルチプレイヤー・モード対応のDLCが何本か配信されていますが、今後の展開を教えていただけますか?
ダン 近い将来、日本でもDLC展開ができるはずだから日本のファンは期待して待っていてほしいね。今は『RDR』の世界にゾンビが登場する『Undead Nightmare(アンデッド・ナイトメア)』が最新リリースのDLCとなる。きっと日本のファンにも気に入ってもらえると思うよ。コンセプトとしては、1970年代の映画スタジオを想像してもらえると解り易いかもしれないね。昼間は上質の西部劇を作り、夜はB級ゾンビ映画を作っているような感じだね。1970年代のゾンビ映画風に仕立ててある。ゾンビにもゲームとしては退屈な部分があるけれども、自分たちは西部劇にゾンビを入れることで、面白いアングルを見つけたと思うんだ。何しろオープンワールドのゾンビゲームへのリクエストが一番多いからね。
UH 様々な映画のエンターティメントの味わいを、ゲームに持ち込んでいるんですね。
ダン YES! ゾンビ映画は、ある意味でカウボーイ映画と同じようにアメリカ的だ。2つのアメリカン・シネマの伝統を同じ世界で体験できるんだよ。他のタイトルではなく『RDR』にゾンビを取り入れたのは、どちらも同じぐらい映画的だったからなんだ。
UH また新しいチャレンジですね!
ダン そうだ。DLCは、今までと違うこと、主流でないことをやるには面白い手段だと思ったんだ。(R★が)完全なゾンビゲームを作りたいかどうかは、わからないが、このような小さなゲームを作ることは、既存の世界を面白く使う1つの方法だと思うよ。ゾンビがアメリカの片田舎にある丘を歩いているのを見ると、70年代のクラシック・ゾンビ映画のようで楽しいしね。ミッションにはシングルとマルチの両方が用意してある。そうそう! 是非とも「ゾンビ馬」の完成度も見てほしい。


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UH 非常に楽しみです! では、最後になりましたが、日本人には少し馴染みの薄い西部劇の世界ですが、日本のプレイヤーには、『RDR』のどんな部分を楽しんでもらいたいですか?
ダン 一番楽しんでもらいたいのは、ゲームデザイン全体だ。ワールドにいるという経験。このゲームの強みは、そこにあると思う。西部劇には、黒澤明の映画などを通じて侍文化や日本文化に繋がる部分もあるから、日本のファンにも楽しんでもらえると期待しているし、ある意味GTA以上に共感してもらえると考えているよ。
UH 最後に、今後のR★の展開を教えてください。どんな新作を準備しているのか知りたいですね。
ダン 現在は『マックス・ペイン3』を作っている。そして『LAノアール』も開発中だ。この2本のタイトルに総力を費やしていて、両方とも順調に進んでいるよ。日本のファンにも、きっと気にってもらえると思うよ!
UH 期待してます! 本日は長時間のインタビュー、ありがとうございました!

投稿者 マスク・ド・UH : パーマリンク|14:33

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