名塚佳織インタビュー:巡り合わせに恵まれてやってこられた声優としての10年
エンジェル・ボイス アゲイン
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ファミ通Xbox 360(毎月30日発売)の人気コーナー、"エンジェル・ボイス アゲイン"がファミ通.comでスタート! 誌面の都合などから、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかったコメントの数々を完全収録。声優さんの"声のお仕事"に対するこだわりぶりを聞きます。 |
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【本日のゲスト 名塚佳織さん】 |
1999年に『おじゃる丸』のゲストキャラ子石でデビュー。その後、『だぁ!だぁ!だぁ!』のヒロイン、光月未夢や『交響詩篇エウレカセブン』のエウレカなど印象的な役柄を多数こなす。2007年は『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の双海亜美や『レ・ミゼラブル 少女コゼット』のコゼットなど多数。そのほか、ラジオのパーソナリティーや舞台なども精力的にこなす。 |
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●声優は、現場で育てられるもの!?
――小さいころから舞台に立っていたんですよね?
名塚 もともと母が舞台を見るのが好きだったんですよ。それで、小さいころから母に舞台に連れていってもらっているうちに、「自分もやりたいなぁ」と思うようになって、オーディションを受け始めました。それで小学校3年生のときにミュージカル『トラップ一家物語』に出たのですが、とにかく楽しくて、それから毎年のように舞台に立つようになったんです。大きなステージに立って歌を歌ったりダンスを踊ったりするのが本当に気持ちよかったんですね。
――物怖じしない子どもだったんですね(笑)。
名塚 そうですね。でも、じつは人前で何かをするのはスゴイ苦手で、ダンス教室のカラオケ大会で歌を歌うとか、恥かしくて大嫌いでした(笑)。小さいころは自分で自分のことを好きだと思ったことがなくて、友だちの反応を気にしては、自分が酷くつまらないことをしたような気になってしまうんです。でも、舞台はなぜか平気だったんですよ。舞台では自分とは違う役柄になれるし、作品として評価してもらえる。「すごいね」と言ってもらうことが素直にうれしいかったんです。
――それが、どのような縁で声優に携わるようになってのですか?
名塚 中学校2年生のときに出ていた舞台に、『おじゃる丸』の大地丙太郎監督が見に来ていらして、そこで気に入ってもらってスカウトされたんです。私はその舞台では、全編をとおしてセリフ数は4〜5個くらいしかなかったので、なぜ大地監督が私に注目してくれたのか、いまだによくわからないんですよ。いまさら、「自分は何がよかったんですか?」と聞くのも照れくさいですし(笑)。いずれにせよ、そこでアニメ『おじゃる丸』(1998年〜)のオーディションを受けさせてもらったのが、声優への入り口になっています。
――いきなり飛び込んだ声優というお仕事はどうでした?
名塚 中学生のときからわけもわからず飛び込んだ世界だったのですが、1から10まで共演の皆さんに教えてもらって勉強していきました。声優に携わるようになって2〜3年にしてからやっと、養成所があることを知って、「みんなはこういうところで勉強してから声優さんになるんだ」というのがわかったくらい(笑)。皆さんは長い時間をかけて地道にレッスンをして、すごい間口の狭い声優という世界に携わるようになるので、私の場合は極めて異端ですよね。巡り合わせがよかったみたいで、周囲に恵まれてここまでやってくることができたと思っています。
――声のお芝居に関しては、全部現場で?
名塚 そうですね。ちんぷんかんぷんなことをやりながら、少しずつ教えてもらいました(笑)。中学校2年生のときにアニメ『だぁ!だぁ!だぁ!』(2000年)のヒロイン、光月未夢役をいただいたのですが、かないみかさんとか、緒方賢一さん、千葉千恵巳さんとごいっしょに仕事をさせていただいて、そこでいろいろと勉強させていただきました。
――ある意味、養成所よりも勉強になりそう。
名塚 そのときは3本目の作品だったのですが、そこでやっとこさ絵の口パクに対して、合わせられているか、合わせられていないか確実に理解できるようになりました。最初のころは、口パクに合っていないことすらわからなかったんですよ。自分は一生懸命やっているのに早く言ってしまって、口パクが余ってしまったりとか。『だぁ!だぁ!だぁ!』ではやっとぴったり合わせられるようになって、気持ちよさを感じられるようになりましたね。
――つぎのステージに上がったのですね。
名塚 はい。そのつぎに、いろいろな作品に関わるうえで作品の色の違いに気付かされたりしました。アニメにても、アクションやコメディー、学園ものといろいろあるのですが、現場によって空気も違えば方向性もまるで違ってくる。現場の空気の違いを楽しむようになって、そのあとで役者さんとの掛け合いを楽しむようになりました。
――つぎつぎといろんなことを吸収していった、と。
名塚 私の演技における方法論というのは、そうした現場での経験が色濃く反映されていて、収録のまえはほかのキャストがどうするかあまり考えないでおいて、当日に現場に行って、テストのときに感じたことをそのまま本番の演技でも反映させるようにしているんです。
――テストの掛け合いのなかで、役柄を作り上げていく?
名塚 はい。現場や監督によって求められるものが変わってくるので、そこには柔軟に応えられるようにしたいというのはあります。だから私は、テストのときはものすごく集中して、周りの空気を読みますよ(笑)。
――いろいろな意味で、現場主義なんですね。
名塚 そうですね。私の場合演じているキャラクターの"いま"の気分を大切にしたいので、そのキャラクターがそのあとどうなるのか、なるべく聞かないようにしているのですが、声優さんのなかには「私の役は死んじゃうんですか?」とか気にされる方もいますね。
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●演じたキャラとは、生涯いっしょに生き続けていく
――いままでで、印象に残っている役は?
名塚 たくさんあるのですが、"強いて"ということでキーポイントとして残っているのが『だぁ!だぁ!だぁ!』の光月未夢と『交響詩篇エウレカセブン』(2005年)のエウレカ、そして『レ・ミゼラブル 少女コゼット』(2007年)のコゼットですね。いずれもすごく大きな作品であり、自分のステップアップにつながった作品でもあります。あと、自分のなかですごく印象に残っているのが『今、そこにいる僕』(1999年)のララ・ルゥと『風人物語』(2004年)のナオです。『今、そこにいる僕』のララ・ルゥは人間ではなくて水を操る存在で、『風人物語』のナオは風を操る女の子だったのですが、それぞれ自分が水や風になれたような気がして、すごく心地のよい作品でした。
――役柄をうまいこと掴めたという感じでしょうか?
名塚 そうですね。ほかにも大好きな作品はいろいろあるのですが、自分のなかでより取り込めたのはこの5作品かな。
――そういう仲よくなったキャラクターと別れないといけないのはさびしいものなのですか?
名塚 最終話を収録するまえは、終わってしまったら切ないな……と思うのですが、最終話の収録って意外とあっという間に終わってしまって、何か余り実感が沸かないですね。じつは頭の周りにいままで演じてきたキャラクターがけっこうふわふわと漂っていて、ふとした瞬間に私の中に降りてくる瞬間があるんですよ。印象に残っている役は、道を歩いている瞬間とかに降りてきて、印象に残っているセリフを口にしたくなってしまうんです。
――きっかけとかはないんですか?
名塚 ないんです。歩いているときに急に言いたくなってしまうので、周りに人がいないことを確認してから、こっそり口にしたりしています(笑)。
――演じたキャラクターとは、生涯いっしょに生き続けていく感じなんですね。生粋の役者さんだ。
名塚 そうかもしれないですね。ほかのキャラクターとの掛け合いができないので、何を言ってもひとり言でしかなくなってしまうのがさびしいところなのですが、けっこうみんな身近にいてくれるのがうれしいですね。キャラクターは健在なので、もしいきなり続編が始まっても、すぐにキャラクターを呼び出せますよ(笑)。
――今後の目標などを教えてください。
名塚 声優を始めて今年でなにやら10年目くらいになるのですが、正直まさかこんなに声優の仕事を長く続けられるだろうとは思っていませんでした。『おじゃる丸』のオーディションに受かって、「自分の声がテレビから聞こえてくることはもうないだろう」なんて家族で大騒ぎをして、必死で番組を録画していたのがなつかしいです(笑)。舞台にしても声の仕事にしても、自分のやりたいようにやってきてここまできたのですが、声優として、今後もやれる限りのことはやっていきたいです。まあ、女の子なので、もちろん将来的には結婚したいなあ〜とか密かに思ったりしているんですけどね(笑)。
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