HOME> アニメ・声優> 牧野由依:「初恋の声がする」と言われて……

ファミ通Xbox(毎月30日発売)の人気連載コーナー“エンジェル・ボイス
アゲイン”がファミ通.comに出張。誌面の都合で、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全網羅。旬の声優さんが語る“声のお仕事”に対する思いとは? 本日のゲストは、牧野由依さんです(不定期連載第26回)。
| 【本日のゲスト・牧野由依さん】 |
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アニメ『ツバサ・クロニクル』のサクラ役で声優としてデビュー。最近の出演作に『宇宙をかける少女』の河合ほのか役や『大正野球娘。』の桜見鏡子など。現在は声優&歌手として活躍中。 |
●声優の演技に決まっていることは何もない
――まずは声優さんを目指すきっかけから教えてください。
牧野 私はもともと子役出身で、テレビのバラエティー番組とかに出演していたんですね。岩井俊二監督の映画でピアノを弾かせていただいたりもしました。それで、タレントをやりながら学校に通っていたのですが、本業がなんだかわからない感じになってしまったんですね。で、高校2年のときに、「将来の自分のお仕事として、芸能活動をしっかりとやっていけるようにしたい!」って改めて考えたんです。そのころ私は音大の付属高校に通っていたのですが、だったら音楽を活かせる道を……ということで応募したのが、『創聖のアクエリオン』のエンディング曲を歌うオーディションでした。
――そこから声優への道が?
牧野 『創聖のアクエリオン』のプロデューサーさんに「『ツバサ・クロニクル』のヒロイン役オーディションがあるんだけど、声のお仕事に興味ある?」って聞かれたんです。さっきも言いましたけど、私は人の前に出て何かを表現することを将来のお仕事にしたいと思っていたので、「ぜひ受けさせてください」ってお願いしました。ほとんどわらにもすがる思いだったのですが……。だた、それまで声優の勉強をしたことがまったくなかったので、正直「ダメだろうな」って思っていました。『ツバサ・クロニクル』はかなりの人数がオーディションを受けていて、オーディションも書類選考、テープ審査、スタジオ審査とがありました。
――たいへんな狭き門ですねえ。
牧野 でも、ぜんぜん受かるとは思っていなくて、毎回審査を通るたびに「ええーっ!? 私が?」って感じでした。
――受かった瞬間はどうでした?
牧野 受かったこと自体がぜんぜんわからなかったです(笑)。ちなみに、『ツバサ・クロニクル』のスタジオオーディションは2004年年末にあったのですが、翌年の年明け1月6日に二次審査があって、1月19日に結果が出たんです。なぜこんなによく覚えているかというと、1月6日は母の誕生日で、1月19日は私の誕生日だからなんです(笑)。
――なんと! それは運命的なものを感じますね。すばらしい誕生日プレゼントだ。
牧野 はい! サクラ役に決まった途端に、「収録は2年間あります」「制作発表会があります」「劇場版も決まりました」「劇場版の主題歌でCDデビューも決まっています」みたいな感じで怒濤の毎日でした(笑)。
――まさにシンデレラストーリーですね。では、実際にアフレコ現場に飛び込んでみてどうだったのですか? お芝居の下地があったから苦労はなかった?
牧野 最初は私も「お芝居の経験があるからきっと大丈夫」と思っていたのですが、とんでもない勘違いで、ぜんぜん違いました。「キューランプ※を出すので、そのタイミングでしゃべってください」と言われても、キューランプがどこにあるのかもわからないくらい(笑)。あと、キャストの皆さんがいる前でお芝居をするというのが、ものすごく恥ずかしくて。テレビドラマの収録だと、収録現場にはそのシーンに出ている人しかいないんですね。ところが、アニメのアフレコだと、その回に出演している人が全員同じブースの中にいらっしゃる中で演じることになるんです。初めは緊張するやら恥ずかしいやらで頭が真っ白になりました。
(※キューランプ:演技を始めるときに点灯するランプのこと)
――実際のお芝居も苦労したのですか?
牧野 雲を掴むような感じでした。最初はまったくわかりませんでした。役者さんどうしの掛け合いはわかるのですが、なにしろ絵を見ながらしゃべらないといけないので、3点に集中しないといけないんですね。マイクに入るタイミングと、絵を見ながら自分でタイミングを図ってしゃべり始めるタイミング、そして役者さんどうしの掛け合いのタイミング。そのうえで、完成形がどうなるかイマジネーションを膨らませて演技しないといけないんです。
――複数のことを一度にこなさないといけないということですね。
牧野 ただ、『ツバサ・クロニクル』では、この番組が声優の仕事が初めて、というのが私だけではなくて、菊地美香ちゃんもそうだったんですね。だから、お互いに励まし合いながらがんばっていきました。美香ちゃんが演じたモコナは最初からよくしゃべる役だったので、たいへんだったと思いますけど。その点私が演じたさくらは、最初に記憶を失って、徐々に回復していくという役回りだったんですね。それで、回を追うことに元気になってセリフも増えていったので、素敵な巡り合わせでした。
――声優のスキルがアップするのと役柄がシンクロしていたんですね。
牧野 あと、『ツバサ・クロニクル』は子役出身の声優さんが多かったんですね。入野自由くんとか浪川大輔さんとか……それも心強かったですし、先輩もやさしい方たちばかりでした。とにかく現場に一体感がありましたね。
――収録をしていて徐々に手応えも感じつつしたのですか?
牧野 そうですね。『ツバサ・クロニクル』には、本当に豪華なゲストの方がいらっしゃっていたんですね。それで2話以降しばらくセリブが少ない期間が続いたときに、そのゲストの皆さんの演技を勉強して実際に自分の演技に取り入れたりしたら、音響監督さんにも「最近役を掴んできたね」って言ってもらえたりしました。
――いろいろな意味で牧野さんにとっては大きな作品だったのですね。
牧野 はい。それで、原作者のCLAMPさんとは、いまでも公私ともにお世話になっています。デビュー当時は私が18歳だったということもあって、娘のように……といったら失礼かもしれませんが、本当にかわいがっていただきました。今年7月にフランスで行われた“ジャパンエキスポ”では、もこな先生から着物をお借りして、着付けもしていただいたんです。CLAMPさんは、ご自身の作品がアニメ化されるときは声優役のオーディションテープも聴かれるらしいのですが、そのテープを聴かれたときの印象を知りたくて、うかがったことがあるんですね。そしたら、「初恋の声がした」って言っていただいたんです。とてもうれしかったです。
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▲牧野さんがヒロインのサクラ役を担当した『ツバサ・クロニクル』。 |
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――声のお仕事を始められて牧野さんにとって、演じることの醍醐味って何ですか?
牧野 そうですね。声のお仕事を始めた当初は、与えられた役柄のセリフを「いかに違和感なく演じるか?」ということをずっと考えていて、そこに縛られていた部分があったんですね。だから、収録のときも口パクの見えない背中でのセリフやオフのセリフがあるときは何となく不安でした。でも最近は、「口パクが見えないし、自由にできる」という発想に変わったんです。収録のテストのときに1回遊んでみて、ちょっとおおげさに演技して「私はこうだと思うんですけど、これでいいですか?」ってアピールするんですね。それで何も言われなかったら、「よししめた! これでいこう」って思って本番に臨むんです(笑)。
――なるほど。ご自分から提案できるようになったんですね。
牧野 最初、アニメのアフレコはしちゃいけないことばかりだと思っていたんです。決められた尺(長さ)でしゃべらないといけないわけですし……。でも、決まっているのはむしろそれくらいで、「決まっていることは何もないんだな」って最近気付きました。そう思ったら、けっこう楽しめるようになりました。
――いままで演じたなかで印象的な役柄は何になります?
牧野 『N・H・Kにようこそ!』の中原岬ちゃん。彼女は心に傷を負った女の子で、ひきこもりの青年を立ち直らせるために、いきなり現れた謎の少女という役どころだったのですが、とにかく掴みどころのない子で、わからない感じでした。で、音響監督さんから「役者としてお芝居をしてください!」って言われて、「ああ、リアルな演技を求められているんだ」って気がついたんです。そのころちょうどアニメとしてのお芝居をなんとなく掴んできた時期だったので、そのときの常識を覆された感じでした。音響監督からは「極端な話、絵は無視してもいいから、とにかく会話を重視してほしい」って言われました。
――ある意味で、子役のときに培った演技に近い感じ?
牧野 『N・H・Kにようこそ!』では、どんなに長いセリフでも覚えていきました。場合によっては、ふたりだけの掛け合いで3〜4ページも続いたり、ひとりのセリフが何行も続いたりということもありました。あとで気がついたのですが、その音響監督さんは役者もやられている方だったんですね。
――自然な演技がお好きだったんですね?
牧野 そうですね。アニメのアフレコだと、重要な言葉にアクセントをつけて演技をする、いわゆる“言葉を立てる”という技術があるのですが、日常生活ではあまりやらないじゃないですか。あのころの私は、アニメのアフレコは言葉の最初にアクセントをもってきて、“立てる”というのを何となくわかってきた時期だったので、「ナチュラルに……」って言われて相当戸惑ったんですね。『N・H・Kにようこそ!』は、べつに魔法を使うわけでもないし、どこかに旅するわけでもないし、素敵な巡り合わせがあるわけでもない。日常のリアルを描く本当にヘビーな話だったのですが、すごくいい作品でした。主人公の佐藤達広役を演じた小泉豊さんも舞台をやっていらっしゃる方で、泣くシーンでは、ふたりともボロボロになって号泣しながら演技をしていました。
――いま趣味として取り組んでいることで、それが仕事に活かされている……みたいなことはあります?
牧野 このまえまでは、趣味は「眠ることです」とか「トレーニングジムに通うことです」とか、「岩盤浴です」とか言っていたんですけど、本当につい先日できた趣味があるんです(笑)。室内楽です!
――あら、それはまたなぜ?
牧野 私のコンサートには“クラシックコーナー”があるのですが、私がピアノを弾いて、チェロの方とアンサンブルを2曲くらい演奏するんですね。それが楽しくて! だったら、趣味として取り組んでみようかなと。私、学生のころはピアノ科に所属していて、本当は室内楽の授業も取りたかったのですが、室内楽は最低3人くらいでやるんですね。それで、私はお仕事をしているということもあり、授業に出られないことでまわりの友だちに迷惑をかけるのもまずいだろうということで、学生時代は室内楽ができなかったんです。学生時代にできなかったことが、いまになって実現できるなんてすばらしいと思いません? 学生時代は“音楽史”とか勉強するのは、本当に嫌だったんですよ。卒業したときは、「学校がない。やったー!」って思っていたのですが、最近になって強制的に音楽の知識を詰め込まれるのは、本当にありがたかったんだな……って思ってみたり。だから、ちょうど飢えていた時期に「室内楽やらない?」って誘ってもらって、すごくうれしかったです。ピアノは、最近になって本当に「楽しいなあ」って思えるようになりましたね。
――最後に、今後の抱負を教えてください。
牧野 昨年、今年は自分のなかでいろいろと変化のあった年でした。大学を卒業してお仕事にじっくりと浸ってみることで、見えないものが見えてきたり、逆にあったものがなくなってその大切さに気付いたりしました。そんななかで、今年の1月からずっとアニメ作品に出させていただいているんですね。そうした経験を通じて、いろいろなことを吸収して自分のなりのスタイルを確立していきたいです。お芝居はもちろん、歌の部分でもどんどん発展できるようになっていきたいなって思います。
歌手としても活躍する牧野由依のコンサートが2009年12月2日に行われる。その詳細は以下のとおり。
【牧野由依コンサート〜So
Bright〜】
■日時:2009年12月2日(水)開場/午後6時30分、開演/午後7時
■会場:九段会館
■料金:4800円[税込]/全席指定
■問合せ先:キャピタルヴィレッジ TEL.03・3478・9999
■チケット:チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、CNプレイガイド、キャピタルヴィレッジで発売
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[INFORMATION] |
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『ツバサ・クロニクル』 |
※牧野由依さんの公式サイトはこちら
photograh:Daisuke Komori
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昨日(2012年2月14日)のニュースをまとめておさらい。新作アプリ情報やアップデート情報に加え、そのほかのニュースなどをまとめてご紹介します。
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