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福井裕佳梨:とにかく自信を持って演じるように……
エンジェル・ボイス アゲイン

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エンジェル・ボイス アゲイン


ファミ通Xbox 360(毎月30日発売)の人気連載“エンジェル・ボイス アゲイン”とファミ通.comがコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録。声優さんが“声のお仕事”に対するこだわりぶりを語る! 本日のゲストは、福井裕佳梨さん(不定期連載第22回)。

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【本日のゲスト・福井裕佳梨さん】

女優などで活躍するかたわらアニメ『彼氏彼女の事情』の瀬奈りか役で声優デビュー。以降は精力的に声優業をこなす。最近では『まかでみ・WAっしょい!』のファルチェ役などでおなじみ。ゲーム関連では、PSP用ソフト『ディシディア ファイナルファンタジー』のティナ役などを担当している。


●『新世紀エヴァンゲリオン』との運命の出会い

yukari02――まずは、声のお仕事に携わるようになったきっかけを教えてください。
福井
 はい。もともと私は小さいころから私はアニメが大好きで、エンディングで声優さんの名前をチェックしてしまうような子だったんですね。当然声優さんには憧れていたのですが、当時の私はいまの10倍くらいしゃべるのが遅かった(笑)。とてもマイペースな子だったので、絵に合わせて声を出していくことについていけるのだろうか?って思ったんですね。さらに活舌が悪くて「しゃししゅしぇしょ(さしすせそ)」という感じで赤ちゃん言葉になってしまう。これでは声優はきびしいだろうなあ……ということで、声優への道は諦めていたのですが、『新世紀エヴァンゲリオン』と運命の出会いをしまして(笑)。

――とんでもないブームになりましたね。
福井
 当時はすでに女優などをしていたのですが、私、『新世紀エヴァンゲリオン』が大好きで、お仕事に行くたびに現場で綾波レイやシンジくんのものまねをしていたんですね。それがきっかけで、ガイナックスさんから最新作の『彼氏彼女の事情』(1998年)の声優オーディションに誘われてしまったんです。

――それはすごいご縁ですね(笑)。
福井
 オーディションを受けたのは、すごく生意気な感じの女の子だったのですが、私自身がすごい緊張と(オーディションを受けられて)うれしいという思いとがあって、わがままなところがまったく見えないような女の子になってしまったんです。「これはぜんぜん違う!」ということで、がっかりしていたのですが、別の素直な女の子の役をいただくことができたんです。

――オーディションを受けられたのはそんなにうれしかったのですね?
福井
 やはり、小さいころからずっと憧れていたガイナックスさんの作品でしたし、たとえオーディションでも「まさか自分がアニメのお仕事に関わらせていただけるんだ!」ということで自然と興奮してしまいました。「これは夢か!?」という感じでした(笑)。実際に役がいただけるとは思っていなかったので、これは奇跡だということで、びっくりしてしまいました。おうちで駆け回ってしまったくらい。

――(笑)。実際演じてみていかがでした?
福井
 やはり活舌がよくないのと、しゃべるのが遅いのが重なって、「私の出番はいつかな?」とか思っているうちに気がついたら1話の収録が終わっているようなありさまで(笑)。もうちょっと早くやらないといけない……という葛藤があったのですが、庵野(秀明)監督が、「いつものふだんどおりの感じで、アッパラパーに演じてください」っておっしゃってくださったので、肩の力が抜けました。それからは、あまり作り過ぎずに、自然な感情を出せればということを心がけるようになりました。

――庵野監督のひと言でリラックスできたんですね。
福井
 庵野監督はふだんは寡黙な方なのに、たまにぼそっとおもしろいことを言われるんですよ。「やってちゃぶだい」とか(笑)。それが楽しくて。

――楽しそうな現場だったみたいですね(笑)。
福井
 そうなんです。『彼氏彼女の事情』は新人さんが多い一方で、大ベテランさんもたくさんいらっしゃって、暖かさと賑やかさが入り混じった現場でした。私もすごく緊張していたのですが、逆に考え過ぎないで、素直な状態で演じることができたように思います。

――むしろ当時じゃないとできないような演技だった?
福井
 はい。いまでは絶対にできないです。で、それからしばらくは声優のお仕事をしていなかったのですが、4年後に同じガイナックスさんのアニメ『ぷちぷり★ユーシィ』(2002年)のココルー役を担当させていただいたのですが、それが転機になりました。ココルーは幽霊界のお姫様で、自分にはあまり自信がないけれど、芯はすごく強い意志を持っているという女の子だったのですが、演じ始めたときは、私の中ではとにかく葛藤ばかりでした。私は声優さんの学校に通っていたわけでもなかったので、とにかく自信がなくて、ココルーを演じることが本当に申し訳なかったんですね。でも、ふと「こんな自信のない状態で演じていたら、ファンの皆さんはもちろん、ココルーに対しても失礼にあたる!」って思ったんです。それで、とにかく自信を持って演じるように心掛けました。そこからですね、声優に対して“自信”を持って取り組むようになったのは。

●ふだんからその役になりきってしまう

yukari03――生身で演技をしていて、声のお仕事も手掛けるようになったわけですが、戸惑いなどはありませんでした?
福井
 声のお芝居といえども、生きているものに対して“生命”を吹き込ませていただくことになりますので、いかに本当の感情を込めるかが課題になっていますね。“声だけ”という制約もあるわけですし。実際アニメのアフレコ中に、実際にキャラクターと同じ動きをしてしまうこともありますね。音を入れないようにして(笑)。

――(笑)。では、どのような感じで役作りをしているのですか?
福井
 自然に任せることもあるし、台本を読み込んで丹念に作り上げることもあります。お芝居をする方にもよるのでしょうが、声優さんにはふたつのタイプがあると思うんです。お芝居に入った途端にシャキーンと仮面を被る、いわゆる“ガラスの仮面タイプ”と、キャラクターが役者に取りつく“潮来タイプ”と。私は本当に不器用なので、”ガラスの仮面"ができなくて、潮来型なんです。ふだんからその役に成りきっていないと、本番で演技ができなくて。

――収録が始まる日は、朝からその役になりきったり?
福井
 その日以前からでも、気が付いたらその方になっていたりします(笑)。逆に、ふだんからその方になっていないと、本番で演技ができないんです。そういうタイプです。

――もしかして知り合いに、「福井さん、性格が変わったんじゃない?」とか言われたり?
福井 
はい。ときどきありますね(笑)。そうした心の動きはなるべく表に出さないようにしているのですが、親しい人の前だとつい気が緩んでしまって、「いまあのキャラになっている!」ということがけっこうあります(笑)。ドジっ子ちゃんの役だと、自分も1日中ドジっ子になってしまって、改札でパスネットの代わりにキャッシュカードを入れてみたり(笑)。改札にキャッシュカードって、意外と入っちゃうんですよ(笑)。

――(笑)。生粋の役者さんですね。
福井
 あとは、共演している役者さんが、そのままの役に見えてしまうこともあります。たとえば、OVAで『トップをねらえ2!』(2004年〜2007年)のノノ役をやったときもそうでした。ノノは坂本真綾さん演じるラルクを「お姉さま」と呼んで慕っているのですが、私も真綾さんを見るとつねに「お姉さま!」という感じになってしまいました。それが縁で、真綾さんにはいまでもかわいがってもらっています。

――今後演じてみたい役なんてあります?
福井
 悪役です! 『ヤッターマン』のドロンジョ様みたいな。悪役というのはすごく難しい役だと思うんですね。悪役と言えども“心”があるわけで、相当に演技力が問われることになる。だからいつか、みなさんに愛されるような悪役を演じてみたいです。声優は、生身だと無理な役を演じられたりして、実写とは違った可能性がすごくあるのが醍醐味です。これからもがんばっていきますので、よろしくお願いします。

※福井さんの公式ブログはこちら 

 


photograh:Daisuke Komori

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