HOME> アニメ・声優> 井口裕香:20歳の目標はリミッターを外すこと
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360(毎月30日発売)の人気連載“エンジェル・ボイス アゲイン”とファミ通.comがコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録。声優さんが“声のお仕事”に対するこだわりぶりを語る! 本日のゲストは、井口裕香さんです(不定期連載第21回)。
【本日のゲスト・井口裕香さん】 |
『デ・ジ・キャラットにょ』のうさだあかり役でアニメデビュー。以降『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の天海春香役や『仮面のメイドガイ』の富士原なえか役など多数の役を演じる。 |
●人ひとりを演じるには、自分プラスもうひとりぶんのエネルギーが必要
――まずは、声優を目指すきっかけから教えてください。
井口 もともと子供のころからアニメがものすごく好きで、夕方に放送しているアニメはほとんど見ていました。大好きなアニメが始まるをテレビの前で楽しみに待っているときが、自分にとってはなによりも大切な時間だったんです。それで、アニメ雑誌などで声優さんのことを知って、こういう夢のある世界に関わりたいなって思ったんですね。
――それで声優の道へと?
井口 はい。昔の私は怖いもの知らずで、欲しいものが手に入らないハズはないくらいに思っていたんです。運動会の競走でも「1等賞じゃないと意味がない!」という子でした。だから、声優への憧れを抱いたときも、「なりたい」というよりは「なるべきだ!」くらいに感じていました。それで中学1年生のときにあるオーディションを受けたら、受かってしまったんです。
――有言実行ですね(笑)。
井口 親も落ちると思っていたみたいで、社会勉強のつもりで受けさせてくれたんですね。私もさすがに受かるとは思っていなくて、「どこまで行けるんだろう?」という腕試しくらいに考えていたのですが、受かったときは、「夢に向かっていい感じに道が拓けてきた!」という感じで本当にうれしかったです(笑)。
――いざ飛び込んでいた声優の道はいかがでした?
井口 憧れていた世界に入れたので、最初はただ楽しくて仕方がなかったです。目の前に現れた仕事をとにかく楽しんでいた感じでした。
――初めてのアニメのお仕事は?
井口 15歳のときですね。私がデビューしたのは13歳のときだったのですが、それまではイベント関連の出演が多くて、きちんとしたアニメに出させていただくのは、15歳のときの『デ・ジ・キャラットにょ』のうさだあかり役が初めてでした。そこで初めて現場で先輩の声優さんたちと仕事をさせていただいたのですが、勝手がまるで違って戸惑いました。イベントとはぜんぜん空気が違ったんです。
――あら。
井口 テンパッてしまって同じ人に何回も挨拶をしたり(笑)。いままでは学生のノリでわいわい騒ぎながらやっていたのですが、「お仕事だから、そういうわけにはいかないな」って思いました。でも、まわりはやさしい先輩たちばかりで、私がミスをしてもちゃんとフォローしてくれました。みなさんにアドバイスもいただいて、そこでいろいろと学びましたね。
――養成所とかには?
井口 一切通っていないんです。きっと学校に通って基礎を学ぶ必要があるんでしょうが、現場で先輩のお芝居を見て、空気を感じることがいちばんの勉強になりました。その点は、私は本当に幸せでした。アフレコで自分の出番がないときは、後ろのほうでじっとしていて、先輩のお芝居を見ていたりしましたね。そこで鳥肌を立てたりとか……。あと、沢城みゆきさんの存在も大きかったです。沢城さんは当時私より2〜3歳くらいしか上じゃなかったのですが、私が学生っぽいノリで仕事をしているときも、ときにやさしく、ときにきびしく諭してくれる。言葉でなくても目で合図をしてくれるんですね。だから、『デ・ジ・キャラットにょ』のときはみゆきさんを見ていました。
――とくに印象に残っている役柄は何になりますか?
井口 やはりアニメ『アイドルマスター
XENOGLOSSIA』(2007年)の天海春香役です。初めての主役のうえに初めての2クールということで、自分の中で転機になった作品でした。春香は等身大の女の子で、何かに秀でているというわけでもなかったので、そんなに役柄を作り込まずに、「いまの自分にやれるお芝居ができればいいな」って思っていました。なるべく喜怒哀楽を出すようにしたのですが、やり過ぎるとおかしくなってしまうので、自然な振れ幅でナチュラルな演技ができるように気を配っていました。あとは、先輩方の素敵なお芝居を聞いて、そこに乗っかっていけたらいいな……と。春香を演じていると、徐々に自由に演技できる幅が広がっていっきましたね。たとえば、余裕がないときはまわりのことまで気が回らなくて、自分だけの思いで突っ走っていたのですが、徐々に相手の役者さんのお芝居を受けて、それに返せるようになりました。
▲井口さんが自分の中で転機になった役だと語るアニメ『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の天海春香役。 |
――『アイドルマスター
XENOGLOSSIA』で掴んだものは?
井口 なんでしょうねー。たくさんあると思うのですが、やっぱりいちばんは、「楽しむことが大事」ということかなあ。アニメって、見ている人にとっては楽しい時間だと思うのですが、皆さんに楽しんでもらうためにも、まずは自分が楽しまないといけないですからね。あと思ったのが、人をひとり演じることって、自分プラスもうひとりぶんのエネルギーが必要だということ。演じるというのはものすごいパワーを必要とする作業ですね。
――なるほど。そのパワーはどこから来るのですか?
井口 基本は“演じるのが好き”というところから来るんじゃないでしょうか。アフレコのあとは、「すごく疲れた」ではなくて、やり切った感のある、充実感のある疲れがありますよね。
――これからの目標を教えてください。
井口 お芝居は本当に楽しくて、私はまだまだ入口に立ったばかりだと思っています。これからはいろんな現場に行って、いろんな人と会って自分自身もお芝居も、積極的に開拓していきたいなって思っています。好きなことを仕事にできるのは幸せですが、そのぶん日常が大事なんだろうな……と先輩たちを見ていると実感するんです。いっぱい遊びにいったり、いろんな人と出会ったりしてプライベートを充実させたい。そして、そのときに実感したいろいろな“気持ち”をお仕事に活かせるようにしたいです。
――それにより演技の幅も広がる?
井口 そう思いますよ。遊んでいるときにリミッターを外すと、その弾けかたも仕事に活かせるだろうし……。私、20歳の目標はリミッターを外すことなんです。
――それはすごいなあ。
井口 いままで仕事をしてきて、やっぱり「こういうものだろう」って頭で決めつけている部分があると思うんですね。そういう決めつけをせずに、大きな失敗を怖がらずに突き抜けていきたい。いっぱい遊びにいったりスポーツをしたりして、弾けるときに馬鹿みたいに弾けて愉快な大人になりたいです。自分に限界を作らないためにも。
INFORMATION |
DVD『アイドルマスター
XENOGLOSSIA』全9巻 ■発売元:バンダイビジュアル |
photograh:Daisuke Komori
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