『画ニメ』作品監督を務めた佐野史郎と木村俊幸によるトークショーが開催された
2007/2/27
●審査委員会推薦作品に選定された『画ニメ』作品2作の監督が登壇
2007年2月24日から東京都写真美術館にて開催されている、第10回文化庁メディア芸術祭の、"アニメーション部門"にて、『画ニメ』(※)レーベルから『つゆのひとしずく 〜植田正治の写真世界を彷徨う〜』(監督:佐野史郎)、『現代畸聞録 怪異物語』(監督:木村俊幸)の2作品が、審査委員会推薦作品として選定された。これに伴い、監督を務めた佐野史郎と木村俊幸による、作品の上映会及び、トークショーが開かれたぞ。
※『画ニメ』とは、東映アニメーションが2006年8月より展開している新感覚映像コンテンツ。"アーティストの持つ創造性を映像によって解き放つ"ことをテーマに掲げ、個人の裁量、感性を最大限に活かす制作手法が用いられている。

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『つゆのひとしずく 〜植田正治の写真世界を彷徨う〜』の監督・佐野史郎(写真中央)と『現代畸聞録 怪異物語』の監督・木村俊幸(写真右)によるトークショーが開催された。 |
両作品上映後には、佐野史郎と木村俊幸が登場。それぞれに作品に込めた思いや、『画ニメ』というコンテンツの難しさとおもしろさ、文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門審査委員会推薦作品に選定されたことへの感想などを語った。
まず審査委員会推薦作品に選定されたことに関して佐野監督は「ひとりでも多くの方に見ていただきたいと思っておりますので、このような機会を与えてもらえて非常に喜んでおります。また文化庁メディア芸術祭に選ばれたことはたいへん光栄に思っております。今後ともかわいがってやってください」とコメント。続く木村監督は「推薦されたことに、まずビックリしています。どこにひっかかったんだろう? と(笑)」と自身の作品が推薦されたことに対しての驚きを語った。
佐野史郎監督の『つゆのひとしずく 〜植田正治の写真世界を彷徨う〜』は、写真家・植田正治の写真世界を、独自の感性でつなぎ合わせるという作業を行った作品。戦前・戦後の山陰地方の人々や風景、路面電車の走る東京の街並みなど、懐かしい写真に音楽やセリフなどを加えている。同作品の音楽は、ザ・フォーク・クルセイダーズなどで知られる加藤和彦が担当、作品中の言葉は文豪・小泉八雲の作品から引用している。
佐野監督は自身の作品について「新しい手法だとは思っていないです。絵を重ねてカットを重ねて物語を作っていく。その絵がひとつひとつ動いていなくても絵をモンタージュしていくことで状況を説明したり、何かしらの空気感が伝わる。それはむしろ映画の原点に近い。原点へと遡っていくような作業なんじゃないかなと、そこがおもしろかったです。」(佐野)と語り、「制作するうえで苦労した点は?」という質問に対しては「動かない絵ですから、絵に力がないと成立しないなぁと思うようになりました。そこが苦労と言えば苦労ですけど、植田正治さんの作品がまず最初にありますので、その力強い写真にはだいぶ甘えているわけです。甘えてはいるのですが、それをさらに9:16でトリミングするというのが、写真の神の領域に踏み込んでしまうわけですから、そこがいちばん怖かったですね(笑)」(佐野)と語った。

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続いて木村俊幸監督に質問が及ぶ。木村監督の『現代畸聞録 怪異物語』は、日本で語り継がれている都市伝説を、CG・ホラー界の重鎮として海外でも人気の高い同監督自身が画を描き、制作にあたった作品。全6篇のオムニバスホラーとなっており、会場ではその中から『冷蔵庫』と『夜の橋』という2篇が上映された。
トークショーでは制作上、こだわった点について以下のようにコメント。「絵ってふつうに描いても怖くはならないんですよね。昔は幽霊の絵などがあって、現代絵画風なんだけど"ちょっとイヤ"というところを目指しました。"怖さ"を描くというのは困難ばかりがありましたね。」(木村)。
また、お互いの作品の感想を求められると、「写真の実験から映画が生まれたという、この部分に佐野さんが入っていったというのが、エグイことするなぁと(笑)」(木村)。「最初に思っていた『画ニメ』というものの原型というか、自分で絵を描いて演出するという、いちばん『画ニメ』らしい、『画ニメ』じゃないかなと思いました。」(佐野)と答えた。
トークショーの最後には「『画ニメ』というレーベルや、この文化庁メディア芸術祭が若い才能を育成する土壌を作る、きっかけになればいいなと思っています」(佐野)と『画ニメ』と文化庁メディア芸術祭の今後の活動に期待感を表した。
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