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実録!オンラインゲーム人生記

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2006年12月26日

『聖夜:ULTIMA ONLINE』

クリスマス、いい響きだ。
X'masって英語で書いてみるともっとわくわくするね。特にXってところが。なんでXでクリスなのかというよくわからなさがどきどきするね。Xが十字架のダブルミーニングなんだろうなと意味もなくキリストの受難に思いを馳せてみたりしてね。

恋人どうしでも家族でも暖かい部屋で楽しく過ごす夜。窓はうっすら曇り、かすかに覗き見る外の暗闇に静かに舞い落ちる雪。食卓にはとっておきの料理とケーキ。

ああ、世界が毎日クリスマスならきっと戦争なんて起こらないのにと本気で思える。それがクリスマス。クリスマスにはそんな慈愛に満ちた不思議な力が宿っていると思ってました。

昨日までは。

クリスマスイブに彼女が遊びに来た。そして僕はマジで金欠でした。なにも買えないし、どこにも行けない。僕は例のクレジットカードのキャッシングで生まれて初めてお金を1万円借りました。そのお金で映画を見に行き、ケーキを買っていっしょに僕のアパートに行きました。


そして、

僕はクリスマスイブの夜に、

彼女に「別れよう」と言った。

彼女とのお付き合いをこの先続けていくのは無理だと判断したから。


正直今月の電話代には、もうちょっとで50000円を超えそうな手ごたえを感じていた。収入は手取りで20万ちょっとしかないのに……家賃95000円と光熱費と電話代で支出が既に16万超えてるってマズイです。それに食費ってふつうに生活すると月に60000円くらいはかかりますよね。そうするともうほとんど残りません。もし、いま友人の結婚式とかあってもご祝儀も包めません。実家に帰るとお年玉を用意しなきゃいけないので今年は田舎にも帰れません。

幸せなクリスマスを過ごす、そんな彼女の夢も僕には叶えてあげられませんでした。それはきっとこれからも続きます。

なにを決め付けているんだと。
そんなのひとりで勝手に決めるなよと。
問題はお金じゃないだろうと。

はい、わかってます。深く考えてないわけじゃなくて、むしろ考えすぎるくらい考えて出した結論でした。いっしょにいられればほかに何もいらないとそれこそ勝手に決め付けて、何の準備もしないでただいっしょに過ごすだけのクリスマスを平然としていられるほど僕は強くない。確かにクリスマスイブに別れ話をするという一点に関しては、本当に申し訳ないと思いました。でもこのままオンラインゲームを続けながら彼女と付き合っていくのはとてもじゃないけどいまの僕には不可能でした。

それは天秤に掛けるべきことではないのは重々承知してます。でも成り立たないものは成り立たないのです。付き合っているという言葉だけを交わし、電話もせず会いもせず何ヵ月も遠く離れて過ごすのは付き合っていると言えるんだろうか……


じゃあゲームをやめれ

なんていう指摘はなしです。それを言ったらなんだって言えます。じゃあ野球をやめろ、じゃあパチンコをやめろ、じゃあ仕事を変えろ、じゃあ趣味を変えろ、じゃあ引っ越せ、じゃあパソコンを捨てろ、じゃあ車を手放せ、じゃあバイクを降りろ……

誰にでも譲れないモノはあるはず。

僕にとってはたまたまそれが"ゲーム"だっただけの話。

彼女は泣きました。
付き合うのをやめるのをやめようと、もう一回考え直せないのと。どうすれば別れないでいられるのか、だめなところは直すからと。これでもう二度と会えないなんて酷すぎると。望むなら就職もやめて家も出ると。

そんなことを言えば言うほど僕は追い詰められるし、自分を追い詰めるんだよ。

それに僕はそんなことするほどの価値もない小さい人間だから。

会話はループし時間だけが過ぎていく。

ふられるよりふるほうが心底辛い。何度も「本当は他に好きな子ができたからなんだ」という嘘が喉まで出掛かっては飲み込んだ。このクリスマスに別れ話をする状況が辛いんじゃなくて、人の心を傷つけることが自分の身を切るような痛みに感じて辛い。

無言の沈黙が続き、夜が朝になった。

朝になって冷静になったのか、彼女は少し落ち着いてきたように見えたので、僕はちょっと散歩しようかと誘った。彼女は小さく頷いてコートとカバンを手に取った。もしかしたらそのときすでにもうこの部屋には戻らないと彼女はわかっていたのかもしれない。俯いてふたりで駅のほうに歩く。肌寒い朝の空気は気持ちよく、空には高く透明な青空が広がっていた。

昨日までと同じ調子で「コーヒーでも飲む?」「お腹がすいたから何か食べようよ」と話す。その変わらない雰囲気が、ただひとつ付き合っていた昨日までといまの違いを余計に際立たせて涙が滲むけど、僕が泣くわけにはいかない。

ふたりでファミレスに入って朝ごはんを食べた。

とりあえず友達の関係に戻るだけで、話したり遊んだり電話したりはしようという約束を交わした。その約束がなんの意味も持たないことはきっとふたりともわかっていたと思うけど、それをお互い口に出さないと身動きが出来なかったから。

ファミレスを出て少し遠回りして駅まで手を繋いで歩いた。そのあいだ、どちらもなにも喋れなかった。ホームまでいっしょに行き、電車が来たので彼女はそれに乗った。閉まるドアのガラス越しにお互いの目が合った瞬間に、彼女の目から涙が溢れて流れ落ちる。僕は無理やり笑顔を作り手を振った。彼女が小さなその手を振ろうと上げかけたところで電車は速度を上げ彼女は見えなくなった。


駅から家まで歩く道、僕は泣いた。ふっといて泣くなんておこがましいと思うけど、少なくとも彼女の前では涙を見せないという箍が外れたらもう堪えることが出来なかった。

泣きながら考え、そして決めた。

僕はこの道を突き進むと。いつかゲームを諦めずに彼女も幸せにする男になるからと。

言葉にするとかっこ悪くてちっちゃい目標に聞こえるけど、それはイチローみたいな野球選手になるとか、いつか社長になって億万長者になるとかと同じだ。それが僕の価値観だ。

家に帰って寝ようと思っても悲しさがこみ上げて眠れなかった。うまく言えないんだけど、心の真ん中が真っ暗になっちゃうような空虚さに押しつぶされそうになる。なにかしてないとおかしくなりそうな状態。さすがにゲームをする気分じゃなかったけどそれしかないと思えてパソコンの電源を入れた。


『Ultima Online』


これもまたいまや伝説と言っても過言ではない。2006年の年末の時点でまだゲームの運営が続けられていることからもそのゲームのすごさを窺い知ることが出来る。

『Ultima Online』には経験値(EXP)という概念がない。ゲームの中で焚き火をしたりケーキを焼いたりモンスターを攻撃したり、なにかをしたらそれに関連したスキルが上がっていく。キャラクターの成長はそれが全てだ。世界はとても広大で、船でしか渡れない島に不死のモンスターのダンジョンがあったりドラゴンが生息してたりした。空き地があれば自分の家を建てることもできる。自分の家に売り子を置いて自分で作った剣や鎧を売ることも出来る。その世界に決められた目的はなく、ドラゴンを倒すことが目的でもいいし、伝説の大泥棒を目指すのもいい。

実際このゲームにはさまざまなスキル(技能)があってどのスキルを成長させていくかで結果的にキャラクターが戦士になったり魔法使いになったりする。ひとつのスキルの上限は100で、ひとりのキャラクターのスキル合計値は最大700。複数のスキルの組み合わせが最終的にキャラクターの役割(ロール)を決定付けることになる。スキルは下げることも出来るので、戦士として育った後でも新たに裁縫職人を目指すことも出来る。

ちなみにどんなスキルがあるのかというと、ざっとこんな感じだ。

錬金術 −いろいろな薬(ポーション)を作れる
解剖学 −相手の肉体的な強さを推し量れる
動物学 −動物の状態がわかる
調教 −動物と一部のモンスターを飼いならす
弓術 −弓を使った戦闘が上手くなる
武器学 −武器防具の品質や耐久度がわかる
物乞い −NPCからお金を恵んでもらえる
鍛冶 −武器防具の作成・修理ができる
弓矢作成 −弓矢の作成ができる
キャンピング −野外で安全にログアウトできる
大工 −家具の作成ができる
地図作成 −地図の作成ができる
料理 −料理ができる
潜伏探知 −潜伏してる人を発見できる
誘惑 −楽器を演奏して人を惹きつける
知性評価 −相手の知性を推し量れる
フェンシング −槍系の武器の戦闘が上手くなる
釣り −釣りで魚を釣ることができる
検死 −死体の殺害者を知ることができる
治療 −包帯を使って治療・解毒・蘇生ができる
牧羊 −動物を誘導し立ち止まらせられる
潜伏 −隠れて他人から姿を消せる
書写 −魔法の巻物を作ることができる
アイテム鑑定 −魔法のアイテムを鑑定できる
鍵開け −鍵を開けられる
伐採 −木から丸太を切り出せる
棍棒戦闘 −棍棒系の武器の戦闘が上手くなる
魔術 −魔法が使える
採掘 −鉄鉱石を掘り出せる
音楽 −楽器をうまく演奏できる
受け流し −盾で攻撃を回避できる
沈静化 −楽器を演奏して相手をおとなしくできる
毒 −武器に毒を塗れる
挑発 −楽器を演奏して同士討ちさせられる
呪文耐性 −魔法の攻撃に耐えられる
覗き −人のカバンを気づかれずに覗ける
霊話 −死んで幽霊になったひとと会話できる
窃盗 −人からアイテムを気づかれずに盗める
剣術 −剣を使った戦闘がうまくなる
戦術 −戦闘の威力を高める
裁縫 −布や皮から装備品を作成できる
味見 −毒の有無や薬の効果がわかる
細工 −時計などの細工品が作成できる
追跡 −近くいる人やモンスターがわかる
獣医学 −包帯で動物を治療できる
レスリング −素手の戦闘が上手くなる

関連してそうなスキルも多いが、よく見ると何それ?っていうスキルも結構ある。

たとえば自分の作ったキャラの700のスキルを霊話、窃盗、覗き、牧羊、物乞い、検死、味見って育てたらそれどんなキャラクターなんだろうとか考えるだけでわくわくしてしまう。でもここはやっぱ魔法使いでしょう。

選択できるシャード(サーバーのこと)は4つ。Atlantic、Pacific、Great Lakes、Napa Valley。リアルの知り合いが既に始めていたのでPacificというサーバーにキャラクターを作った。最初にキャラクターを作る時にスキル100をふたつかみっつのスキルに振り分けることが出来るので、僕は魔術50、治療50にしてみた。魔法使いで治療も出来るってなんかお得じゃない?

スタートはもっとも栄えているブリテンという街。

そして初めてゲームに入ったその瞬間に最初の衝撃を受けることになった。

人が多い!  Σ(@o@ )

上から見下ろしのゲーム画面内に何十人といて、画面中でいろんな人が英語でなにか話してる。会話はチャットウィンドウとかではなく、話したキャラクターの頭の上に表示されるのでリアルタイムで街のあちこちで誰かと誰かが会話してる。

す、すごい。これが全部どこかの誰かが操作してるんだ!

その光景は渋谷のスクランブル交差点を彷彿とさせた。僕は呆然と見とれてしまった。

とりあえず気を取り直して、ええと、ここは銀行前か。なになに、bankって発言すれば自分用のバンクボックスが開くのか。ならまずはアイテムを整理しようかなと思って、自分のカバンと銀行を開いた。

あれ?

カバンに入ってるはずのお金がない。マニュアルには少々のお金とスキルに必要なアイテムが少しカバンに入っているって書いてあるのに。

もしかして盗まれた?

と思ってたら近くにいた見知らぬ人が突然他の人を剣で攻撃し始めた。「こいつ泥棒だ(英語)」って言ってる。ぎゃああと叫んで泥棒さんは殺され死体になった。見る間に死体の洋服が剥がされ裸になっていく。

(うわー、すごい世界だな)

ふとまたカバンの中身に目をやると今度は魔法を唱える為に必要な秘薬がなくなってる!

(うひー、恐いよ)  く("0")>

その場から離れようにもとにかくラグが酷い。人が多いのもあって一歩進むのに10秒以上かかる。人にぶつかると
スタミナが減るので人に囲まれると身動きが取れなくなる。

たいへんだ。逃げられない。

とりあえずキャラは作り直そう。

ログアウトすると急にお腹がすいてきた。もう昼だった。お金もないのでご飯と秋刀魚の蒲焼の缶詰で軽く済ませた。するとやっと眠くなってきたので僕はベッドに入り込んだ。

なにかを考える暇もなく僕はすぐ眠りに落ちていった。

2006年12月22日

『不正:DIABLO』

1997年という年はオンラインゲーム黎明期を語る上で最も重要な転機であったと言えます。
と言うのも、この年に発売されたオンラインゲームに、

『DIABLO』

『Ultima Online』

『QUAKE2』

といった複数の神ゲーがありました。これらを抜きにしてオンラインゲームの歴史は語れないでしょう。そして更に言えば、『HALF-LIFE』、『UNREAL』もこの年の年末あたりに発売が予定されていたはず。(僕は『HALF-LIFE』、『UNREAL』はプレイしていないので正確な発売日は記憶していない。正直、金欠だったのでそんなに出来なかったんです。申し訳ないm(_ _)m)。
更に更に、この年のPCゲーム雑誌には後に伝説となる『EVERQUEST』の開発初期段階のスクリーンショットが既に紹介されており、まさにオンラインゲームの未来は輝きに満ちている、そんな年でした。

そしてこれらオンラインゲームのマスターピースたちがこの時期に結実したことは、僕にとってとても幸運なことでした。なぜならISDNの普及など当時の環境の進歩もそうですが、この時期に僕がある程度は収入を維持できる年齢になっていなければ、それらを経験することすら出来なかっただろうからです。とにかく初期のオンラインゲーム(とそのプレイ環境の構築に)はとても金がかかりました。


『DIABLO』編で触れたように、また次回以降で語ることになる『Ultima Online』でも同様なのだが、オンラインゲームの最大の敵は間違いなくラグ(lag)である。というか、すべてのオンラインゲームでラグは最大最強の敵だと言っても過言ではない。
だってどんなに強く育ったキャラクターであっても回線が止まったり切れたりすれば、なにも出来ないんだから。そのせいで死亡した経験談なんてネトゲ経験者ならごまんとあるはずだ。対戦型(PVP)のオンラインゲームならラグの精神的ストレスはなお更だろう。反応がつねに1秒違えばほぼオンライン対戦FPSでは勝てないと思う。


快適にゲームがしたい。

このシンプルな欲求が全ての源である。
カウチにポテトでドラクエ三昧とか、50インチハイビジョンTVでピザ取って革張りソファーでFFXIとか、それらと同じレベルの欲求として、快適にオンラインゲームがしたい。


そして僕は考えた。

快適なオンラインゲームプレイ環境を構築するためにはなにが出来るだろうと。正直もう"ラグ死"は勘弁だ。
会社にはそれっぽい書籍や雑誌がたくさんあったのでとにかく調べ、最新情報を漁り、インターネット上でいろんな意見を見聞きした。その結果、1997年当時の僕がたどり着いた快適なオンラインゲーム生活のための課題はこんな感じでした。

●パソコンの性能アップ
●モデム速度のアップ
●回線速度のアップ
●インターネットプロバイダーのサーバースペックアップ
●近所のインターネットアクセスを減少
●もっと海底ケーブルの近くへ

PCのスペックアップはシンプルでわかりやすい。マシンが遅ければ回線がどうの以前の問題だ。具体的にはCPUを速いものに替える。メモリを増やす。グラフィックボードを速いものに替える。などなど、出来ることはいろいろありますが、当然お金がかかります。
金欠野郎の僕にはハードルが高い。ならお金がかからないパフォーマンスアップをしよう。定期的なHDDの最適化。デスクトップの壁紙は単色一色にする。写真とかグラフィックなんて貼らない。デスクトップにアイコンを可能な限り置かない。常駐型のプログラムを極力走らせない。再起動するときにはキャッシュをクリアーにする。などなど。
まあお金をかけずに出来ることもちょっとはあるわけで、やらないよりはやったほうが確実に少しよくなりますし、塵も積もればというじゃないですか……


それからモデムの速度はアナログ288からISDNに替えてアップしましたね。確実に速くなりました。
これはよし。


それ以外の課題は、じつはインターネットサービスプロバイダー(ISP)選びのことでもあります。簡単に言えば速いと言われるISPに乗り換えようってことなんですが、細かく言えば、上り下りの速度とか最大転送容量とかサーバーのスペックとか条件はまちまちなんですけど……

乱暴な言いかたをすれば、

料金が高いISPは速い!と(笑)。


このISP選択のよし悪しは、当時のオンラインゲームプレイでいちばんクリティカルな問題でした。

とにかくしょぼいISPはラグもひどい。この改善はパソコンを買い換えるよりも激的な効果を生む可能性がありました。
近所のアクセス問題というのは、高速道路に例えると判りやすい。5車線あっても利用者があまりに多いと渋滞しますね。それと同じで、たとえば同じマンションの誰かが同時に何人もケーブルTV接続のインターネットでエロ動画を大量にDLしてたりすると、僕の回線速度は間違いなく低下します。つまり理想は地域の基地局までの接続者が僕だけと。
まあありえませんけどね。
対策としてはエロっぽい住民をチェックしてプレイする時間にDLしないでとお願いする程度でしょうか。ただ基地局エリア全体でそれをやるのはかなりの根気と精神力が必要となります。というか出来ません、ごめんなさい。

そして最後に僕がたどり着いたもっとも重大な真実。

それは、


海底ケーブル! (バーン)

『DIABLO』も『Ultima Online』もサーバーが海外(アメリカ)です。知ってる人は知ってると思いますが、インターネットで日本から世界中にアクセスする時には海底ケーブルを必ず通っているのです。そしてこの1997年ごろ、アメリカへの通信用海底ケーブルは3本しかなかったのです。Trans Pacific Cable(TPC)ってやつです。いま調べると実際には97年当時4本あったようなんですが、そのころ僕が調べた範囲では3本だったと記憶してます。あ、いや4本あったかも。1本は細くて意味がないみたいな感じだったかもしれません。記憶が曖昧ですいません。事実、回線容量は480Mbpsから10Gbpsまでばらばらでした。
インターネットとはサーバーどうしが繋がって網の目のように広がっているもので、海外への出口であるTPCに直接繋がっているプロバイダーはTPC接続1次プロバイダーと言って数が限られていました。
インターネットの網の目はデータが通っていくサーバーの通り道がどこかで一ヵ所でも線が細くなっているとそこがボトルネックになって通信速度はそれ以上には絶対に上がりません。なので3本(4本)の海底ケーブルに直接接続しているインターネットプロバイダーがもっとも安定した通信状態を確保できると言うわけです。ちなみに3本の海底ケーブルの具体的な陸揚げ位置は千倉、三浦、二宮(宮崎)でした
(現在ではアメリカへの接続で7本、海外全体で14本あるようです)。


これらすべての情報をもとに僕の得たオンラインゲームに最適なISP選びとは、

"千倉か三浦に限りなく近いTPC1次接続プロバイダーのアクセスポイントがある市外局番エリアで、近隣住民があまりインターネットをしない過疎地域でしかも基地局のインフラだけはしっかりしているところに引っ越す"

でした(爆)

うーむ、半分は机上の空論ですし、間違った情報もあったかもしれません。
でも大部分は事実でもあります。が、まあ極論ですね。

まあそんな極論は無理としても、僕は何社もISPを乗り換えてはPING値(特定のサーバーへの通信速度とデータロストを計るアレ)を計り、計っては乗り換えをくり返しました。さすがに引越しはしませんでしたが……

そして最終的に落ち着いたのISPはIIJとOCNでした。

何故ふたつあるかって?

ふふふ


それは、たとえばインターネットは接続途中のあるサーバーが落ちると極端に通信状態が悪くなることがあります。場合によっては、その落ちたサーバーを回避するためにデータがアジア経由で海外に出てロシアを回ってアメリカへみたいなありえない経路を
辿ることもあります。そうなるとラグなんて生易しい状態じゃなくなってしまいます(いまは海外への回線も増えているのでそんなに深刻な状況にはならないとは思いますが)。
そんなときも別のISPを契約していれば大丈夫。接続するISPを変えればサーバー経路が変わるので落ちたサーバーを回避出来る可能性があります。ふたつのISPが違うTPCへの接続であればさらにイイですね。アメリカで落ちたサーバーすら回避出来るかもしれません。

これはとても大事です。落ちたサーバーが1時間で復旧するのか1週間かかるのかは予想できないのです。そのあいだあなたはラグのなかでプレイし続けるこ……

え?

えーと、

はい、

…………


そうです。バカです。オンラインゲームバカとしか言い様がありません。そのうえバカ高い電話代も払います。もうつける薬なんてありゃしません。でも、でもですね、そんな偉大な先人たちによる試行錯誤という名の屍が、テレホーダイを生み、ISP年間固定料金を生み、ブロードバンドの普及を生んだんだとは言い過ぎでしょうか。

給料の約半分をISDNの電話代(とネトゲ環境)に充てる!

そんな熱い(暑い?)バカがあのころはいたんですよ。

ええ、まあ、僕なんですが。

モバイルのパケ代が高くてびっくりするのとはわけが違います。食費を削って、彼女を失ってキャッシングでお金を借りてまで自ら繋ぐ茨の道なわけで……


はい、はい。すいません。すいません。話をもとに戻します。


さてと、とても熱中していた『DIABLO』に対してもやがて僕は急激に熱が冷めてしまう。

理由はとても簡単なことだった。

チート(不正改造)で大量にレアなアイテムが出回り始めたからだ。ORZ、KSH、GPWなどの最高数値という激レアを、欲しけりゃあげると言わんばかりに村でポイッと地面に捨てる人や、頼みもしないのに強引にくれる人に何人も出会った。人の心は弱いもので、チート品とわかっていてももらったら使ってしまう人もいる。中には絶対に敵が落としたものしか使わないという人もいたが、少数だったように思う。

事実Godly Platemail of Whale(GPW)というアイテムがあるのだが、僕がプレイしていた中では一度も拾ったことがない。存在しないという噂まで流れていた。

いやもちろん実際には見つける確率はゼロではないと思う。でもモンスターレベル以下のレベルのアイテムしか敵からは出現しないというDIABLOの基本に則って考えると、魔法効果『Godly』はレベル60、『of Whale』もレベル60である。通常の敵のマックスも60(プレイ中には判らない)である。亜種も数えて84種類いるモンスターの中でレベルが60になるのはヘル難易度でのおそらくたった3種類のみ。群れのユニークボスでレベル60を超える可能性があるのがやはりヘル難易度でおそらく11匹しかいない。KSHもORZもヘルなら雑魚でも落とす可能性があることを考えるとGPWは出ないなんてもんじゃない。それこそ幻のアイテムといわれてもおかしくないぐらいの天文学的な低確率でしか出なかった。

でもそんな夢のGPWを、あるとき弟が「人からもらったけどいらないからあげる」と言って、僕にくれた。

僕「……………………」
弟「……………………」
僕「……thanks……」
弟「np」


はっきり言って超萎えた。

もし一生に1個出会えるかどうかというアイテムを、簡単にタダでもらってしまったら……

正直、使おうかどうしようか小一時間悩みましたよ。フロドの気持ちが痛いほどよく判りましたね、マジで。結局のところ、悩んだ末に僕は店に売ってお金にしたんだけど、そのときの悪魔に魂を売るかどうかに近い僕の中での葛藤は、僕の熱意への最後通告になりました。それはいつか耐えられなくなる種類のプレッシャーでした。
そしてしばらく経つとロビーで「ORZ激安販売中!」とか「GPW売ります!」といったチャットメッセージをよく見かけるようになったのです。

それがとどめ。もうだめだでした。モチベーションの維持は不可能だ。

僕は引退を決めた。


そして『DIABLO』をやめた。


いまでもやってる人がいる神ゲーは、チートというありふれた身勝手な行為によって、いとも簡単にその熱を確実に失ってしまいました。非常に残念なことだ。でも、これもオンラインゲームの持つ構造的な危うさの一面なんですね。未だに僕がオンゲー/オフゲー関係なく、チート行為に対して過剰なほど拒絶してしまうようになったのは、このときの落胆があまりにも激しかったからにほかならない。

でも落胆してばかりもいられなかった。

それはなぜかと言うと、

ぐふふふ

もう『Ultima Online』を買ってあるからさ!

このゲームはすごい。なにがすごいかって、電子の海の中に本気で世界の創造を目指したゲームは、後にも先にも『Ultima Online』しかないと、いまでも僕は思っている。そのゲームの中に存在するさまざまな理(ことわり)は高度な次元で見事に融合していた。それは見事としか言いようがなく、もしかしたら本当に奇跡だったのかもしれない。

そこには単なるダンジョンとかではなく、間違いなく世界があった。

それは世界で始めてのMMORPG(多人数参加型PRG)

ひとつのサーバーに数千人が同時に参加して遊ぶなんて聞いたことが無かったし、ましたや何千人が何百人だったとしても想像も出来ない。それぐらい画期的なことでした。また広告のキャッチコピーいかしてて、「Join us?」だって。もう、はい!はい!参加しますしますと諸手を上げて走り出したくなるような衝動に駆られます。


こうして僕は見習い魔法使いとしてソーサリアという名の世界に最初の一歩を踏み出した。

1997年のクリスマスの数日前のことでした。

2006年12月13日

『PONR:DIABLO』

1997年も年の瀬が近づいた週末、僕は彼女と表参道を手をつないで歩いていた。

東京の冬は日が沈むのが早く、晩飯をどこで食べようかという話題を持ち出すより早くにあたりはすっかり暗くなっていた。

「俺、原宿のこのライトアップって嫌いなんだよね」

「なんで? 綺麗じゃん」

「去年まで会社がこの近くだったんだけど、この時期外回りから戻ってくると人が多すぎて鬱陶しいんだよね。ごみもぽいぽい捨ててく人多いしさ」

「ふ〜ん、そんなもんなんだ」

そんなことを原宿の表参道側の歩道橋の上で夜景を眺めながら話している。そういえばこの歩道橋っていわく付きの場所だったっけかな?ここでキスすると別れるとかなんとか。まああったとしてもそんな非科学的なことは信じないけど。

「こういうときくらいかな、眼鏡でよかったと思うのは」

「え?」

「乱視だから眼鏡を外すと、夜景が何重にもなってすごく綺麗に見えるし」

「はは、なにそれ。でも嫌いなんでしょ?」

「うむ?… そうか… そもそも人ごみの原因がこの夜景だとするとこの夜景をこそ憎く考えるのが妥当なわけだ。綺麗だからと言ってそれを許してしまえば人ごみも含めて俺は認めざるを……」

「ラーメンにする?」

「はい…」


僕たちは"じゃんがら"に行ってふたりとも"全部乗せ"を食べた。

彼女は大学4年生で成績もイイほうらしく卒業単位はもう余っていた。12月の早い時期には卒論準備とかで大学には行っても行かなくてもよくなっていて、今回は友達と旅行に行くと親に言って泊まりに来たのだ。

もちろんそれは僕にとっても嬉しいことではあるのだが、家でゲームをするという僕の至福の時間は確実に奪われてしまう。
それもあってデート中もあの悪魔のことが頭から離れない。思い描いている魔法使いの完成のためにはあとどの装備が必要かということをふと考えて会話が止まる。

『DIABLO』のアイテム生成システムはじつによく出来ていて、ベースとなる普通のアイテムに魔法効果の前置詞と後置詞がつく形でマジックアイテムになる。例えば、ロングソードにKing'sという命中率とダメージ増加の前置詞とHasteという攻撃速度アップの後置詞がつくことによってKing's Longsword of Hasteというアイテムになるわけだ。ただ同じ魔法の効果でもランダムに数値のばらつきがある。King'sの命中率だけとって見てもプラス76パーセントからプラス100パーセントまでの幅でいくつになるかは運次第なのだ 。だから欲しいアイテムの中でも業物と言えるものはなかなか巡り会えるものではない。

僕はすべての魔法耐性とすべてのステイタスを上昇させる指輪としては最高のものであるObsidian Ring of Zodiacの最高数値のものがあとふたつ欲しかった。(指輪はふたつ装備できるため)

アイテム集めに関して言えば、ソーサラーは若干アイテム集めに不利なクラスといえる。
なぜならだいたい敵から離れた位置にいて魔法で攻撃したり前衛の戦士を回復補助することが多く、基本的にアイテムは戦士の足下に落ちやすいからだ。指輪はとくに小さいから落ちたのを見つけるのはとてもたいへんだったりもする。唯一の救いはアイテムは落ちたときにそれっぽい音がすることだ。
チーンと鳴ったら指輪というわけだ。DIABLOはサウンドがステレオ対応なので右で落ちれば右のほうで音がなる。
でも、結局探してるあいだに大抵戦士に拾われてしまう。そして戦利品をちゃんと分配するパーティーだったとしても、鑑定してもし欲しいアイテムだったら手持ちの装備と入れ替えられても気づきようがない。
それもあって指輪の収集が遅れていたのだ。

チーン!

近くで誰かが小銭を落とした音が響いた。僕の耳は瞬時にその方向を察知し、無意識に僕は地面を眺める。明治神宮前の交差点の道端に指輪らしきものが落ちているのを見つけた瞬間、僕はあっと声を上げていた。

「ん? どうしたの?お店に財布忘れたとか?」

と心配そうに見つめる彼女に声を掛けられ、思わず顔が赤くなる。
よくよく見ればそれは空き缶のプルタブだ。
いや、プルタブだったからイイとかそういう問題ではなくて……

「いや、財布は大丈夫……」

ポケットを触りながら生返事を返しつつ、どう言い繕うかを考える。

「……お……」

「お?」

「お、おつり受け取り忘れたような気がして……」

「ぴったり払ってたじゃん」

そうだね。そのとおり。つい数分まえのことだよ。

「そうだっけ?」

「そうだよ〜」

と言いながら、彼女は僕の顔を覗き込んでくる。ここで変に疑われるのも損とは言え、正直に話したらきっとドン引きだろうなあ。

僕は笑ってごまかした。

上目づかいに怪訝そうな視線を外しながら彼女はなんとなく納得した振りをした。


家に帰って僕らは順番にシャワーを浴びた。
僕は彼女がいないあいだにパソコンの電源を入れて、
モニターの電源は切っておいた

ふたりともパジャマに着替えて、どちらからともなく来年の話をしだした。彼女は大手上場企業に就職が決まっており、おそらく地元の支店で仕事をすることになるっぽいと仰る。そうなると「遠距離恋愛は当分続くことになるんだね」みたいな展開で自然と会話が止まり、しばしの沈黙のなか彼女が上目遣いに僕を見る。

考えてみれば彼氏彼女がふたりっきりで久しぶりに会っているのだ。
「いまからゲームをするからさきに寝てていいよ」とは言えないか……

僕が顔を寄せると彼女は眼を瞑った。

パソコンの電源ランプは静かに明滅を続けていた。

………………………………

セックスを終え、再びシャワーを浴びに行きながら彼女は裸のまま、やさしく言った。

「ゲームしたいんでしょ?」

「ああ、うん、まあやりたいと言えばやりたいかな」

「いいよ。やれば?」

それだけ言うとさっさとユニットバスに入ってしまった。

僕は速攻でパジャマにスウェットを着てモニターの電源を入れる。
さらにそのままの勢いでパソコンをオンラインにする。
自分の部屋でゲームをするのに誰かの許可が要ることの是非を自問する時間すらもったいない 。


早速『DIABLO』を立ち上げ、Battle.Netに接続する。

とりあえず難易度Hellで既にさんにん集まってるパブリックゲームを探す。探しながらHell/Hellで新規募集をチャットしようとしたとき、視界の隅に見覚えのある単語が映った。それは他人のキャラクターの名前だった。その見覚えのある人はチャットでHell/Hellゲームでパーティーを募集している。僕は、彼の名前を思い出すのにそれほど苦労しなかった。
実験的にウォリアーを育てていたときに、僕はその彼に殺されたことがあった。

(あ、こいつPKerだ)

確か、そのときは装備もきっちり奪われたのでよく覚えていた。

反射的にそのPKerに直メッセージを送って参加希望を伝えた。
と同時にさっき検索してオンラインにいることがわかっていたリアル弟に暇かどうかを直メッセージで聞く。

U介(リアル弟)からはパーティー中だけど抜けられる旨の返信。
PKerからは是非いっしょに遊びましょうとの返信。

そのゲームに既に何人の参加希望があるかどうかはわからないのでさらに急いでU介にメッセージを送る。

僕→弟「詳しいことはあとで説明するからパーティー参加希望のメッセージをAさん(仮名)に送ってくんない?」

弟→僕「ふむ… いいよ。了解」

PKerのA氏(仮名)から再び、僕宛てにゲーム名とパスワードが直メッセージで送られてきた。なんか勢いで参加希望しちゃったけどどうするかなと思いつつ指定されたゲームにJoinする。ふとU介が参加出来たかどうかが不安になったが、村に着いた瞬間それは杞憂に終わった。
U介はすでに村にいて地面にアイテムを並べて整理していた。

僕はとりあえずみんなに英語でよろしくと挨拶をした。

集まった4人はこんな感じだ。(『DIABLO』のマルチプレイは最大4人)

U介がレベル50のローグ。
PKerのA氏(仮名)はレベル50のソーサラー。
僕はまだレベル40台半ばのソーサラー。
初めて会うBさんもレベル40台半ばのウォリアー。

まあバランスは悪くない。

とりあえずU介に直チャットで以前このA氏に殺されたことがあるのを説明すると、じゃあリベンジってことだねとのん気に返ってきた。びびってちゃあ兄の威厳もあったもんじゃないので、「おお、そういうこと(w」と豪語してはみたものの、事故ではなく意図的なPKはまだしたことがない事実は伏せておいた。

今回A氏(仮名)がPK目的なのかどうかははっきりしないが、もしそうだとしてもアドバンテージはこちらにある。なぜならこちらはA氏(仮名)がPKerなのを知っているし、僕と弟が旧知ということをA氏(仮名)は知らないからだ。


早速13階から16階のdiabloを目指して探索が始まった。


じつは『DIABLO』における魔法はパーティーアタックのオン、オフに関係なくつねに仲間にもダメージを与えてしまう。パーティーアタックボタンというものは、プレイヤーをカーソルでターゲットした状態で武器や魔法の攻撃が発動するかしないかだけのものでしかないのだ。
魔法は地面をターゲットしても発動するし、モンスターの近くにいるプレイヤーを巻き込む魔法も多い。だからソーサラーは攻撃魔法を使っていると事故で仲間を殺してしまうことがたまにある。弓も同様である。

当然ながらまだ誰もパーティーアタックはオンにしていない様子ではあったが、それはさほど重要なことではなかった。殺すことだけが目的なら、

モンスターの集団   殺したい相手   自分

一直線になるように立ち回りチェイン・ライトニングの魔法を放てばおそらく即死だろう 。プレイヤーアタックボタンは関係ない。でもそれだと事故死となにも変わらないし、僕は耳が欲しいわけじゃない。

じゃあ僕はどうしたいんだろう。

装備を奪いたいのか。いや、それが目的と言うよりは、装備を奪い殺すことによってPKされた悔しさみたいなものを知らしめたいというのがもっとも近い。

そう、まずはモンスターにとどめを刺させる状況を作り出さなければ。

とりあえずU介と相談し、油断を引き出すためにそのときが来るまではふつうにパーティープレイをこなすことにした。そして引導を渡すのは15階にしようということで合意した。16階はモンスターに殺されても装備を落とさない仕様になっているからだ。

13階、14階と順調に進む。

パーティーのバランスがイイということもあるが、弟のローグが非常に効果的な戦力となっているのが大きい。モンスターはヘル難易度になると魔法完全無効のものがけっこう出現する。そういう奴は物理攻撃が有効なのだが大抵近づくと逃げる。ウォリアーが追っかけて先行しすぎると回復魔法が届かなくなるし、戦線が拡大しすぎると他のモンスターがアクティブになって敵が増えてしまう。その上、プレイヤーは魔法攻撃を完全無効には出来ないので敵が増えると言うことはヘルでは死を意味する。
そういうとき物理攻撃であるローグの弓はものすごく頼りになるのだ。
しかもU介はマックスまで育ててるだけのことはあり、すべての魔法も覚えていた。魔法レベルはソーサラーより低いし、詠唱速度もソーサラー以下だけど、対応出来ない敵はいないのは間違いない。さらに驚いたことにU介は敵によって"剣と盾"も持ち替えて戦っている。

まあ正直こいつには勝てる気がしない(笑)

A氏のレベルも50ということで彼もまた強敵である。
果たして勝てるだろうか。そもそもA氏がこちらを殺すつもりでゲームに誘い込んだのであれば、向こうもどうやって殺そうかと考えているに違いない。それにBさんがA氏とグルという可能性も考えておかなければならない。
ただ今日に限って言えばA氏のプレイはかなり献身的で他人が死なないように回復したり味方を巻き込まないようにゴーレムや石化の魔法を効果的に使ってサポートしている。まあそれはこちらにも言える事ではあるし、それが余計猜疑心を強くする一因でもある。

ふと、A氏は今日はアイテム狙いなのか、もしくはPKを引退したかのどちらかかもしれないという考えが頭を過ぎる。

その瞬間、僕はやっぱり殺すことはないかなと反射的に考えた。

それは多分僕の根っこの部分に、他人の憎しみや怒りの上に僕の楽しさは成立し得ない性格があったからだ。でもこの世界には快楽殺人者を取り締まる権力もなければルールもない 。彼が殺人から足を洗った証拠はどこにもない。
弱者はいつまでも弱者でしかない。

ここはそういう世界なのだ。

だから僕はなんとなく、本当になんとなくやっぱりやめようかという文字を弟に送るのはやめておいた。ひとりだったら確実にPKするのはやめてたと思う。

近くで見ていると基本的にA氏は雷魔法をメインで使っていた。ショートカットで魔法は切り替えられるがつねにセットされている魔法は基本的にひとつ(又はふたつ)である。なのでメイン魔法を切り替えるには少なくともひとつキーを押してからクリックしなければならない。それと彼は強さに自信があるからなのか、テレポートで逃げるときに飛ぶ先が未探索エリアでも気にせず飛ぶことが何度か見えた。相手がこちらをカモだと思っているのならそれはブラフではなく、こちらが安心する空気を作ろうとしているとも考えられる。

こんな疑心暗鬼の緊張感のなかでゲームするのがそんなに楽しいのかと思われるかもしれないが、ぶっちゃけすごい楽しいです。

そういう人の猜疑心を煽る部分に面白さの本質を置くボードゲームやテーブルトークゲームはいろいろ存在する。同じようなものだ。痛みを伴なうぶんだけDIABLOのほうが緊張感は上だと言える。


結局、誰も死なずに15階まで来てしまった。表面だけ見れば連携の取れた理想的なパーティーだ。多分、このまま16階にいるラスボスDiabloまでそれほど苦労せず行けるだろう。

このとき、幸か不幸か15階には魔法使いが苦手とする通称"赤姉ちゃん"(サキュバス)とムカデが出現していた。赤姉ちゃんは魔法完全無効で、集団で出現し遠巻きに赤い魔法(Blood star)をばちばち連射してくる。ムカデはす速いうえに攻撃しても怯まないので、止まらずに向かってくる。そしていまここにいるムカデは中でももっともやばいAzure Drakeという種類だ。魔法と雷は完全無効 、炎魔法にも高耐性と魔法使いには最悪だ。物理攻撃が強くて弱点属性が無いなんてほとんど反則じゃないか。

15階の敵をすべて倒してしまうと計画の遂行が難しくなるので、U介と相談して早いタイミングでやろうということになった。

魔法使いを殺すのは正直簡単ではない。詠唱の速いテレポートもできるし、基本的に敵から離れた後ろのほうにいるので敵に止めを刺させるのが難しいからだ。ただ今回は赤姉ちゃんだ。集団で現れて赤色の痛い魔法を連射してくる。うまくムカデが絡んで機能してくれるとイイのだが。

とりあえず作戦としては赤姉ちゃんの魔法がA氏に集中して、逃げた先でムカデに殺されるというシナリオがわかりやすくてイイ感じだと短くチャットを交わす。タイミング次第では弟の弓か、僕の魔法でA氏を瀕死に出来ればベストだよねと。要するにすべてはタイミング次第なのだ。耳だけなら簡単なんだが……

降りてきた階段からしばらく進んだあたりでU介から直メッセージが入る。

「この先左方向は赤姉ちゃん地帯ね」

僕は覚悟を決めた。ためらいがあれば僕が死ぬ。
僕は別方向から連続テレポートでムカデを探しに飛んだ。少し飛んだ先でムカデを発見、ムカデたちを大量にアクティブにして赤姉ちゃん地帯と思われるエリアの壁の手前まで誘導する。少しでもミスすると多分即死だ。緊張で手の平にじわりと汗をかく。


なんとか誘導を追えU介にその旨を伝えるとすぐさま返事が来た。

「姉ちゃん大量につれてくるからAの後ろで待機よろしく(w」

僕は『Diablo』をプレイしてきて初めてPKボタンを押した。覚悟はしていたがそれを押すマウスの感触はなぜか生々しく感じた。それは銃の安全装置を解除するのと同じなのだ。
狙ってクリックするだけで他人を殺すためのスイッチ
1年かけてやっと集めたかもしれない装備を無慈悲に奪うための行為。

やつこそ殺人者なのに、なんだか非常に申し訳ない気がしてきた。

自分だったら悔しくて涙するくらいのことを他人にしようとしているのか、俺は。
罪はどの時点において消えるのか。罪は誰によって許されるのか。そもそも罪は人と切り離して考えるべきもので、この荒廃した世界においては何をもって罪だけを憎むということを行動として具現化できるのだろうか。

あまりに緊張して脳が高速回転し過ぎる。

正直やめようかとも思った。じつはイイ奴かもしれないし、少なくともいまのところはイイ奴だ。いちばん考えたくないことだが、同じ名前の他人かもしれない。

そしてPKという行為は悪意以外のなにものでもない。


………………………………
………………
……


手のひらの大量の汗。
マウスとキーボードが滑らないように汗をズボンの膝で拭う。

このときほど、自分の心臓の鼓動を大音量で聞いたことは過去に一度も無い。自分の心拍音にびっくりする経験なんて滅多に無いだろうな。

並んで慎重に進む僕とA氏の視界に赤い魔法の弾が見え始めた。
Bさんが仲間を守るために果敢にも各個撃破と突撃する。ここまでのパターンならローグの弓が援護するはずなのだが、この瞬間だけは違った。ローグは道の先にテレポートで飛んでいった。


彼女「……ねえ………………………………どう……」


なんとかなりそうに思われたのも束の間、道の先から大量の赤い魔法が押し寄せてきた。おそらく弟がアクティブにしたサキュバスが大量に押し寄せてきたのだ。(つーかこれ集め過ぎじゃね?)ってぐらいのサキュバス。サキュバスのグラフィックは基本的に胸丸出しの女性みたいなものなのである意味壮観だ。

魔法の集中砲火のなか、回復ポーションが追いつかずにウォリアーが死んだ。

次の獲物を探してサキュバスがふたりの魔法使いに近づく。

次に大量の赤い魔法が飛んでくるまえに、僕は今日まだ一度も見せていないArch Angel's Staff of Nova(全魔法レベル2アップの杖)とThinking CAP(全魔法レベル2アップの帽子)に装備しなおした。防御力と魔法耐性が下がってしまうが魔法の威力はかなり上がる。

そして、僕はほんの少しだけA氏よりさきにテレポートするタイミングを見計らって隣の通路に飛び、ファイヤーウォール(炎の壁)の魔法でムカデの"いない"周りの地面に炎を敷き詰めた。
プレイヤーもダメージを食らう炎の絨毯に一瞬でもテレポートを躊躇させられれば……


彼女「……………………来週……………………ねえ聞いて……」


A氏にとってはこっちの通路は未探索のはずだけど、案の定A氏は飛んできた。そして、そこはムカデの山だ。ムカデの攻撃は激速いからぐずぐずしているとあっというまに囲まれて屠られるぞ。

僕はテレポートしてきた瞬間をうまく狙ってムカデの群れにファイヤーボールを叩き込む。当然さっきまでと僕の魔法は威力が違う。ムカデに当たって爆風がA氏を巻き込む。さらに念の入ったことに通路の奥側から1発の弓矢がA氏を狙って放たれる。

盾によるブロックモーションでA氏は硬直する。

パニックになっているのは間違いない。

こいつらには全く無駄なチェイン・ライトニングの魔法がA氏から放射状に放たれるのと、彼の断末魔の叫びを聞くのとはほとんど同時だった。A氏はその場に装備をばら撒いて死んだ。

いつのまにか僕のすぐ後ろに回り込んできたローグがタウンポータルの青いゲートを開く。
万が一の為なんだろうが、ローグの弓はあっというまにムカデをズタズタにした。

A氏は死体のまま待っていた。僕とローグは無言のまま近づきA氏の見ている前で落とされた装備をすべて拾う。

A氏「WTF! plz rez me!」

(What the FU○K! Please resurrect me!)
(訳:なんだよ、ちくしょう!お願い蘇生して!)


彼女「……ねえ、来週クリスマスなんだけどどうするって聞いてんだけど……」


僕はA氏を蘇生してやり、生き返った直後に杖にチャージされているノヴァの魔法を連射した。ノヴァは詠唱者から同心円状に広がる雷の魔法で近くにいたら絶対に避けられない。もちろん裸だから雷耐性は0パーセント。ひとたまりもない。

ペチャという音とともに今度は"耳"を落とした。

僕はそれを拾った。
それは"Ear of A氏(仮名)"というアイテムで、説明文にA氏(仮名) Level 50と書いてある。要するに悪趣味な証明書みたいなものだ。

僕はわざわざ"耳"を拾っては地面に落とし拾っては地面に落としを繰り返した。地面に落ちるたびに"耳"はペチャと耳障りな音を響かせる。この音は今どこかの外国にいるであろう、A氏というキャラクターを操作する画面の向こう側にいる誰かさんの耳にも確実に聞こえているのだ。


その時点でAはすべてを理解したのかゲームから抜けてしまった。そりゃそうだろう。自分でやってたことだ。その場で命乞い(というかもう死んでるが)でもすれば装備を返してやらなくもないのにと軽く虚勢を張ってみる。

気がつくといつのまにかBさんも抜けていた。もしかしたらPKerだという風聞を流されるかもしれない。しかしやってしまったものは仕方が無い。それよりもこの後味の悪さが耐えられなかった。
奪ったアイテムは村に戻ってすべて売り払った。チート品かもしれないし、そうしなければPKをずっとしそうだったからかもしれない。売って得た代金は全部地面に捨てた。


ガチャンという音がして玄関が閉まった。


あれ?

部屋を見回すと彼女がいない。
そういえばさっき彼女がなんか話してたような気がする。でも何を言っていたのかまったく覚えてない。

時計を見ると午前3時を回っていた。


(なんかやばいかも)


僕はとりあえず弟に礼を言ってゲームを抜けた。電話代が掛かるのでとりあえず回線は切断して、PCの電源も切らずに慌てて上着を掴み外へ出る。

「さぶ!」

外は雪が降っていた。サンダルを靴に履きなおしてアパートの階段を下りる。ぱっと見回しても彼女はいない。でもこの時間に空いてる店なんてない。というかパジャマで出て行ったのかどうかすらわからない。そんなに時間は経ってないから遠くに行ってるはずはないんだけど……

1時間ほど捜し回っても結局見つからない。それよりも寒すぎるので一度アパートに戻ってみると、彼女はベッドで寝ていた。ほっとしたのと同時にどっと疲れが襲ってきた。

僕はベッドで寝たフリをしている彼女の横にもぐりこんでお休みと言って寝た。

僕はすぐに眠りに落ちた。あれこれ考える暇も無く。

その後、時たまPKを返り討ちにすることはあったけど、
僕は2度と自らPKをすることはしなかった。

2006年12月08日

『功罪:DIABLO』

そんなわけで、僕の一人暮らしの自宅の電話回線はISDNになった。

電話回線と書いたが通常の電話回線ではなく、わざわざ工事までしてもらってデジタル通信用の回線になるのだ。
いや、なったのだ。

ISDNとはIntegrated Services Digital Networkの頭文字をとったもので世界的な通信規格の呼び名である。
アナログ回線とデジタル回線の最大の違いは、1本の線で「同時」に通信できる回線数だ。アナログは1回線、デジタルは複数回線(チャネルと言う)で通信を行う。つまり、端的に言えば大量のデータ通信や、多数のアクセスに強いと言える。

実際導入してみて、確かに回線落ちの頻度は減ったし、
早送り巻戻し現象は多少改善された。

でも僕が想像していたような、


「あ、圧倒的じゃないか・・・」


と思わず口をついて言葉が漏れてしまうほどの劇的な変化は無かった。


このころ、すでにxDSLという概念は存在した。
光網の普及までの繋ぎの技術として、一般の電話の人間の声の周波数帯以外をデータ通信に使うというものだ。これが、いまで言うADSL、SDSL、VDSLである。そのメリットはインフラの必要がほとんどないこと。デメリットは高周波数帯域を通信に使うために通信の減衰が激しく、局から数キロメートル以内でしか通信できない。過疎地域や地方でISDN利用が多い(ADSL利用が少ない)のはこのためである。もちろんアナログ回線だから「同時」に通信できる回線数はひとつだけだ。

ただ、まさか数年後に繋ぎのxDSLがここまで世の中のメインネットワークに普及する時代が来るとは誰も予想してなかったんじゃないかな。

そして未だに繋ぎの時代の真っ只中。
いつになったら総デジタル通信の時代になるのやら・・・

初期のインフラコストは掛かるが、後の運用コストを考えると絶対光ファイバー網のほうがいいと思うんだけどね。エリアカバレッジも広いし。ネットワークの通信量は増える一方なわけだし。
DSLで限界が来るまえに光のインフラを終わらせておかないと繋ぎの意味が無いような・・・

脱線しすぎました。話を戻します。


あの悪夢の日曜日以来、ナイトメアをクリアーするにはしたが、PKされることも多く僕の中でなにかがつねに引っかかっていた。もちろん思ったほどISDNの恩恵が劇的ではなかったということもそうなのだけど、そういうことじゃなくて・・・

なんて言うのか、競り負けるみたいな、なんで僕はPKされるんだろうと。PKされることに慣れてきても返り討ちにできないのはなんでだろうと。

キャラが弱いからなのか・・・
殺し屋たちが凄腕なのか・・・

そもそも『DIABLO』における強さとはなんなのか?

『DIABLO』というゲームではキャラクターのレベルの上限は50である。
キャラクター自体の強さとは、シンプルに考えれば1レベルごとに得られる5ポイントのステイタスを筋力、敏捷力、体力、魔力のどこに割り振っていくかの積み重ねの帰結である。

装備で付加されるステイタスを別に考えれば、最終的なステイタスの総和はみな同じはずだ。

攻防の優劣を決める要素はいくつもあるにはある。けれど、"攻め"とは与えるダメージと命中率、"守り"とは回避率とヒットポイントとシンプルに考えるなら、運も必要になる。なぜなら装備アイテムで決まる要素はそのアイテムを入手できるかどうかという運がどうしても絡んでくるからだ。ならば運に左右されない部分とはなんなのか。

そういう最低限できることを完璧にしていくことが高みへと繋がる道じゃないのか。

そして僕はひとつの結論にたどり着いた。

最低限平等といえる範囲の育成の過程でミスをしていてはダメなんだ。
PKerはPKをするためにいつも考えている(だろう)。彼らが装備、作戦、戦法、キャラの育成などを他人を殺すことを念頭において考えているのなら、それを返り討ちにするためにはそれ相応の考えかたを持たなくては返り討ちなんておこがましい。

ならばそうすればいい。


とりあえず、いまのソーサラーは封印することにして、ちゃんと考えて一からキャラを作ることにした。
最終的なコンセプトは、

"PKを返り討ちにできるソーサラー"だ!

(バーーーン!)

さてと、まず現時点で判っていることを整理してみよう。ソーサラーにとってもっとも重要なステイタスは魔力である。筋力、敏捷力は最終的に装備(したい)アイテムの必要条件を満たす最低数値を目指し、残りは魔力に投じるのが最後に行き着く選択肢となるはずだ。

それはなぜかというと、ふたつのゲームのシステムが故である。

ひとつはソーサラーの場合、1ポイントを体力に振っても1ヒットポイントにしか結びつかないが、同じ1ポイントを魔力に振れば2マナ(マジックポイント)になるという特性。

ふたつはマナシールドという魔法。これは受けるダメージを体力の代わりにマナが肩代わりし てくれる。

つまりマナシールドを使う場合、ソーサラーの最終的なヒットポイント量はヒットポイント+マナの合計となり、全てのクラスの中でもっとも高い耐久力を得ることも可能となる。

ヒットポイントがさきに0になったほうが死ぬ。
ならばより死ににくいほうが最後に生き残るのは道理だ。


さまざまなゲーム脳内での試行錯誤の上で僕がたどり着いた方法論はこれだ。

全部のキャラクターをやる(笑)

そしてソーサラーが装備するベストなアイテムを見つけ出し、その必要筋力、必要敏捷力を把握し、それ以外を全て魔力に振るという道である。しかもそこまでやればそれなりにアイテムも集まっているはずである。

ウォリアー、ローグをとりあえず最低限ヘルに行けるぐらいまで育てる。

それは言うほど簡単な道ではなかった。それだけで1ヵ月くらいかかった。

そのあいだ、数ある『DIABLO』サイトや本を調べつつプレイした結果、いろいろなことがなんとなくわかってきた。

筋力などのステイタスはクラスによって上限値が決まっている。『DIABLO』の世界での式を考慮して考えて、魔法使いは最強の戦士を果たして本当に殺せるのか?

レベル50で超ヒットポイント装備アイテムを完璧にそろえた場合、

ウォリアーのヒットポイントは約800になる。
ローグの場合で約700弱

ただこれは超ヒットポイント装備で固めた場合なので、攻撃速度や"のけぞり"回復などにこだわるとそこまではいかない。

ソーサラーの主力魔法"ファイヤーボール"のダメージ量は限界まで育てると1000近くになる。一見すると1発で屠れそうに見えるが、ほとんどのキャラは普通魔法への耐性値を上げている。

各属性魔法への耐性を全てマックスの75パーセントまで上げるのがヘルに潜るための基本だといわれている状況を考えると、ファイヤーボールでPKするには3〜4発当てないと殺すのは無理ということになる。そのあいだに回復ポーションも飲まれるだろうし、これは簡単にはいかないだろう。
でもファイヤーボールは魔法レベルを上げると連射速度が速くなる性質を持っているので、初弾がヒットすればおそらく少なくとも2発は当たるだろう。

(ふむ、いけるかもしれないな)

ファイヤーボール以外でも、チェイン・ライトニングの魔法を集束的に放つことができれば1000を越えるダメージになることや、ノヴァの魔法を瞬間的に連射した場合に2発目が数千ダメージになるらしいことがおぼろげながらわかってきた。


光明は見えた。

勝てるパターン(魔法)が見えれば、あとはその状況をどうやって作り出すかを考えれば良い。

いける。

そう思えたとき、初めてPKされた日から3ヵ月経っていた。

そして僕はふたり目のソーサラーを育て始めた。

いろいろな可能性を考えて強いソーサラーを作る。
その作業はこの上なく楽しかった。

ふと思う。

PKは悪なんだろうか。

確かに殺されるとすごくネガティブな気持ちになる。
しかし僕はPKされたことによってさらにわくわくできるプレイを享受できているのも事実だ。さらにPKの持つ恐怖感、緊張感は、どんなモンスターでも敵わない。悪意があるかどうかに関わらずシステムとしてこれが"あり"だということは、もはや僕は認めざるを得ない。


道を見据えて歩み始めると自ずから操作する腕前にも余裕が持てるようになるのか、ソーサラーの完成を待たずしてPKされる頻度は目に見えて減ってきた。僕は殺人鬼から逃げられるようになってきたのだ。

ソーサラーは3キャラ中、もっとも魔法の詠唱速度が速い。攻撃されても落ち着いて対処すれば、殺されるまえにテレポートで画面外に逃げるのはそれほど難しくない。
対ウォリアーの場合、初撃を食らうと圧倒的な攻撃速度により"のけぞりモーション"で固まったまま死ぬことがある。ならば初撃を食らわなければよい。ウォリアーのテレポートの詠唱を見てからでもテレポートで逃げられる。それに全攻撃を食らうわけでもない。

対ローグの場合、ヒットポイントは3キャラ中最低と言えるので攻め込むともろい面もある。
しかしローグの弓は痛い。ローグの敏捷力は命中率と弓ダメージにプラスの補正がかかるから、当たりやすいし痛いし連射は速いという三重苦だ。ただし、それも弓の射線をつねに意識していれば即死はない。さらに注意点としては、こちらが盾を装備していると盾のブロックモーションで固まってしまい、そのあとの連射を大量に食らってしまうことが多いということだ。
なので対弓ローグの対策としてブロックモーションが1フレームで可能になる"of Blocking"の魔法のついた盾をいつでも持ち替えられるように用意しておくか、盾を持たないという作戦は有効かもしれない。

対ソーサラーは対策がもっとも難しい。
消耗戦の中でマナシールドを剥がした瞬間にいかにたたみこめるかみたいな、いわゆる"読み"が重要になる。お互いの手の内を推し量りやすいだけに探りあいになる。


もちろん、ふつうにヘルでモンスターと戦う際にまったく協力しないのは逆に危なかったりするので、協力してモンスターと戦いながら(もしかしてこの中にPKerがいるかもしれない)とつねに意識している緊張感たるや、並みの娯楽では得られないんじゃないかと改めて思う。


ああ、なんて楽しいんだろう  ヽ(´∀`)ノ


『DIABLO』ってすごい(笑)


しかし、まいった。

ISDNって電話代が高いのだ。

ISDN導入後、電話代の請求額は既に月4万円を超えていた。


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・・・・・・・
・・・


大丈夫か、俺?