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ゆかな: 生まれてきたことの爪痕を残すために
エンジェル・ボイス アゲイン

2008/6/16

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ファミ通Xbox 360(毎月30日発売)の人気コーナー “エンジェル・ボイス アゲイン”がファミ通.comとコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録。声優さんの“声のお仕事”に対するこだわりぶりを明らかに。本日のゲストは、ゆかなさん(不定期連載第15回)。

 

【本日のゲスト・ゆかなさん】

アニメ『あずきちゃん』の野上あずさや『ふたりはプリキュア』のキュアホワイトなど幅広い役柄をこなす。ただいまC.C.役で出演している『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』が放送中。

 

●声優という、まったくもって幸せな仕事を選ばせてもらった

 

――まず声優を目指すことになったきっかけを教えてください。
ゆかな
 子供のころに大きな病気をして、“死”というものを身近に感じたことがあるんですが、そのときに考えたことが役者を目指すきっかけになっているんです。このまま自分が死んでしまったら、「誰々の娘さんがいなくなった」と言われることはあっても、「ゆかながいなくなった」とは意識してもらえない。それが酷く虚しいことのように感じられて、どんなに小さいことでもいいから私にしかできないことを見つけたいって思ったんです。

――それで声優への道を目指すことになったのですか?
ゆかな
 「自分が自分であることを証明するためには何ができるんだろう?」って思ったんですね。自分は難解な方程式を解ける天才でもなければ、絵を描く才能があるわけでもない。自分が生きているあいだに実現できることってなんだろう……ってつたないながらに考えてたどり着いたのが、ショウビジネスの世界でした。お芝居ならば、あるいは一生懸命努力すれば、誰かの心を動かせるかもしれない。マイクの力を借りれば、あるいは自分の足りない部分も補えるかもしれない。歴史に足跡というほどでなくてもいい、せめて爪痕のひとつでも……と。

――それは何歳くらいのときに?
ゆかな
 9歳くらいですね。

――9歳! 9歳でそんなことを考えていたのですか!? そこからお芝居を?
ゆかな
 「お芝居をしたい」という方向性は絞られつつも、なかなか言い出せなくて……。義務教育が終わるまでは胸の中で温めていたのですが、当然大反対にあいました。子供のころ病弱で迷惑をかけているという負い目もあったので、基本的にいい子でいたつもりですが、お芝居の道へ進みたいというのは、私の生まれて初めての、人生最大のわがままでしたね。

――あら!? それでどうしたんですか?
ゆかな
 自分の気持ちを伝える長い手紙を書いて、家族全員にひとりひとり渡しました。父と母と、祖父と祖母と、妹と……。

――それで、納得してもらえたのですか?
ゆかな
 ……たぶん(笑)。さしあたり、手紙を読むことによって「これは何を言っても無駄だな」ということがわかってもらえたんじゃないかと(笑)。

――そうして飛び込まれた声優の世界はどうですか?
ゆかな
 まったくもって、幸せな仕事を選ばせてもらったなと思います。私のようにちょっとぼんやりした者でも地球の命運をかけて戦わせてもらったり、ときには男の子や動物なんかにもなれる(笑)。アニメやゲームだと容姿に制約がないので、ありとあらゆる役になれるのが、本当に幸せな職業だと思います。

――役作りはどのような感じで行っているのですか?
ゆかな
 そのキャラクターの考えることが、自分の中に欠片でもあれば、その部分を膨らませてキャラ作りをしていくようにしています。でも、たまに自分の中ではまったく思ってもみなかった感情を抱くキャラクターもいて、そんなときはいろいろと考えます。たとえば、“殺意”とか。そんなときは、「どうしてこの人はそう思うんだろう?」って考えるようにしています。それで、どういう経緯があってこの人は“殺意”を抱くに至ったのかって分析するんです。同じことがあった場合、私だったら「かわいそうだな」って思うだろうけれど、そのキャラは「殺してやる」って思ったみたいだ。その分岐点さえ分かれば、「この人はここから変ったんだ」ということで、そのキャラを理解する足がかりができる。

――けっこう理詰めですね。
ゆかな
 いまはけっこう条件反射みたいになっていますが、頭の中ではそんなふうに思考回路が働いているのではないかと(笑)。でも、最初のころは私、声を上げて泣くシーンとかがけっこう苦手だったんですよね。

――あら、それはまたどうしてですか?
ゆかな
 子供のころは、声をあげて泣くとか、我を忘れて怒るとか、感情の解放をした覚えが乏しくて。それで、最初は台本に“泣きわめく”ってあっても、泣きわめきかたがわからなかったんです。気がつけば布団をかぶって声を殺して泣いていたなあって改めて実感したりして(笑)。自分の抑圧してきたものを自覚したんですね。最初はどうしたらいいか、悩んでとまどっていましたが、演技を重ねることによって“泣きわめく”ことを学んでいきました。順番は逆になってしまいましたが、お芝居に追体験させてもらった感じです。
 

●いまは助けてくれた方の気持ちに応えたい

 

――では、いままで演じた中で、印象に残っている役を教えてください。
ゆかな 
もちろん全部印象に残っていますよ。優等生的な発言ではなくて(笑)。でも、“あえて”ということで言うと、とくに印象に残っているのが、いちばん最初にテレビシリーズで3年間演じさせてもらった『あずきちゃん』(‘95年)の野山あずさかな。あずきを演じたのは学生のころだったのですが、あずきは本当にふつうの小学校5年生で、自分のそのころとはぜんぜん違う。ホームドラマだったのですが、少し違った自分を体験しているみたいな感じでした。

――さっきの話ではありませんが、“家庭”を追体験した感じですか?
ゆかな
 それはあります。お母さん役の役者さんを、 “ママ”と呼んでいましたし。配役のことを知らずにアフレコにいらした方にも、誰がどの役を演じているか、だいたい雰囲気でおわかりになったみたいです。あと、アフレコで休憩時間に休んでいるときに、みんなでふざけている姿を見て、「劇中とそっくりだ」と言われたり(笑)。

――いま放送中の『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』のC.C.役は?
ゆかな 
C.C.も印象的なキャラですね。私はC.C.に関しては、谷口(悟朗)監督のリクエストを膨らませていたつもりだったのですが、谷口さんがどこかで、「C.C.が女王様のようになったのは、ゆかなエッセンス?」みたいにコメントされたらしくて(笑)。私は監督の期待に応えようとしていただけなのですが……。

――監督が、ゆかなさんの女王気質を膨らませた?
ゆかな
 そんなのないですよ(笑)。C.C.は、人であって人ではない。どれだけの人がいても、交ることがない。そういう空気を出したかったんです。超然としたところを出したかったというのが第一。すべてを見透かしているような雰囲気もあり、ときには母のようであり、ときには少女のようでもある……でも神ではないというのを、自分なりに咀嚼していった結果、あんな感じになったんです。ただ、『コードギアス 反逆のルルーシュ』の世界に住まわせてもらっているようなものです。

――収録現場でも2転3転するストーリーに驚きながらアフレコを?
ゆかな 
だいたいまえの前週の収録の際に台本をいただくのですが、まるで気になる小説やマンガの最新号が来る感じ(笑)。出番がないときは、共演者と「もう読んだ!?」って連絡を取ったりすることも。「来週はどんな感じになるの?」とか連絡が来たり。とても気になる連載小説を読んでいるような感覚ですね。

――台本を読んで、「今回で自分は死ぬのか?」という人もいたりとか?
ゆかな
 ありますね……。

――役作りのために、事前にストーリーを聞いたりしないんですね。
ゆかな
 基本的にはないです。ただ、C.C.だけは知っておかなければならないこともありますので、ほかの共演者よりは多少教えてもらっていることはありますが、それに関しては、ほかの役者さんと言えども、私の口からは言えない。でも、私だけが知っていることはそんなにはないですよ。

――『コードギアス反逆のルルーシュ R2』がは、それにしてもさきが気になりますね。
ゆかな
 これがギアスをかけられていて、さきのことは言えなくなってしまうんです(笑)。とにかくギアスがかかっていて、しゃべれなくなってしまう。これはスタッフの方もそうみたいですね。当然役者よりはスタッフの方のほうが、さきのストーリーを把握していらっしゃるはずですが、役者が気になってさきのストーリーを聞くと、「え、それはですね……あー、ギアスがかかっておりまして……」と。なかなか誰も、ギアスからは逃れられないようです(笑)。

▲『コードギアス 反逆のルルーシュR2』で、謎の多い美少女C.C.を演じるゆかなさん。『コードギアス 反逆のルルーシュR2』は毎週日曜日午後5時よりMBS・TBS系列にて全国ネット放送中。また、2008年8月22日には、ブルーレイ・ディスク版とDVD版の『コードギアス 反逆のルルーシュR2 第1巻』もバンダイビジュアルより発売。映像特典などが満載で、ブルーレイ・ディスク版は4200円[税込]、DVD版は3150円[税込]となっている。


――今後演じてみたい役柄などはありますか?
ゆかな
 いっぱいあります。ありがたいことに、男女を問わず子どもから大人、果てはおじさんまで(笑)、いろいろな役を演じさせてもらってきましたが、まだまだ演じてみたい役というのは尽きなくて、いまは多面性のある役がおもしろいですね。複雑なものを背負っているキャラとかには燃えます(笑)。

――いまゆかなさんがはまっていて、それが声優さんのお仕事に役立っているものなんてあります?
ゆかな
 いっぱいありますよ! とくにいまハマッているのは殺陣。ゲームの『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』(2006年)で柳生十兵衛茜を演じさせていただいたのですが、「アクションシーンとかができたらいいなあ」ってずっと思っていたんですね。それでやっと習い始めたんです。小さいころは体育の授業は見学ばかりだったので心配だったのですが(笑)、相当楽しいですね!

――ゲームを作るときに、声だけでなく、モーションキャプチャーもできそう(笑)。
ゆかな
 はい。やりたいです(野望)。

――「爪痕を残したい」と思って目指した声優ですが、こうしてみていかがですか?
ゆかな
 もちろん、「達成し切った」とは少しも思っていないのですが、それでもたくさんの方に助けていただいて、なんとか傷痕くらいは刻ませてもらえたかな……とは思っています。いまは、そんな皆さんの気持ちに応えたい。そして、期待を上回ることができたら……ということを考えています。誰かが少しでも望んでくれるのであれば、自分にできることを捜して、何かを表現する道を歩いていきたいって思っています。

※ゆかなさんの公式ブログはこちら

 


photograh:Daisuke Komori  

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