伊瀬茉莉也:思い描いた夢の道筋の実現に向けて
エンジェル・ボイス アゲイン

ファミ通Xbox
360(毎月30日発売)の人気コーナー “エンジェル・ボイス アゲイン”がファミ通.comとコラボレート。誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全収録しています。声優さんの“声のお仕事”に対するこだわりぶりが明らかに。本日のゲストは、伊瀬茉莉也さん(不定期連載第14回)。
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【本日のゲスト・伊瀬茉莉也さん】 |
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アニメ『Yes!プリキュア5』の春日野うらら役や、『桃華月憚』の守東桃香役、ゲーム『月面兎兵器ミーナ』の月影兎萌役など多数に出演。今年は歌にも力を入れていきたいとのこと。 |
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●しっかりとやれば、見ている人はちゃんと見てくれている |
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――声優を目指すようになったきっかけを教えてください。
伊瀬 宮崎駿監督の作品が好きで、『風の谷のナウシカ』なんて、それこそビデオのテープが擦り切れるくらい見たのですが、小学校3年生のときに『もののけ姫』を見て、「いつか自分も『もののけ姫』のような、人に感動してもらえる作品に携わりたい」と思ったのが直接のきっかけです。ビデオ化されるのが待てなくて、8回くらい映画館に行きました。最初のうちは、監督という職業に憧れていたのですが、たまたま声優さんが出演するミュージカルを観る機会がありまして、「声優さんというのは、声でお芝居をするだけではなくて、舞台に立ったり歌を歌ったりと、幅広い仕事ができておもしろそうだな」とふと思ったんです。それでミュージカルのパンフレットを見たら養成所の広告が載っていたので、応募してみました。
――運命の出会いのようなものですね。
伊瀬 実際に養成所の門を叩いたのは中学校2年生のときです。入るときは、すごく両親に反対されました。でも、私の中で明確な“夢”があって、将来に向けて「いまの自分はこうしなければいけない」という自分なりの道筋ができていたんですね。だから、「入学金は自分で払うから」と親を説得して通い始めることにしたんです。こんなこともあろうかと、小学生のころからお年玉などをずっと貯金していました(笑)。いかに自分が本気かということを知ってもらいたかったんです。養成所には、片道2時間をかけて通い出したのですが、そのうちに私のがんばりを認めてくれて、両親とも応援してくれるようになりました。養成所には、それまでは電車で通っていたのですが、父がクルマで送り迎えをしてくれるようになったりしましたね(笑)。
――養成所での日々はどうでした?
伊瀬 最初の半年間は、セリフはひとこともしゃべらないで、かつ舌や複式呼吸など、ひたすら基礎練習をしていました。私の師匠である三ツ矢雄二さんは、「いくら声の仕事といっても、心でお芝居をしないと伝わらないよ」とよくおっしゃっていまして、人が感情を伝えるときにはどうやって体を動かすのか……という点をものすごく大事にされていました。養成所で勉強させてもらったことは、本当にものすごく多いです。「しっかりとやれば、見ている人はちゃんと見てくれている」と思ってがんばっていたのが叶って、徐々にオーディションの話をいただけるようになりました。
――最初のお仕事は?
伊瀬 16歳のときに出演した、アニメ『愛してるぜベイベ★★』(2004年)です。役名もなくて、ひと言ふた言セリフがあるだけだったのですが、本当に緊張して、台本を持つ手がぶるぶると震えました。実際にオーディションで役をいただいたのは、アニメ『蟲師』(2005年)の廉子役が最初です。『蟲師』は、アニメ化が決まるまえに、本屋さんで単行本を見かけて買って持っていました。それで、「今度アニメ化してオーディションがあるよ」というお話をいただいて、マンガを見ながら廉子役を練習しました。役が決まったときは、ものすごくうれしかったです。
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●いろいろな方の手助けがあってこそ、ここまで来られた |
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――とくに印象に残っている役などはありますか?
伊瀬 いま演じている『Yes!プリキュア5』の春日野うららは、付き合いが長いこともあり、思い入れが深いです。うらら役のオーディションは手応えがあまりなくて、まるで自信もなかったのですが、買い物をしていたときに事務所から決まったという連絡が入って、街中で「本当ですか!?」って大きな声で叫んでいました(笑)。
――うららの役作りはどのような感じで?
伊瀬 じつはとくにないんです。プロデューサーさんから、私だったら「うららのことをよくわかってあげられるんじゃない?」というお言葉をいただきました。うららという子はアイドルでありながらプリキュアをやっているんですが、私も大学に通いながら仕事をしている。私だったら、そういう“二足のわらじ”に対する楽しさや苦しさに共感してあげられるのでは……ということだったんです。実際、そういう二足のわらじ的な部分がストーリーに直接描かれることはあまりないのですが、「私と同じような体験をしているんだろうな」と思うと、うららのふつうのセリフでも込めるニュアンスが違ってきます。
――性格的には、うららと伊瀬さんはどうですか?
伊瀬 自分では似ていないと思っていたのですが、現場の先輩方からは「すごく似ているよ」って言われます。うららのセリフで「自分はまだまだです」というのがあるのですが、私もしょっちゅう使っているらしいです(笑)。実際、プリキュア5におけるうららのポジションが、先輩声優さんたちに対する自分のポジションといっしょ、というのはあるかもしれません。収録現場でも、私はほかの先輩たちについて行っているというか、いろいろと教えてもらっている感じです。
――収録も楽しそうですね(笑)。
伊瀬 チームワークはいいですよ! 去年は『Yes!プリキュア5』のミュージカルの全国公演がありまして、京都・大阪の公演に出演声優はご招待していただいたのですが、みんなでいっしょに寝泊りしたりして、とても楽しかったです。そういう部分からもチームの輪が深まってきて、いい意味で収録に反映されていると思います。チームワークがよくなれば、「自分がこういうふうにお芝居をしたら、こういうふうに返してくれる」という信頼関係が生まれてくるんです。
――ちゃんと返してくれます?
伊瀬 はい。返してくれます。みなさんやさしい方ばかりなので(笑)。よくお芝居をキャッチボールにたとえる人がいるのですが、自分が強いボールを投げたら、相手も同じように強く投げ返してくれますし、自分が変化球を投げたら、同じく変化球を投げ返してくれたりする。プライベートで信頼関係が深まってお互いのことを知ったりすると、自分がこういうボールを投げれば、相手はこういうボールを返してくれる……というのがわかってくるんですね。
――ボールの投げ甲斐がある人がいたりします?
伊瀬 私はまだまだそんな境地にまで達していないです(笑)。ただ、同じ10代の仲よしの声優さんですと、友だちでありながらライバルでもあるので、意識することがけっこう多いです。とくに井口裕香ちゃんとは仲がいいので、「私がこんなボールを投げたら、裕香はどうくるかな?」なんて考えながら演技をすると楽しいです。お互いに切磋琢磨する感じですね。
――先ほど「思い描いている道筋がある」とおっしゃっていましたが、これまでを振り返っていかがですか?
伊瀬 はい、順調にここまで来させてもらっています。でもこれは、自分ひとりの力だけでは不可能で、いろいろな方の手助けがあってこそ、ここまで来られたと思います。これからはさらにがんばって、声優として成長していきたいです。
――なるほど。では、今後のテーマみたいなものはありますか?
伊瀬 今年の目標は歌を強化することです! 最近歌を歌わせていただく機会が多くなったのですが、歌で気持ちを表現するというのはたいへん難しい、ということを実感しています。ただ、歌は声優とはまた違った表現方法なので、歌でも自分の思っていることをしっかりと伝えられたら……と思っています。あとは、ファンの方とお会いする機会を増やしていきたい。そして、素顔の伊瀬茉莉也を、どんどん知ってもらいたいって思っています。
※伊瀬茉莉也さんのブログはこちら
photograh:Daisuke Komori
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