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実録!オンラインゲーム人生記

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『兆し:DIABLO』

2006年11月21日

『DOOM』との出会いを果たした同じ年、ある土曜日の朝。
ひとり暮らしの僕の部屋に一本の電話が掛かってきた。

若い女の声がなんとかリゾートサービスの者だと名乗り、僕の名前を
告げて在宅を尋ねた。それが僕であることを伝えるとその女性は
さらに丁寧な口調で続けた。

女性「旅行とかスキーにご興味はございますか?」

世の中で旅行が大嫌いと言う人は少ないだろう。
それにたまたま僕は中学のころからスキーをやっていたってのもあり、
ちょっと興味を持ったのも事実。
で、ええまあとか答えると詳しいご説明をしたいので
新宿の説明会場まで来ませんかと言う。

もちろんさすがに怪しいなと思いましたよ。
でもですね、下心って言うんですか、声の感じはカワイイし、
どうせ断るに決まってるからと、

僕「じゃあ僕の晩飯のついでってことで飲みながら説明してくれます?」

と言ったら、即答で、

「いいですよ」

と言われちゃったら、やっぱ行かないって言えないじゃないですか。

というわけで、新宿で待ち合わせして飲むことになりました。
行って見たらこの女性がまたかわいいんですよ。
ちょっと小柄で目鼻立ちはハッキリしていてどちらかと言えば可愛らしいタイプの女性なんですけど、仕事柄なのか言いたいことはハッキリ言う性格らしくめちゃタイプなんですよ。

で一軒目の居酒屋でスキーの話とかで盛り上がり、そこそこ飲んだなあという頃合を見計らったのか、彼女は詳しい資料で説明したいのでオフィスまでいっしょに来てほしいと言い出した。


僕「ええもちろん構いませんよ、いいですよ。行きましょう」


この場面でそんな紳士的な態度は全く無用だし、それでなにかがどうなるということはきっとないと思います。むしろ悪い方向にいってます
でも酔っ払いの男性が好みの女性を前に正常な判断をするのは無理な相談なわけですよ。

それで僕らは新宿のとある雑居ビルの事務所に行くことにしました。

そっからまるまる3時間説明を受け気が付いたら契約書にサインしてました、はい。


いくつかのリゾートホテルが半額で利用できる会員権
VISA付きの会員カード
ノートパソコン
288のモデム

5年で100万円のローン

翌日、二日酔いがおさまるにつれてだんだんまずいことになっちゃったなと思いつつもクーリングオフとか全く思いつかず、恥ずかしいので誰にも相談できず、すぐに一週間過ぎました。

ノートパソコンが東芝のダイナブックってのは悪くないんだけど
液晶はモノクロ。当然たいしたゲームは動きません。

会員契約には自動的にインターネットプロバイダー契約が付加されるらしく、ローンとはべつに会費が年間何万円か掛かる。
会員専用のホームページや掲示板があるにはあるんだけど、
でも、よくよく考えたらこれだけの支払いを背負い込んでおいて
スキーや海外旅行に行く金なんてねえよ!!

\(`Д´lll)/

まずいなあ、ゲームに使えるお金がますますなくなっちゃうよ。
ああ、なんか、僕は世間知らずでダメな奴のような気がしてきた・・・


東京で僕がバカな契約を結んでしょげていたちょうどそのころ、
アメリカ最大のゲームのイベント、E3において
後に伝説となるゲームが産声を上げていた。
僕の曖昧な記憶によれば出展されたそれを作ったのは企業ではなく個人。そのゲームをいくつもあるオファーの中から勝ち取ったのが
Blizzard Entertainment社だった。

伝説のオンラインRPG

『DIABLO』


発売されたのは1997年。

頑張ってもなかなか上がらない収入とバカなローンの為、
車も売り払った僕はゲームソフトも満足に買えない生活を送っていたんですが、この『DIABLO』だけはどうしてもやりたかった。

そしてDOS/Vパソコンを自作するという結論に至るのは
当然の流れでした。

これが茨の道とも知らずに・・・

もうね、正直たいへんです。

かけるお金は最低限とは言え、作ってみたけど動かないという状況を
何度も何度もくり返し、相性のあうパーツを探し、BIOSを組み込み
OSをインストールした。諦めかけた回数は数知れず、もう新品を
ローンで買っちゃおうかなと何回も自問し、その度に100万のローンの契約書を見て心を奮い立たせ僕は頑張った。

そして決意から半年が過ぎ、とうとう自作パソコンは完成した。
DIABLOという大作RPGをプレイすることが出来るようになったのは
ゲーム発売から既に数ヶ月が過ぎたころでした。


会社帰りに秋葉原でソフトを買い、早速インストールして、
画面に『DIABLO』の文字が浮かんだとき、
僕は両手でガッツポーズをくり出し、
そのまま小躍りしながら泣いた。\( T儺 )/

涙で滲んだDIABLOのデモムービーは強烈に美しく、
一瞬にして僕の心をつかんでしまったんだ。


これからゲームは3Dだとかポリゴンだとか言われていたその当時にあって、最高峰の賞を総なめにしたゲームが異様なまでに描きこまれた2Dグラフィックのゲームだったのはいま思えば皮肉なことだ。
操作せずに佇んでいるだけの自分のキャラクターがあたりを見回すしぐさのためだけに、何枚ものグラフィックパターンを持ち、それが自キャラの向きに合わせて4方向分のグラフィックを費やされている。
この激しい描き込みと滑らかなアニメーションがなければ正直ここまで賞賛を浴びることはなかったと思う。ここでもやはり美麗なグラフィックがゲームの魅力を高めているわけだ。
グラフィックが2Dなのか3Dなのかが問題なのではなく、
心の深いところを揺さぶるかどうかが重要
なのだ。

とにもかくにも、僕は『DIABLO』を手に入れた。


そして早速プレイ開始。
シングルプレイとマルチプレイを選ぶようになっており、
どうも同じキャラクターで両方は出来ないようだ。

とりあえずシングルを選ぶ。

キャラクター作成は最初にウォリアー、ローグ、ソーサラーの3種類から職業を選ぶことから始まる。あとはレベルアップ毎に貰える能力ポイントを筋力や魔力などの好きな項目に割り振って成長していくシステムだ。

『指輪物語』のガンダルフが好きな僕としては、やっぱ魔法使いでしょう、と軽い気持ちで選んだキャラクターはソーサラー。


この選択が結局のところ僕のその後のオンラインゲーム人生でのキャラ作成において潜在的な指針になっていくわけだが、それは併せてたいへんな苦労を背負い込むことにも繋がっていくと言うことをこの時点では想像すら出来なかった。

とりあえずゲームを開始すると、レベル1の魔法使いの僕は寂れた村に佇んでいた。


国の荒廃の元凶である悪魔DIABLOを探索の末に打ち倒し平和を取り戻すのだ。具体的には村のNPCと会話してクエストが発生し、ダンジョンに潜ってそれをクリアしてくるという流れのようだ。

ゲームの雰囲気はおどろおどろしく悪魔の名前に相応しいグラフィック。

ただ、このソフトは英語版しか存在しないので会話やメッセージは全て英語だ。だから、雰囲気は申しぶんないのだけどお話がよくわからない。とりあえず英和辞書を片手にプレイすることにする。

なにはともあれRPGなんだからモンスターと戦わなければなにも始まらない。このまま村の荒廃を見捨てて尻尾を巻いて逃げてしまっては何の為にパソコンを自作したのかわからないってもんだ。

とりあえず持ち物はと見ると、
おそらく最弱の魔法が25回撃てる杖一本だけ。

まあ、大体最初はそんなもんだよなと村をうろつくと
教会がダンジョンの入り口になっていることがわかった。

武器屋や魔法屋でなにか買い物をするお金もないので
早速突撃することにした。


教会の地下には広大な迷宮が広がっていた。
スケルトンとかゾンビ、変な犬、小鬼(ゴブリン?)みたいなやつが
僕を見つけると襲い掛かってきた。

襲い掛かってくるのはいいが、こいつら弱すぎってくらいよわい。
あっというまに地下1階の敵を全て掃除してしまった。
敵は殺すといなくなる仕様)


それで宝箱や敵から見つけたものと言えば棍棒とか布の服と少々のお金など。全部を村に持ち帰って売り払っても1000ゴールドにも満たない。僕はそのお金でお店に売っていたキルト生地の服と帽子を買った。でもそんな気休めは本当はどうでも良かった。

なぜならもっと大事なものを見つけていたからだ。

それはダンジョンの小部屋に本棚とか本立てから見つかる魔法の書。ブック オブ ヒールとかブック オブ ファイヤーボルトなどだ。これを使うと使える魔法が増えていくというシステムだ。既に覚えている魔法の書をさらに使うと魔法レベルが上がっていく。

ゲームを始めて数時間で僕は、
ファイヤーボルト(火)L2、チャージドボルト(雷)L1
ホーリーボルト(アンデッドにダメージ)L1、ヒール(回復)L1
を覚えていた。

最初に持っていた杖はチャージドボルトの杖だったので即売り払って、
体力回復ポーションとマナ回復ポーションを買い、意気揚々と地下2階へGO!。


そこのモンスターも地下1階と大差なく、
魔法を覚えた僕にとっては全く敵ではなかった。
順調にフロアを探索しキャラのレベルも6になった。

ふと、地下2階の片隅でドアひとつの四角い小部屋に気づいた。
その部屋だけうっすら見える中のグラフィックが違う。
違うというか、人の死体が散乱した異様な部屋みたいだ。


(なんか妙だな)


と一瞬は思ったけど、強くなっていた僕はほぼ躊躇なくドアを開けた。

すると突然、


「フレッシュミ〜〜〜〜ト!!」


と雄叫びを上げながらでかい二足歩行の豚みたいなモンスターが
中華包丁みたいなのを振り回して突進してきた。

  (ノ ̄Д ̄;)ノ


うわっと思って逃げる。

背中に包丁の攻撃をくらう。

体力の3分の2を奪われる。

げっ!

攻撃を食らうとキャラクターがのけぞる。

硬直しているところにさらに包丁を振り下ろされる。

うわあぁぁぁ。

画面は真っ赤に染まり、僕は死んだ。

・・・・・・・・

・・・・・

・・・


あ、そう言えばこれセーブってどうやるんだっけ?

画面に表示されているLOAD GAMEを選んでみると、

25発のチャージドボルトの杖だけ持った僕が
レベル1で村に佇んでいた・・・ OTZ

結局のところ『DOOM』は単なるプレリュードでしかなく、
本当の意味での至福(苦難)のネットゲームライフはここから始まる。

投稿者 hero : 2006年11月21日 11:30