ZOMBIES GO WEST !!!!!!
超久々の更新DESTROY!! 年末年始はスッカリ別枠の『Fallout: New Vegas』プレイ日記に全力投球しすぎて、本チャンブログの更新が疎かになっていたことを素直に謝りたい。マジごめん! というわけで、筆者が単身で魔都ニューヨークに突撃取材したロックスター・ゲームス開発部門副社長ダン・ハウザー氏インタビュー以来の更新ネタは、実は全然そこから地続きの話題だったりする。そう、日本版の発売を目前に控えた、あのタイトル……『RED DEAD REDEMPTION: UNDEAD NIGHTMARE』だ!
この度、めでたく配信版と共にパッケージ版もリリースされる本作は、既に北米では配信済みだった3本のオンライン対戦用ダウンロードコンテンツに加えて、全く新規で制作された追加シナリオエピソードが、誰もが驚く<西部劇・ミーツ・ゾンビ>という超ブッ飛びの内容だった!
その良い意味での"期待の裏切り"具合が、相変わらずタマラないR★だが、その中身もゴーイング・マイウェイ! ストーリーは『RDR』本編をクリア済みである人であれば、確実にのけぞるパラレル・ワールドが展開するのである。思わず「こんなんアリか?」と我が目を疑うが、ナシをアリにしてしまうのもまたR★流。しかし今回、このインプレッションを執筆するにあたって、最も留意したのは「本編をクリアしていない人にとっては、かなりのネタバレになってしまうのではないか?」という部分であり、少なくとも本編を未プレイの人が、いきなり『UNDEAD NIGHTMARE』から『RDR』の世界に触れるのは、正直いかがなものかと思う。それほどブッ飛んだゲームなのである。 だからといっては何だが、願わくばこのブログを読む人は『RDR』クリア済み、もしくはプレイ中である人であることを望みたい。『UNDEAD NIGHTMARE』は、あくまでも追加シナリオであるからして、やはり本編をタップリとプレイしてから挑んでほしい。注意点はそれだけ。前置きが長くなってしまったが、早速本題に入ろう。
『UNDEAD NIGHTMARE』は、お馴染みの主人公ジョン・マーストンと、その家族が平和に暮らしているところに、いきなり生ける屍が襲いかかる嵐の夜からスタートする。なぜ死者が突然甦ったのか? そこに明確な説明もないまま、次々と襲いかかるゾンビ軍団! 最愛の家族までゾンビに感染してしまい、途方に暮れたマーストンは解決策を求めて町に繰り出すが、そこはすでに死者の世界。生存者たちは建物に籠城し、ゾンビの侵攻を防ぐべく銃を乱射している。マーストンの良き協力者だった友人たちも次々とゾンビに襲われ倒れていく中で、マーストンは生存者を救出しながら孤独な戦いを強いられるのだった……。
同じ時代、同じマップ、同じ登場人物が織りなす物語でありながら、その実まったく別のストーリーが味わえる本作では、ゲームシステムにも大胆な変更が数多く加えられている。その中でも、まず一番大変なのは弾丸や武器の確保だ。ゾンビ軍団が押し寄せる状況下では、当然ながら武器屋も絶賛休業中。弾丸の補充ができないのは<死>に直結する問題なので、最初は弾探しで苦労することになるのだが、この「弾丸数制限」が実にゾンビゲームらしいゲームデザインとなっており、大量のゾンビ相手にするには弾数が微妙という緊迫感はゾンビ映画、そしてゾンビゲームのお約束ともいえる(『バイオハザード』シリーズがその筆頭)。R★は、お約束を守る漢のゲーム会社なのだ!
そして、お約束も大事だが『UNDEAD NIGHTMARE』では他社のゾンビゲームでは有り得ないクリーチャーも多数登場する。その筆頭が、ダン・ハウザー氏インタビューでも話題に登った<ゾンビ馬>の存在。マーストンの愛馬がゾンビに襲われて死ぬと、荒野のどこかでゾンビ馬となって甦り、マーストンのところに戻ってくるのだ。もちろんそれだけで終わるはずもなく、広大な西部のマップの彼方此方に、伝説のゾンビ馬が生息していたりする。しかも何頭も! 全身から炎を吹き出す馬や、毒ガスを巻き散らしゾンビを蹴散らす馬など、これまでの常識を覆すモンスター級の馬に乗らずして『UNDEAD NIGHTMARE』は語れない。もちろん捕獲の際はロデオで飼いならそう!
さらに付け加えるなら、ゾンビ化するのは馬だけでは終わらない。平時には狩りの獲物として荒野に生息していた各種アニマルたちも、漏れなくゾンビ化しているうえに、飛んでる鳥は屍体を貪るハゲタカばかり。狼も猪も、そして最強アニマルの熊までがゾンビと化しているから始末が悪い。当然、脳天を狙い撃ちしなければ死なないので厄介極まりないのだが、この徹底したゾンビ化現象によってゲームの難易度は急上昇。ただ撃ちまくっているだけでは生き残れない絶妙なバランスも、『UNDEAD NIGHTMARE』の魅力なのである。
これだけでも、もうお腹一杯という状況だが、これで終わらないのがR★のスゴイところである。またまたダン・ハウザー氏がインタビューで語っていたことを思い出してほしい。
「オープンワールドには、単純に善と悪を配置するだけでは不完全だ。常識では説明のつかない人物や現象も織り交ぜる必要がある」
その発言は本作でもバッチリ反映されている。何しろゾンビとは全く違う、まさしくモンスター級の敵まで登場しちゃうのである。その筆頭が<ビッグ・フット>と<チュパカブラ>だ! 誰もが一度は耳にしたことがある怪奇生物であり、一般にはUMA(Unidentified Mysterious Animal)と呼ばれるファンタジックな存在。有名どころではネッシーや雪男、日本だったらツチノコや河童だが、そんな文字通りのモンスターまでもがマーストンの前に立ち塞がるのだから、このゲームは本当にヤバい! ビッグ・フットに至っては、超有名な記録映像パターソン・フィルム(註:1967年に北米カルフォルニアの山間部において、元カウボーイのロジャー・パターソンが偶然撮影したとされるビッグ・フットの証拠映像。しかし発表から現在まで真偽を疑われている)まんまの姿で走り去るんだからタマラない! 西部劇ファンやゾンビ映画ファンだけでなく、UMAファンまで取り込んでしまう懐の深さが素晴らしいではないか! チュパカブラに関しても同様で、現代の神話ともいえる二大モンスターを臆面も無くゲームに登場させる心意気を評価したい。遭遇するまでには、それなりに時間がかかるが、ヤツらを探すためだけに森林を探索したくなる。そう、マーストンはパターソンでもあるのだ!
いささか興奮してしまったが、本題に戻ろう。『UNDEAD NIGHTMARE』には、上記のように実に様々な要素がテンコ盛りに詰まっているのがお判りいただけたであろう。あとはひたすらプレイしてもらうしかないが、最後に本作に込められた文化的背景についても触れておきたい。
そもそも、R★がゾンビゲームを作るのは初めての事態である。これまでR★はゾンビゲームに対して関心が薄かった。かつてサム.ハウザー社長は、「ゾンビは動きが遅くてゲームの敵としては退屈だ」と語っていたし、ダン・ハウザー氏もまた同様の発言をしている。しかし、西部劇にゾンビを盛り込むという発想は、R★的には<アリ>だった。なぜなら、そんなゲームは今まで存在しなかったから。
じゃあ、元ネタはあるのか? 映画とか? と思うだろうが、実はゾンビ&西部劇という映画もほとんど無い。あっても超B級だ。筆者が知る限りでは、『ゴーストタウン』('88年/アメリカ/エンパイア・ピクチャーズ)とか、『インディアン・ゾンビ 死霊の詰め合わせ』('85年/アメリカ)、もしくは『ゴーストライダース』('87年/アメリカ)ぐらいしか思い当たらない(それだけ思い当たれば充分だというツッコミもあるが)。しかし、いくつかの使い古された要素を組み合わせ、新しいコンセプトに仕立て上げる手法は、B級娯楽映画の王道でもある。『UNDEAD NIGHTMARE』もまた、見事にその手法を継承しているのではないだろうか。その裏付けとして、マカロニウエスタンとゾンビ映画の関係性にも言及せねばなるまい。
1960年代中盤から映画市場に登場したイタリア製の偽西部劇は、その後の約10年間で黄金期を謳歌するが、70年代後半より急速に衰える。しかし、マカロニウエスタンで仕事をこなした多くのイタリアの職人映画監督たちの娯楽映画魂が死に絶えることはなく、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ DAWN OF THE DEAD』(1979年)の登場を期とする、1980年代に世界中を席巻したゾンビ映画ブームにイタリア映画界が呼応。その結果、多くの傑作が輩出されることになる。そのブームの底上げに貢献したのが、ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチだ。
ダリオ・アルジェントといえば『サスペリア』に代表されるジャッロ映画(殺戮サスペンスものを示すジャンル名)の名手だが、実は下積み時代には西部劇や戦争映画のシナリオライターとして活躍していた。その頃の代表作には、仲代達矢が主演を果たした異色のマカロニウエスタン『野獣暁に死す』(1968年)があり、DVDも発売されているので興味のある方は要チェックだ(そんなに面白い映画ではないけど)。さらにアルジェントは、ロメロの『ゾンビ』では共同プロデューサーとしても名を連ねているのも見逃せない。
そしてルチオ・フルチ! フルチといえば超グロ系スプラッターゾンビ映画『サンゲリア』(1979年)を筆頭に、『ビョンド』(1981年)、『地獄の門』(1980年)、『墓地裏の家』(1981年)といった残虐ゾンビ映画を世に送り出した、ゾンビ映画のマエストロ。そのフルチもまた、監督デビュー当時はマカロニウエスタンを撮っていった過去がある。フランコ・ネロ主演による『真昼の用心棒』(1966年)は、内容的には大して面白くもない作品だが、アクションと残虐描写に関しては早くもフルチ趣味が全開。60年代という時代を差っ引いても余りあるゴアな殺しの連続に、その才能の片鱗が見え隠れしている(この2人のエピソードは比較的有名なもので、この2人以外にも数多くの職人監督たちが、マカロニブームが去った後、ホラー/スプラッター映画ブームに便乗して路線転向を果たしている)。西部劇とゾンビの関係性を語るには、十分すぎる歴史的事実ではないだろうか。
ついでに、余談ではあるが本作の海外版予告編映像のスタイルも凝りに凝っている点にも触れておこう。筆者の印象では、そのスタイルは1960年代にドライブINシアター向けの低予算クズ映画を数多く送り出したアル・アダムソン監督のB級ゾンビ/モンスター映画の予告編のスタイルに酷似しており、非常に興味深い。オドロオドロしい効果音やナレーション、大げさなキャッチコピーとショッキングな描写の連続は、B級映画感を狙ったR★の確信犯的な演出ではないかと睨んでいる。ちなみにアル・アダムソンは日本では無名に近い存在だが、海外ではエド・ウッドJr.と並ぶクズ映画監督として(悪い意味で)カルト人気を誇り、それなりに再評価もされている。また、完全に蛇足情報だが、アル・アダムソン監督本人は'95年に自宅近くで他殺死体で発見されたという。自宅の風呂場を改築した際に、リフォーム業者の大工と口論になり、怒った大工に殺されたらしい。マジかよ……。
そして最後に、ダン・ハウザー氏がインタビューで語っていた言葉を、今一度思い出してほしい。
「1970年代の映画スタジオを想像してもらえると解り易いかもしれないね。昼間は上質の西部劇を作り、夜はB級ゾンビ映画を作っているような感じだね。」
ゾンビ映画と西部劇の親和性を表現した『UNDEAD NIGHTMARE』のコンセプトは、映画界の裏面史をゲームに盛り込むことで完成したといえるだろう。まさしく発想の勝利であり、そのコンセプトは歴史的事実に裏打ちされている。これこそR★の真骨頂ではないだろうか。あまたのサブカルチャーを貪欲なまでにゲームに取り込むという、発想の時点での自由度の高さこそR★の強みである。ぜひとも、そのブッ飛んだ世界に身を投じてほしい。
あなたの知らない西部劇の世界が、そこに確実に存在するのだから!
UNDEAD NIGHTMARE!!!!!!!!!!!!!!
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