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現地直送! 北米ゲーム事情リポート

レトロゲームとお宝鑑定

 年を取るにつれ、自分自身が“レトロゲーマー”と定義できるようになってきたことに気がつく。言い訳をするなら、僕がピクセルで埋め尽くされていた時代を俯瞰できるようになったというのも大きいだろう。そして、アメリカはレトロゲームについて豊かな文化を持っている。今年の3月、ボストンのPAX Eastを取材したときにそれを強く思い知らされた。

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“Funspot Family Entertainment Center”

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 事実として、PAXには(それが西海岸開催だろうと東海岸開催だろうと)ノスタルジックなゲーマーが山ほど来るわけで、そのために二部屋がレトロゲームに捧げられている。ひとつはコンソール(編注:家庭用ゲーム機のこと)で、もうひとつはアーケードマシーン。PAXのクラシック・コンソール・ルームは図書館のような存在だ。ここではさまざまなクラシックゲームを借りて部屋で遊ぶことができる。信じられないことに、ボストンではベクトレックス(光速船)やコレコビジョンといった太古のコンソールで遊ぶ人々を見かけた。メインシアターでは『Deus Ex』が一般に初お目見えしている頃にだよ!? ある種の人々は、未来なんかよりも過去を好むのだろう。

 一方クラシック・アーケード・ルームには、アメリカで見つけることのできる、ありとあらゆるマシーンが集まっており、『ミズ・パックマン』や『フロッガー』が、セガの『Buck Rogers: Planet of Zoom』(1982)がミッドウェイの唯一のベクターゲーム『Omega Race』とともに並んでいるといった感じ。これら30台のマシーンはいずれもフリープレイで、ニューハンプシャーにあるゲームセンター“Funspot Family Entertainment Center”に併設された非営利のプロジェクト“アメリカン・クラシック・アーケード・ミュージアム”(ACAM)から貸し出されていた。Funspotはギネスに「世界最大のアーケード」と認定されており、『The King of Kong: A Fistful Quarters』(編注:日本未放映&DVD発売未定。『ドンキーコング』の世界最高記録を争うふたりの男の話。ラストのどんでん返しは泣けます!)などのドキュメンタリーにしばしば登場している。

(ところで僕はニューハンプシャーに行ったことはないが、サンタクルスにある海に面した風変わりな古いゲームセンターに行くことはある。サンフランシスコから1時間ほど南に行ったところなんだが、いつもその街を通ると『ムーンクレスタ』やコナミの『スクランブル』、カプコンの『ガンスモーク』についついコインを投じてしまう……おっと脱線だ)

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 PAX Eastで今年行われたレトロゲームの講演では、『Wired』のゲーム部門の編集者であるChris Kohlerがホストした『Videogame Antiques Roadshow: Are Your Old Games Actually Buried Treasure?』が良かった。このタイトルはBBCの番組『Antiques Road Show』から来ている。みんなに骨董品を持ってきてもらってその道のプロが価値を判定するという番組だ(編注:『なんでも鑑定団』のパクリと思うかもしれないが、1979年から放送している由緒正しい番組なので、むしろ元ネタ。邦題は『西洋アンティーク鑑定会』)。というわけで、聞いたこともない妙なタイトル(『Bible Adventures』のゲームボーイ版って誰か知ってるか?)から、1986年にバンダイが出した『ファミリートレーナー ランニングスタジアム』の激レアなNES版『Stadium Events』まで見た。未開封品はこの世にふたつしか確認されていないという代物で、今年の1月に約2万3000ドルで売買されたそう。いま買うなら3万7000ドルだってさ。いやぁ、コレクションの世界は狂気のレベルだね。

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 過去12年間、僕は僕で古いゲーム機やゲームの小さなコレクションを築いてきたが、アパートに置き場所がなくなってきたので手放すことに決めた。eBayとつきあって数週間後、価値とは主観的なものだということを思い出していた。“金鉱”だと思っていたプレイステーション2やドリームキャストの未開封ソフトは、じつに残念な結果となった。ああそうだ、これらに高値がつくにはまだちょっと早すぎたのに違いない、きっと……。

 というわけで僕の隠し持っているスーパーファミコンやPCエンジンのソフトとか、TSUTAYAで500セットしか出なかった『Rez完全陶酔セット』の出番かと思ってるんだが、これなら行けるだろ!? いや、うん、アパートのスペース(+お金)と引き換えにしちゃうようなお宝ではあるんだけどさ……。(編注:その後ジェイソンは意気揚々と日本での相場を編集部に尋ねてきた)

プロフィール

Jason Brookes

ジェイソン・ブルックス

イギリスのスタイリッシュな辛口ゲーム雑誌『Edge』の元編集長。ふと思い立って渡米後、『LOGiN』アメリカ特派員などを経て、現在は学生としてデジタルアートを学び直す日々。イギリス人らしいシニカルさは、アメリカに渡った現在も健在だ。実は日本のあるゲームの名付け親だったりもする……。

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