【ネタバレ注意】劇場映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』のトークショーが開催された
●【ネタバレ大注意】2日間に渡ってのトークショーをリポート
2008年8月2日より全国で公開された劇場アニメ『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』。そのスペシャルトークショーが新宿バルト9にて、2008年8月20日と21日の2日間に渡って行われた。
2008年8月20日のトークショーには、『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』の脚本を担当した伊藤ちひろと、脚本監修の行定勲が登場。8月21日のトークショーには、監督の押井守が登場し、『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』の秘話を語った。今回は、その模様を動画でも配信するので、ぜひチェックしてほしい。
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両日とも、司会は同作のプロデューサーを務めるプロダクションI.G.の石井朋彦氏が担当。『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の制作過程を間近で見続けた氏によって、短い時間ながらも、さまざまな話題が披露された。なお、トークショーは新宿バルト9以外の劇場でも行われており、劇場ごとに違ったテーマの話題がくり広げられたとのこと。 |
8月20日のトークショーでは、押井監督が『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』制作に当たって掲げた3つのテーマのうちのひとつ、“恋愛”について脚本家の伊藤ちひろ、脚本監修の行定勲が語る。続く、8月21日のトークショーでは、“映像表現とテーマの一致”について、押井守監督が映画作りに関する持論を展開した。
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行定勲が監督を務め、伊藤ちひろが脚本を担当した映画『春の雪』。この作品を観た押井監督が、「いまある恋愛映画は、男女が出会って結ばれるまでの駆け引きを描いたものばかりだが、恋愛の本質は結ばれた“あと”にある。いま多くの若い人たちに知ってほしい恋愛の本質が(『春の雪』には)描かれている」と語り、ふたりに脚本のオファーを出したということを石井氏が語る。そして制作をしていく中で、製作現場にいる若いスタッフたちに押井監督が「人と関わることを恐れるな」ということをしきりに言っていたことを明かす。これこそが、監督が『スカイ・クロラ Sky Crawlers』に込めたメッセージであるという。 |
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押井監督の作品について、「監督の映画は、つねに恋愛映画だと思って、僕は観ていた」とコメントする行定。「これまでの作品でも、好きとか嫌いという感情を越えたところにいる男女の距離を描いた、ストイックな恋愛映画が多かったと思うんです」と分析。「監督が考える恋愛というのは、人と人との深い関わり合いが成すものなんだと思います。相手を散々振り回して傷つけて、男はそれに気づきもせず“好きだ”と言ってしまう。相手にとってはすごく迷惑なことなんですけど、それを受け入れているのか受け入れていないのかわからないところに向かっていくという強さが恋愛なんじゃないかな、と。『スカイ・クロラ Sky Crawlers』はそこに届いているような気がします」(行定)。 |
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伊藤ちひろは、脚本の執筆に関して「最初の構成が難しかった」と語る。「(森博嗣の)原作がすべてのことを語っているわけではないので、それを全部クリアーにしていって、押井監督が私に望んでいる脚本の世界観を探りながら書いていきました。(そうしていく中で)人にすごく執着するとか、自分の中で整理された感情ではなくて、渇望したり、情熱が湧き上がったり、といった恋愛の形を描くことを意識するようになりましたね」(伊藤)。 |
また、『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』を観終わった直後の来場者からの質疑応答に答えるシーンも。なお、ここから掲載する動画及び記事には、劇場映画『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』のオチを含めたネタバレが含まれています。まだ映画を観ておらず、同作品を観るつもりだという人は、ご注意ください。
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動画レポートはこちら[ 514Kbps
/ wmv形式 ] | |||
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8月20日のトークショー内容 |
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「“ダニエルズ・ダイナー”の入り口にいる老人は、最後までひと言もしゃべらなかったが、どのような意味があるのか?」という質問に、「最初はいろいろとやろうと思って、セリフも書いていたんです。でも、押井監督はセリフがなくても十分にその雰囲気をかもし出せる自信があったのでセリフをなくしたんだと思います」と伊藤がコメント。さらに石井からは、「巷では“あの老人がティーチャーなのではないか?”という説が出ています(笑)。これを監督に確認したところ、“そういう説もある。もしかしたらマスターのお父さんかもしれない。いろいろな解釈で観てほしいですね”という回答が得られました」という裏話が披露された。 |
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「なぜ、函南は草薙水素を撃たなかったのか?」という質問には、「押井さんが絶対にやりたいと言っていた言葉が、最後の函南の語りの部分なんです。その言葉を軸に考えたときに、原作とは違う終わりかたにしたほうがいいのではないか、と思い、あのような結末にしました」と伊藤は答える。 |
「函南のセリフで“君は生きろ。何かを変えられるまで”というセリフがありましたが、水素は何かを変えられたんでしょうか?」という質問には伊藤と行定のふたりが答える。「私としては『2』も『3』もやりたい気持ちなんです(笑)。要するに、大人たちは歳をとっていって、キルドレたちは何度も同じことをくり返す。でも、その中で何かの変化が起きていく、という内容が『2』をやるとしたらの物語になると思います。でも、『2』をやらずに、今回の作品だけでそれを感じてもらえたらな、と思いますね」(伊藤)。「残されていく者のほうが何を受け取るか、人が死んだあとに残る思慕というのがいちばん大きな変化だと思うんです。だから、きっと(水素自身は)変わらなくてもいいんだと思います」(行定)。 |
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8月21日のトークショー内容 |
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雲の上の世界は3次元で、そして地上は2次元で描かれている本作。その理由を聞かれた押井監督は「素材を一元化するというのは、作りかたとしては作りやすいんです。ハリウッドは3次元だけで全部作る。どっかの巨匠みたいに全部鉛筆で描いたりとかね(笑)。でも、僕は(2次元と3次元の)両方が必要だと思うんです。いろいろな雑多な素材をうまく使いこなして、最終的にひとつの場面にする、という手法。今回は、それに加えて演出的に2次元の素材と3次元の素材をいかに使いこなすか、ということを作品のテーマにしたいと思ったんだよね」。そう語った押井監督は、さらにこう続ける。「キルドレたちは、空中で戦闘をしているときだけ、生の実感を感じる。そして地上へと戻ってくる。たとえば現代に生きる人たちは、コンサートに行ったり、彼女とデートをしたりというすばらしい時間から、仕事をしたり洗濯物を干したりする生活の時間に必ず戻ってくる。作品のテーマにもなることなんですけど、人は非日常から日常に戻ってこないと生きてはいけないんです。僕らは日常に生きるしかないんだよ、と。どんなに辛くても。そういうことを表現したくて、雲の上の世界と、地上の世界とを違う絵柄にしたんです。(はっきりと違うのではなくて)なんとなく手触りが違う。なんとなくそれぞれの世界で体感できる時間が違う、という表現になっています。気づいた方もいらっしゃるかもしれないですけれど、まったりとした時間が地上で描かれて、圧縮されためまぐるしい時間が空中で描かれている。そのために情報源のありどころを変えたかった。地上では酒瓶だったり、ポスターであったり、マッチのラベルであったり、あらゆるところに瑣末な情報が散りばめられている。でも、空の上の情報というのは雲の変化、光線の変化しかない。よりシンプルな情報で描かれた世界が、いかにすばらしいか。いかに輝いて大きな広がりを持って感じられるか、と。瑣末なディテールに満ちた地上との対比を鮮やかに描くことが、恐らくこの作品のテーマと一致するだろうと考えた結果、このような映像になりました」 |
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来場客からの、「原作に比べて函南が温厚になった気がするのですが?」という質問には、「優一君はですね、加瀬亮(※函南の声を担当した俳優)にも同じことを言われて参ったことがあるんだけれど、どう捉えていいかわからない不思議な男なんですよ。自分のことについて何も知らない登場人物。でもそれは裏を返せば僕らといっしょなんだよね。“自分に関する知識って、僕らが生きていくなかでどれぐらい必要なんだろう?”と考えると、優一君と対して変わらない。おそらくね。函南優一君というのはつまり僕らなんですよ。そういう感じで作ったんで、だんだん特徴のない男になってしまった。でも、それで成立してしまうのが映画のおもしろいところだと思いますね」(押井)。 |
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最後に、石井から『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』をより楽しむためのポイントがアドバイスされる。「フランソワ・トリュフォー監督の『隣の女』という作品と、行定勲監督の『春の雪』という作品を観ると、とても楽しんでいただけると思います。これらの作品は『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』ととても仲のいい兄弟作品ですので。また、水素とフーコというキャラクターは、じつは一度も同じフレームの中に入っていないんです。これは押井監督が意図してやっていることで、水素の持っている小道具なども、フーコと関連付けられているんです。一度、映画を観た人は、ぜひこれらの点に注意してもう一度ご覧になっていただければと思います」(石井) |
※『スカイ・クロラ
The Sky Crawlers』公式サイトはこちら
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