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    <title>実録！オンラインゲーム人生記</title>
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    <updated>2007-10-25T01:54:04Z</updated>
    
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    <title>『鍛冶屋：ULTIMA ONLINE』</title>
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    <published>2007-10-24T08:11:23Z</published>
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        兎にしか勝てなかった衝撃の日からこっち、僕の精神はずっと『Ultima Online』(以下、『UO』)の世界に彷徨っていた。

否、いま思えば引退するその日までそうだったのかもしれないし、いまでもそこから抜け出てはいないのかもしれない。2007年も暮れかかったいまでさえ僕の心は簡単にあの頃のあの世界へと思いを馳せることができるほどなのだから。

文字どおりそこには別世界が確実に存在したのだ。




        <![CDATA[『UO』の生活は毎日が発見の連続なのに、その果ては永遠に見つからないような錯覚を覚えるほどその世界は広大だった。森には様々な動物がいて、街の喧騒からは、遠い洞窟やドラゴンの巣の噂、氷の大陸に閉ざされた不死の怪物のダンジョンなどの話も聞けた。世界は広く自分の足下から無限の彼方にどこまでも広がっている感覚。そしてこの世界にあるあらゆる存在は相互に繋がり合い、この独特のファンタジー世界を形作っていた。鳥を狩れば羽が取れる。その羽根と伐採して得た丸太から矢を作ることができた。ツルハシやシャベルで山壁を掘れば鉄鉱石が掘れ、鉄鉱石を炉で溶かせば精製された鉄を得ることができる。鉄からは様々な武器や防具を作ることができるのはご想像のとおりだが、ノコギリや鍛冶用トンカチ、シャベルなどの生活用具も作ることができた。そればかりかヒンジ・歯車などの部品を作って壁掛け時計や六文儀なんてものを作ることもできる。ただ身を飾るためだけの指輪やネックレスも作れるし、狩った肉や釣った魚は火にかけることでステーキや焼き魚にして食べることができた。小麦粉からパン生地を作ってパイやピザも作れるし、ケーキも目玉焼きもクッキーも作れる。椅子にテーブル、木箱に金属製の金庫、玉座に書物机、バンダナ、エプロン、ブラジャー、スカート、マントに道化師の服、サンダルもベンチも作れる。世界のすべては繋がっていて、無駄なものなどここにはないと言わんばかりだ。

そしてそのほとんどが<strong>あまり役に立たない</strong>のがすごく新鮮だった。もちろん六文儀を使えばいまいる緯度経度を知ることはできる。時計を見ればその世界での現在時刻がわかる。食事を摂れば減ったスタミナを若干回復できるが食べ過ぎるとしばらく時間を置かないと食べられなくなる。そういったそれらの存在意義は理解できるが、それが役に立つかどうかはそれを役に立つように使うかどうかに委ねられている。それらをすべて試したわけではないが、街の往来に行きかう人々がそれぞれに自分のプレイから得たものを行商していたりして、そこでの会話から漠然とそういうことを覚えていった。


<strong><font size="+2">さらっと書いたがこれは凄いことだと思う。</font></strong>


ゲームに存在するアイテム(というか記号)は目的や意味が明確なほどプレイヤーは受け入れやすい。使ってもいいけど使わなくてもいい。してもいいけどしなくてもいい。戦ってもいいし戦わなくてもいい。殺人してもいいし殺人しなくてもいい。『UO』は世界をその曖昧さで繋ぎ合わせ構築してあった。たしかに世界初の数千人が同時に遊ぶRPGであるから、明確なスタートとゴールは邪魔だろうということは想像に難くない。それは製品寿命にも直結する問題でもあるわけだし。でも、だからといって曖昧さだけで世界を作って、本当にみんな遊んでくれるんだろうかと不安に駆られるのがふつうなんじゃないんだろうか。

『UO』の曖昧さは究極で、例えばありとあらゆるものから数値表示を排除していた。モンスターや動物のヒットポイントがどれだけあるかはわからないし、プレイヤーの攻撃もモンスターの攻撃もどれだけのダメージを与えたのかがわからない。武器のステータスもわからない。魔法のダメージ値も当然判らない。人にぶつかったらどれだけスタミナが減るのかもわからない。ムーンゲートでどこに飛ぶのかもよくわからない。武器や防具の耐久度がわからないからそれがいつ壊れて消滅するのかもわからない。ショベルや裁縫道具があと何回使用できるかもわからない。それらの情報は大雑把に類推する方法が用意されているだけで正確にはわからない。例えば「武器鑑定」のスキルを使うと「すごい斬れ味だ！」と表示されるみたいな感じを想像してもらえばわかりやすい。当然魔法の武器がどれだけ優れているかも漠然としかわからない。数字で表示されるのは現在のスキル値と筋力、敏捷度、知力だけだ。

ここまで徹底的にプレイヤーに曖昧な世界は僕のゲーム人生で始めてだった。それなのにそれが世界の在り方として自然だとすんなり受け入れられたのは自分でも驚きだった。なんといえばいいのか、現実世界に似ていたからなのかもしれない。

人間なんてじつはなんにも知らないんだよ。
それは本当の世界でも同じことなんだよ。

そういわれてるような気がした。『UO』の世界はちょっと哲学的でもある。それはいま説明したような『UO』の世界が現実世界のメタファーに見えなくもないという感覚だけで言っているわけではなく、そもそもベースになっている『ウルティマ』の世界設定（厳密には『ウルティマIV』から『VI』）には、世界を構成する三大原理とそこから派生する８つの徳というものが存在する。『UO』でもそれが至るところにちりばめられていた。

三大原理とは"真実"と"愛"と"勇気"で、８つの徳とは慈悲・誠実・武勇・名誉・献身・正義・謙譲・霊性だ。３つの原理の組み合わせの数が８種類になるというわけだ。そしてこの世界がプレイヤーに対してどういう表情を見せるかはプレイヤーの行動に委ねられている。それはもはやシステムでもない。その世界に存在する関連性のなかで自分の行動がどういう影響を及ぼすのか。他のプレイヤーとのコミュニケーションも含めて考えれば全てを予測するのは不可能である。ゲームの目的すら提示しないゲームなのだから他人が何を目的に遊んでいるかなんてわかるはずもない。

だからこそ僕は今でも<strong><font size="+2">『UO』は奇跡のゲーム</font></strong>だと思っている。おもちゃのブロックを際限なく積み上げていったらガンダムが出来ちゃったみたいな例えは言い過ぎかもしれないが、でもそんな感じだ。

すべての責任は自分にある、そういう世界。プロローグとかオープニングで深い世界設定を語られるわけでもはない。そういうことを知っていればいろいろなところでそれらの断片に気づくことはできるが、知らなくてもプレイにはまったく支障はない。

この潔さ。

自由であることは楽ではないと思う。ただこれだけははっきり言える。その曖昧で（キャラの）生活と死とが真に隣り合わせであり、人の善悪が入り混じった『UO』という世界は、僕にとって刺激的でとても居心地がよかった。




僕はベスパーの街の外で動物を狩り続けた。適切な難易度の行動がスキルを上昇させやすいのが『UO』の仕様だから、弱い動物相手では低いレベルで戦闘スキルは頭打ちになる。自分が強くなるにつれて徐々に狩りの対象も強いものに変えていくことでスキルをさらに上げることができるわけだが、背伸びしすぎると灰色の世界が待っている。死のペナルティはとくにないんだけど、持ち物を死体に残したまま放置すると誰かに荷物を奪われる可能性があるし、誰にも死体が発見されなかったとしても一定時間が経過すると死体は骨になり、やがて消滅してしまう。当然、所持品もいっしょに消える。そういう事態はできれば避けたい。というかなんと言っても死ぬ時の「うわあああぁぁ」というキャラクターの断末魔の叫びがすごく耳に残る声だったからそれを聞きたくないというのもあって死ぬのはとても嫌だった。

街の外で手ごわいといえば狼や熊で、とくにグリズリーは別格。幸いなことにこちらから手を出さなければ襲われることはないので自分の力量を把握していればそうそう死ぬことはない。そうして狩りをしては肉や皮や羽でカバンをいっぱいにして街に戻る。持てる限界重量は筋力で決まる。戦闘をこなすことで筋力も上がるし、筋力が上がればヒットポイントも増え、攻撃のダメージも上がる(※数値では確認できない)街に戻った僕は店で必要な分の道具を買い、羽から矢を作り、酒場の暖炉で肉や魚を焼く。皮はカットレザーにしておく。それらを銀行の自分専用ボックスに預け、また狩りに出る。

そしてある程度貯まったところで、それをカバンに入れて僕は行商に出る。ブリテンほどではないがベスパーもかなりの人が行き交っている。僕は人が多くなる時間帯を狙って銀行前に立ち「I want to sell a bundle of lether,ingots,fish or rib steaks !」と叫ぶ。人が多いからあっというまにすべて売れてしまう。売り上げたお金はそのまま銀行に預け、また狩りに出たり、酒場に行ってログアウトしたりという生活サイクルが自然とでき上がっていた。僕は順調に強くなり、貯金もすこしずつ貯まっていった。



実生活とは裏腹に『UO』生活は順調だった。

あるとき、もうすぐ終わる営業部の電話に聞き覚えのない会社から僕宛の連絡があった。怪訝に思いつつ電話をかわると恩Ｄと名乗った。僕の記憶にあるその名前はボーナス100パーセントカットのときに希望退職をした営業部長しかいなかった。そしてまさしくその元営業部長からだった。
「最近またたいへんって聞いたけど、今度Ｕ野くんといっしょに食事でもどうかなと思いましてね」
恩Ｄさんはそう言って切り出した。彼はボーナスカットの告知直後の朝礼で机を叩きながら声を荒げて、
「ボーナスも生活給なんだ！　突然そんなこと言われて生活が立ち行かない人だっているだろう！ふざけるんじゃない！」と社長に啖呵を切った男だった。

営業を何年もやっていると、会話の裏にある真意を推し量る能力が身についていく。そして僕はピンときた。そんな正義感と人情に厚い人から何年ぶりかの連絡である。これは何かのお誘いなんじゃないか。コレは僕の人生の転機になりうるかもしれない。目の前の席に座っているU野くんのスケジュールを聞きながら、その電話ですぐに翌週3人で会う日取りを決めた。

そしてその約束の当日、目黒でとんかつ定食を食べながら3人は久しぶりですねと挨拶を交わした。

そんな熱血漢の恩Ｄさんはのっけから単刀直入に切り出した。

「ヘロくん、Ｕ野くん、いまの人生、幸せって言える？」


<strong><font size="+2">宗教の勧誘</font></strong>だった。


僕らは自分の分の勘定をテーブルに黙って置き、豚カツを半分も残して席を立った。そして、もう二度と会うことはないであろうその元営業部長の薄くなった後頭部に一瞥したとたんに僕は無性に悲しくなった。そのとき始めて僕は将来が不安になった。



でもそんな日も夜になれば僕は広大な電子の海に船出する。

プレイヤーが鍛冶や裁縫のスキルで作成する武器や防具は、ときどき店売りの同製品よりも高品質なものが作成される。それらはHQ品（ハイクオリティ）と呼ばれ、上級冒険者の必須アイテムだった。ただ値段も相応に高額で、僕が皮や魚でコツコツ貯めこんだ全財産をもってしても２セットは買えるかどうかという金額だった。ときどき銀行前でそういったHQ防具を格安で行商している人もいたが、アイテムの数値が確認できない『ＵＯ』ゆえに、詐欺の可能性は常につきまとう。詐欺の被害になるべくあわなくする方法はひとつしかなかった。それは、その人物が信用できるかどうかをきちんと見極めること。それだけだ。

その日の狩りから街に帰って酒場でログアウトするまえに、僕はベスパーの街にある鍛冶屋に寄ることを日課にしていた。そこには店の施設として炉と金床があるので、プレイヤーの鍛冶屋が鍛冶製品を作成したり冒険者の金属製武具を修理したりするために自然と集まっていた。僕の目的は狩りで損傷した武器防具の修理をそれらの鍛冶屋プレイヤーにお願いすることだった。

そこでの世間話によれば鍛冶のスキルを極めるのはとても大変なんだと聞いた。何百時間とかかるとも、何百万ゴールド出費がかさむとも言われ、精神力の限界を試される茨の道だとそこにいる鍛冶屋達は口を揃えた。そして、その道を全うし極めたものだけがプロフィールにグランドマスター鍛冶屋と表示されるのだ。そんなGM鍛冶屋の彼らはとても誇らしげに見えた。それ故か、修理は格安で請け負ってくれる人が多かった。無料というのも逆に気が引けるからか、大体1パーツ10gpとかだったりしたが、僕は全身装備で7品に対して100gpをいつも支払うようにしていた。そんなのはほんとうははした金なんだろうけどそのやり取りがあることで信用と自己責任が発生するのだ。人間って賢いなあと思う。そういう生活だからその場で顔見知りのプレイヤーも自然と多くなる。


そんなある日の冒険帰り。僕は街の鍛冶屋に顔を出し、いつもお願いするプレイヤーにいつもどおりに修理をお願いした。彼はふだんどおり快諾し、トンテンカンと修理の音が響きだした。そしていつもどおりトレードウィンドウが開き僕は100gpと焼き魚の差し入れを手渡す。はずだったのだが、その日はなかなかウィンドウが開かない。ラグかな？と思いつつも少々不穏なほどの間沈黙が流れ、彼が申し訳無さそうに口を開いた。

「胴鎧とロングソードが壊れました＞＜)」

まえにも話したとおり、この世界のほとんどのアイテムには耐久度があり、それがなくなるとアイテムは壊れ消滅するのだ。数値が確認できないのでいつ壊れるのかは正直わからない。僕は気を使わせないように即座に答えた。

「あ、そうですか〜。ずいぶん長く使ってたからしょうがないです。直ったのだけで構いませんよ^_^;)」

「いつも同じの使ってますもんね。でも正直修理で壊れることって稀なんですよ」と言われ、理由がわからなくて僕はきょとんとした。

「え？そうなんですか？　運が悪かったのかな？」

「いやそうではなくて、ええと、壊れるまで使い続ける人が稀って言ったほうがいいのかな。たいていちょっと切れ味が落ちたら買い替えちゃう人も多いみたいで^_^;;)」

納得した。

「あー、なるほど。まあ僕はまだ駆け出しで貧乏なので（笑」

そういうとしばらく間をおいてからその顔見知りの鍛冶屋が僕に尋ねた。

「全財産おいくらくらいですか？」

正直に答えたものかどうか逡巡したのは一瞬で、僕は素直に話した。

「10000ゴールドあるかないかぐらいですT-T)」

「そうですか」

その鍛冶屋さんは迷った風もなく言葉を続ける。

「HQフルプレート一式とHQカイトシールド、HQロングソードで2000gpでどうですか?　よければいま作りますよ」

それは店売りの普及品でも全部揃えると1000gpは超えるものだった。ましてやHQ品の作成確率がGM鍛冶屋でどれくらいなのか知らないとは言え、HQ品ができるまでのあいだに作成されたノーマル品は捨て値で売るか捨てるしかないのは理解できた。その材料の鉄がどれくらい必要なのか見当もつかない。実際、プレイヤーが売っているものでその品揃えで10000gpを切ってたのは見たことがなかった。

「え!?　だってそんな値段じゃ絶対赤字なんじゃないんですか？」
「ん〜、儲けの問題じゃないので。僕はベンダーは置かない流しの鍛冶屋だから気に入った人にしか売りませんし^_^)」
「え〜と、でも申し訳なさすぎる」

周りには他の鍛冶屋や冒険者もいる。近くにいればこの会話も当然見えているわけだ。そういうことまで気を使っての発言なんだろうけど、特別扱いが恥ずかしくもある。

しばしの沈黙のあと、鍛冶屋の彼が提案した。

「では、ヘロさんの出してもいい金額を言ってください。その値段にしましょう」

僕は余計に悩んでしまった。10000と言いたいところだが、それは本当にほぼ全財産だ。ショベルや松明など生活小物を買うためにも少しは残しておきたい。かと言って8000とか刻むのが妥当とも思えなかった。悩んだ挙句に僕は鍛冶屋のプライドと僕のちっちゃなプライドの真ん中を取って「5000gpでどうでしょうか？」と答えた。

「ではその値段で^_^)」

それから彼はトンテンカンと鍛冶を始めた。いつもは修理に1分もかからないトンテンカンが、その時は10分以上も響き続けた。途中「ちょっと待ってて」というとリコールの魔法で材料を取りにどこかへ飛び、再び戻ってきて鍛冶を続けた。

「プレートメイルのHQ胴がなかなかできなくて^_^;;)」

そう言いながらトレードウィンドウが開いた。

「お待たせしました」と鍛冶屋は恐縮した。僕はトンテンカンのあいだに銀行へ走って取りに行った代金をウィンドウに乗せた。すぐ取引は完了し、僕のカバンには上級冒険者の証が収められた。どれぐらいのingotを消費したのかは恐くて聞けなかった。

「あなたみたいに大事にする人に使ってもらいたかったの。それから、僕が作ったものは無料で修理しますよ。大体いつもここにいますから
＾＾）」

「ほんとうにほんとうにありがとうございました！なんと言えばいいのかぜんぜん思いつきませんが、本当にありがとうございました」

僕は感動のあまり言葉が浮ばない。そして別れ際に彼が言った言葉はいまでも忘れていない。

「ヘロさんが今日感じた感謝は、僕ではなく、次に来るnewbie(新人)に返してあげてくださいね」



その文字を読みながら、画面のこっちにいる僕の目に本当の涙が滲んだことは、誰にも言わなかった。親切の連鎖なんて家庭用ゲームでは絶対にありえない。なんとすばらしいことだろう。僕はそのままいつもどおり銀行に立ち寄り荷物を整理したあと、ログアウトするために酒場に入った。もちろん真新しいプレート鎧に身を包んで。そして、いつもその酒場でウロウロしているコンピュータ操作の酒場マスターからワインとグラスを買うとテーブルに座ってひとりで飲んだ。お酒とかグラスなんかはふだんのプレイにまったく役に立たないアイテムだ。こんなアイテム誰が買うんだろうっていつも思っていた。

グラスに注いだ赤いワインをダブルクリックすると、「ゴクゴクッ」と僕の分身はそれを飲み干した。

その瞬間だったのかもしれない、僕が『UO』の世界をとてもいとおしいと思い始めたのは。

*HIC*
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    <title>『心機一転：ULTIMA ONLINE』</title>
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    <published>2007-02-21T13:17:03Z</published>
    <updated>2007-02-21T13:28:22Z</updated>
    
    <summary>衝撃の告白の翌日、結構お酒を飲んだ翌朝にしては意外なほど目覚めのよい朝。 理由や...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
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        衝撃の告白の翌日、結構お酒を飲んだ翌朝にしては意外なほど目覚めのよい朝。

理由や過程はどうあれ、好きなものは好き。そういう部分は僕はとてもシンプルに考えるタイプなのだ。そして感情に素直というかあまり自分を偽らないし気持ちも押さえ込んだりしない。善し悪しは別にして僕はそういう自分は気に入っていた。もちろんそれゆえ人を傷つけることもあるが、言葉にしなきゃ伝わらないこともある、というのが持論だった。結論から言えばこれは僕にとってとても必要な素養であったということになる。なぜならオンラインゲームでのコミュニケーションはそのほぼすべてを文字に頼らざるを得ないからだ。当然のことながら、言わなくてもわかってくれるはずとか雰囲気を読むという言外の意味を前提とするコミュニケーションの難易度は高く、言わなきゃ伝わらないというスタイルのほうがしっくりくるのである。

そうして僕は昨夜言葉を以て気持ちを伝えて、Ｍ子と付き合うことになった。

といってもすぐに何かが変わるわけではない。ただ、駅へと向う冬の朝の陽の光り、それに照らされる街の様子がいつもとは違ってとても輝いて見えたのも事実だった。



        会社に着くと僕はお話があるのですがと言って上司を打ち合わせスペースに呼び出した。テーブルに着くなり僕は口を開いた。

「もう一度お聞きしたいのですが、メディアレップの解散は避けられないのですか？」

「そうだな、まあそういうことになるな。解散回避はおそらく無理だ」

「そうですか」

暫しの沈黙が少しだけ僕を感傷的にした。この会社に入るためにした就職活動を思い出す。そういえば社長(当時専務)と表参道でステーキを食べたっけ。社長はコピーライターで、広告におけるコピーライティングについての著書も出していた。そして広告業界で仕事をすることに誇りを持っている人なんだと思ったのをいまでも覚えている。そんなきっとほんの些細な感動が人の人生に影響を与えることはあるのだ。就職活動当時、Ｄ通やＨ報堂など所謂大手１０社の就職試験を受け、すべて玉砕していた僕は就職浪人になって来年また挑戦するか内定の出ている中小の広告代理店に入るかで悩んでいた。その僕の背中を押したのがいまいる会社の社長だったのだ。

「広告業界は実力の世界だ。だから１年を無駄にするくらいなら小さい会社でもいいから業界に身を置いたほうが絶対にいい。もちろん君にうちに来てほしいから内定させてもらったんだけど、いつか大きな仕事をしたいならそれまでうちで力をつければいい。そのときは可能な限り応援してあげるから。」

僕は就職を決めた。はじめて接した社会人がこの人でよかったと思った。そりゃあ収入のことで不満はあったが、なんのことはない僕はこの小さな広告代理店が好きだったのだ。

なかなかそれを言葉にすることができなかった。まずい流れだった。このまま感傷モードが続けば僕は涙を流してしまうだろう。僕は『ウルティマオンライン』のキャラクターが自分の家を手に入れるところを想像した。無理やりだった。それくらい一刻を争う状況だった。

家にはお気に入りの木製の豪華な椅子とテーブルを置き、ワインとチーズも置こう。場所は海の見える静かなところがいい。夜の月明かりが窓から差す中で僕は海を眺めながらくつろぐのだ。

少し気持ちが紛れてきた。ゲームの力は偉大だ。

「もしレップが解散になったら僕は会社を辞めます」

上司はそうかと言って眼を瞑るとしばらく黙って考えていた。しばらく考えた後に彼は苦いものを絞り出すような口調で話を続けた。

「これは言うべきかどうか迷ったんだが、いちおう耳には入れておいたほうがいいと思うからここだけの話として聞いてくれ。出版社のほうからレップの営業マンを身請けしてもいいという話がきている。どうするかはいま決めなくてもいいからいちおう考えておいてくれ」

僕は反射的に眉間に皺を寄せた。

「なんですかそれは。僕はモノじゃないですから、くれって言われてじゃああげるとかそういうのは違うでしょう。僕はこの会社が好きだから入ったんです。それを直接会いにも来ないで使わないなら身請けしてもいいってどういう言い草だよ。」

上司はまあまあと言って激昂した僕をなだめる。

「君の性格から考えると決意は固いのかもしれないが、人生何が幸せで何が不幸せかは後になって気づくこともあるんだから、まだ少し時間もあることだしよく考えてみるといいよ。決して無駄なことではないから」

言葉の意味はわかる。何を言わんとしているのかも理解できる。それを言わせているのは上司のやさしさなんだろうとも思う。思考と感情がずれている感覚。しばらくの沈黙の後、いまこの瞬間に議論のうえで光明を得ることはないと僕は判断した。

「もちろん今後のことはよく考えてはみます。遅くとも2月中にはどうするか決めます」

そう言って僕は無理矢理相談を切り上げた。



席に戻ると僕は会談の踊り場の喫煙所に向った。そこには紫煙を燻らせているＭ子がいた。付き合うことになったとは言え昨日の今日である。お互い気恥ずかしさからかふだんのようなバカ話を口にすることもない。静かにふたすじの煙だけが時間が不可逆であることを主張していた。よそよそしい空気を嫌って僕のほうから小声で話しかけた。

「さっき部長と話して3月いっぱいで会社を辞めるって言ってきたよ」

「そっか」

「よく考えたほうがいいって言われたから2月中に結論出すって言っといた」

「がんばって」

その言葉がとても心に染みた。いますぐ抱きしめたい衝動を堪え、彼女にありがとうと礼を言った。

僕「今日は仕事忙しいの？」

Ｍ子「うん、いまやってる作業が来週前半までにあげなきゃいけないから」

僕「ふ〜ん、たいへんだね。そっちもがんばって。それ終わったらまた飲みにいこうよ」

Ｍ子「おっけー。じゃあがんばって早く終わらせちゃうよ」

と言ってＭ子は笑った。自然と僕の気持ちも軽くなる。今日は安心して家に帰れそうだった。


その夜、帰宅した僕は何の躊躇も無くPCの電源を入れた。

程なくしてべスパーの街に降り立つ。

不思議なものでゲームはメンタルの影響を大きく受ける。やってもやらなくてもいいことは気持ちがネガティブなときにはまったくやる気にならないものだ。そういう意味ではＭ子には感謝しなくてはならない。僕は心の中であらためてありがとうと呟いた。

魔法を唱えられない魔法使いの僕は、早急にある程度まとまったお金が必要だった。まずはお金を貯めて魔法を唱えるために必要な秘薬と身を守る防具を揃えなくては……

僕は街の外に出てうろついている動物を物色し始めた。なにか適当な動物を狩って、肉を取って肉屋に売ったらお金になるような気がしたからだ。


豚か。

豚だな。

牛はちょっとでかい。

僕は素手で豚に殴りかかった。

戦闘を開始すると同時にレスリングのスキルが上がり始めた。というかそもそも僕はいまは役に立たない魔法スキルと治療スキルしか身につけていない。治療も包帯を持っていなければ意味がないらしい。つまり、いまの僕は戦ってどうこうっていうレベルじゃないんじゃないかとは薄々気づいてはいたが、どの程度弱いのかすら何かと戦ってみないことにはわからない。

なんて考えている間にあっさり僕は死んだ。

豚の体力はほとんど減っていなかった。なるほど、僕は豚にも勝てないのか。そりゃあ裸で素手で戦闘スキルなしってこれより下はないよな。豚はもうちょっと先だな。僕は治療院で蘇生してもらいながら考えた。

めげずにまた動物を物色する。

鹿かな

死亡…

羊か？

死亡…

犬なら

死亡？！

兎…

勝利！！！

はぁ、俺って兎と互角……

落ち込む気持ちを振り払い兎の死体を漁る。なにもない。あ、そっか。ナイフがないと肉とか皮を取れないって説明書に書いてあったような気がするぞ。

開始早々にして根本的に計画の変更を余儀なくされた。

しかし彼女ができた僕はそう簡単には諦めない。うろついている間にあることに気が付いたからだ。森や林には秘薬と言われる魔法の材料が所々に落ちているのだ。人参、ニンニク、黒真珠、クモの巣、硫黄の灰、マンドレイクの根、血の苔、ナイトシェイドがそれだ。よしまずはこれだ。拾って拾って拾い捲るぞ！

僕は一心不乱に拾った。それこそ地形の影でもとから小さい秘薬のグラフィックの半分以上が隠れていても目ざとく見つけるプレイヤースキルが見に付くくらい拾い捲った。当然拾うとなくなる。街の外一帯の秘薬を拾い尽くしてしまった。しばらくするとまた現れるらしいのだけど、それが何時間後かはわからない。僕は少し足をのばすことにした。

森は木が邪魔で視界が悪い。少し街から離れた森で更に秘薬を拾い続ける僕の足下にsnakeが近づいていることに僕は気が付かなかった。突然、僕の体力が減り始めた。なにかから攻撃を受けているのか？


え？　え？


あまりに突然でどうしてダメージを受けているのか最初わからなかった。慌てて街の方向へ走ると小さい何かが僕を追っかけてきた。蛇だった。どうやら蛇は攻撃的な性格のようだ。なんだ蛇かという安堵とそれほど体力が減らされたわけではない状況が僕の判断を曇らせた。なんだ蛇かが、なんだ弱いじゃんに頭の中で変換される。

素手で小さな蛇と格闘する僕。

お互いの体力バーを表示させて冷静に戦いながら、当初の緊張はこれは勝てるという確信に変わった。順調に蛇の体力を減らす。あと一撃で勝利するであろう僕の予測を一変させる事態は突然訪れた。

僕の体力バーが緑色に変わる。

毒だ。

次の瞬間蛇は死んだ。蛇には勝ったが、僕の体力は徐々に減り始めた。戦闘で半分以下に減っていた体力がさらに減り始める。

ま、ま、まずい。

僕は街に向って猛然と走り始めた。走りながら不安が絶望に変わる。体力の減るスピードが予想以上に速く、街にたどり着くよりも死のほうが早いと悟ったからだ。ああ、せっかくいっぱい拾ったのに……

うわああぁぁあぁ……

案の定、死亡。幽霊になった僕は猛ダッシュで治療院に行き、すぐに取って返した。死体が他人に漁られないように微妙に森に隠れるように死んだから、誰かに秘薬を奪われる確立は低いとは言え断末魔は近くに人がいれば聞こえてしまう。気づかれて探されてしまえば時間の問題だ。死んだ場所は街の門のすぐ外の森の中だ。体力回復もしないで急いで戻った僕は自分の死体を見つけ急いで荷物を開いた。よかった。拾った秘薬は全部そのままだった。こうしてる間にも襲われるかもしれないので急いで荷物をカバンに入れなおす。

すぐにダッシュして街に入る橋を渡った瞬間、僕は大きくはあ〜っと安堵のため息をついた。しかし安心するのはまだはやい。街中にも泥棒がいる。まだ気は抜けない。盗みはすぐ近くに立たないと実行できない。僕は近づいてくるプレイヤーが全員泥棒だと言わんばかりにあっちへうろうろこっちへうろうろと人を避けながら魔法屋へ向った。よくよく考えれば腕利きの泥棒は隠れ身のスキルも会得してるはずなので「見えている」他人を避けてもあまり意味はないわけだが、つねに動き回ることで盗まれにくくはなっている。

ようやく魔法屋で売り子を見つけ「I want to sell」と声をかける。

買い取りメニューが表示されそこに拾った秘薬がずらっと並ぶ。秘薬一つあたり2gp〜3gpで買い取ってくれる。そのまま持っていて魔法に使うことも考え一瞬躊躇したが、すぐに思い直し全部売り払った。まずは装備と戦えるスキルを身につけるのが先決だ。全部売却して400gpほどを手にした。

それから僕は街のあちこちを回り必要なものを購入した。

皮剥ぎナイフ　27gp
Long sword　90gp
Lether tunic　100gp
Lether leggings 80gp
ハサミ　14gp
Bolt of cloth　90gp　←布の一巻き(50ヤード)

とりあえずこれだけ揃えたところで所持金が底をついた。まだ全然足りない。でも裸で素手に比べたら雲泥の差だった。ちなみにハサミで布を切ると包帯が作れるのだ。50ヤードで50枚の包帯が出来る。これで戦闘で傷ついたとしても自分で治療できる。皮鎧と剣を装備して包帯も持って、グラフィックも裸に死人ローブから強そうな一端の戦士のそれに変わった。

戦士……

まあいい。魔法使いとしての道のりは長くて険しいのだ。


(豚め、いま行くから首を洗って待ってやがれ！)


意気揚々と僕は街の外に飛び出した。早速豚を見つけ斬りかかる。しかし全然攻撃が当たらない。すぐに僕は思い出した。剣で攻撃するには剣術(Swordsmanship)のスキルが必要なのだ。さっきまで素手で戦って上がっていたのはレスリングのスキルなので今は剣術スキル0.00である。

無理無理無理。

と思ったらガイーンと剣がヒットして、豚の体力がいきなりほぼ瀕死まで減った。僕はまじまじと手元の剣を見つめる。


(な、なんだ、これは？！　つ、強いじゃないか！)


僕の体力も豚にぶーぶー突っつかれ半減していたが、瀕死になって豚が逃げ始めたので当たらない剣を振り回し豚を追っかける。しばらくおっかけっこの末またギイイインと剣が豚を捕らえ豚は絶命した。

おいおいおい、武器重要だよとRPGにおいて自然の摂理と同等くらいの常識を口走りながら、僕はナイフを豚の死体に突き立てる。すると死体の中に皮と生肉が出現した。ぼくはそれをカバンにしまうと街に向って戻り始めた。以前街を散策した時に見つけたある施設のことを思い出したからだ。

訓練所。

そこには白い人間の形をしたサンドバッグがいくつか置かれていた。驚いたことにスパーリングをするプレイヤーで結構賑わっている。僕はサンドバッグのひとつが空いていたので剣でそれを叩き始めた。すぐに剣術のスキルが上がり始める。スキルは0.1刻みで上昇するのだが、時たまスキルといっしょに筋力や敏捷力も上昇した。

あ〜、なるほどね。筋力、知力、敏捷力はそれぞれ関連したスキルが上昇した時に一緒に上昇する可能性があるということだ。

筋力＝ヒットポイントなのでこれは重要だ。

僕はまたも一心不乱に白い人間形サンドバッグを叩き続けた。剣術スキルが30.0を越えるころになるとほとんど上昇しなくなってしまった。筋力も50を超えなんだか自分がすごく強くなった感覚を覚える。おそらく訓練所では30が限界だと判断し、僕は訓練所を後にした。そしてすぐさま街の外に走り出て豚を探す。


いた！


見つけるのが早いか自慢のロングソードを抜き払い、僕は豚に躍り掛る。

「こんにゃろ〜！」

ガイイン！ギイイン！


豚瞬殺。2撃で沈んだ豚から再び肉と皮を剥ぎ取る。

キタコレ！

一気に未来がぱあっと開けた。そうどこからどう見ても戦士としての未来が。

僕は片っ端から豚や羊を狩りまくった。

皮にハサミを使うことで持ち運びの楽なカットレザーになる。生肉は焚き火で焼くことでステーキになる。それぞれ肉屋や皮屋に売りに行くと一つ5gpくらいで買い取ってくれる。生の素材よりも一手間かけた方が少し高く買い取ってくれるのだ。狩って売って狩って売ってしてるうちに僕はあることに気が付いた。

たくさん売るとそのNPCの所持金が底をつき何も買ってくれなくなるのだ。しかも売ったり買ったりすることでモノの相場が変動するらしいのだ。すごい。なんかふつうにリアルだ。

NPCが買い取ってくれないあいだは銀行BOXに預けつつ狩りを続け、気が付いたら1000gp近く貯めることができた。僕はそのお金で足りない防具を飼い揃え、もはや戦士以外の何者でもない魔法使い(詐称)になっていた。



それから僕はもうひとつあることに気が付いた。

それはもう窓の外が明るいってことだ！

慌てて時計を見たら朝７時をまわっていた。

僕は急いでシャワーを浴びてスーツに着替え会社へと向いながら、まったく気づかずに完徹したのってすごい久しぶりだなあと嬉しさのあまりニヤニヤしていた。

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    <title>『魔力：ULTIMA ONLINE』</title>
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    <published>2007-02-02T09:45:29Z</published>
    <updated>2007-02-02T10:32:30Z</updated>
    
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        <name>ヘロ</name>
        
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        翌日、失うものが何もなくなった僕は再びべスパー目指して出発した。とは言え、死ぬのも気持ちのいいものではないので海岸線はあきらめ街道を行くことにした。動物たちが冷ややかに僕を無視してくれる。新米冒険者にはありがたいことだ。意外にも旅は順調で、襲われそうなモンスターはまったく視界に入ることなく快適であった。

昨日よりも更に街道を進む。ところどころ廃墟みたいな砦があったり、おそらくは他のプレイヤーの所有物である家が立ち並んでいたりと歩いているだけで刺激的だった。地域で生えている草木も違っていたりする。これが階層とかエリアで箱庭が区切られずに、世界はずーっと繋がっている。この海の向こうあの山の彼方を想像して、さらに旅が旅らしいものに感じられる。だんだん楽しくなってきた。道すがら現れる家々にもいろいろな形があるんだなあとぼんやり眺める。いつか僕も自分の家を持てるかな。そんなことを考えてしまうほど長閑な一人旅。



        <![CDATA[程無くして街道が二股に分かれている森の切れ目に出た。そこに立て看板があったのでクリックすると、

ブリテン、べスパー、ミノック

と表示された。

よしよし。道は合ってる。おそらくこの三叉路から東へ延びる道がべスパーだな。

僕が東へ歩き出そうとしたそのとき、唐突に僕の後ろに他のキャラクターが現れた。僕がおや？っと思う間もなく突然剣で斬りつけられた！

げげっ

見るからにモンスターではなくほかのプレイヤーのキャラクターである。しかも『hehe』とか言ってるし！

PKされるのは『UO』がはじめてではないわけだが、やっぱり恐いものは恐い。初期キャラなんだからまあ死ぬなと判ってはいるけど、やはり逃げようと必死になる。HPは最初の一撃で半分くらいに減っている。

とりあえず僕は逃げようと走った。

が、おそらく回線速度の違いだろう、相手のほうが足が速い。すぐに回り込まれて進行方向正面に立たれる。『UO』はスタミナが減っていると他人やモンスターを乗り越えて移動できずにぶつかって立ち止まってしまう。そのあいだも相手はオートアタックの攻撃を繰り返してくる。さらに二発斬りつけられて僕は死んだ。「Time 2 die ;-)」というメッセージを目にした直後、僕はまた灰色の世界に佇んでいた。

画面の真ん中に、このプレイヤーを殺人者として報告しますか？　というウィンドウが現れた。当然YESだｗ
そして更に、この殺人者に懸賞金をいくらかけるかとウィンドウは続ける。でも文無しの僕は0ゴールドでOKするしかない。

なるほど、街の掲示板に載っているウォンテッドリストにはこういう仕組みで懸賞金が積まれていくわけか。幽霊になってべスパーに行けばいいやという算段もあり、僕は意外と冷静だった。殺人者は僕の死体を漁って何もなかったからか「damn no money, HEY POOR NEWBIE, bring ur all belongs here! HAHA」とか喚いている。

うへえ、マジ恐いわ。

そういうロールプレイなのかもしれないが、かなり追い剥ぎっぽい。その人をクリックすると名前が赤く表示された。既に何人も殺しているということか。僕は姿を見せることなく幽霊のままその場を立ち去った。幽霊になってその場にいるであろう僕に向ってそいつは罵
詈雑言を吐きながら画面の端に消えた。そしてべスパーへと向う灰色の街道沿いに佇む他の幽霊を何人か見かけた。しきりに「sh○t!」や「F○ck!」を幽霊語でくり返し叫んでいるｗ

やつがnewbie killerなんだとしたら、単なる弱いものいじめじゃないか。なんかちょっと腹が立ってきた。名前は覚えておくことにしよう。

無事(？)べスパーに到着した僕は、とりあえず蘇生してくれるヒーラーを探した。べスパーは大小の浮島を桟橋で複雑に繋いだ構造の街になっていた。街の端でヒーラーを見つけたので、僕は医者らしきNPCに体当たりする。

蘇生の魔法が掛けられ僕は生身を取り戻した。とりあえず当分はここを拠点にするつもりなので街の施設を廻って場所を把握することにした。

武器屋、食材屋、秘薬屋、銀行、鍛冶屋、弓矢屋、肉屋、治療院、宿屋、宝石屋、魔法屋、雑貨屋、造船所！、裁縫屋、酒場、大工道具屋、皮屋、道具屋、戦士訓練所などをみつけた。なんだかわからない建物もいくつかあったりしたが重要そうな施設は概ね記憶した。

店々を廻りながら売り物を物色する。なるほど、造船所で船が買えるのね。値段をみたら10000ゴールドちょっとだった。意外に安いのかな。とりあえずいまは無理だけど、またそのうち見に来ることにしよう。それから、大工屋だったか道具屋だったかで建築家(architect)というNPCがいた。お！っと思って売り物をチェックしてみる。

やはり！

<strong><font size="+2">家の権利書</font></strong>なるものが売られていた！ここもチェックチェックということで早速値段を見てみると、一番安い家で40000ちょっと、一番高いのは100万ゴールド(！)以上した。しかも<strong><font size="+3">castle</font></strong>とか書いてあるから城が建てられるのか？

<strong>まじですか！？</strong>
城のバルコニーに立つ自分のキャラを想像して僕はわくわくし過ぎて身震いしてしまった。そして、明日からは本格的にUOライフ始めるぞと心に決め僕はベッドに潜り込んだ。




次の日朝起きて会社に向う。僕の仕事場は東京のお世辞にも大きいとは言えない広告代理店だというのは以前お話したとおりである。僕はその広告代理店の営業マンをしていた。

世の中にはいろんなメディア(媒体)が存在し、商業メディアにはほぼ必ずと言っていいほど広告が存在する。そのメディアが到達できる消費者の数が多くなればなるほどその傾向は強くなる。TV、ラジオ、雑誌、インターネットなどもそういったメディアのひとつだ。

メディアは広告メッセージをメディアに載せ消費者に届ける代わりに依頼主からその代価を得る。そう考えれば案外シンプルなビジネスだ。メディアが成長するにつれクライアント(広告主)の数も増えていく。そうなったときメディア側の負担も大きくなってくる。営業にかかるコスト、クライアントを管理するコスト、広告を載せる作業にかかるコスト、不払いに対するリスクなどである。

広告代理店という機能をメディアが欲したのは自然な流れであったのだろう。広告代理店をあいだに挟むことによって、複数のコストをアウトソーシングしつつリスクヘッジも可能にしたのだから。現在、ほとんどのメディアは広告代理店以外からの直接の広告掲載依頼を(特別な場合を除き)受けていない。

つまりそこは"広告"というジャンルに特化したスペシャリストの集団なのである。

僕が勤めていたのは雑誌広告をおもに扱う広告代理店。前にも述べたとおり、コンピューター関連企業を多く扱う広告代理店である。一般商材を扱う広告代理店では１代理店１ジャンル１社という暗黙(？)のルールが存在し、ライバル会社どうしの両方を同じ広告代理店が扱うということは基本的にはないわけだが、専門分野に特化したジャンルでは逆にひとつの広告代理店に競合会社も含め同じジャンルの企業が集中することも多い。なぜなら効果的な広告表現はその分野に精通していないとなかなか作れないという意識がクライアントには存在し、専門的な分野ほどそれをうまく表現できるスペシャリストを必要とするからだ。

そういったメディアと広告代理店との関係において、ひとつの協業形態が生まれたのも自然な流れだった。それがメディアレップ(media representative)だ。最近インターネット広告の分野で目にする機会も多いので、IT用語として認識している読者も少なからずいるかもしれないが、メディアレップというものはインターネット広告が世の中になかった時代からすでに存在していた。簡単に言えば、仲介企業が広告集稿を一手に引き受けるシステムのことだ。メディアが広告部門を企業(主に広告代理店)にまるまるすべて任せる形である。この場合、広告のやり取りはメディア−メディアレップ−広告代理店−クライアント、という流れになり仲介業者がひとつ増えることになる。雑誌社のレップの場合で言えば、メディアレップは営業、一部の広告企画、進行、売り上げ管理、代金回収、印刷所への入稿、校正のやりとりなど基本的なことは全て行うことになる。そして、メディア側のメリットとして、営業、進行管理コストの大幅削減、ノウハウが無くても広告集稿が可能、専門分野でも強い営業戦力の確保などいい面も多くあるが、反面クライアントとの距離感やレップ手数料が新たに発生するなどマイナス面も当然ある。



そして、僕が勤めている広告代理店はまさにそのメディアレップってやつでした。コンピュータ関連の某出版社が営業ノウハウの拙い時代にある広告代理店とレップ契約を結んだ。その広告代理店のレップ部門の営業マンが僕の仕事だった。収入には不満がありましたが、仕事には誇りを持っていた。本社(出版社)の営業マンを差し置いて企画を立案し、自らクライアントを選び出し足を運び、広告の発注をもらってくる。そして企画を成立させる。本社営業マンよりも売り上げで上回ることも度々あったことは仕事へのモチベーションの大きな要因のひとつだった。だって、痛快である。



しかし、またしてもその日、僕は運命の神様に弄ばれることになる。

１月下旬の薄ら寒い曇り空のその日、毎夜、凍える夜中でも世界中の人たちと遊べるぜ！とおおはしゃぎで『ULTIMA ONLINE』にどっぷりはまっているお気楽サラリーマンの僕は、上司から大事な話があると言って会議室に呼ばれた。

そして、レップ契約をしている某出版社が営業ノウハウの蓄積と広告営業部門の充実を背景に今期限りでレップ契約を破棄すると言ってきており、これは決定事項だと伝えられたのだ。それがどういうことを引き起こすのかすぐにはわからなかった。そして上司がさらに言葉を続けるに連れ、僕は血の気が引いていくのを感じた。

「レップ部門は３月いっぱいで消滅になるので、広告代理店としての営業部に異動するかどうか考えておいてほしい」

…………
……

デスクに戻った僕はショックを隠せなかった。仕事が手につかない。僕は、その日の午後のアポイントをすべてキャンセルした。

近くの喫茶店に入り、ホットコーヒーを頼んでぼーっと考える。

上司の異動するかどうかっていう言葉が頭にこびりついて離れない。その「どうか」の部分は何を指してるんだよ。でも本当は深く考えずともわかっていた。広告代理店営業とはクライアントがあってなんぼのものである。担当クライアントが一切ない状態で営業部に異動するということは、新規開拓で一線の営業マンと同じレベルに並べということだ。それを踏まえて、異動するか「辞めるか」考えてほしいと上司は言っているのだ。

辞める？

僕が？

仕事がなくなる？



もはや、べスパーの街に肉屋があるから近場にうろついている牛や鹿を狩ろうなんていうお気楽なことなんてこれっぽっちも頭に浮ばなくなっていた。オンラインゲームができるかどうかの前に生活ができるかどうかという話になってしまったのだ。しばらく考えているうちにまたしてもだんだん腹が立ってきた。そもそもレップ営業利益はうちの会社の利益全体の中で大きな割合を占めると聞いている。それを円満な合意のもとに契約解消にいたったとは俄かには信じがたい。一方的破棄なのかもしれない。いやそうに違いない！
そう考えるに至ると余計に今日は仕事をする気がなくなってしまった。

ほとんど吸わずに灰になってしまったタバコの火を消し、僕は会社に戻ると上司に今日は早退しますといって再び会社を出た。上司もああ、と言ったきりなにも聞いてこない。その無言に対して、そういうことなんだなと僕は心の中で呟いた。会社の自動ドアを抜け外に出る。どこに行こうかなと考えるが、なにもする気が起きない。家に帰るか……と考えて、その自宅に帰る自分を想像し、恐くなった。入ったら二度と出られない迷宮かブラックホールのように思えたのだ。だめだ、今日は帰れない。帰りたくない。

会社のあるこのビルは全フロア禁煙の為喫煙所は非常階段の踊り場にある。その、僕のいるレップ営業部のフロアである５階とその上の６階のあいだの踊り場が背伸びをした僕の目に入る。そこはいつもタバコを吸っている踊り場なのだが、６階にいるデザイナーの女性がタバコを吸いに出てきていた。ふたつ年下のその女性とは、年が近いこともありよくその喫煙所でタバコを吸いながら無駄話をする仲である。

彼女もこちらに気付いた様子で、僕に向って手を振っている。飛んで火にいる夏の蟲である。僕はジョッキを飲み干すジェスチャーをした。僕の意図に気付いた彼女は右手でＯＫサインを掲げて、腕時計を指差すジェスチャーをした。よく考えたらまだ昼メシ時だ。この時間から飲めるところはない。僕は両手を使って指を６本立ててみる。彼女は一瞬首を傾げて中空を見上げた後、ＯＫのサインを再び掲げて社内に消えた。

忘れ物をしたふりをして一度デスクに戻り、さっきの彼女にメールを書く。とりあえず駅のほうにある小奇麗な居酒屋で待ち合わせましょうと送っておく。

とりあえず夕方までどこかで時間をつぶすか……

再び会社を出た僕は、近所のゲームセンターへ向った。その日の精神状態でバーチャやレースゲーがいつも以上にうまくいく筈がない。僕は時間とお金を垂れ流した。でもゲームをすることで余計な不安を頭から追い出すことはできる。僕は一心不乱にコインを垂れ流し続けた。

約束の時間に居酒屋に入ると彼女は既に店のテーブルに着いていた。僕に気付くと大きくこっちこっちと手を振る。すこしぽっちゃりしたその彼女はＭ子さんと言い、どちらかと言えば可愛いタイプの女性。とは言え下心で誘ったわけではなく、今のこの憤りを聞いてもらう生け贄でしかないのだが。

とりあえず生ビールを２つ頼みながら席に着く。
そして開口一番、僕はまくし立てた。

僕「もうさ、ありえないんだけどさあ、聞いてくれる？」

Ｍ子「何？どうしたの？」

僕「僕のいる営業部３月一杯でなくなるって今日言われてさあ、なにそれって感じで」

Ｍ子「なにそれ？ほんとに？……で辞めるの？」

僕「いきなり核心かよ。ん〜……まだ今日の今日だからなんとも言えないけど、営業部でやってくのはちょっと無理な気がするんだよな」

Ｍ子「ふーん」

そこへ生ビールのジョッキが運ばれてきた。大きさを頼んだかどうかはうろ覚えだったが、ちゃんと大ジョッキだ。まあよく来る居酒屋だからなと安心する。

僕「だってバブルの時期ならまだしも、新規開拓とかぜったいきついと思うよ。営業まわっててもどこもかしこも広告費削減とか言ってるわけだし」

Ｍ子「まあそうかもねー、制作でも仕事全体的に減ってる感じはするもんねー。そっかそっか。ヘロさんも大変だな。まあ今日は飲もうよ。慰めてやるよ、元気出しなって、あはは」

Ｍ子「じゃ、ま、とりあえず乾杯ということで」

と言って、悪戯っぽく笑いながらＭ子はジョッキを目の前に掲げた。

僕「いや、ぜんぜんおめでたくないし」

と言って僕も笑い、乾杯をした。Ｍ子も僕もお酒は強いほうなので酒が進む。何度か一緒に飲んだことはあるがふたりで飲むのは初めてだった。ふたりの会話は酒が進むにつれだんだん大愚痴大会の様相を呈してきた。

Ｍ子「あーあ、私もこの会社でずっとってのもどうなんだろうなあ。生活も変わり映えしないし、かと言って実家に帰る気もないんだけどさあ・・・」

僕「なにそれ？で、会社辞めるの？」

Ｍ子「はは、まあ冗談だけどね、そんな度胸ないって」

僕「でもまあ確かにうち給料よくないからなぁ」

Ｍ子「そう、ヘロさん会社辞めたらどうすんの？　ひとり暮らしだよね？　貯金は？」

僕「貯金？……まあ、ないかな……」

Ｍ子「一円も？」

僕「う、うん」

Ｍ子「はあー」

と言ってＭ子はうなだれると本気のため息をついた。確かに冷静に考えたら仕事を辞めたら僕は生活できない。しかも貯金０って普通に誰でもびっくりするよな。あんまりリアルに考えたくないから考えからシャットアウトしていたけど、それが事実なのだ。

僕「とりあえずはまあ２ヵ月以上あるわけだから仕事は探すつもりなんだけどね。退職金も出ると思うし……」

Ｍ子「………………」

僕「最悪の場合は実家に帰るって手もあ」

酔っ払ったＭ子が僕の言葉をさえぎって前に乗り出してきた。なんだか目が据わってるように見えるし、顔も真っ赤だ。

Ｍ子「私さあ、３月で契約更新だからいまのアパート引っ越すつもりなんだけどさあ、もしよかったらいっしょに住まない？」

僕「ひっこ？！……えええ!?」

Ｍ子「その代わり引越しは手伝って欲しいんだけど」

僕「……は、はあ……っていうか……」

Ｍ子「駅はどこがいいかなぁ〜」

と言ってＭ子は勝手にどの沿線が便利で相場が安いのかという話をし始めた。

僕「あ、あの、Ｍ子さん？　酔っ払ってるでしょ？」

既に都営線は却下されている。千代田線か東横線か新玉川線かというあたりで僕は口を挟んだ。

Ｍ子「そりゃお酒飲んでるんだから酔うに決まってるでしょ」

僕「いや、そういうことじゃなくて・・・」

Ｍ子「じゃあなによ」

予想外の展開にむしろ僕のほうが置いてけぼりにされてるような感覚に襲われる。ただ、よくよく考えてみればルームシェアできるならありがたいのは確かだ。しかし彼女は本気なんだろうか。もし本気だとしたら嫌いな異性にそんなことはたとえ酔っ払っていたとしても提案するとは考えられない。それ以前にふたりで飲みに来ている時点でお互い好意は抱いていると考えるのがふつうか。

まてまて、僕は彼女に対して好意を抱いているのか？そりゃ嫌いな女性とふたりで飲もうとは思わないわけだから当然好きか嫌いかと聞かれれば好きなんだけど。ならばそれを理解したうえで同居するというのは単なるルームシェアで済むだろうか……

僕の思考回路は猛烈に回転を始める。彼女は勝手に東横線は高いだの急行だったらどの駅に止まるだのさらに加速している。Ｍ子は持っていた路線図をテーブルに広げて話し続けている。僕は深く考え込んだときの癖でうんうんと頷きながら右手の人差し指でテーブルをコツコツとつつく。

その提案が悪い話ではないことははっきりしてるのだが、それが実現可能なことなのか……
すごい勢いで頭の中でシミュレートし始めた。

そもそも重要なことに、僕も彼女と同じ量の生ビールを飲み干している。そして、酔っても冷静な判断を下していると考えるのが酔っ払いの常である。



チーン



僕は結論に至った。



僕「Ｍ子さん」

Ｍ子「やっぱり千代田せ、、え、なに？」




<strong><font size="+2">僕「僕と付き合ってくれませんか」</font></strong>



お互いの会話が止まる。

ええと、はしょりすぎ？

それとももしかして早まったか、俺？

Ｍ子さんは純粋にルームシェアを提案していただけなのか？

それは置いておいたとしてももっと気の聞いた台詞はなかったのか。突拍子もないことを突然口走って何言ってんだこいつとか思われてたら明日どんな顔して会社に行けばいいんだろう。僕は不安で真顔になったまま彼女の顔を見つめた。彼女は最初こそ僕の顔をまじまじと見つめたものの、すでにすこしうつむき加減で黙っている。アルコールがＭ子の顔を赤く染めていると判りつつも、その恥ずかしそうにしている仕草にも見えるＭ子の様子が余計にいじらしさを強調していた。僕の耳が赤くなっているのもアルコールのせいだと彼女は思うだろうか。


「……うん……」



居酒屋の喧騒のなか、その消え入りそうなＭ子の声だけは僕の耳にはっきりと聞こえた。

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    <title>『新生活：ULTIMA ONLINE』</title>
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    <published>2007-01-12T04:03:05Z</published>
    <updated>2007-01-12T04:23:33Z</updated>
    
    <summary>プレイヤーが多いとラグ(通信遅延)が酷くなるということがわかった。というかふつう...</summary>
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        <name>ヘロ</name>
        
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        プレイヤーが多いとラグ(通信遅延)が酷くなるということがわかった。というかふつうに考えれば当たり前だ。プレイヤーごとに様々な装備で身を固めているわけだし、動き回ってもいる。人が多ければそれだけ画面に表示される情報や会話も多くなる。
つまり人が多い場所は身動きが取りにくくなるわけだ。なんだか現実世界っぽい表現に苦笑してしまう。調べてみたらどうやらブリテンの街は王都でありこの世界で最大の街でもあるらしいことがわかった。お店も充実しており、生活の拠点となる宿屋や銀行も複数存在するでかい街だった。当然、往来を行きかう人も多く、人が多ければそこで商売する人も増えるというのは道理。結果、ブリテンの街はとにかくラグがきつい状況になっていた。パソコンのスペックがそれほどよくもない僕にとってはラグはなんとか避けたい問題でもあった。幸い僕が当面目指そうとしているのは魔法使いであり、他人相手に商売をするわけでもないので、僕は最初の街はブリテン以外にすることにした。


        <![CDATA[最初に作ったキャラクターは消して別の街に作り直そうかとも思ったんだけど、生来の意地っ張りな性格が災いしてかとりあえずやれるとこまでやることにした。こんな些細なことでいちいち作り直していたらこの先が思いやられる。なあに、別の街と言っても地面は続いているのだから歩いていけばイイのだと僕は安易に決め付けた。

まずはラグの嵐の中でログアウトしたままの魔法使いを別の街まで移動させなければならない。作戦と言うほどのことではないが、人が多くなってくる時間帯を避けるために早寝して明け方にログインすることにした。日本のプレイヤーが徐々に減ってくる時間帯ということもあるにはあるが、日本の明け方がアメリカの午前中から昼にかけてにあたるからだ。


目覚ましに起こされコーヒーで目を覚ました僕は午前３時にログインした。ロスが昼の１０時、ＮＹが昼の１時。朝７時までプレイしてそのまま会社の予定だ。

入ってみるとこないだほど酷いラグはやはりなかった。とは言え、それでもこんなに!?と思うくらい人がいる。僕は牛歩を進め、まず銀行前から離れた。街外れまで来ると楽になったので、とりあえず荷物を確認してみる。おそるおそるカバンを開けてみるとそこには見事になにもなかった。

"宿屋や酒場以外の場所でログアウトするとログアウト後数分間キャラクターだけが残った状態になるので危険です。なるべく安全な場所でログアウトしたほうがいいでしょう"的なことが取説にも書いてあったが、まさか街中の銀行前が危険な場所とは思いもよらなかった。でもまあ盗られてしまったものはしかたがない。次からは気をつけることにして、僕はパッケージに付いてきた紙製の世界地図を眺めた。ふと以前『UO』を先に始めていた知り合いがべスパーがどうしたみたいなことを言っていたのを思い出した。捜すとVesperという地名を見つけた。ブリテンの街から北東に位置し、地図で見る限りそこも結構大きな街で海に隣接しており港町のようだ。それに地図で見たらそんなに遠くないように思えた。

(よし、なにはともあれべスパーに行こう)

その地図で見る限り、『UO』の世界を東京近辺に例えるとしたら品川からお台場ぐらいの位置関係だろうか。関東地方に当てはめて言うと東京23区から鹿島ぐらい？　ううむ、たとえに無理がありましたね。とにかくブリテンから北東の方角に向えばべスパーの街があるはず。僕はとりあえず北東に向って歩き出した。

ゲーム内でもいちおうマップを表示は出来るんですが、この表示範囲がまことに狭い。それでも周囲の街道とか森の俯瞰図が確認できるのであるのとないのとでは大違いではあるんですが、その範囲にべスパーの街並みが入ってくるまで方向があってるのかどうかがさっぱりわからない。通れない崖などの地形を迂回しつつなんとなく僕は北東方向へ歩き続けた。

街道の両脇には森が広がっていた。そこにはいろいろな野生生物がうろついている。犬、ネコ、馬、牛、小鳥、ワシ、熊、ニワトリ、豚、鹿、兎、ネズミ、羊。彼らはどうやら近づいても襲ってくるわけではなく、こちらにあまり関心がないようだった。と、ふと不安になった。全くの初期装備の僕はもしいま何かに襲われたらひとたまりもない。これらの動物が襲ってこないのは幸いではあったが、モンスターみたいなのがいたらやばいよなあ。森のなかは木の葉に隠れてしまい、他の生物が見えにくい。だからすぐ近くまで動物がいることに気がつかなかったりもした。

なんかだんだんドキドキしてきた。森の中は木や木の根っこに引っ掛かるので非常に歩きづらい。これはなにかから逃げるときにも邪魔になるよなあ・・・

(ここはやはり森の中を歩くのはよそう)

僕は森を抜け、一旦南に下り海岸線に出ることにした。べスパーの街が海沿いにあるわけだから海岸線を北上すれば必ず着くはずという計算だ。程なくして僕は海に出た。そこから海岸線沿いに北を目指す。このあたりは緑も多くのどかな風景が広がっている。岸壁から望む海をイルカが２匹泳いでいた。そのイルカがキューと鳴いた。この海を船で渡ったらどこにいけるんだろうとちょっとなごんでみたりして。


あ！


進行方向の海沿いの崖の上にみるからにへんなものがいた。それは水が人の形になったような生物？で、ゆっくりと移動していた。なんかあからさまに嫌な予感。僕はおそるおそる名前を表示させてみた。

<strong>Water Elemental</strong>

ええと、たぶんやばいです。僕は魔法使いですが、魔法を唱えるために必要な触媒である"秘薬"を盗まれてしまっているのでいまは魔法が使えません。こいつがどの程度強くて、僕がどの程度弱いのかもわかっていません。立ちすくんだままその綺麗な水の人形を見つめていた間、時間にしてコンマ数秒くらいの間に僕は決断した。

(逃げよう)

そう決めて一歩後ずさった瞬間、それがこっちを向いた。

やばい気づかれた。僕は脱兎の如く駆け出した。そして走り始めてすぐに僕は意外なことに気がついた。あいつ意外と足が遅い。追いつかれない。

(なんだ逃げられるじゃん)

と安心したのも束の間、そいつがなにか魔法の火みたいなのを飛ばしてきた。

げっ

火の玉はホーミングしながら僕を追っかけてくる。

うひー

命中。ヒットポイントのバーがごっそり赤く削られた。はい、もう瀕死です。作りたてのキャラはヒットポイントも少ないのです。慌ててまた走り出そうとしたのだけどなぜか走れず歩くことしか出来ない。僕はヒットポイントバーの下にあるスタミナのバーもごっそり削られていることに気づくことすら出来なかった。

なんで走れないのー　ε=ε=ε=(ノTдT)ノ

僕はほとんどパニックになりながら海岸線の崖の上を南に向って<strong>歩いた</strong>。

徐々に距離が詰まってくる。

突然、僕に雷が落ちた。

<strong>「おおうあああああああぁぁぁぁ・・・」</strong>

そんな感じの悲鳴がパソコンのスピーカーから聞こえた。

死にました。

画面はモノトーンに変わり、その中心には灰色のローブを纏った僕がいた。その足下にはさっきまで僕が着ていた服装をした死体が横たわっている。どうやら僕は幽霊になってしまったみたいだった。気が動転しつつも、なんとかしなきゃと操作する。幽霊でも生身同様に移動はできた。でもカバンは開けない。そりゃそうだ。カバンはあっちの死体にある。

これ、どうしたらいいんだろう。もしかしてこのままずっと幽霊？

急いで取説を読む。ふむふむ。最高位の魔法に蘇生の呪文があるのか。それから街の医者が復活してくれるのね。なるほどなるほど。しかたない。街に戻るか。

僕は幽霊のまま、もと来た道を走り出した。

しばらく引き返したところで他のプレイヤーを見かけたので、僕はダメもとで話しかけてみた。

完全に無視された。

とほほ。

僕はまた走り出した。

あとでわかったことなんだけど、幽霊は他人には見えない。幽霊状態で戦闘モードに切り替えると姿だけは他人に見えるようになるが会話が通じないシステムになっているのだった。会話が通じないとはどういうことかというと、

たとえば、

「I need help」

と話したとしても、周りの人には、

「O OoOo ooOO」

みたいにOの羅列にしか見えないのだ。唯一霊話のスキルが高い人だけはI need helpと読めるようになっている。このときの僕はそんなことは知らないので、ただ単に人の冷たさに落胆しきりだったわけだが。なんのことはない、相手がこっちに気づいていないだけのことだったのだ。

ようやくブリテンまで戻り、医者を捜す。街中を走り回りながらブリテンと言う街の広さを呪った。やっと"HEALER"の看板を見つけ中に入ると、「復活しますか？」というウィンドウが開いた。当然YESだ。

僕はその医院のなかでまた生身に戻った。カバンはからっぽ。まあ、もともと空っぽだったからそれはいい。幽霊風のローブを脱ぐと僕は素っ裸だった。ええっと、つまりいま僕は数時間前に出発した場所に荷物も装備品も全部失って幽霊風おんぼろローブだけ纏って戻ってきたってーことになるのかな？


あはははは。


こうしてまたふりだしに戻った僕はログアウトし、意気消沈して出勤した。

会社へと向う電車の中で、

(だったら幽霊のままべスパーに走ってそっちで医者を探せばよかったんじゃねえかよ！)

と気づいたが後の祭りであった。

orz]]>
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    <title>『聖夜：ULTIMA ONLINE』</title>
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    <published>2006-12-26T04:21:07Z</published>
    <updated>2006-12-26T04:44:15Z</updated>
    
    <summary>クリスマス、いい響きだ。 X&apos;masって英語で書いてみるともっとわくわくするね。...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[クリスマス、いい響きだ。
X'masって英語で書いてみるともっとわくわくするね。特にXってところが。なんでXでクリスなのかというよくわからなさがどきどきするね。Xが十字架のダブルミーニングなんだろうなと意味もなくキリストの受難に思いを馳せてみたりしてね。

恋人どうしでも家族でも暖かい部屋で楽しく過ごす夜。窓はうっすら曇り、かすかに覗き見る外の暗闇に静かに舞い落ちる雪。食卓にはとっておきの料理とケーキ。

ああ、<strong>世界が毎日クリスマスならきっと戦争なんて起こらないのに</strong>と本気で思える。それがクリスマス。クリスマスにはそんな慈愛に満ちた不思議な力が宿っていると思ってました。

昨日までは。

]]>
        <![CDATA[クリスマスイブに彼女が遊びに来た。そして僕はマジで金欠でした。なにも買えないし、どこにも行けない。僕は例のクレジットカードのキャッシングで生まれて初めてお金を1万円借りました。そのお金で映画を見に行き、ケーキを買っていっしょに僕のアパートに行きました。


そして、

僕はクリスマスイブの夜に、

彼女に「<strong>別れよう</strong>」と言った。

彼女とのお付き合いをこの先続けていくのは無理だと判断したから。


正直今月の電話代には、もうちょっとで50000円を超えそうな手ごたえを感じていた。収入は手取りで20万ちょっとしかないのに……家賃95000円と光熱費と電話代で支出が既に16万超えてるってマズイです。それに食費ってふつうに生活すると月に60000円くらいはかかりますよね。そうするともうほとんど残りません。もし、いま友人の結婚式とかあってもご祝儀も包めません。実家に帰るとお年玉を用意しなきゃいけないので今年は田舎にも帰れません。

幸せなクリスマスを過ごす、そんな彼女の夢も僕には叶えてあげられませんでした。それはきっとこれからも続きます。

なにを決め付けているんだと。
そんなのひとりで勝手に決めるなよと。
問題はお金じゃないだろうと。

はい、わかってます。深く考えてないわけじゃなくて、むしろ考えすぎるくらい考えて出した結論でした。いっしょにいられればほかに何もいらないとそれこそ勝手に決め付けて、何の準備もしないでただいっしょに過ごすだけのクリスマスを平然としていられるほど僕は強くない。確かにクリスマスイブに別れ話をするという一点に関しては、本当に申し訳ないと思いました。でもこのままオンラインゲームを続けながら彼女と付き合っていくのはとてもじゃないけどいまの僕には不可能でした。

それは天秤に掛けるべきことではないのは重々承知してます。でも成り立たないものは成り立たないのです。付き合っているという言葉だけを交わし、電話もせず会いもせず何ヵ月も遠く離れて過ごすのは付き合っていると言えるんだろうか……


じゃあゲームをやめれ

なんていう指摘はなしです。それを言ったらなんだって言えます。じゃあ野球をやめろ、じゃあパチンコをやめろ、じゃあ仕事を変えろ、じゃあ趣味を変えろ、じゃあ引っ越せ、じゃあパソコンを捨てろ、じゃあ車を手放せ、じゃあバイクを降りろ……

誰にでも譲れないモノはあるはず。

僕にとってはたまたまそれが<strong>"ゲーム"</strong>だっただけの話。



彼女は泣きました。
付き合うのをやめるのをやめようと、もう一回考え直せないのと。どうすれば別れないでいられるのか、だめなところは直すからと。これでもう二度と会えないなんて酷すぎると。望むなら就職もやめて家も出ると。

そんなことを言えば言うほど僕は追い詰められるし、自分を追い詰めるんだよ。

それに僕はそんなことするほどの価値もない小さい人間だから。

会話はループし時間だけが過ぎていく。

ふられるよりふるほうが心底辛い。何度も「本当は他に好きな子ができたからなんだ」という嘘が喉まで出掛かっては飲み込んだ。このクリスマスに別れ話をする状況が辛いんじゃなくて、人の心を傷つけることが自分の身を切るような痛みに感じて辛い。

無言の沈黙が続き、夜が朝になった。

朝になって冷静になったのか、彼女は少し落ち着いてきたように見えたので、僕はちょっと散歩しようかと誘った。彼女は小さく頷いてコートとカバンを手に取った。もしかしたらそのときすでにもうこの部屋には戻らないと彼女はわかっていたのかもしれない。俯いてふたりで駅のほうに歩く。肌寒い朝の空気は気持ちよく、空には高く透明な青空が広がっていた。

昨日までと同じ調子で「コーヒーでも飲む？」「お腹がすいたから何か食べようよ」と話す。その変わらない雰囲気が、ただひとつ付き合っていた昨日までといまの違いを余計に際立たせて涙が滲むけど、僕が泣くわけにはいかない。

ふたりでファミレスに入って朝ごはんを食べた。

とりあえず友達の関係に戻るだけで、話したり遊んだり電話したりはしようという約束を交わした。その約束がなんの意味も持たないことはきっとふたりともわかっていたと思うけど、それをお互い口に出さないと身動きが出来なかったから。

ファミレスを出て少し遠回りして駅まで手を繋いで歩いた。そのあいだ、どちらもなにも喋れなかった。ホームまでいっしょに行き、電車が来たので彼女はそれに乗った。閉まるドアのガラス越しにお互いの目が合った瞬間に、彼女の目から涙が溢れて流れ落ちる。僕は無理やり笑顔を作り手を振った。彼女が小さなその手を振ろうと上げかけたところで電車は速度を上げ彼女は見えなくなった。


駅から家まで歩く道、僕は泣いた。ふっといて泣くなんておこがましいと思うけど、少なくとも彼女の前では涙を見せないという箍が外れたらもう堪えることが出来なかった。

泣きながら考え、そして決めた。

僕はこの道を突き進むと。いつか<strong>ゲームを諦めずに彼女も幸せにする</strong>男になるからと。

言葉にするとかっこ悪くてちっちゃい目標に聞こえるけど、それはイチローみたいな野球選手になるとか、いつか社長になって億万長者になるとかと同じだ。それが僕の価値観だ。

家に帰って寝ようと思っても悲しさがこみ上げて眠れなかった。うまく言えないんだけど、心の真ん中が真っ暗になっちゃうような空虚さに押しつぶされそうになる。なにかしてないとおかしくなりそうな状態。さすがにゲームをする気分じゃなかったけどそれしかないと思えてパソコンの電源を入れた。




<strong><font size="+2">『Ultima Online』</font></strong>


これもまたいまや伝説と言っても過言ではない。2006年の年末の時点でまだゲームの運営が続けられていることからもそのゲームのすごさを窺い知ることが出来る。

『Ultima Online』には経験値(EXP)という概念がない。ゲームの中で焚き火をしたりケーキを焼いたりモンスターを攻撃したり、なにかをしたらそれに関連したスキルが上がっていく。キャラクターの成長はそれが全てだ。世界はとても広大で、船でしか渡れない島に不死のモンスターのダンジョンがあったりドラゴンが生息してたりした。空き地があれば自分の家を建てることもできる。自分の家に売り子を置いて自分で作った剣や鎧を売ることも出来る。その世界に決められた目的はなく、ドラゴンを倒すことが目的でもいいし、伝説の大泥棒を目指すのもいい。

実際このゲームにはさまざまなスキル(技能)があってどのスキルを成長させていくかで結果的にキャラクターが戦士になったり魔法使いになったりする。ひとつのスキルの上限は100で、ひとりのキャラクターのスキル合計値は最大700。複数のスキルの組み合わせが最終的にキャラクターの役割(ロール)を決定付けることになる。スキルは下げることも出来るので、戦士として育った後でも新たに裁縫職人を目指すことも出来る。

ちなみにどんなスキルがあるのかというと、ざっとこんな感じだ。

錬金術　−<font size="-2">いろいろな薬(ポーション)を作れる</font>
解剖学　−<font size="-2">相手の肉体的な強さを推し量れる</font>
動物学　−<font size="-2">動物の状態がわかる</font>
調教　−<font size="-2">動物と一部のモンスターを飼いならす</font>
弓術　−<font size="-2">弓を使った戦闘が上手くなる</font>
武器学　−<font size="-2">武器防具の品質や耐久度がわかる</font>
物乞い　−<font size="-2">NPCからお金を恵んでもらえる</font>
鍛冶　−<font size="-2">武器防具の作成・修理ができる</font>
弓矢作成　−<font size="-2">弓矢の作成ができる</font>
キャンピング　−<font size="-2">野外で安全にログアウトできる</font>
大工　−<font size="-2">家具の作成ができる</font>
地図作成　−<font size="-2">地図の作成ができる</font>
料理　−<font size="-2">料理ができる</font>
潜伏探知　−<font size="-2">潜伏してる人を発見できる</font>
誘惑　−<font size="-2">楽器を演奏して人を惹きつける</font>
知性評価　−<font size="-2">相手の知性を推し量れる</font>
フェンシング　−<font size="-2">槍系の武器の戦闘が上手くなる</font>
釣り　−<font size="-2">釣りで魚を釣ることができる</font>
検死　−<font size="-2">死体の殺害者を知ることができる</font>
治療　−<font size="-2">包帯を使って治療・解毒・蘇生ができる</font>
牧羊　−<font size="-2">動物を誘導し立ち止まらせられる</font>
潜伏　−<font size="-2">隠れて他人から姿を消せる</font>
書写　−<font size="-2">魔法の巻物を作ることができる</font>
アイテム鑑定　−<font size="-2">魔法のアイテムを鑑定できる</font>
鍵開け　−<font size="-2">鍵を開けられる</font>
伐採　−<font size="-2">木から丸太を切り出せる</font>
棍棒戦闘　−<font size="-2">棍棒系の武器の戦闘が上手くなる</font>
魔術　−<font size="-2">魔法が使える</font>
採掘　−<font size="-2">鉄鉱石を掘り出せる</font>
音楽　−<font size="-2">楽器をうまく演奏できる</font>
受け流し　−<font size="-2">盾で攻撃を回避できる</font>
沈静化　−<font size="-2">楽器を演奏して相手をおとなしくできる</font>
毒　−<font size="-2">武器に毒を塗れる</font>
挑発　−<font size="-2">楽器を演奏して同士討ちさせられる</font>
呪文耐性　−<font size="-2">魔法の攻撃に耐えられる</font>
覗き　−<font size="-2">人のカバンを気づかれずに覗ける</font>
霊話　−<font size="-2">死んで幽霊になったひとと会話できる</font>
窃盗　−<font size="-2">人からアイテムを気づかれずに盗める</font>
剣術　−<font size="-2">剣を使った戦闘がうまくなる</font>
戦術　−<font size="-2">戦闘の威力を高める</font>
裁縫　−<font size="-2">布や皮から装備品を作成できる</font>
味見　−<font size="-2">毒の有無や薬の効果がわかる</font>
細工　−<font size="-2">時計などの細工品が作成できる</font>
追跡　−<font size="-2">近くいる人やモンスターがわかる</font>
獣医学　−<font size="-2">包帯で動物を治療できる</font>
レスリング　−<font size="-2">素手の戦闘が上手くなる</font>

関連してそうなスキルも多いが、よく見ると何それ？っていうスキルも結構ある。

たとえば自分の作ったキャラの700のスキルを霊話、窃盗、覗き、牧羊、物乞い、検死、味見って育てたらそれどんなキャラクターなんだろうとか考えるだけでわくわくしてしまう。でもここはやっぱ魔法使いでしょう。

選択できるシャード(サーバーのこと)は４つ。Atlantic、Pacific、Great Lakes、Napa Valley。リアルの知り合いが既に始めていたのでPacificというサーバーにキャラクターを作った。最初にキャラクターを作る時にスキル１００をふたつかみっつのスキルに振り分けることが出来るので、僕は魔術５０、治療５０にしてみた。魔法使いで治療も出来るってなんかお得じゃない？

スタートはもっとも栄えているブリテンという街。

そして初めてゲームに入ったその瞬間に最初の衝撃を受けることになった。

<strong><font size="+2">人が多い！　　Σ(@o@ )</font></strong>

上から見下ろしのゲーム画面内に何十人といて、画面中でいろんな人が英語でなにか話してる。会話はチャットウィンドウとかではなく、話したキャラクターの頭の上に表示されるのでリアルタイムで街のあちこちで誰かと誰かが会話してる。

す、すごい。これが全部どこかの誰かが操作してるんだ！

その光景は渋谷のスクランブル交差点を彷彿とさせた。僕は呆然と見とれてしまった。

とりあえず気を取り直して、ええと、ここは銀行前か。なになに、bankって発言すれば自分用のバンクボックスが開くのか。ならまずはアイテムを整理しようかなと思って、自分のカバンと銀行を開いた。

あれ？

カバンに入ってるはずのお金がない。マニュアルには少々のお金とスキルに必要なアイテムが少しカバンに入っているって書いてあるのに。

もしかして盗まれた？

と思ってたら近くにいた見知らぬ人が突然他の人を剣で攻撃し始めた。「こいつ泥棒だ(英語)」って言ってる。ぎゃああと叫んで泥棒さんは殺され死体になった。見る間に死体の洋服が剥がされ裸になっていく。

(うわー、すごい世界だな)

ふとまたカバンの中身に目をやると今度は魔法を唱える為に必要な秘薬がなくなってる！

(うひー、恐いよ)　　く("0")>

その場から離れようにもとにかくラグが酷い。人が多いのもあって一歩進むのに10秒以上かかる。人にぶつかると
スタミナが減るので人に囲まれると身動きが取れなくなる。

たいへんだ。逃げられない。

とりあえずキャラは作り直そう。

ログアウトすると急にお腹がすいてきた。もう昼だった。お金もないのでご飯と秋刀魚の蒲焼の缶詰で軽く済ませた。するとやっと眠くなってきたので僕はベッドに入り込んだ。

なにかを考える暇もなく僕はすぐ眠りに落ちていった。
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    <title>『不正：DIABLO』</title>
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    <published>2006-12-22T05:53:19Z</published>
    <updated>2006-12-22T06:10:02Z</updated>
    
    <summary>1997年という年はオンラインゲーム黎明期を語る上で最も重要な転機であったと言え...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[1997年という年はオンラインゲーム黎明期を語る上で最も重要な転機であったと言えます。
と言うのも、この年に発売されたオンラインゲームに、

<strong>『DIABLO』</strong>

<strong>『Ultima Online』</strong>

<strong>『QUAKE2』</strong>

といった複数の神ゲーがありました。これらを抜きにしてオンラインゲームの歴史は語れないでしょう。そして更に言えば、『HALF-LIFE』、『UNREAL』もこの年の年末あたりに発売が予定されていたはず。(僕は『HALF-LIFE』、『UNREAL』はプレイしていないので正確な発売日は記憶していない。正直、金欠だったのでそんなに出来なかったんです。申し訳ないm(_ _)m)。
更に更に、この年のPCゲーム雑誌には後に伝説となる<strong>『EVERQUEST』</strong>の開発初期段階のスクリーンショットが既に紹介されており、まさにオンラインゲームの未来は輝きに満ちている、そんな年でした。

]]>
        <![CDATA[そしてこれらオンラインゲームのマスターピースたちがこの時期に結実したことは、僕にとってとても幸運なことでした。なぜならISDNの普及など当時の環境の進歩もそうですが、この時期に僕がある程度は収入を維持できる年齢になっていなければ、それらを経験することすら出来なかっただろうからです。とにかく初期のオンラインゲーム(とそのプレイ環境の構築に)はとても金がかかりました。


『DIABLO』編で触れたように、また次回以降で語ることになる『Ultima Online』でも同様なのだが、オンラインゲームの最大の敵は間違いなくラグ(lag)である。というか、すべてのオンラインゲームでラグは最大最強の敵だと言っても過言ではない。
だってどんなに強く育ったキャラクターであっても回線が止まったり切れたりすれば、なにも出来ないんだから。そのせいで死亡した経験談なんてネトゲ経験者ならごまんとあるはずだ。対戦型(PVP)のオンラインゲームならラグの精神的ストレスはなお更だろう。反応がつねに1秒違えばほぼオンライン対戦FPSでは勝てないと思う。


<strong><font size="+2">快適にゲームがしたい。</font></strong>

このシンプルな欲求が全ての源である。
カウチにポテトでドラクエ三昧とか、50インチハイビジョンTVでピザ取って革張りソファーでFFXIとか、それらと同じレベルの欲求として、快適にオンラインゲームがしたい。


そして僕は考えた。

快適なオンラインゲームプレイ環境を構築するためにはなにが出来るだろうと。正直もう<strong>"ラグ死"</strong>は勘弁だ。
会社にはそれっぽい書籍や雑誌がたくさんあったのでとにかく調べ、最新情報を漁り、インターネット上でいろんな意見を見聞きした。その結果、1997年当時の僕がたどり着いた快適なオンラインゲーム生活のための課題はこんな感じでした。

<strong>●パソコンの性能アップ
●モデム速度のアップ
●回線速度のアップ
●インターネットプロバイダーのサーバースペックアップ
●近所のインターネットアクセスを減少
●もっと海底ケーブルの近くへ</strong>

PCのスペックアップはシンプルでわかりやすい。マシンが遅ければ回線がどうの以前の問題だ。具体的にはCPUを速いものに替える。メモリを増やす。グラフィックボードを速いものに替える。などなど、出来ることはいろいろありますが、当然お金がかかります。
金欠野郎の僕にはハードルが高い。ならお金がかからないパフォーマンスアップをしよう。定期的なHDDの最適化。デスクトップの壁紙は単色一色にする。写真とかグラフィックなんて貼らない。デスクトップにアイコンを可能な限り置かない。常駐型のプログラムを極力走らせない。再起動するときにはキャッシュをクリアーにする。などなど。
まあお金をかけずに出来ることもちょっとはあるわけで、やらないよりはやったほうが確実に少しよくなりますし、塵も積もればというじゃないですか……


それからモデムの速度はアナログ288からISDNに替えてアップしましたね。確実に速くなりました。
これはよし。


それ以外の課題は、じつはインターネットサービスプロバイダー(ISP)選びのことでもあります。簡単に言えば速いと言われるISPに乗り換えようってことなんですが、細かく言えば、上り下りの速度とか最大転送容量とかサーバーのスペックとか条件はまちまちなんですけど……

乱暴な言いかたをすれば、

料金が高いISPは速い！と(笑)。


このISP選択のよし悪しは、当時のオンラインゲームプレイでいちばんクリティカルな問題でした。

とにかくしょぼいISPはラグもひどい。この改善はパソコンを買い換えるよりも激的な効果を生む可能性がありました。
近所のアクセス問題というのは、高速道路に例えると判りやすい。5車線あっても利用者があまりに多いと渋滞しますね。それと同じで、たとえば同じマンションの誰かが同時に何人もケーブルTV接続のインターネットでエロ動画を大量にＤＬしてたりすると、僕の回線速度は間違いなく低下します。つまり理想は地域の基地局までの接続者が僕だけと。
まあありえませんけどね。
対策としてはエロっぽい住民をチェックしてプレイする時間にＤＬしないでとお願いする程度でしょうか。ただ基地局エリア全体でそれをやるのはかなりの根気と精神力が必要となります。というか出来ません、ごめんなさい。



そして最後に僕がたどり着いたもっとも重大な真実。

それは、


<strong><font size="+3">海底ケーブル！</font></strong>　(バーン)



『DIABLO』も『Ultima Online』もサーバーが海外(アメリカ)です。知ってる人は知ってると思いますが、インターネットで日本から世界中にアクセスする時には海底ケーブルを必ず通っているのです。そしてこの1997年ごろ、アメリカへの通信用海底ケーブルは３本しかなかったのです。Trans Pacific Cable(TPC)ってやつです。いま調べると実際には97年当時４本あったようなんですが、そのころ僕が調べた範囲では3本だったと記憶してます。あ、いや4本あったかも。1本は細くて意味がないみたいな感じだったかもしれません。記憶が曖昧ですいません。事実、回線容量は480Mbpsから10Gbpsまでばらばらでした。
インターネットとはサーバーどうしが繋がって網の目のように広がっているもので、海外への出口であるTPCに直接繋がっているプロバイダーはTPC接続1次プロバイダーと言って数が限られていました。
インターネットの網の目はデータが通っていくサーバーの通り道がどこかで一ヵ所でも線が細くなっているとそこがボトルネックになって通信速度はそれ以上には絶対に上がりません。なので3本(4本)の海底ケーブルに直接接続しているインターネットプロバイダーがもっとも安定した通信状態を確保できると言うわけです。ちなみに3本の海底ケーブルの具体的な陸揚げ位置は千倉、三浦、二宮(宮崎)でした
(現在ではアメリカへの接続で7本、海外全体で14本あるようです)。


これらすべての情報をもとに僕の得たオンラインゲームに最適なISP選びとは、

"千倉か三浦に限りなく近いTPC1次接続プロバイダーのアクセスポイントがある市外局番エリアで、近隣住民があまりインターネットをしない過疎地域でしかも基地局のインフラだけはしっかりしているところに引っ越す"

でした(爆)

うーむ、半分は机上の空論ですし、間違った情報もあったかもしれません。
でも大部分は事実でもあります。が、まあ極論ですね。

まあそんな極論は無理としても、僕は何社もISPを乗り換えてはPING値(特定のサーバーへの通信速度とデータロストを計るアレ)を計り、計っては乗り換えをくり返しました。さすがに引越しはしませんでしたが……

そして最終的に落ち着いたのISPはIIJとOCNでした。

何故<strong>ふたつ</strong>あるかって？

ふふふ


それは、たとえばインターネットは接続途中のあるサーバーが落ちると極端に通信状態が悪くなることがあります。場合によっては、その落ちたサーバーを回避するためにデータがアジア経由で海外に出てロシアを回ってアメリカへみたいなありえない経路を
辿ることもあります。そうなるとラグなんて生易しい状態じゃなくなってしまいます(いまは海外への回線も増えているのでそんなに深刻な状況にはならないとは思いますが)。
そんなときも別のISPを契約していれば大丈夫。接続するISPを変えればサーバー経路が変わるので落ちたサーバーを回避出来る可能性があります。ふたつのISPが違うTPCへの接続であればさらにイイですね。アメリカで落ちたサーバーすら回避出来るかもしれません。

これはとても大事です。落ちたサーバーが1時間で復旧するのか1週間かかるのかは予想できないのです。そのあいだあなたはラグのなかでプレイし続けるこ……

え？

えーと、

はい、

…………


そうです。バカです。オンラインゲームバカとしか言い様がありません。そのうえバカ高い電話代も払います。もうつける薬なんてありゃしません。でも、でもですね、そんな偉大な先人たちによる試行錯誤という名の屍が、テレホーダイを生み、ISP年間固定料金を生み、ブロードバンドの普及を生んだんだとは言い過ぎでしょうか。

給料の約半分をISDNの電話代(とネトゲ環境)に充てる！

そんな熱い(暑い？)バカがあのころはいたんですよ。

ええ、まあ、僕なんですが。

モバイルのパケ代が高くてびっくりするのとはわけが違います。食費を削って、彼女を失ってキャッシングでお金を借りてまで自ら繋ぐ茨の道なわけで……


はい、はい。すいません。すいません。話をもとに戻します。




さてと、とても熱中していた『DIABLO』に対してもやがて僕は急激に熱が冷めてしまう。

理由はとても簡単なことだった。

<strong>チート(不正改造)</strong>で大量にレアなアイテムが出回り始めたからだ。ORZ、KSH、GPWなどの最高数値という激レアを、欲しけりゃあげると言わんばかりに村でポイッと地面に捨てる人や、頼みもしないのに強引にくれる人に何人も出会った。人の心は弱いもので、チート品とわかっていてももらったら使ってしまう人もいる。中には絶対に敵が落としたものしか使わないという人もいたが、少数だったように思う。

事実<strong>Godly Platemail of Whale(GPW)</strong>というアイテムがあるのだが、僕がプレイしていた中では一度も拾ったことがない。存在しないという噂まで流れていた。

いやもちろん実際には見つける確率はゼロではないと思う。でもモンスターレベル以下のレベルのアイテムしか敵からは出現しないというDIABLOの基本に則って考えると、魔法効果『Godly』はレベル60、『of Whale』もレベル60である。通常の敵のマックスも60(プレイ中には判らない)である。亜種も数えて84種類いるモンスターの中でレベルが60になるのはヘル難易度でのおそらくたった3種類のみ。群れのユニークボスでレベル60を超える可能性があるのがやはりヘル難易度でおそらく11匹しかいない。KSHもORZもヘルなら雑魚でも落とす可能性があることを考えるとGPWは出ないなんてもんじゃない。それこそ幻のアイテムといわれてもおかしくないぐらいの<font color="#cc0000">天文学的な低確率</font>でしか出なかった。

でもそんな夢のGPWを、あるとき弟が「人からもらったけどいらないからあげる」と言って、僕にくれた。

僕「……………………」
弟「……………………」
僕「……thanks……」
弟「np」


はっきり言って超萎えた。

もし一生に１個出会えるかどうかというアイテムを、簡単にタダでもらってしまったら……

正直、使おうかどうしようか小一時間悩みましたよ。フロドの気持ちが痛いほどよく判りましたね、マジで。結局のところ、悩んだ末に僕は店に売ってお金にしたんだけど、そのときの悪魔に魂を売るかどうかに近い僕の中での葛藤は、僕の熱意への最後通告になりました。それはいつか耐えられなくなる種類のプレッシャーでした。
そしてしばらく経つとロビーで「ＯＲＺ激安販売中！」とか「GPW売ります！」といったチャットメッセージをよく見かけるようになったのです。

それがとどめ。もうだめだでした。モチベーションの維持は不可能だ。



僕は引退を決めた。


<strong>そして『DIABLO』をやめた。</strong>


いまでもやってる人がいる神ゲーは、チートというありふれた身勝手な行為によって、いとも簡単にその熱を確実に失ってしまいました。非常に残念なことだ。でも、これもオンラインゲームの持つ構造的な危うさの一面なんですね。未だに僕がオンゲー/オフゲー関係なく、チート行為に対して過剰なほど拒絶してしまうようになったのは、このときの落胆があまりにも激しかったからにほかならない。





でも落胆してばかりもいられなかった。

それはなぜかと言うと、

ぐふふふ

もう<strong>『Ultima Online』</strong>を買ってあるからさ！

このゲームはすごい。なにがすごいかって、電子の海の中に本気で<font color="#cc0000">世界の創造</font>を目指したゲームは、後にも先にも<strong>『Ultima Online』</strong>しかないと、いまでも僕は思っている。そのゲームの中に存在するさまざまな理(ことわり)は高度な次元で見事に融合していた。それは見事としか言いようがなく、もしかしたら本当に奇跡だったのかもしれない。

そこには単なるダンジョンとかではなく、間違いなく世界があった。

それは世界で始めての<strong>MMORPG</strong>(多人数参加型PRG)

ひとつのサーバーに数千人が同時に参加して遊ぶなんて聞いたことが無かったし、ましたや何千人が何百人だったとしても想像も出来ない。それぐらい画期的なことでした。また広告のキャッチコピーいかしてて、「Join us？」だって。もう、はい！はい！参加しますしますと諸手を上げて走り出したくなるような衝動に駆られます。


こうして僕は見習い魔法使いとしてソーサリアという名の世界に最初の一歩を踏み出した。

1997年のクリスマスの数日前のことでした。

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    <title>『PONR：DIABLO』</title>
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    <published>2006-12-13T07:39:54Z</published>
    <updated>2006-12-15T10:53:25Z</updated>
    
    <summary>1997年も年の瀬が近づいた週末、僕は彼女と表参道を手をつないで歩いていた。 東...</summary>
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        <name>ヘロ</name>
        
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        <![CDATA[1997年も年の瀬が近づいた週末、僕は彼女と表参道を手をつないで歩いていた。

東京の冬は日が沈むのが早く、晩飯をどこで食べようかという話題を持ち出すより早くにあたりはすっかり暗くなっていた。

「俺、原宿のこの<strong>ライトアップ</strong>って嫌いなんだよね」

「なんで？　綺麗じゃん」

「去年まで会社がこの近くだったんだけど、この時期外回りから戻ってくると人が多すぎて鬱陶しいんだよね。ごみもぽいぽい捨ててく人多いしさ」

「ふ〜ん、そんなもんなんだ」

そんなことを原宿の表参道側の歩道橋の上で夜景を眺めながら話している。そういえばこの歩道橋っていわく付きの場所だったっけかな？ここでキスすると別れるとかなんとか。まああったとしてもそんな非科学的なことは信じないけど。

「こういうときくらいかな、眼鏡でよかったと思うのは」

「え？」

「乱視だから眼鏡を外すと、夜景が何重にもなってすごく綺麗に見えるし」

「はは、なにそれ。でも嫌いなんでしょ？」

「うむ？…　そうか…　そもそも人ごみの原因がこの夜景だとするとこの夜景をこそ憎く考えるのが妥当なわけだ。綺麗だからと言ってそれを許してしまえば人ごみも含めて俺は認めざるを……」

「ラーメンにする？」

「はい…」


]]>
        <![CDATA[僕たちは"じゃんがら"に行ってふたりとも"全部乗せ"を食べた。

彼女は大学４年生で成績もイイほうらしく卒業単位はもう余っていた。１２月の早い時期には卒論準備とかで大学には行っても行かなくてもよくなっていて、今回は友達と旅行に行くと親に言って泊まりに来たのだ。

もちろんそれは僕にとっても嬉しいことではあるのだが、家でゲームをするという僕の<font size="+2"><strong>至福</strong></font>の時間は確実に奪われてしまう。
それもあってデート中もあの<font color="#cc0000">悪魔</font>のことが頭から離れない。思い描いている魔法使いの完成のためにはあとどの装備が必要かということをふと考えて会話が止まる。

『DIABLO』のアイテム生成システムはじつによく出来ていて、ベースとなる普通のアイテムに魔法効果の前置詞と後置詞がつく形でマジックアイテムになる。例えば、ロングソードにKing'sという命中率とダメージ増加の前置詞とHasteという攻撃速度アップの後置詞がつくことによってKing's Longsword of Hasteというアイテムになるわけだ。ただ同じ魔法の効果でもランダムに数値のばらつきがある。King'sの命中率だけとって見てもプラス７６パーセントからプラス１００パーセントまでの幅でいくつになるかは運次第なのだ 。だから欲しいアイテムの中でも業物と言えるものはなかなか巡り会えるものではない。

僕はすべての魔法耐性とすべてのステイタスを上昇させる指輪としては最高のものである<strong>Obsidian Ring of Zodiac</strong>の最高数値のものがあとふたつ欲しかった。(指輪はふたつ装備できるため)

アイテム集めに関して言えば、ソーサラーは若干アイテム集めに不利なクラスといえる。
なぜならだいたい敵から離れた位置にいて魔法で攻撃したり前衛の戦士を回復補助することが多く、基本的にアイテムは戦士の足下に落ちやすいからだ。指輪はとくに小さいから落ちたのを見つけるのはとてもたいへんだったりもする。唯一の救いはアイテムは落ちたときにそれっぽい音がすることだ。
チーンと鳴ったら指輪というわけだ。DIABLOはサウンドがステレオ対応なので右で落ちれば右のほうで音がなる。
でも、結局探してるあいだに大抵戦士に拾われてしまう。そして戦利品をちゃんと分配するパーティーだったとしても、鑑定してもし欲しいアイテムだったら手持ちの装備と入れ替えられても気づきようがない。
それもあって指輪の収集が遅れていたのだ。

<strong><font size="+2">チーン！</font></strong>

近くで誰かが小銭を落とした音が響いた。僕の耳は瞬時にその方向を察知し、無意識に僕は地面を眺める。明治神宮前の交差点の道端に指輪らしきものが落ちているのを見つけた瞬間、僕はあっと声を上げていた。

「ん？　どうしたの？お店に財布忘れたとか？」

と心配そうに見つめる彼女に声を掛けられ、思わず顔が赤くなる。
よくよく見ればそれは空き缶のプルタブだ。
いや、プルタブだったからイイとかそういう問題ではなくて……

「いや、財布は大丈夫……」

ポケットを触りながら生返事を返しつつ、どう言い繕うかを考える。

「……お……」

「お？」

「お、おつり受け取り忘れたような気がして……」

「ぴったり払ってたじゃん」

そうだね。そのとおり。つい数分まえのことだよ。

「そうだっけ？」

「そうだよ〜」

と言いながら、彼女は僕の顔を覗き込んでくる。ここで変に疑われるのも損とは言え、正直に話したらきっとドン引きだろうなあ。

僕は笑ってごまかした。

上目づかいに怪訝そうな視線を外しながら彼女はなんとなく納得した振りをした。


家に帰って僕らは順番にシャワーを浴びた。
僕は彼女がいないあいだにパソコンの電源を入れて、
<strong>モニターの電源は切っておいた</strong>。

ふたりともパジャマに着替えて、どちらからともなく来年の話をしだした。彼女は大手上場企業に就職が決まっており、おそらく地元の支店で仕事をすることになるっぽいと仰る。そうなると「遠距離恋愛は当分続くことになるんだね」みたいな展開で自然と会話が止まり、しばしの沈黙のなか彼女が上目遣いに僕を見る。

考えてみれば彼氏彼女がふたりっきりで久しぶりに会っているのだ。
「いまからゲームをするからさきに寝てていいよ」とは言えないか……

僕が顔を寄せると彼女は眼を瞑った。

パソコンの電源ランプは静かに明滅を続けていた。

………………………………



セックスを終え、再びシャワーを浴びに行きながら彼女は裸のまま、やさしく言った。

<font size="+2">「ゲームしたいんでしょ？」</font>

「ああ、うん、まあやりたいと言えばやりたいかな」

<font size="+2">「いいよ。やれば？」</font>

それだけ言うとさっさとユニットバスに入ってしまった。

僕は速攻でパジャマにスウェットを着てモニターの電源を入れる。
さらにそのままの勢いでパソコンをオンラインにする。
自分の部屋でゲームをするのに誰かの許可が要ることの是非を自問する時間すらもったいない 。


早速『DIABLO』を立ち上げ、Battle.Netに接続する。

とりあえず難易度Hellで既にさんにん集まってるパブリックゲームを探す。探しながらHell/Hellで新規募集をチャットしようとしたとき、視界の隅に見覚えのある単語が映った。それは他人のキャラクターの名前だった。その見覚えのある人はチャットでHell/Hellゲームでパーティーを募集している。僕は、彼の名前を思い出すのにそれほど苦労しなかった。
実験的にウォリアーを育てていたときに、僕はその彼に殺されたことがあった。

(あ、こいつPKerだ)

確か、そのときは装備もきっちり奪われたのでよく覚えていた。

反射的にそのPKerに直メッセージを送って<strong>参加希望</strong>を伝えた。
と同時にさっき検索してオンラインにいることがわかっていたリアル弟に暇かどうかを直メッセージで聞く。

U介(リアル弟)からはパーティー中だけど抜けられる旨の返信。
PKerからは是非いっしょに遊びましょうとの返信。

そのゲームに既に何人の参加希望があるかどうかはわからないのでさらに急いでU介にメッセージを送る。

僕→弟「詳しいことはあとで説明するからパーティー参加希望のメッセージをＡさん(仮名)に送ってくんない？」

弟→僕「ふむ…　いいよ。了解」

PKerのＡ氏(仮名)から再び、僕宛てにゲーム名とパスワードが直メッセージで送られてきた。なんか勢いで参加希望しちゃったけどどうするかなと思いつつ指定されたゲームにJoinする。ふとU介が参加出来たかどうかが不安になったが、村に着いた瞬間それは杞憂に終わった。
U介はすでに村にいて地面にアイテムを並べて整理していた。

僕はとりあえずみんなに英語でよろしくと挨拶をした。

集まった４人はこんな感じだ。(『DIABLO』のマルチプレイは最大4人)

U介がレベル50のローグ。
PKerのA氏(仮名)はレベル50のソーサラー。
僕はまだレベル40台半ばのソーサラー。
初めて会うBさんもレベル40台半ばのウォリアー。

まあバランスは悪くない。

とりあえずU介に直チャットで以前このA氏に殺されたことがあるのを説明すると、じゃあリベンジってことだねとのん気に返ってきた。びびってちゃあ<strong>兄の威厳</strong>もあったもんじゃないので、「おお、そういうこと(w」と豪語してはみたものの、事故ではなく意図的なPKはまだしたことがない事実は伏せておいた。

今回A氏(仮名)がPK目的なのかどうかははっきりしないが、もしそうだとしてもアドバンテージはこちらにある。なぜならこちらはA氏(仮名)がPKerなのを知っているし、僕と弟が旧知ということをA氏(仮名)は知らないからだ。


早速13階から16階のdiabloを目指して探索が始まった。


じつは『DIABLO』における魔法はパーティーアタックのオン、オフに関係なくつねに仲間にもダメージを与えてしまう。パーティーアタックボタンというものは、プレイヤーをカーソルでターゲットした状態で武器や魔法の攻撃が発動するかしないかだけのものでしかないのだ。
魔法は地面をターゲットしても発動するし、モンスターの近くにいるプレイヤーを巻き込む魔法も多い。だからソーサラーは攻撃魔法を使っていると事故で仲間を殺してしまうことがたまにある。弓も同様である。

当然ながらまだ誰もパーティーアタックはオンにしていない様子ではあったが、それはさほど重要なことではなかった。殺すことだけが目的なら、

モンスターの集団　　　殺したい相手　　　自分

が<strong>一直線</strong>になるように立ち回りチェイン・ライトニングの魔法を放てばおそらく即死だろう 。プレイヤーアタックボタンは関係ない。でもそれだと事故死となにも変わらないし、僕は耳が欲しいわけじゃない。

じゃあ僕はどうしたいんだろう。

装備を奪いたいのか。いや、それが目的と言うよりは、装備を奪い殺すことによってPKされた悔しさみたいなものを知らしめたいというのがもっとも近い。

そう、まずはモンスターにとどめを刺させる状況を作り出さなければ。

とりあえずU介と相談し、油断を引き出すためにそのときが来るまではふつうにパーティープレイをこなすことにした。そして引導を渡すのは15階にしようということで合意した。16階はモンスターに殺されても装備を落とさない仕様になっているからだ。

13階、14階と順調に進む。

パーティーのバランスがイイということもあるが、弟のローグが非常に効果的な戦力となっているのが大きい。モンスターはヘル難易度になると魔法完全無効のものがけっこう出現する。そういう奴は物理攻撃が有効なのだが大抵近づくと逃げる。ウォリアーが追っかけて先行しすぎると回復魔法が届かなくなるし、戦線が拡大しすぎると他のモンスターがアクティブになって敵が増えてしまう。その上、プレイヤーは魔法攻撃を完全無効には出来ないので敵が増えると言うことはヘルでは死を意味する。
そういうとき物理攻撃であるローグの弓はものすごく頼りになるのだ。
しかもU介はマックスまで育ててるだけのことはあり、すべての魔法も覚えていた。魔法レベルはソーサラーより低いし、詠唱速度もソーサラー以下だけど、対応出来ない敵はいないのは間違いない。さらに驚いたことにU介は敵によって"剣と盾"も持ち替えて戦っている。

<font size="+2">まあ正直こいつには勝てる気がしない(笑)</font>

A氏のレベルも50ということで彼もまた強敵である。
果たして勝てるだろうか。そもそもA氏がこちらを殺すつもりでゲームに誘い込んだのであれば、向こうもどうやって殺そうかと考えているに違いない。それにBさんがA氏とグルという可能性も考えておかなければならない。
ただ今日に限って言えばA氏のプレイはかなり献身的で他人が死なないように回復したり味方を巻き込まないようにゴーレムや石化の魔法を効果的に使ってサポートしている。まあそれはこちらにも言える事ではあるし、それが余計猜疑心を強くする一因でもある。

ふと、A氏は今日はアイテム狙いなのか、もしくはPKを引退したかのどちらかかもしれないという考えが頭を過ぎる。

その瞬間、僕はやっぱり殺すことはないかなと反射的に考えた。

それは多分僕の根っこの部分に、他人の憎しみや怒りの上に僕の楽しさは成立し得ない性格があったからだ。でもこの世界には快楽殺人者を取り締まる権力もなければルールもない 。彼が殺人から足を洗った証拠はどこにもない。
弱者はいつまでも弱者でしかない。

<strong>ここはそういう世界なのだ。</strong>

だから僕はなんとなく、本当になんとなくやっぱりやめようかという文字を弟に送るのはやめておいた。ひとりだったら確実にPKするのはやめてたと思う。



近くで見ていると基本的にA氏は雷魔法をメインで使っていた。ショートカットで魔法は切り替えられるがつねにセットされている魔法は基本的にひとつ(又はふたつ)である。なのでメイン魔法を切り替えるには少なくともひとつキーを押してからクリックしなければならない。それと彼は強さに自信があるからなのか、テレポートで逃げるときに飛ぶ先が未探索エリアでも気にせず飛ぶことが何度か見えた。相手がこちらをカモだと思っているのならそれはブラフではなく、こちらが安心する空気を作ろうとしているとも考えられる。

こんな疑心暗鬼の緊張感のなかでゲームするのがそんなに楽しいのかと思われるかもしれないが、ぶっちゃけ<font size="+2"><strong>すごい楽しい</strong></font>です。

そういう人の猜疑心を煽る部分に面白さの本質を置くボードゲームやテーブルトークゲームはいろいろ存在する。同じようなものだ。痛みを伴なうぶんだけDIABLOのほうが緊張感は上だと言える。


結局、誰も死なずに15階まで来てしまった。表面だけ見れば連携の取れた理想的なパーティーだ。多分、このまま16階にいるラスボスDiabloまでそれほど苦労せず行けるだろう。

このとき、幸か不幸か15階には魔法使いが苦手とする通称"赤姉ちゃん"(サキュバス)とムカデが出現していた。赤姉ちゃんは魔法完全無効で、集団で出現し遠巻きに赤い魔法(Blood star)をばちばち連射してくる。ムカデはす速いうえに攻撃しても怯まないので、止まらずに向かってくる。そしていまここにいるムカデは中でももっともやばいAzure Drakeという種類だ。魔法と雷は完全無効 、炎魔法にも高耐性と魔法使いには最悪だ。物理攻撃が強くて弱点属性が無いなんてほとんど<font color="#cc0000"><strong>反則</strong></font>じゃないか。

15階の敵をすべて倒してしまうと計画の遂行が難しくなるので、U介と相談して早いタイミングでやろうということになった。

魔法使いを殺すのは正直簡単ではない。詠唱の速いテレポートもできるし、基本的に敵から離れた後ろのほうにいるので敵に止めを刺させるのが難しいからだ。ただ今回は赤姉ちゃんだ。集団で現れて赤色の痛い魔法を連射してくる。うまくムカデが絡んで機能してくれるとイイのだが。

とりあえず作戦としては赤姉ちゃんの魔法がA氏に集中して、逃げた先でムカデに殺されるというシナリオがわかりやすくてイイ感じだと短くチャットを交わす。タイミング次第では弟の弓か、僕の魔法でA氏を瀕死に出来ればベストだよねと。要するにすべてはタイミング次第なのだ。耳だけなら簡単なんだが……

降りてきた階段からしばらく進んだあたりでU介から直メッセージが入る。

「この先左方向は赤姉ちゃん地帯ね」

僕は覚悟を決めた。ためらいがあれば僕が死ぬ。
僕は別方向から連続テレポートでムカデを探しに飛んだ。少し飛んだ先でムカデを発見、ムカデたちを大量にアクティブにして赤姉ちゃん地帯と思われるエリアの壁の手前まで誘導する。少しでもミスすると多分即死だ。緊張で手の平にじわりと汗をかく。


なんとか誘導を追えＵ介にその旨を伝えるとすぐさま返事が来た。

「姉ちゃん大量につれてくるからAの後ろで待機よろしく(w」

僕は『Diablo』をプレイしてきて<strong>初めてPKボタンを押した</strong>。覚悟はしていたがそれを押すマウスの感触はなぜか生々しく感じた。それは銃の安全装置を解除するのと同じなのだ。
狙ってクリックするだけで<font size="+2"><strong>他人を殺すためのスイッチ</strong></font>。
1年かけてやっと集めたかもしれない装備を無慈悲に奪うための行為。

やつこそ殺人者なのに、なんだか非常に申し訳ない気がしてきた。

自分だったら悔しくて涙するくらいのことを他人にしようとしているのか、俺は。
罪はどの時点において消えるのか。罪は誰によって許されるのか。そもそも罪は人と切り離して考えるべきもので、この荒廃した世界においては何をもって罪だけを憎むということを行動として具現化できるのだろうか。

あまりに緊張して脳が高速回転し過ぎる。

正直やめようかとも思った。じつはイイ奴かもしれないし、少なくともいまのところはイイ奴だ。いちばん考えたくないことだが、同じ名前の他人かもしれない。

そしてPKという行為は悪意以外のなにものでもない。


………………………………
………………
……


手のひらの大量の汗。
マウスとキーボードが滑らないように汗をズボンの膝で拭う。

このときほど、<font size="+2"><strong><font color="#cc0000">自分の心臓の鼓動</font></strong></font>を大音量で聞いたことは過去に一度も無い。自分の心拍音にびっくりする経験なんて滅多に無いだろうな。

並んで慎重に進む僕とA氏の視界に赤い魔法の弾が見え始めた。
Bさんが仲間を守るために果敢にも各個撃破と突撃する。ここまでのパターンならローグの弓が援護するはずなのだが、この瞬間だけは違った。ローグは道の先にテレポートで飛んでいった。


彼女「……ねえ………………………………どう……」


なんとかなりそうに思われたのも束の間、道の先から大量の赤い魔法が押し寄せてきた。おそらく弟がアクティブにしたサキュバスが大量に押し寄せてきたのだ。(つーかこれ集め過ぎじゃね？)ってぐらいのサキュバス。サキュバスのグラフィックは基本的に胸丸出しの女性みたいなものなのである意味壮観だ。

魔法の集中砲火のなか、回復ポーションが追いつかずにウォリアーが死んだ。

次の獲物を探してサキュバスがふたりの魔法使いに近づく。

次に大量の赤い魔法が飛んでくるまえに、僕は今日まだ一度も見せていない<strong>Arch Angel's Staff of Nova</strong>(全魔法レベル2アップの杖)と<strong>Thinking CAP</strong>(全魔法レベル2アップの帽子)に装備しなおした。防御力と魔法耐性が下がってしまうが魔法の威力はかなり上がる。

そして、僕はほんの少しだけA氏よりさきにテレポートするタイミングを見計らって隣の通路に飛び、ファイヤーウォール(炎の壁)の魔法でムカデの"<strong>いない</strong>"周りの地面に炎を敷き詰めた。
プレイヤーもダメージを食らう炎の絨毯に一瞬でもテレポートを躊躇させられれば……


彼女「……………………来週……………………ねえ聞いて……」


Ａ氏にとってはこっちの通路は未探索のはずだけど、案の定A氏は飛んできた。そして、<strong>そこはムカデの山だ</strong>。ムカデの攻撃は激速いからぐずぐずしているとあっというまに囲まれて屠られるぞ。

僕はテレポートしてきた瞬間をうまく狙ってムカデの群れにファイヤーボールを叩き込む。当然さっきまでと僕の魔法は威力が違う。ムカデに当たって爆風がA氏を巻き込む。さらに念の入ったことに通路の奥側から１発の弓矢がA氏を狙って放たれる。

盾によるブロックモーションでA氏は硬直する。

パニックになっているのは間違いない。

こいつらには全く無駄なチェイン・ライトニングの魔法がA氏から放射状に放たれるのと、彼の断末魔の叫びを聞くのとはほとんど同時だった。A氏はその場に装備をばら撒いて死んだ。

いつのまにか僕のすぐ後ろに回り込んできたローグがタウンポータルの青いゲートを開く。
万が一の為なんだろうが、ローグの弓はあっというまにムカデをズタズタにした。

A氏は死体のまま待っていた。僕とローグは無言のまま近づきA氏の見ている前で落とされた装備をすべて拾う。

Ａ氏「WTF! plz rez me!」

（What the FU○K! Please resurrect me!）
（訳：なんだよ、ちくしょう！お願い蘇生して！）


彼女「……ねえ、来週クリスマスなんだけどどうするって聞いてんだけど……」


僕はA氏を蘇生してやり、生き返った直後に杖にチャージされているノヴァの魔法を連射した。ノヴァは詠唱者から同心円状に広がる雷の魔法で近くにいたら絶対に避けられない。もちろん裸だから雷耐性は０パーセント。ひとたまりもない。

ペチャという音とともに今度は"耳"を落とした。

僕はそれを拾った。
それは"Ear of A氏(仮名)"というアイテムで、説明文にA氏(仮名) Level 50と書いてある。要するに悪趣味な証明書みたいなものだ。

僕はわざわざ"耳"を拾っては地面に落とし拾っては地面に落としを繰り返した。地面に落ちるたびに"耳"はペチャと耳障りな音を響かせる。この音は今どこかの外国にいるであろう、A氏というキャラクターを操作する画面の向こう側にいる誰かさんの耳にも確実に聞こえているのだ。


その時点でAはすべてを理解したのかゲームから抜けてしまった。そりゃそうだろう。自分でやってたことだ。その場で命乞い(というかもう死んでるが)でもすれば装備を返してやらなくもないのにと軽く虚勢を張ってみる。

気がつくといつのまにかBさんも抜けていた。もしかしたらPKerだという風聞を流されるかもしれない。しかしやってしまったものは仕方が無い。それよりもこの後味の悪さが耐えられなかった。
奪ったアイテムは村に戻ってすべて売り払った。チート品かもしれないし、そうしなければPKをずっとしそうだったからかもしれない。売って得た代金は全部地面に捨てた。


ガチャンという音がして玄関が閉まった。


あれ？

<font size="+2"><strong>部屋を見回すと彼女がいない。</strong></font>
そういえばさっき彼女がなんか話してたような気がする。でも何を言っていたのかまったく覚えてない。

時計を見ると午前３時を回っていた。


(なんかやばいかも)


僕はとりあえず弟に礼を言ってゲームを抜けた。電話代が掛かるのでとりあえず回線は切断して、PCの電源も切らずに慌てて上着を掴み外へ出る。

「さぶ！」

外は雪が降っていた。サンダルを靴に履きなおしてアパートの階段を下りる。ぱっと見回しても彼女はいない。でもこの時間に空いてる店なんてない。というかパジャマで出て行ったのかどうかすらわからない。そんなに時間は経ってないから遠くに行ってるはずはないんだけど……

1時間ほど捜し回っても結局見つからない。それよりも寒すぎるので一度アパートに戻ってみると、彼女はベッドで寝ていた。ほっとしたのと同時にどっと疲れが襲ってきた。

僕はベッドで寝たフリをしている彼女の横にもぐりこんでお休みと言って寝た。

僕はすぐに眠りに落ちた。あれこれ考える暇も無く。



その後、時たまPKを返り討ちにすることはあったけど、
僕は2度と自らPKをすることはしなかった。

]]>
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    <title>『功罪：DIABLO』</title>
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    <published>2006-12-08T03:16:51Z</published>
    <updated>2006-12-15T10:41:15Z</updated>
    
    <summary>そんなわけで、僕の一人暮らしの自宅の電話回線はISDNになった。 電話回線と書い...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[そんなわけで、僕の一人暮らしの自宅の電話回線は<font size="+2"><strong>ISDN</strong></font>になった。

電話回線と書いたが通常の電話回線ではなく、わざわざ工事までしてもらってデジタル通信用の回線になるのだ。
いや、なったのだ。

ISDNとはIntegrated Services Digital Networkの頭文字をとったもので世界的な通信規格の呼び名である。
アナログ回線とデジタル回線の最大の違いは、１本の線で「同時」に通信できる回線数だ。アナログは１回線、デジタルは複数回線（チャネルと言う）で通信を行う。つまり、端的に言えば大量のデータ通信や、多数のアクセスに強いと言える。

実際導入してみて、確かに回線落ちの頻度は減ったし、
早送り巻戻し現象は多少改善された。

]]>
        <![CDATA[でも僕が想像していたような、


<strong>「あ、圧倒的じゃないか・・・」</strong>


と思わず口をついて言葉が漏れてしまうほどの劇的な変化は無かった。


<em>このころ、すでにxDSLという概念は存在した。
光網の普及までの<strong>繋ぎの技術</strong>として、一般の電話の人間の声の周波数帯以外をデータ通信に使うというものだ。これが、いまで言うADSL、SDSL、VDSLである。そのメリットはインフラの必要がほとんどないこと。デメリットは高周波数帯域を通信に使うために通信の減衰が激しく、局から数キロメートル以内でしか通信できない。過疎地域や地方でISDN利用が多い（ADSL利用が少ない）のはこのためである。もちろんアナログ回線だから「同時」に通信できる回線数はひとつだけだ。

ただ、まさか数年後に繋ぎのxDSLがここまで世の中のメインネットワークに普及する時代が来るとは誰も予想してなかったんじゃないかな。

そして未だに繋ぎの時代の真っ只中。
いつになったら総デジタル通信の時代になるのやら・・・

初期のインフラコストは掛かるが、後の運用コストを考えると絶対光ファイバー網のほうがいいと思うんだけどね。エリアカバレッジも広いし。ネットワークの通信量は増える一方なわけだし。
DSLで限界が来るまえに光のインフラを終わらせておかないと繋ぎの意味が無いような・・・

脱線しすぎました。話を戻します。</em>


あの悪夢の日曜日以来、ナイトメアをクリアーするにはしたが、PKされることも多く僕の中でなにかがつねに引っかかっていた。もちろん思ったほどISDNの恩恵が劇的ではなかったということもそうなのだけど、そういうことじゃなくて・・・

なんて言うのか、競り負けるみたいな、<strong>なんで僕はPKされるんだろう</strong>と。PKされることに慣れてきても返り討ちにできないのはなんでだろうと。

キャラが弱いからなのか・・・
殺し屋たちが凄腕なのか・・・



そもそも『DIABLO』における強さとはなんなのか？

『DIABLO』というゲームではキャラクターのレベルの上限は５０である。
キャラクター自体の強さとは、シンプルに考えれば１レベルごとに得られる５ポイントのステイタスを筋力、敏捷力、体力、魔力のどこに割り振っていくかの積み重ねの帰結である。

装備で付加されるステイタスを別に考えれば、最終的なステイタスの総和はみな同じはずだ。

攻防の優劣を決める要素はいくつもあるにはある。けれど、"攻め"とは与えるダメージと命中率、"守り"とは回避率とヒットポイントとシンプルに考えるなら、運も必要になる。なぜなら装備アイテムで決まる要素はそのアイテムを入手できるかどうかという運がどうしても絡んでくるからだ。ならば運に左右されない部分とはなんなのか。

そういう最低限できることを完璧にしていくことが<font size="+2"><strong>高みへと繋がる道</strong></font>じゃないのか。

そして僕はひとつの結論にたどり着いた。

最低限平等といえる範囲の育成の過程でミスをしていてはダメなんだ。
PKerはPKをするためにいつも考えている(だろう)。彼らが装備、作戦、戦法、キャラの育成などを他人を殺すことを念頭において考えているのなら、それを返り討ちにするためにはそれ相応の考えかたを持たなくては返り討ちなんておこがましい。

ならばそうすればいい。


とりあえず、いまのソーサラーは封印することにして、ちゃんと考えて一からキャラを作ることにした。
最終的なコンセプトは、

<font size="+2"><strong>"PKを返り討ちにできるソーサラー"</strong></font>だ！

（バーーーン！）



さてと、まず現時点で判っていることを整理してみよう。ソーサラーにとってもっとも重要なステイタスは魔力である。筋力、敏捷力は最終的に装備(したい)アイテムの必要条件を満たす最低数値を目指し、残りは魔力に投じるのが最後に行き着く選択肢となるはずだ。

それはなぜかというと、ふたつのゲームのシステムが故である。

ひとつはソーサラーの場合、１ポイントを体力に振っても１ヒットポイントにしか結びつかないが、同じ１ポイントを魔力に振れば２マナ(マジックポイント)になるという特性。

ふたつはマナシールドという魔法。これは受けるダメージを体力の代わりにマナが肩代わりし てくれる。

つまりマナシールドを使う場合、ソーサラーの最終的なヒットポイント量はヒットポイント＋マナの合計となり、<strong>全てのクラスの中でもっとも高い</strong>耐久力を得ることも可能となる。

ヒットポイントがさきに０になったほうが死ぬ。
ならばより死ににくいほうが最後に生き残るのは道理だ。


さまざまなゲーム脳内での試行錯誤の上で僕がたどり着いた方法論はこれだ。

<font size="+3"><strong>全部のキャラクターをやる（笑）</strong></font>

そしてソーサラーが装備するベストなアイテムを見つけ出し、その必要筋力、必要敏捷力を把握し、それ以外を全て魔力に振るという道である。しかもそこまでやればそれなりにアイテムも集まっているはずである。

ウォリアー、ローグをとりあえず最低限ヘルに行けるぐらいまで育てる。

それは言うほど簡単な道ではなかった。それだけで１ヵ月くらいかかった。

そのあいだ、数ある『DIABLO』サイトや本を調べつつプレイした結果、いろいろなことがなんとなくわかってきた。

筋力などのステイタスはクラスによって上限値が決まっている。『DIABLO』の世界での式を考慮して考えて、魔法使いは最強の戦士を果たして本当に殺せるのか？

レベル50で超ヒットポイント装備アイテムを完璧にそろえた場合、

ウォリアーのヒットポイントは<font color="#cc0000">約800</font>になる。
ローグの場合で<font color="#cc0000">約700弱</font>。

ただこれは超ヒットポイント装備で固めた場合なので、攻撃速度や"のけぞり"回復などにこだわるとそこまではいかない。

ソーサラーの主力魔法"ファイヤーボール"のダメージ量は限界まで育てると<font color="#cc0000">1000近く</font>になる。一見すると１発で屠れそうに見えるが、ほとんどのキャラは普通魔法への耐性値を上げている。

各属性魔法への耐性を全てマックスの７５パーセントまで上げるのがヘルに潜るための基本だといわれている状況を考えると、ファイヤーボールでPKするには３〜４発当てないと殺すのは無理ということになる。そのあいだに回復ポーションも飲まれるだろうし、これは簡単にはいかないだろう。
でもファイヤーボールは魔法レベルを上げると連射速度が速くなる性質を持っているので、初弾がヒットすればおそらく少なくとも２発は当たるだろう。

（ふむ、いけるかもしれないな）

ファイヤーボール以外でも、チェイン・ライトニングの魔法を集束的に放つことができれば1000を越えるダメージになることや、ノヴァの魔法を瞬間的に連射した場合に２発目が数千ダメージになるらしいことがおぼろげながらわかってきた。


光明は見えた。

勝てるパターン(魔法)が見えれば、あとはその状況をどうやって作り出すかを考えれば良い。

いける。

そう思えたとき、初めてPKされた日から３ヵ月経っていた。

そして僕はふたり目のソーサラーを育て始めた。

いろいろな可能性を考えて強いソーサラーを作る。
その作業はこの上なく楽しかった。

ふと思う。

<font size="+2">PKは悪なんだろうか。</font>

確かに殺されるとすごくネガティブな気持ちになる。
しかし僕はPKされたことによってさらにわくわくできるプレイを享受できているのも事実だ。さらにPKの持つ恐怖感、緊張感は、どんなモンスターでも敵わない。悪意があるかどうかに関わらずシステムとしてこれが"あり"だということは、もはや僕は認めざるを得ない。


道を見据えて歩み始めると自ずから操作する腕前にも余裕が持てるようになるのか、ソーサラーの完成を待たずしてPKされる頻度は目に見えて減ってきた。僕は殺人鬼から逃げられるようになってきたのだ。

ソーサラーは３キャラ中、もっとも魔法の詠唱速度が速い。攻撃されても落ち着いて対処すれば、殺されるまえにテレポートで画面外に逃げるのはそれほど難しくない。
対ウォリアーの場合、初撃を食らうと圧倒的な攻撃速度により"のけぞりモーション"で固まったまま死ぬことがある。ならば初撃を食らわなければよい。ウォリアーのテレポートの詠唱を見てからでもテレポートで逃げられる。それに全攻撃を食らうわけでもない。

対ローグの場合、ヒットポイントは３キャラ中最低と言えるので攻め込むともろい面もある。
しかしローグの弓は痛い。ローグの敏捷力は命中率と弓ダメージにプラスの補正がかかるから、当たりやすいし痛いし連射は速いという三重苦だ。ただし、それも弓の射線をつねに意識していれば即死はない。さらに注意点としては、こちらが盾を装備していると盾のブロックモーションで固まってしまい、そのあとの連射を大量に食らってしまうことが多いということだ。
なので対弓ローグの対策としてブロックモーションが１フレームで可能になる"of  Blocking"の魔法のついた盾をいつでも持ち替えられるように用意しておくか、盾を持たないという作戦は有効かもしれない。

対ソーサラーは対策がもっとも難しい。
消耗戦の中でマナシールドを剥がした瞬間にいかにたたみこめるかみたいな、いわゆる"読み"が重要になる。お互いの手の内を推し量りやすいだけに探りあいになる。


もちろん、ふつうにヘルでモンスターと戦う際にまったく協力しないのは逆に危なかったりするので、協力してモンスターと戦いながら(もしかしてこの中にPKerがいるかもしれない)とつねに意識している緊張感たるや、並みの娯楽では得られないんじゃないかと改めて思う。


ああ、なんて楽しいんだろう　　<font size="+4">ヽ(´∀｀)ノ</font>


『DIABLO』ってすごい（笑）




しかし、まいった。

ISDNって電話代が高いのだ。

ISDN導入後、電話代の請求額は既に<font color="#cc0000"><strong>月４万円</strong></font>を超えていた。


・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・


<font size="+6"><strong>大丈夫か、俺？</strong></font>]]>
    </content>
</entry>
<entry>
    <title>『不安（後編）：DIABLO』</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.famitsu.com/blog/hero/2006/11/diablo_3.html" />
    <link rel="service.edit" type="application/atom+xml" href="http://www1.famitsu.com/pc/cgi-bin/mt/mt-atom.cgi/weblog/blog_id=12/entry_id=838" title="『不安（後編）：DIABLO』" />
    <id>tag:www.famitsu.com,2006:/blog/hero//12.838</id>
    
    <published>2006-11-28T03:56:41Z</published>
    <updated>2006-12-15T10:35:10Z</updated>
    
    <summary>落ち着こう。 まずは晩飯だ。 もう８時を回っていた。僕はカップラーメンを作って食...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[落ち着こう。
まずは晩飯だ。


もう８時を回っていた。僕はカップラーメンを作って食べた。
少し落ち着いて考えると逆にあのローグに感謝してもいいかなとさえ思えた。でも次にあの名前をみたらすぐに抜けるとは思うけど。



そして気を取り直してプレイ再開。

また同様のパブリックゲームを立ててナイトメアのクリアーを目指す。

今度はあっというまに4人集まり、順調というかむしろ不幸のあとには
幸運があると言わんばかりに、いいアイテムが出た。

<strong>K</strong>ing's <strong>S</strong>word of <strong>H</strong>aste（BASTARDSWORDベース）
<strong>A</strong>rch <strong>A</strong>ngel's Staff of <strong>N</strong>ova
Holy Platemail of Lion

あとで分配するとは言え、なんだこの<font color="#cc0000">フィーバー</font>は？（笑
これで<strong>O</strong>bsidian <strong>R</strong>ing of <strong>Z</strong>odiacでも出れば完璧じゃないか。

]]>
        <![CDATA[LAZとサキュバスを殺し一旦村でアイテム分配会議となった。
とりあえず<strong>AAN</strong>が欲しいと僕は言う。ソーサラーは僕だけだったので他の誰も欲しがらない。礼を言って僕は杖を取った。

さすがに<strong>ORZ</strong>は出てなかったが、よさげなRingもゲットして他の3人もそれぞれ欲しいアイテムを受け取った。残りはみんなで売り払いお金にして分配した。

メアクリアーがまだなのでとりあえずDIABLOを倒して終わりたいと僕が言うとみんな付き合ってくれるとのこと。

僕が礼を言うと、他の3人は15階LAZ部屋から開いたタウンポータルの魔法へ再び入っていく。

僕もそれに入る。

LOADINGがやけに長い。

…………………………


なんかおかしい。もう数分はLOADING画面で固まってる。

冷や汗が噴出す。これは完璧に<font size="+2"><strong>回線落ち</strong></font>だ。

AANもRINGもその他の予備装備も全部村に置きっぱなしだ。

(やばいなこれは……)

彼らはいつまで待ってくれるだろう。
というかもし誰もいなくなったらゲームが消滅してしまう。
というかパブリックゲームだからもし泥棒が入ったら……。
嫌な汗が首筋を流れ背筋を伝う。

やばいやばいやばい

PCの状態回復を待たずに強制的に電源を落とす。
即、再起動。

電子音とともにファンが回り始める。

はやくはやくはやく

モデム接続のアイコンをクリックしようとしたまさにそのとき、
家の電話が鳴り響いた。

なんという<strong>絶妙のタイミング</strong>なのか。
当然、電話中はネットに繋ぐことができない。

僕はフリッカージャブを繰り出し乱暴に受話器を掴み取る。

電話は遠距離恋愛中の<strong>彼女</strong>からだった。付き合ってまだ半年も経っていない。彼女はまだ学生ということもあり会うこともなかなかできない。


彼女「ねぇ、ぜんぜん電話つながらないんだけど」

僕「いま無理」


<font size="+2"><strong><font color="#cc0000">光の速さ</font></strong></font>で電話を切った。
そして即モデム接続クリック。

ピーガー言い始めたからもう安心(謎)だ。

『DIABLO』起動。
Battle.Net接続。

しかし重い。
夜中はプレイヤーが増えるから当然混雑するわけだが、そもそも288のモデムが貧弱なのだ。


やっと繋がった。
気が動転していてはっきりしないが、落ちてから既に10分以上経っている。通常ゲームから誰もいなくなると５分ほどでゲーム部屋は<font color="#cc0000"><strong>消滅</strong></font>する。

キータイプももどかしくJoin gameを選び、Game名を入力すると、

the game does not exist.

そんなゲームは存在しませんよと。

あははは。

涙が出てきた。

なんだろう、この遣る瀬無さは。
あまりに脱力してまたもや呆然となる。




落ち着け。
とりあえず風呂に入ろう。


ユニットバスにお湯を溜めながら一服する。
まあ、アイテムはまた集めりゃいいのさと自分に言い聞かせる。
なぜかトルネコの大冒険の日々が脳裏に浮かぶ。

世の中、何かハメに近い要素や理不尽に不利を強いられる要素に
触れるとすぐにゲームをクソゲーだと断じる人もいるわけだが、
そういう意味で言えば回線落ちやサーバー落ちなんて究極だ。

そういう人はオフサイドが気に入らないからサッカーは
クソスポーツだと言うのだろうか。
春に雪が溶け始めると滑ることのできるスキー場が減ってしまうことに
マジギレするのだろうか。

ばかばかしい。

<strong>楽しむか楽しめないのかは自分しだい</strong>なのに。
その上でクソゲーだと思うのならやらなきゃいい。
風呂に浸かりながら漠然とそんなことを考えて
徐々に平常心を取り戻す。


気分もさっぱりしたところでプレイ再開。
とりあえず3度ナイトメアクリアーを目指す。
パブゲームを作るのはちょっと不安がよぎったので
適当そうなパブリックゲームを探す。
MARE/HELLゲームはけっこう多いな。
う〜ん、どれがいいかな。


と、突然玄関のベルが鳴った。
もう12時を回っている。こんな夜中に？。
一抹の不安を抱きつつ玄関を開ける。

そこには彼女が立っていた。

えーと、
君のうちは、ここから
<font size="+2"><strong>100キロメートル</strong></font>くらい
離れてませんでしたっけ？

もちろんそんなことは口にしないが、


<u>僕の顔が一瞬曇る</u>。


彼女はほんの数ミリ<u>眉間を険しくしながら</u>、
誰かいるの？と聞いてきた。


僕「誰もいるわけないじゃん」


僕の声がかすれて震える。
考えてみればこの土日で口にだした言葉は「<font size="+2"><strong>い・ま・む・り</strong></font>」の
４文字だけだ。


彼女「ふ〜〜ん、、、おなかすいちゃった。いっしょに食べない？」


と言って手に持ったコンビニの袋を僕に見せびらかした。
おでんのいいにおいが漂う。

部屋に上がりながら彼女はコートを脱いだ。


「なにしてたの？」
「ゲームだけど……」


彼女が僕の顔をじっと見つめる。

確かにさっきの態度は冷たかった。それは認める。
申し訳ないと思ってる。でも、しかたがない状況だったんだ。
上手く説明するのはとても難しいのだけど・・・
とか言うまえに、


「まいっか。すごい心配したんだからね。
今日友達の家に泊まるって言って来たから」


と言って彼女は無邪気に微笑んだ。


僕の完敗だった。



僕はPCの電源を落とし、コーヒーを2杯淹れた。
とりあえず誤解があっては困るので『DIABLO』というゲームを説明する。電話を通じていろんな人といっしょに遊べるゲームだということがいまひとつ理解できていないような、興味がないような反応。
ただ彼女の不安要素はひとまず消えたようであった。

そしてシングルベッドにふたりで腰掛けながら<strong>電気を消した</strong>。

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・

明け方、すぐ目の前で寝息を立てる彼女の横顔を見つめながら
僕は今日あったことを思い出していた。

オンラインゲームはやばいかもしれない。
彼女に対して間違いなく「うざい」と思った瞬間があった。
それにプレイ中は電話がまったく繋がらない。
善し悪しはともかく、ヴァーチャルもリアルの上に成り立っているのだ。

そうなると同棲したほうがいいのかな？
それで電話を2本引くとか・・・
そうなると引っ越さないと無理か。
というかそんなお金ないって。
けっきょく、いくら考えてもなにも結論は出なかった。


疲れは心地よく、白み始めた空にタバコの煙がまっすぐ昇っていく。
今日はもうこのまま寝ずに仕事に行くつもりだった。





翌朝、駅で今度の週末はどこか遊びに行くという約束を交わし彼女と別れた。

そして僕はそのままNTTに行き、<strong>その場でISDNを申し込んだ</strong>。

]]>
    </content>
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    <title>『不安（前編）：DIABLO』</title>
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    <link rel="service.edit" type="application/atom+xml" href="http://www1.famitsu.com/pc/cgi-bin/mt/mt-atom.cgi/weblog/blog_id=12/entry_id=837" title="『不安（前編）：DIABLO』" />
    <id>tag:www.famitsu.com,2006:/blog/hero//12.837</id>
    
    <published>2006-11-28T02:57:22Z</published>
    <updated>2006-12-15T10:29:50Z</updated>
    
    <summary>プレイ開始から数えて最初の週末でシングルプレイはクリアーしてしまった。シングルに...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[プレイ開始から数えて最初の週末でシングルプレイはクリアーしてしまった。シングルにしか出てこないアイテムがあったり、ストーリーがよくできていることもそうなのだが、これをクリアーしてオンラインを早くプレイしたいという欲求が大きかったからだ。

そしてシングルプレイクリアーの余韻も冷めぬ内に早速オンラインプレイ開始。モデムは<strong>100万円のローンと引き換えに得た288のモデム</strong>を使う。

オンラインプレイはまたレベル1からスタートになるが、1度目のプレイで能力値の育て方やアイテムの良し悪しをある程度把握している僕にとって、それはまったく苦にならなかった。

『DIABLO』のオンラインプレイ用にBLLIZARD社が利用無料のゲームサーバー、<strong>Battle.Net</strong>を提供している。いま風に言えばロビー＆マッチングサーバーでキャラクターはクライアントにセーブされる形式だ。
オンライン対戦の盛んなメジャーFPSゲームでさえ対戦用ホストIPアドレスを有志のユーザーに頼っていることを考えると、メーカーがオフィシャルにオンライン用サーバーを提供するというのは画期的なことだ。

キャラクターはシングルと同じくソーサラーでいくことにした。
魔法の書を使うために<strong>必要な<font color="#cc0000">MAGIC値</font>があればウォリアーでもローグでも魔法は使える</strong>ということはシングルプレイで気づいていたが、最終的なダメージ量がソーサラーだと桁違いなのでここはやはりほかの選択肢はない。

]]>
        <![CDATA[オンラインプレイは３段階の難易度でプレイすることが可能だ。
それぞれノーマル、ナイトメア、ヘルと呼ばれている。
ノーマルはシングルプレイと同じ難易度。
ただナイトメアはノーマルをクリアーしないとプレイできない。
ヘルも同様だ。


それからというもの仕事から帰るとすぐ『DIABLO』、
土日も風呂と寝る時間以外はほぼ『DIABLO』。
そしてプレイ開始から数えて2回目の週末、僕はオンラインのノーマルをクリアーした。

そして間髪を入れずにナイトメアへ突入。
敵も強くなり、ひとりで生き抜くのは厳しいのでこれからは基本的にマルチプレイが主体になるが、強くなっただけ得られる経験値も増えているし、なんといっても敵がドロップするアイテムの質が格段によい。雑魚ですらそこそこいいものをぼろぼろ落とす。
その証拠にナイトメアの中盤あたりで既にノーマル難易度で得た装備アイテムはすべて新しく得たものに置き換わっていた。

アイテム。
とにかく『DIABLO』というゲームは<font size="+2"><strong>アイテムに始まりアイテムに終わる</strong></font>っていうくらいアイテムが重要である。
その理由のひとつとして、銀行とか倉庫とかいうシステムがないということが挙げられるだろう。

そうなのだ。つまり得たアイテムは自分で常に持ち歩くか、売るか、捨てるかなのだ。当然アイテムを持ちすぎるとダンジョンからの戦利品すら持てなくなるのでその取捨選択は非常に重要であり、自ずとアイテムの目利きを迫られることになる。
しかもお金もアイテム扱いでアイテム欄の<strong>１マスに最大５０００ｇｐ</strong>という嘘の様なシステムのせいでますますアイテム欄が圧迫されてしまう。


そんな『DIABLO』のオンラインモードで、村の空き地に良質アイテムやゴールドを置いておきゲームを抜けるときに回収するという習慣が生まれたことはごく自然なことだと言える。そして世界中の大部分のプレイヤーが人のものを勝手に持っていかないというマナーを自ずから共有したという事実は、<strong>オンラインゲーマーの誇り</strong>にも通じるんじゃないだろうか。

まあそれでもやはり泥棒はいるので、本当に大事なものはアイテム欄に入れておくわけだが。




さて、今日にもナイトメアをクリアーしそうなある冬の日曜日。
そう、<u>忘れもしない</u>とても天気の良い日曜日。

と言ってもその週末は一歩も外に出かけてはいないし、いや、むしろ金曜の夕方から誰とも喋ってないことのほうが問題なんだろうけど。だって『DIABLO』やってると電話が通じないのだからしかたがない。

<em>当時はまだテレホーダイもブロードバンドも手頃な携帯電話もなかった。</em>


夕方、レベル的にもそろそろナイトメアクリアーが行けそうだったので、
"MARE/HELL ITEM & EXP"というパブリックゲームを作った。

これは難易度ナイトメアで地下１３階からアイテム、経験値目的で遊びますという意味。地下16階にDIABLOがいるので必然的にクリアーも視野に入るというわけだ。

すぐに僕よりひとつレベルの低いローグが入ってきた。
お互い「hi」と挨拶を交わす。
その後何人か入ってきたが挨拶もせずに抜けてしまったので
とりあえずふたりで行こうということになった。

このローグは弓を使うスタイルで、しかも鬼のように強い。
僕の魔法もファイヤーボールとファイヤーウォールがかなり
育っていることもあり、群がる敵は僕らに近づくことすらできない。

（なんだふたりでもぜんぜん行けそうじゃん）

そして15階。

15階の<strong>ボス魔法使いLAZARUS</strong>とその<strong>側近のサキュバス</strong>２匹は、ソーサラーにとっては楽な敵に分類できると思う。部屋の外からファイヤーウォールを敷き詰めて雑魚を始末し、残った側近とボスを各個撃破するだけだ。とにかく魔法は育つと強い。
しかもこいつらはモンスターレベルが高く高級アイテムを落とす可能性も高い。要するにカモなのだ。


そして部屋にサキュバスとLAZARUSだけになったのを確認して、
「Charge」「yeah」と会話を交わし突入する。

まずはサキュバス２匹。

弓と魔法でそれほど苦労せず撃破。
RINGとLONGSWORDを落とす。これは期待できそうだ。

ふと気づくと<strong>ローグが剣と盾に持ち替えていた</strong>。

（へー、さすがじゃん）

と思った瞬間。<strong><font color="#cc0000">いままで一度も使っていなかったテレポートの魔法</strong></font>で
ローグが僕の隣に飛んだ。

え？ と思うよりも早くローグが僕を斬りつける。

剣の振りが信じられないくらい速い。

僕はのけぞりモーションで固まって何もできない。

瀕死になったところにLAZの魔法が飛んでくる。

直撃。

そして死亡。

装備品をあたりにばら撒き、僕は倒れた。

赤く染まっていく画面の中、ローグは華麗にテレポで魔法を避けつつLAZの隣に飛びそのままLAZを切り伏せた。

僕は真っ赤になった画面を見つめながら呆然としていた。

ほんの数秒の出来事がうまく理解できない。

僕がばら撒いた装備をローグは品定めし終わったのか、
ローグは僕に蘇生の魔法を掛けた。
装備はなにも取られていない。
僕は装備を急いで拾おうとした。
その矢先に弓で撃たれまた死亡。
今度は装備は落とさずに僕は「<strong>耳</strong>」を落とした。

ローグはおもむろにその耳を拾った。

そして、
「im pk. but yours r poor. good luck 4 hunting  ;-)」
と言うとさっさとゲームから抜けてしまった。



DIABLOにおける"<strong><font color="#cc0000">死亡</font></strong>"には２種類ある。
敵に殺されるか、プレイヤーに殺されるかだ。

敵に殺された場合、
装備していたアイテム全てと所持金（の半分？）を死体の周りにばら撒いてしまう。もちろんばら撒いたアイテムは他人も拾えるし、もし回線落ちしてゲームが消えれば落ちたアイテムは二度と戻ってこない。

片やプレイヤーに殺された場合、
装備アイテムはばら撒かない。所持金の半分と"耳"(というアイテム)を地面に落とすだけだ。耳には死亡者の名前とレベルが明記される。つまりＰＫ、Player Killingだ。

重要なのはとどめの一撃をもらったのが敵なのかプレイヤーなのか
ということ。<strong>どちらの場合も死亡者が経験値を失うことはない</strong>。


<em><strong>"ＰＫ"</strong>
僕がＰＫという単語を知ったのはまさにこのときだった。
もちろんPlayer Killingの略なんだが、
当時の感覚として"Psycho Killer"に
意味を引っ掛けたような雰囲気で使われていたと思う。
とくに『DIABLO』でのPKにはメリットがあまりなく、
図らずもシステムが<strong>趣味的な殺人行為</strong>を演出する図式になっていた。
それがまた怖さを強調する結果になっていたわけだ。
耳集めを趣味にしているプレイヤーに会ったこともあるが、
集めた耳を村の空き地に大量にペチャペチャ並べる姿は
想像以上に怖いものがあった。</em>



殺されたあと、僕はゲームメニューから村に戻って再開を選び復活した。空き地に置いておいた僕のアイテムには手もつけてない。ご丁寧なことにお金すら、もとのまま置いてあった。
初めてPKされたことよりも盗る価値なしと判断され、その上おそらく情けまでかけられたことが悔しかった。

最初何人かがゲームに入ってはすぐに抜けてしまったときに僕は気づくべきだったのだ。あいつはパブリックゲームを仕事場にしてるPKerなのだ。数ヵ月遅れて始めた僕は圧倒的にPKに対する<strong>経験値</strong>が足りないということを思い知らされた。ただ装備を失わなかったことは不幸中の幸いである。PKというリスクも実感することができた。

ただただ、とても悔しかった。

（後編へ続く）]]>
    </content>
</entry>
<entry>
    <title>『兆し：DIABLO』</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.famitsu.com/blog/hero/2006/11/diablo.html" />
    <link rel="service.edit" type="application/atom+xml" href="http://www1.famitsu.com/pc/cgi-bin/mt/mt-atom.cgi/weblog/blog_id=12/entry_id=817" title="『兆し：DIABLO』" />
    <id>tag:www.famitsu.com,2006:/blog/hero//12.817</id>
    
    <published>2006-11-21T02:30:34Z</published>
    <updated>2006-12-15T09:50:18Z</updated>
    
    <summary>『DOOM』との出会いを果たした同じ年、ある土曜日の朝。 ひとり暮らしの僕の部屋...</summary>
    <author>
        <name>ヘロ</name>
        
    </author>
            <category term="オンラインゲーム人生記" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.famitsu.com/blog/hero/">
        <![CDATA[『DOOM』との出会いを果たした同じ年、ある土曜日の朝。
ひとり暮らしの僕の部屋に一本の電話が掛かってきた。

若い女の声がなんとかリゾートサービスの者だと名乗り、僕の名前を
告げて在宅を尋ねた。それが僕であることを伝えるとその女性は
さらに丁寧な口調で続けた。

女性「旅行とかスキーにご興味はございますか？」

世の中で旅行が大嫌いと言う人は少ないだろう。
それにたまたま僕は中学のころからスキーをやっていたってのもあり、
ちょっと興味を持ったのも事実。
で、ええまあとか答えると詳しいご説明をしたいので
<strong>新宿の説明会場まで来ませんか</strong>と言う。

もちろんさすがに怪しいなと思いましたよ。
でもですね、<strong><font color="#cc0000">下心</font></strong>って言うんですか、声の感じはカワイイし、
どうせ断るに決まってるからと、

僕「じゃあ僕の晩飯のついでってことで飲みながら説明してくれます？」

と言ったら、<strong>即答</strong>で、

「いいですよ」

と言われちゃったら、やっぱ行かないって言えないじゃないですか。



]]>
        <![CDATA[というわけで、新宿で待ち合わせして飲むことになりました。
行って見たらこの女性がまた<font size="+2">かわいい</font>んですよ。
ちょっと小柄で目鼻立ちはハッキリしていてどちらかと言えば可愛らしいタイプの女性なんですけど、仕事柄なのか言いたいことはハッキリ言う性格らしく<u>めちゃタイプ</u>なんですよ。

で一軒目の居酒屋でスキーの話とかで盛り上がり、そこそこ飲んだなあという頃合を見計らったのか、彼女は詳しい資料で説明したいのでオフィスまでいっしょに来てほしいと言い出した。


僕「ええもちろん構いませんよ、いいですよ。行きましょう」


この場面でそんな紳士的な態度は全く無用だし、それでなにかがどうなるということはきっとないと思います。<strong>むしろ悪い方向にいってます</strong>。
でも酔っ払いの男性が好みの女性を前に正常な判断をするのは無理な相談なわけですよ。

それで僕らは新宿のとある雑居ビルの事務所に行くことにしました。

そっからまるまる３時間説明を受け気が付いたら契約書にサインしてました、はい。


いくつかのリゾートホテルが半額で利用できる会員権
VISA付きの会員カード
ノートパソコン
２８８のモデム

で<font size="+2"><strong>５年で<font color="#cc0000">１００万円</font>のローン</strong></font>。

翌日、二日酔いがおさまるにつれてだんだんまずいことになっちゃったなと思いつつも<strong>クーリングオフ</strong>とか全く思いつかず、恥ずかしいので誰にも相談できず、すぐに一週間過ぎました。

ノートパソコンが東芝のダイナブックってのは悪くないんだけど
液晶はモノクロ。当然たいしたゲームは動きません。

会員契約には自動的にインターネットプロバイダー契約が付加されるらしく、<u>ローンとはべつに</u>会費が年間何万円か掛かる。
会員専用のホームページや掲示板があるにはあるんだけど、
でも、よくよく考えたらこれだけの支払いを背負い込んでおいて
スキーや海外旅行に行く金なんてねえよ！！

<font size="+1">＼(｀Д´lll)／</font>

まずいなあ、ゲームに使えるお金がますますなくなっちゃうよ。
ああ、なんか、僕は世間知らずでダメな奴のような気がしてきた・・・






東京で僕がバカな契約を結んでしょげていたちょうどそのころ、
アメリカ最大のゲームのイベント、Ｅ３において
後に伝説となるゲームが産声を上げていた。
僕の曖昧な記憶によれば出展されたそれを作ったのは企業ではなく個人。そのゲームをいくつもあるオファーの中から勝ち取ったのが
Blizzard Entertainment社だった。

<strong>伝説のオンラインＲＰＧ</strong>

<font size="+3"><strong>『DIABLO』</strong></font>


発売されたのは1997年。

頑張ってもなかなか上がらない収入とバカなローンの為、
車も売り払った僕はゲームソフトも満足に買えない生活を送っていたんですが、この『DIABLO』だけはどうしてもやりたかった。

そしてDOS/Vパソコンを自作するという結論に至るのは
当然の流れでした。

これが茨の道とも知らずに・・・



もうね、正直たいへんです。

かけるお金は最低限とは言え、作ってみたけど動かないという状況を
<strong>何度も何度も</strong>くり返し、相性のあうパーツを探し、BIOSを組み込み
OSをインストールした。諦めかけた回数は数知れず、もう新品を
ローンで買っちゃおうかなと何回も自問し、その度に<strong><font color="#cc0000">100万のローンの契約書</font></strong>を見て心を奮い立たせ僕は頑張った。

そして決意から半年が過ぎ、とうとう自作パソコンは完成した。
DIABLOという大作ＲＰＧをプレイすることが出来るようになったのは
ゲーム発売から既に数ヶ月が過ぎたころでした。


会社帰りに秋葉原でソフトを買い、早速インストールして、
画面に『DIABLO』の文字が浮かんだとき、
僕は両手でガッツポーズをくり出し、
そのまま<strong>小躍りしながら泣いた</strong>。