Vol.2:モハビの縄張り(シマ)争いは最悪だぜ!

 ヒャッハー! 自分の血の海を見たいかぁ!?

 いよいよ発売直前の『Fallout: New Vegas』(以下FONV)の世界をドップリさまよう地獄紀行。第2回目は、いまそこで「何が起きているのか」を解説してみよう。とにかく人間関係が入り組んでいるのが今回の『FONV』における最大のファクターとなっており、様々な勢力に協力するか否かでクエストの流れはガラリと変わる。筆者はモハビの荒野を流浪しながら、その足で集めた情報を、可能な限りここで報告してみよう。

 

 単なる宅配便業者にすぎなかった俺が、ベニーとかいう野郎に襲撃されて全身ガタガタの状態で復活したのは、グッドスプリングスという、さえない田舎町の医者の家だった。

奪われた荷物を取り戻すために外に飛び出すも、周囲には見渡す限りの荒野ばかり。遠方に見えるニューべガスの夜景。しかし、辿り着くまでには多くの苦難を乗り越える必要がある。そこで、まず必要なのは人間関係の掌握。かつてネバダ州ラスベガスと呼ばれたこの土地には、如何なるグループが存在し、敵対しているのか、すぐにリサーチが必要だった。

 

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▲みんなと仲良くなんて、モハビでは通用しない。お前はオレの味方かそうじゃないのか。どちらにもよろしくやってるヤローはいずれ信用を失う。

 

 周辺への聞き込みで判明した情勢はこうだ。この田舎町の周囲にいるのは、"パウダーギャング"と呼ばれる脱走兵の集団がいて、町には危険な存在となっていること。その脱走兵を取り締まる権力側代表は、“新カリフォルニア共和国(New California Republic)”、略してNCRという軍事集団。周辺エリア、とくにニューべガスの歓楽街ストリップ地区が消費する、膨大な電力をまかなうフーバーダムを管轄下におくが、数が多いだけで統制はバラバラ。敵の驚異にさらされながら、極限状態で持ちこたえている模様。


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▲ダム利権はいつの時代も重要課題。モハビ・ウェイストランドでもフーバーダムを背景にさまざまな思惑がうごめく。

 

 その NCRの宿敵が、無慈悲で残虐な奴隷商人の部族集団“シーザー・リージョン”。古代ローマ帝国スタイルの社会理念復興を掲げる狂信的集団であり、武器も原始的でゲリラ戦が得意というサイコーな連中で、モハビの原野では緩衝エリアにおいてNCRとリージョンの小競り合いが頻繁に目撃できる。シーザーに家族を誘拐されたり、襲撃されて拷問を受けた人々やNCR兵士も多く、その恐怖を全面に押し出したスタイルは一見の価値あり、である。


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▲圧倒的な暴力でモハビ全土を恐怖の渦に叩き落すシーザー・リージョン。時代錯誤のコスプレ野郎とナメてかかると撲殺される。

 

 しかし古参のギャングもいる。レッドロック・キャニオンと呼ばれる山岳エリアを根城とする、モハビ最古のギャンググループ、“グレート・カーンズ”の存在を忘れてはならないだろう。カーンズはNCRに元々住んでいた土地を無理矢理追い出された怨みがあり、正面から敵対中。薬物の密売で生計を立てているのだが、俺を襲ったベニーとも手を組んでいたので、敵としては厄介な存在であることは間違いないだろう。


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▲グレート・カーンズの誰かが制作したのだろう、謎のオブジェ。インディアン文化とアウトサイダーアートが合体したかのような異質さは、ピッツバーグのレイダー・アートを想起させる。

 

 さらに厄介なのが、中毒症状で完全に理性を失った超凶暴レイダー集団“フィーンド”だ。階級別の牛骨ヘルメットが特徴的なフィーンドは、通常のレイダーよりも武器を使いこなしており、なかなか手強い。フィーンドを統率する“モーターランナー”というボスの名前を耳にしたが、まだ対面には至っていない。


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▲完全にイッちゃっているフィーンドども。その割にエネルギー兵器も使いこなしてくるから手に負えない。

 

 対するNCR側も、決して1枚岩ではない。NCRは通常の兵士と、志願兵で構成されたレンジャー部隊に分かれており、最前線にはレンジャーの中継基地を配備してリージョンの襲撃に備えているが、リージョンの夜襲にさらされる事態もしばしば。しかしNCR幹部は兵力の不備を理由に、フーバーダム以外の戦地を重要視していない様子だ。そこに俺のような流れ者が介入できるスキがある。NCRの敵はリージョン以外にも、自らが捕らえた犯罪者が結成したパウダーギャング、ニューべガス市街地周辺に出現するフィーンド、そしてべガスのストリップ地区を支配するギャングのファミリーとも、決して良好な関係ではなさそうだ。しかしNCRですら、その全貌を把握していない謎の部族も存在するらしい。


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▲敵地が近いキャンプ地に配属されたグール。第442連隊戦闘団(第2次世界大戦の日系人部隊)みたいなもんか?

 

 まだ名前しか知らないが、“ブーマー”という連中には、会うだけで命がけ。雪山の別荘地には小さなスーパーミュータントのコミュニティがあるという、キャラバン商人からの目撃情報も聞いた。その正反対のブラックマウンテンという山には、凶暴なスーパーミュータントの集団が住み着いて、旅人への襲撃を繰り返しているとの情報もある。

 

 さらに、スッカリ噂を聞かなくなったBrotherhood of Steel(ブラザーフッド・オブ・スティール)、略してB.O.Sの連中はどうなったのか? 実はこの広大なモハビのどこかに、ひっそりと隠れてチャンスを伺っているという噂を聞いた。噂話ばかりで恐縮だが、彼らとの関わり方次第で、この世界での人生はどうにでも左右される。どの部族とも対立するばかりでは好ましくない。口八丁手八丁で事態を乗り越えるテクニックも、時には重要になってくる。まさかの選択の時のために、SPEECHスキルはしっかり鍛えておきたいところだが、騙しのテクニックの詳細については、また別の機会に譲ろう。


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▲旅が続けばB.O.S.の姿をふたたび目にすることもあるだろう……。

 

 とりあえず、コレだけは断言できる……!

 嘘をつこうが欺こうが、死なない限り、問題はない!

 

次回:「武器こそすべて! 弾丸1発は血の1滴だぜ!」

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マスク・ド・UH

国籍、年齢、職業すべて不詳という設定の自称・洋ゲー冒険家。週刊ファミ通において、ゲームクリエイター須田剛一氏と共に“洋ゲー発着便AIRPORT 51”を連載中。ファミ通wave DVDでは最新洋ゲーレビュー“THE NEW 洋ゲー TIMS”を連載中の他、ファミ通wave DVD公式サイトにて“動く!! 洋ゲー TIMES”の動画も配信中。某大手海外ゲームデベロッパーの元社員という噂もあるが、本人曰く「オマエの過去は聞かない。だからオレの過去も聞くな」とのこと。座右の銘は「毒蛇は急がない」。Twitterでは<MASKDEUHBADASS>の名義で小ネタ&コボレ情報も投下中。SEE YOU IN HELL !!!